江戸にて夢を見続ける   作:すぱーくしーど

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惚れた女

 

「御用改めである!神妙にお縄につけ!」

「真選組だぁ!」

「くそっ!政府の犬に嗅ぎつかれたか!」

「蔵場さん!あんた、警察はなんとかできるんじゃなかったのか!?」

 

 蔵場は突然現れた真選組に動揺していたが、土方以外の真選組の姿が見えないことを知ると、落ち着き、周りの攘夷浪士に声を掛ける。

 

「皆さん、落ち着いてください。確かに、真選組に勘付かれはしました。しかし、相手をよく見てください」

「攘夷浪士なら、知らない奴の方が少ない!あの真選組、鬼の副長だろう!」

「そうですが、他の真選組は?他に真選組の姿を見たものは?いないでしょう。おそらくですが、人員を動かせなかったため、1人で強行突破しようとしたのではないでしょうか?」

「確かに……。それなら、数で囲めば勝てる!!」

「オオオ!」

「ならば、早速遠距離から……」

 

 勢いだつ攘夷浪士達を、蔵場はたしなめる。

 

「まぁまぁ、そう急がなくても。それに、少し話したいことがあるんです」

 

 

 土方は、見張りの何人かを斬り捨て、蔵場がいると倉庫へたどり着いた。

 

「おや、先日お見かけしましたね。土方さん。私をしょっぴくおつもりですか?せっかく真選組の縁者と婚約し、真選組が動きづらいようにしたのに」

「それが結婚の目的か。愛はねぇってか……」

「いえ、愛はありますよ。商人は使える道具を愛します。しかし、その道具もそろそろ使えなくなってしまうじゃありませんか!道具として使えなければあのような欠陥品、必要ありませんよ。外道だと見下しますか?」

「外道とは思わねぇよ。おれは、今にも死にそうな女の旦那を斬ろうってんだ。似たようなもんだろ」

「それにしても、役人さんの考えることはわからない。なぜたった一人で敵地へ来たんです?」

「……。俺はな、剣を振り回して、敵と殺しあわなきゃなんねぇ。だから、一緒にはなれなかった」

「……?」

「あいつにはどこかで安定した仕事してる奴と結婚して、子供産んだり家庭を作ったり、ふつうに暮らしてほしいだけ。俺ぁただ、惚れた女には幸せになって欲しいだけだ」

「なるほど、やはり役人さんの考えていることは良く分かりません」

 

 土方が剣を構え、倉庫の2階にいる蔵場を睨む。敵は多く、銃火器を所持した攘夷浪士が20~40人程はいるが、人数不利など知ったことかと言わんばかりに、土方は走った。

 

 

 

 

 ミツバがいる病院では、山崎が近藤たちに状況を説明していた。

 

「ミツバ殿の旦那が、攘夷浪士と違法な取引を行っていることを確認し、現在副長1人で、取引現場で作戦行動を開始しています!相手は銃火器を持つ攘夷浪士、人数は30~40人程です!」

「馬鹿野郎ー!なぜ俺達にそのことを伝えなかった!?」

「はい!副長から他言無用の命を受けていたこと、それに、真選組隊長の縁者から攘夷浪士との繋がりが発覚すれば、沖田隊長の真選組での立場を無くすことを考慮し……」

 

 近藤は、山崎の言葉を遮り、叫ぶ。

 

「バカヤローが!!そんなことが起きたとして、総悟を責める奴が真選組にいるかよ!?そんなことは局長の俺が認めないし、させない!!山崎!急いで、トシの元へ行くぞ!!」

「はい!局長、了解しました!」

 

 山崎が走って、通路から遠ざかっていく。近藤は、数歩進み、沖田の方へ振り返り、声を掛ける。

 

「総悟、お前はここにいろ。ミツバ殿のそばにいてやれ。それに今のお前は着いてきたら死ぬだろうからな」

 

 

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