猿飛あやめは、くの一である。元お庭番衆の優秀な忍であったが、ある男と出会い人生が一変したのだ。
そんな彼女は朝からある建物に侵入し、その男の様子を眺めていた。
(あぁ~~銀さん!!なんて男前なのかしら!!○毛のような髪に寝癖が付いてる!!)
そう、男の名前は坂田銀時。銀髪天パの侍であった。
万事屋には、もう一人住人がいる。それは天人の少女、神楽だ。赤いチャイナ服を纏い、年がら年中傘をさしている。
その正体は、宇宙最強と謳われる民族の1つ。夜兎族であった。かといって、彼女はこの星を侵略しようなどという気は毛頭なく、流れるようにこの星、このかぶき町にたどり着いたのである。
意中の男が少女と暮らしていることを、くの一は全く気にしていなかった。なぜなら、その男は少女のことを1ミリも恋愛対象に入れていないからである。
そのことを忍として、なにより女として分かっていた猿飛は、その事実に臆することなく、万事屋へ侵入し、銀時をノゾいていたのだった。
「キャー!!今日も銀さんはかっこいいー!!」
「おおっと!こんなところにストーカーが!!」
銀時は屋根裏に洞爺湖を投擲する。血しぶきと共に、猿飛が屋根裏から現れた。
「やっぱり、銀さんは私と相性が良いわね!これからも末永くよろしくね♡」
「おいおい、この忍なんなんだよ!頭に木刀刺しながら意味わからないこと口走ってるよ!お前と相性が良いのは俺じゃなくて突き刺さってるその木刀だろーが!!」
「つまり、私はあなたの所有物ってことね!キャー!!」
「誰かー!!お医者さん連れてきてー!!頭というより脳専門のお医者さんをー!!」
「朝からギャーギャーうっさいネ!こっちはすやすやタイムアル!!」
「トリニティ!!」
押入れのふすまが吹き飛び、銀時に直撃する。押入れから現れたのは、もう一人の住人、神楽であった。
「あれ?さっちゃん。おはようアル」
「おはよう、神楽ちゃん」
「え?なんでそんなに普通なの?当たり前のように挨拶してるの?」
「さっちゃんはよく万事屋来るネ。たまにお菓子もくれるし」
「お前、それ餌付けだよ。すでに馬が射られてるじゃねーか!食欲たっぷりマキ○オーが!!」
「何言ってるネ!馬は馬でも、マキ○オーじゃなく、今ノッてる○娘ヨ!ズキュンドキュン走り出すネ!!」
「うるせぇぇぇぇ!!お前みてぇなゲロイン馬○にはいねぇんだよ!!立派なヒロインになってから発言しやがれ!!」
「お前がうるせぇぇぇぇ!!私は銀魂、ひいてはこの小説でもヒロインアル!!主人公じゃない奴がピーピー言ってるネ」
主人公じゃない、この言葉が刺さったのか机に頭を伏せる銀時。しかし、数秒後吹っ切れたのだろうか。思い切り顔を上げる。
「つまり、銀魂のヤバヒロインから離れ、結野アナと結ばれる世界線ってことか!!こんなに嬉しいことはない……」
「アルファもベータも、どんな世界線でも結野アナとは結ばれないアル。お前が結ばれるのはマダオの○つのあなネ」
「やめてー!!原作やアニメでは過ちを犯してるけど、ここではまだ犯してないから!!過ちはもう、繰り返させない!!」
銀時が何度も、頭を机に叩きつける。顔が血だらけになっている銀時に猿飛が声を掛けた。
「銀さん。ここに来た本題を話して良いかしら。他のお庭番衆が掴んだ情報なのだけど、最近真選組副長の様子がおかしいらしいの。それに、そのタイミングで真選組参謀の台頭……。真選組の不穏は、江戸の平和を脅かす可能性があるわ。銀さんは何か知ってる?」
「いや、詳しくはしらねぇ。だが、真選組には万事屋1の働き者が付いてる。なにかあれば、あいつから連絡が来るさ」
「ハイセくん……。彼は、万事屋に来る前の情報が一切掴めていないわ。無いとは思うけど、万が一のために、警戒はしておいてね」
「ハイセはそんな野郎じゃねぇよ。付き合いも長くなってきたから分かる。あいつはそんなタマじゃねぇ。それに、俺を狙いに来たってんなら、万事屋前で堂々と寝るなんてアホ晒さねぇよ」
「そう……。とにかく、真選組の動向が不穏だわ。警戒しておいて」
刹那の内に、猿飛の姿が消える。
銀時は、窓から外を眺めて一言呟いた。
「あの副長がねぇ……」