「高杉、俺はお前が嫌いだ、昔も今もな。だが、仲間だと思っている。昔も今もだ。いつから違った、俺たちの道は……」
「何を言ってやがる。確かに俺たちは、最初は同じだったかもしれねぇ。しかし3人てんでバラバラの方を向いていたじゃあねぇか。俺ぁ、昔も今も変わっちゃいねぇのさ」
高杉は、斬られ血が付着した教科書を手にしながら、桂に向けて言葉を発した。
ーーー甲板ーーー
「なんだったんだ……あいつは……」
そこには、大勢の攘夷志士が倒れ伏していた。数的不利にあった桂一派ではなく、ほとんどが高杉一派であった。倒れている者達は、命に別状はないが戦闘不能の状態にされていた。
しかし、桂一派も無傷ではない。ある程度けが人もいるため、けが人の移送や、高杉一派を一纏めにしておくなど、撤退準備を整えていた。
「おーい!けが人は運び終えたぞ!」
「よぉし!あとは、桂さんを待つだけだな!」
[万事屋もな]
「おっと、エリザベスさん、失礼しました!しかし、あの白黒頭の坊主は何なんです?多対一を難なくこなして、気付いたらどっか行っちまってるし……。桂さんと一緒に攘夷活動でもしてたんですか?」
[違う。少し前、万事屋に加入したルーキーだ。しかし、この感じだとただのルーキーじゃないな]
「と言いますと?」
[いや、わからんな。実戦経験のある青年ってところじゃないか?]
「そうですか!エリザベスさんでもわからないんですね……」
桂一派がゆっくりと撤退準備をしていると、不思議と船に影が被さった。
各々が上を見上げると、そこには大きな艦があった。艦はそのまま上空から接近し、高杉一派の船に横付けした。
「大きいぞ!!あの船はなんだ!?」
「援軍か!?いや違う?」
「なんでこんな所に!?あれは宇宙海賊春雨だ!!」
[撤退準備急げ!桂さん達と合流次第、すぐに撤退だ!!]
ーーー船のどこかーーー
「ヅラ、俺はお前らが国のために闘ったあの時から、国のためなんかに闘っちゃいねぇ。考えてもみろ。その握った剣の使い方、侍としての生き方を教えてくれたのは誰だ?紛れもねぇ、松陽先生だろう。俺は先生を奪ったこの国を許さねぇ。なぁ、ヅラ。お前はどうしてこの世界を享受し、のうのうと生きていられる?俺ぁ、許せねぇ。なら、この世界に、先生を奪った奴に喧嘩を売るしかあるめぇよ」
「高杉、俺も何度この国を更地に変えてやろうと思ったことか……。だが、1番恨んでいるあいつが耐えているんだ。俺たちに何ができる……。それに、この国には大事なものが出来すぎた。俺には壊せん」
高杉は動かず何も言わない。
「なぁ、高杉。今のお前は抜いた刀を鞘へ戻す機を失い暴れている獣にしか見えない。それに、この江戸に、ただ住んでいる人をも殺しかねない貴様のやり方は黙って見てられぬ。他に方法があるはずだ。犠牲を出さずに、この国を変える。きっと松陽先生もそれを」
「イッヒッヒッヒッヒ」
桂の言葉は、下衆な笑い声によって遮られた。