土方は山崎と共に、以前張り込みをしていた港へ来ていた。
なぜなら、本日転海屋蔵場を捕える予定なのである。
「急に容態が悪化したって……医者が、家族の者はそれ相応の覚悟はしておけと……。副長、行ってあげてください。こんな時に、よりにもよってミツバ殿の婚約者をしょっぴこうなんて……」
「……」
「あまりに酷ですよ。沖田隊長やミツバ殿の気持ちも考えてあげてください。確かに、副長は間違ってはいない。攘夷浪士に質の高い武器が渡れば、俺達の死ぬ可能性が上がります。でも、今やるべきことはこんなことじゃないはずです。土方さん……。アンタのいるべき場所はここじゃないでしょ」
「フン……。俺が薄情だと?そうでもねぇさ。てめーの嫁さんが死にかけてるのに、こんな所でこっそりと商売にいそしんでる旦那もいるんだからよぉ……!」
土方は鬼気迫る表情で、密取引が行われている倉庫を睨みつける。あまりの気迫に、山崎は少し鳥肌がたっていた。
「ひ……土方さ……」
「おい、山崎。お前この件他言しちゃいめーな?」
「は、はい」
「知ってんのは隊内で俺とお前だけと」
「……。はい」
「んじゃ、引き続きこの件は極秘だ。頼んだぞ」
「副長、アンタまさか……。副長!!!」
ミツバのいる病院には、沖田と近藤、銀時そして琲世がいた。ミツバが危篤とのことで、沖田達は駆けつけたのだ。
「総悟、もう休め。全く寝てないだろ。さっき仮眠取ってきたから、俺と代われ」
「くま」
沖田は自分の目を指差し、そう一言告げる。確かに、仮眠をとったという近藤の目には大きなくまがあった。
「メイクだコレは」
「お二人とも本当に休んだほうがいいです。張りつめて寝てもいないし……。倒れちゃいますよ?」
「大丈夫でさぁ、さっさん。俺たちゃ真夜中の任務なんかザラにあるんで。問題ねぇんでぇ。さっさんも、少し休んできたらどうだい?ほら、そこの旦那みたいに」
銀時はソファーで大きなイビキをたてている。近藤もそれをみて
「いいなアイツは、能天気で。つーかなんでいるの。まぁ、そういうことだ。ハイセくん少し休んでくるといい。それに、今は総悟と2人で話したいんだ」
「分かりました。外の空気を吸ってきます。二人共、本当に休んでくださいよ?しばらくしたら戻ってきますから」
琲世はちらりと銀時に視線を向けて、前を向き歩きはじめた。病院の廊下から琲世の影が見えなくなることを確認した近藤は、沖田に対して話を始める。
「ハイセくんには、少し席を外してもらった。こういう真選組のゴタゴタ話を聞いてもらうのは恥ずかしいからな。さっそくだが、総悟。トシと派手にやり合ったらしいな、珍しいじゃあねーか。お前が負けるなんて」
「……今は野郎の話は止めてくだせぇ」
「詳しくは分からんが、またやっても同じ結果になるだろうな」
「やめろって言ってるんでぇ!!」
沖田が叫ぶ。我慢していたものが、近藤の言葉によって溢れ出したのだ。
「なんだってんだ、どいつもこいつも二言目にはトシ、トシって。肝心の野郎はどーしたぃ、姉上がこんなんだってのに姿も見せねぇ。……昔振った女がどうなろうと知ったこっちゃねーってか?さすがにモテる男は違うときた」
「……やっぱりお前疲れてるみてーだ。寝ろ。」
「……。軽蔑しましたか」
「寝ろ」
「邪魔ですかい?俺は。土方さんと違って」
近藤が沖田の胸ぐらを掴む。その時、走る足音が聞こえてきた。次に山崎の大声が耳に届く。
「ハァ、ハァ。局長!!局長ォォォ!!!……大変なんです!!副長がァァァ!!」
そろそろ終わるんじゃ