「銀さん!!」
「銀ちゃん!!」
「良かったです、銀さん。まだ動けるみたいで安心しました」
「やっぱり、ここは銀魂の主人公、この坂田銀時が動かねぇとな」
銀時は軽口を叩いているが、少しふらついていることから、限界状態にあることが分かった。しかし、今、この男に早く帰ろうだなんて言っても聞く耳を持たないだろうと考え、何かあったらすぐにサポート出来る姿勢を取る。
「鉄子。俺は剣以外の余計なものを捨てたと思っていた。家族も節度も捨て、人生を全て捧げて剣を造っていたつもりだった。けれど、あの時、お前を捨てられなんだ。中途半端だったのだな。生半可な覚悟で究極の剣を造ろうだなんて」
「兄さん……」
「余計なものなんかじゃねぇよ。余計なものなんてひとつもねぇ。全てを捨てて究極の剣を造る?違うね。てめぇは面倒くせぇだけじゃねぇか。色んなモン背負って、悩んで、生きていく覚悟がねぇやつが職人だなんだ語ってんじゃねぇ」
銀時は鉄子に打ってもらった刀を構え、鉄矢に宣言する。
「てめぇが言った余計なものってのがどれほどの力を持ってるか、そしててめぇの妹が魂込めて打ち込んだたこの刀の切れ味!とくとその目ン玉に焼き付けな!!」
似蔵が叫びながら走り出す。銀時も合わせて構え、双方が刀を振るって交差した。
折れた刀身が落ちて突き刺さる。それを見た鉄矢は父から言われた言葉を思い出した。
「俺たちが造ってるのは武器だ。だからといって、槌を振るうのを止められない。おまんま食いっぱぐれちまうからな。だからこそ、打って打って打ち続けろ。鉄だけじゃない、自分の魂もだ。優しく清廉な人間になれ。そうすれば、ちっとはマトモに扱う奴が増えてくるだろうよ。なぁ、鉄子。お前はどんな剣が打ちたい?」
「守る剣……」
銀時の折れた刀身がひび割れ崩れていった。それと同時に似蔵を侵食していた紅桜の管も消失していく。
消失する時、紅桜は雪のように儚く、天へ昇っていくようであった。
「まぶしすぎていけねぇや……」
似蔵は言葉を発して倒れた。一連を見ていた鉄矢は鉄子に声を掛ける。
「守る剣か。お前らしいな、鉄子。私はまだまだ打ち方が足りなかったらしい……。お前は良い鍛冶屋になれ。私はこの惨事を引き起こした当事者の1人、このまま出頭しよう」
「兄者、そんな……」
その会話に琲世が、口をはさんだ。
「あの、すみません。お兄さんですか?お名前分からないんであれなんですけど、これの話聞かないで捕まっちゃっていいんです?ねぇ、銀さん」
「あぁ、紅桜を作ったのは大罪だ。だが、妹の想いや、てめぇが捨てた余計なもんの大切さ、その身に沁みて分かっただろ?それに、からくりについても知ってることだし、人手が足りなそうで、厄介モンでも歓迎しそうな所を知ってる。そこ行ってみろよ。駄目なら今度は嘘じゃなく、ちゃんと万事屋に依頼しに来な。依頼金はたんまり持ってな」
「あぁ!!すまない……。恩に着る……」
鉄矢は涙を流し、泣いていた鉄子へ顔を向ける。
「鍛冶屋は任せたぞ。鉄子、お前がこれからも剣を、そして魂を打ち続けてくれ。お前はもう、あんなに立派な剣を打ったのだから」
「兄者……」
鍛冶屋の兄妹は、泣きながら抱擁を交わした。
こんな未来もあっていいと思いました。