(ぬぉっ!!馬鹿な……。紅桜と対等!いや!それ以上の力でやり合っているだと!?そんなはずは……!何者かの襲撃による紅桜の損傷や、紅桜の侵食によって体力が落ちている似蔵殿といっても、今までの戦闘データを経て、紅桜の能力は向上しているはず!まさか……あの男、紅桜を超える速度で成長、いやあれは極限の命のやり取りの中で、体の中に眠る闘いの記憶が蘇ったのか……)
鉄矢がそう思ってしまってもしょうがないほどに、紅桜と銀時は死闘を繰り広げていた。
銀時は紅桜と、何百という回数の刀を交え、切り傷を負い、重症ながら闘いを重ねるごとに、全盛期、またはそれ以上とも言えるほどの実力を発揮していた。
似蔵が紅桜を振るう。直撃コースの軌道であったが、手応えがない。ふと、紅桜の剣先を見ると、銀時が刀身の上で、紅桜の右腕に刀を突き刺していた。
「ウウッ!」
(あれが……白夜叉!!)
似蔵は、銀時の光に苛立ちを覚えていた。重症を負わせたはずだ。木刀を折り、刀を突き刺した相手に今では、刀を突き刺されている。
(消えねぇ。何度消そうとしても、目障りな光が消えねぇ!)
そんな似蔵の怒りに呼応するように、紅桜が増幅を始める。蹲り、うめき声をあげる似蔵の肩が、蠢くように増大し、体をも巻き込むように、今まで以上に巨大化していく。その様子を見て銀時は更に警戒を強めた。
ーーー船内ーーー
ロリコン(武市)とアイドルオタク(新八)が鍔迫り合っている。双方、実戦経験がほぼゼロであるため、ちょうど良い勝負になっていた。
「ほぉ、道場剣術は一通りこなしているようですが、真剣での戦闘はど素人のようですねぇ。震えてらっしゃいますよぉ?」
「これは、あれだ!!酔剣といって……酔いの震えを利用し、振動によって斬撃を強化する剣術だ!!」
「なるほど、それっぽいことを仰る……。私の剣は、志村剣といって、ひとみばあさんの震えとヒゲダンスのリズムを利用してアイーンする……そんな感じです」
「結局アイーンしてるだけじゃねーか!それに、志村けんのネタある程度並べてるだけ!全然強くないよ!その志村剣!!」
「いや、私は戦闘タイプじゃなくて、知能タイプだから。バリバリ前線出て戦うんじゃなくて、参謀だからさ。頭使うのが仕事なんだよ。戦闘はそこのイノシシ女とかに任せてるし」
双方とも手が震えながら会話を続ける。しかし、同じ場にいる女達は男たちと違い、軟弱ではなかった。
「先輩!実戦はやらなければ、こっちがやられるっす!実践あるのみっすよ!!」
神楽に2丁拳銃を斉射しつつ、新八にも威嚇射撃を行う。しかし、神楽は夜兎の身体機能を使い、銃弾を全て回避していた。
神楽が、足元の銃撃を避けるため、高く跳び上がる。また子はその瞬間を待っていた。
「これを避けられるっすか!?」
3発の銃弾が神楽に命中したのか。それぞれ当たった反応を確認したため、勝ったと思ったのだが、それは神楽の笑顔によって覆された。
両手に一発ずつ、歯で一発の銃弾を防ぎ、素早くまた子の足を払い、上を取った。
「さんざん、わたしにタマをブチ込んでくれたアルね。死なない程度にぶん殴ってやるヨ……わたしをヤロウなんて百年早いネ小娘ぇ!!!」
また子が顔を背ける。同時に天井が落ちた。
落ちてきたのは紅桜。ほぼからくりの化物のようになった似蔵の右腕はほぼからくりの管となっており、その右腕には銀時が掴まれていた。ケーブルに縛られている銀時は血を流し、意識を失っていた。
紅桜ってよく考えたらめちゃ強いですよね……。