江戸にて夢を見続ける   作:すぱーくしーど

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大切なものは見えにくい

 

 

 攘夷浪士達や伊東についた一部の真選組隊士は撤退した。この場に残ったのは近藤を長とする真選組の者と伊東ただ1人だった。真選組隊士達は円を描くように伊東と土方を囲って立っている。満身創痍の伊東と、少々傷ついてはいるが、依然鬼気迫る土方との間には神妙な空気が流れていた。

 

「はやく刀を抜け、伊東鴨太郎。真選組副長として直々に成敗してやる」

 

「ふふふ、いい……だろう。今こそ君を斬り捨て、真選組の副長になるところから……はじめてみようか」

 

 刀を杖のようにして立ち上がる伊東。土方は伊東の動きを待つように、その場を動かない。

 

 伊東は今までの行いについて思考を巡らせていた。自分は正しいことをしてきたのか。本当にしたかったことなのか、と。片腕を失い、血も少なくなっていて、脳みそがいつもより遅く回っているが、気にしない。伊東の本当に欲しかったものは……。仲間、そして仲間との心からの絆だった。どんなに手を伸ばしても得られず、手が失われてから欲しかったものが実は近くにあったことに気づくとは……。参謀と呼ばれていた男にとっては実に滑稽な話だった。

 

「土方ぁぁぁあ!!!」

 

「伊東ぉぉぉお!!!」

 

 向かってくる伊東を土方は斬り伏せる。伊東は斬られながらも、真選組とそしてライバルであった土方との間に奇妙な縁があることに気づいた。

 

 そうか、欲しかったものは手に入れていたのか。結局、最後の最期で気づくことになろうとは……。

 

 倒れた伊東はゆっくりと目を閉じ、そして動かなくなった。

 

 

 よろず屋は少し遠くで顛末を見届けていた。自分たちも介入したとはいえ、あの場に入っていけるほど愚かでもなかった。

 

「これで……良かったんですかね」

 

「良いんだよ新八。アイツらにはアイツらなりのやり方があるってもんだ。そこに俺らは口を挟まない方がいい」

 

「最後、庇ってくれたアル」

 

「だからこそ、このやり方なのかもしれないね」

 

 しんみりとした空気が流れる。銀時は少し居づらくなって雰囲気を変えようとした。

 

「ま、こんだけの大仕事したんだ。ギャラは相当なモンだろな〜。何食うかな、いちごパフェにチョコレートパフェ、宇治銀時丼に〜」

 

「いいですね銀さん!!一段落ついたらパーっとやりましょうか!!」

 

「江戸中の食いもん食らい尽くしてやるネ!!楽しみだヨ!!」

 

「お前が言うとシャレにならないんだよな……。ハイセはなんか喰いてぇもんあるか?」

 

「そうですね……。ハンバーグが食べたいです。出来れば肉汁が溢れるくらいの」

 

「いいですね!ハイセくん!!」

 

「ハイセは意外とお子ちゃま舌アルね」

 

「でしょ?新八くん。……好物なんてそんなもんだよ、神楽ちゃん……。ファミレスで打ち上げといきましょうか、銀さん」

 

「うっし。真選組からギャラいただいたらファミレス行って打ち上げパーティーだ!!行くぞお前ら〜」

 

「「「オー!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 近藤暗殺未遂から数週間。川を流れる舟にその男はいた。

 

「厄介な真選組をなんとか出来ると思ったが、ただの寂しがりにゃ難しい話だったか。もしくは万斉。お前が弱かったか……」

 

 舟の窓際に座る万斉。頭に包帯が巻かれているがそれ以外に目立った傷はなかった。

 

「なかなかのセッションだった……。晋助よ、お主の昔の仲間は中々の強者だったでござるよ。それに赫眼も……。もしかすると、赫眼はお主や白夜叉以上のt」

 

 万斉は言葉を途中で止めた。高杉の発する気配に殺気が込められたのだ。

 

「……分かってるならいい。しかし、アイツはまだ抗ってんのか。例の話、前向きに考えたほうがいいな」

 

「そうか。荒れるな……」 

 

「荒れるなんてもんじゃねぇ、壊れちまうぐらいがちょうどいい。この世界にゃ良いきつけになる」

 

 男たちを乗せた舟はそのまま川を流れていく……。

 

 




これで、真選組動乱篇はおしまい!
次は幕間を挟んで、吉原炎上篇です!
この回はオリジナル要素がめっちゃ含まれる予定です!!
書きたかった展開があるので、ワクワクしますね!!
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