江戸にて夢を見続ける   作:すぱーくしーど

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辛ぇ

 

「トシィィィィ!!!」

 

 近藤は、敵の車に剣を突き刺している傷だらけの土方に叫ぶ。土方がなぜ、一人でここまで来たのか、沖田を遠ざけたのか。同郷で、同じ道を歩んできた者として、近藤はその答えを知っていた。

 

 (バカヤローが。総悟を隊から追い出そうなんて奴、真選組(オレたち)の中にいるかよ。仲間だろうが……。なんでも一人で背負い込みやがって、憎まれ役も進んでうけ負うつもりか。俺ぁ知ってんだぞトシ。お前がミツバ殿を……)

 

 

 土方が車に追いつく少し前、蔵場はすぐさま逃げる判断をしていた。しかし、現在の状況を考えると逃げられる可能性は少なく、逃げられたとしてもいつかは捕まってしまう。詰みに近い状況であった。

 

「とんだ誤算です。やはり、野蛮な猿と手を組もうなどと無理な話でしたか。病院へ向かいなさい、あの女死にかけらしいが人質ぐらいには……」

 

 その時、蔵場の肩に剣が突き刺さる。蔵場は痛みで叫びながら視線を上げると、脚を負傷していた筈の土方が目に入った。

 

「貴様ァァ!!おい、振り落とせ!!早く撃ち殺せ!!」

 

 蔵場の指示に従い、部下が拳銃を土方に向ける。そのまま発砲しようとした瞬間、銀時が現れ、洞爺湖で部下を叩き落とした。

 

「っ、てめぇ!!」

「安心しな、せんべえ買いに来ただけさ。てめーらで届けてやりな。その方があいつも喜ぶだろ。」

 

 銀時がタイヤに洞爺湖を突き刺し、車の進行方向を変える。その先には刀を持った沖田の姿があった。

 

 沖田の目と、土方の目が合う。沖田の覚悟が伝わったのか。土方は、銀時とは反対のタイヤに刀を突き刺し、車の速度を落とす。

 

『私を置いていくんだもの。浮気なんてしちゃダメよ、きっと自分の道を貫いてくださいね。……きっと、きっとよ』

 

 沖田が刀を上段で構え、車に、刀を振り下ろした。

車は綺麗に真っ二つとなり、少し進んで爆発する。沖田はそれをどこか悲しそうに眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミツバの病室で、沖田とミツバが話している。既にミツバは危篤状態で、家族以外の者は病室には入れないようになっていた。 

 

「姉上、ごめんなさい。俺ぁ、ろくでもない弟だ。結局、姉上の幸せを奪ってきたのは……俺。ごめんなさい。ごめ……」

 

 息も絶え絶えなミツバが、沖田の顔に手を添える。

 

「そーちゃん……いいの。よく頑張ったわね。立派に……なった。本当に……強くなった。」

「……姉上。強くなんかねぇ……。僕ぁ、俺ぁ……」

「振り返っちゃダメ。わき見もしないで前だけ見て歩いていく……あなた達の背中を見るのが好きだった。ぶっきらぼうで不器用で……でも優しいあなた達が大好きだった。だから……だから私とっても幸せだった。あなた達のような素敵な人達と出会えて。あなたみたいな素敵な弟がいて……。そーちゃん、あなたは……私……の……自慢……の弟よ……」

 

 ミツバの手がだらりと垂れ下がる。沖田はその手を抱え、冷たさと一緒に泣いた。

 

 

 

 その頃、屋上では土方が激辛せんべえを食べていた。いつものように噴き出すことはない。ただせんべえをバリバリと頬張る。あまりの辛さからか、手元には涙が零れ落ちる。

 

「チキショー、(から)すぎて涙出てきやがった……」

 

 屋上には、銀時の姿もあった。銀時はその声を聞きながら、せんべえをひと噛じりする。

 

(かれ)ぇ」

 

 

 

ーー琲世視点ーー

 

 真選組が港を鎮圧し、病院へ向かうときには既に一時間以上が経過していた。僕や銀さんも病院へ向かったが、真選組の面々は、病院の医師からなにやら説明を受け、全員が暗い表情をしていた。

 

 恐らくはそういうことなのだろう。僕には何もすることが出来なかった。

 




ミツバ篇終わりになります。
病気に対して、喰種もただの人間同様、何もできないですね。
この先、また少し小話挟んだら長篇行きます。
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