「この……光は……」
似蔵は一瞬、目を疑った。目は見えていないが、代わりに人の光を見ることができる似蔵。そんな似蔵だが、この場では見えないはずの光を見て、少し驚き、すぐ平常心に戻った。
銀時が刀を抜く。とぐろを巻いた真剣は、光を反射し、銀色に輝いた。
双方がニヤリと笑みをこぼし、刹那の間に、鎬を削っていた。
「人が一仕事した後に、無粋な輩が転がりこんできたと思ったら、アンタも来るとはね!火事場泥棒にでも来たかい!?そんな体で何ができる!?自分が何してるか分からなくなるぐらい、おかしくなっちまったか?」
「そういうアンタも調子悪そうだぜ。どうした、顔色悪いぜ?腹でも下したか?」
「腹、壊してるのはアンタの方だろう?」
似蔵の手が、銀時の腹に直撃する。痛みとショックに襲われた銀時は、攻撃と共に似蔵をはじき飛ばした。
「あらあら、血が出てるよ」
「おいおい、どーした。血が出てるぜ」
自分の手についた血をイジりながら、挑発する似蔵だったが、手を斬られ、出血したことから、自分も斬られていたことに気づく。
似蔵は、自分の手を少しの間見つめ、高笑いしながら銀時へ向けて走っていった。
ーーー船内ーーー
桂が高杉一派の攘夷志士を斬り捨てる。人数は攘夷志士の方が多かったが、少しの人数差なら全く問題がないようだ。
刀の血振りを行い、鞘へ戻す。目線は、堂々と手すりに腰を下ろす高杉へ向いていた。
「ヅラ、あれ見ろ。銀時が来てる。紅桜とやろうってつもりみたいよ。ククッ、相変わらず馬鹿だな。生身で戦艦とヤッてるようなもんだぜ」
桂が視線を上へと向ける。船の屋根上では、銀時と似蔵が戦闘をしているが、似蔵と紅桜に、銀時が苦戦しているのが見て取れる。
「もはや人の動きではないな。紅桜の伝達指令に身体が悲鳴をあげている。あの男死ぬぞ。お前も知っていたはずだ。紅桜を使えばどうなるか。仲間だろ、なんとも思わんのか」
「ありゃ、あいつが望んだことだ。それで死ぬならあいつも本望だろうよ」
ーーー戦闘から少し離れた屋根上ーーー
「本望だと?」
「その通りだ!!あの男はな、正しく刀になることを望んでいた!!高杉というかがり火を守るために、また闇に戻るくらいなら火に飛び入り、その光を増長させるのも厭わん男だ!!光に目を焼かれ、もはやそれ以外見えん!!なんと哀れで愚かな男か!!しかし!!そんな善も悪も超えたところに美がある!!一振りの刀と同じく、そこには美がある!!」
鉄子と鉄矢の会話は続いている。
ーーー船内ーーー
高杉が自分の刀を眺め、言葉を発する。
「刀は斬る、刀匠は打つ。侍は……なんだろうな。まぁ、なんにせよ、1つの目的のために存在するものは、強くしなやかで美しいそうだ。コイツのようにな。ククッ、単純な連中だろ?だが嫌いじゃねぇよ。おれも、一本の道しかみえちゃいねぇ。そのあぜ道に、仲間が転がろうが誰が転がろうが構えゃしねぇ」
ーーー鉄子と鉄矢ーーー
「あれのどこが美しい?あんなのが兄者の作りたかったものなのか?もうやめてくれ。兄者の刀で、血が流れるのをもう見たくない!」
「ならば、なぜあの男を此処に連れてきた!!わざわざ死にに来させたようなものじゃないか!!まさか、おまえの打ったナマクラで、私の紅桜に勝てると!?」
激しい音と衝撃で、どちらかが壁に衝突したのだと分かった。鉄矢は、紅桜の強さを疑ってはいなかったが、衝突の煙が晴れた時、壁にもたれていたのは、紅桜。口から血を流す似蔵の姿があった。
土日に書こうと思ってたんですが、気付いたら月曜日、今はもう火曜日ですね。時間、過ぎるのが早く感じます。