江戸にて夢を見続ける   作:すぱーくしーど

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侵食

 

「銀さん!!」

「銀ちゃん!!」

「何なんスか!?ありゃあ!!」

「似蔵……さん?」

 

 なぜか似蔵は、味方であるはずの武市を一撃で吹き飛ばす。壁に叩きつけられた武市は、血を吐き、気絶した。

 

「先輩!!おい似蔵!!貴様乱心したっスか!?」

 

 その返答には、うなり声しか返ってこなかった。その様子から、似蔵には意識がないのだと、また子は察する。

 

「意識が……。まさか紅桜の……。嫌な予感が的中したっス!止まれ似蔵!!」

 

 似蔵に向けて銃撃するまた子。銃弾は全て命中したが、似蔵に侵食した紅桜による影響だろうか、生身の部分も銃弾が効いていないように見える。

 銃撃を意にも介さない似蔵は、空いた左腕をまた子に伸ばし、壁に叩きつけた。

 

 

「完全に紅桜に侵食されたようだ!!自我さえない仁蔵殿の体は、全身これ剣と化した!!もはや白夜叉といえど、あれは止められない!あれこそ、紅桜の真の姿、あれこそ究極の剣!!1つの理念の元、余分なものを捨て去ったものだけが手に入れる力!!つまらぬ事に囚われるお前達に、止められる訳が無い!!」

 

 邪魔者を排除した似蔵は、今度こそ厄介な光を消そうと銀時を持ち上げる。

 

「銀さん!!」

「ギンちゃん!!」

「ウァァ、消えない。目障りな光が消えなァァァァァい!!」

 

 似蔵が右手側を刀にし、振り下ろそうとした瞬間。鉄子が飛び降り、似蔵の腕を突き刺した。

 

「鉄子!!」

「死なせない!こいつは死なせない!これ以上その剣で、人は死なせない!」

「うあぁァァァ!!」

 

 似蔵は、鉄子目掛けて刀を振り下ろすが、神楽が蹴りを入れることでそれを阻止する。

 

「アチャア!」

 

 蹴りを入れ、即座に着地する神楽。間髪入れずに、似蔵へ攻撃を仕掛ける。

 

「デカブツゥ!そのモジャモジャを!!」

 

 似蔵の脚を刈り転ばせる。その間に、新八が鉄子とは反対の腕を突き刺す。

 

「離せぇぇ!!」

 

 首には神楽、右腕と左腕にそれぞれ新八と鉄子がいるが、お構いなしに似蔵は暴れている。

 

(なぜだ。鉄子、なぜ理解しようとしない。私は紅桜のために全てを捧げた。人生に、節度さえも捨てて。私には紅桜しかない。それを失えば私には何もないのだ!そう、全てを捨てたのはあの日からだった……)

 

 鉄矢は、過去を思い出していた。一心不乱に鉄を打ち、少しでも早く父に追いつこうと考えていた日。たまたま、鉄子に語りかける父の声を聞いてしまったのだ。

「鉄子、お前は鍛冶の腕は滅茶苦茶だが、鉄矢に持ってないものを持ってる。野郎も気付いてくれるといいんだが」

 

 その日から、鉄矢は父を超えるため全てを投げ売ってでも鉄を打った。そうして彼は、紅桜を造り上げるにまで到ったのだ。

 

 鉄矢が見物している間に、全員が紅桜から振り降ろされていた。そして、落ちて動けなくなっていた鉄子を標的とし、紅桜が攻撃を加えようとする。

 

 その瞬間、鉄矢は鉄子の前に立っていた。全てを捨てたと思っていたが、それでも体は動いてしまっていた。

 

 紅桜が振り下ろされた。鉄矢は鉄子を押し飛ばし、覚悟を決めたが、一向に斬撃が来ない。目を開けると、白黒頭の青年が紅桜の刃を防いでいた。

 

「怪我はありませんか?」

「あ、あぁ」

「そうですか。なら、良かったです。こんどこそ、間に合ったみたいだ」

 

 そこには、佐々木琲世(かねきけん)が立っていた。

 

 




鉄矢生存でいきます。
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