月詠さんの案内で、僕たちは吉原の端っこまで歩いてきていた。以前の地下施設の名残だろう、配管や何かを測定している機器が多い。その中でも、人が十数人乗っても問題なさそうなパイプまでやってきた。
「お主らがどんな目的があるかはわからんが、ひとまず帰ったほうが良い。情報統制がされているが、吉原は今非常にピリついておる。下手なことをすると夜王が出てくるかもしれん」
「あ~、ならその夜王っていうのはここで一番偉いんだろ?ならそいつに会わせてくれよ。日輪ってやつがこのガキの母親かもしれなくてな?一番上と話をしたら無料で会わせてくれるかもしんねぇだろ」
「……。残念じゃがそれは無理じゃ。日輪は夜王鳳仙が1番熱を入れてるといっても過言じゃない。それに吉原の警戒態勢も夜王が要因の一つなんじゃ。会うだけでも命は危ないじゃろう」
百華の人があんなに真剣だったのも、一番上の夜王、鳳仙が原因だったのか……。それにそんな状態でお気に入りの花魁に会わせてもらうっていうのも難しい話だろうな。別の方法を考えないといけないかもしれない。
「ナァ、その日輪に会いに来てもらうってのは難しいアルか?別にコッチが行くだけじゃないダロ?」
「ん〜、それは無理だと思うよ、神楽ちゃん。基本、この街の人はお金を払って会いに行くんだ。この街1番ってなると、来てもらうなんてほぼ不可能だと思うな」
「その通りじゃ。日輪の指名料はとんでも無い金額じゃろうて。それに、夜王が料金をつり上げてるじゃろうし」
「その……日輪さんってそんなに気に入られてるんですか?この街の支配者……夜王に」
「わっちも完璧に知ってるわけじゃないが、長い付き合いらしいな。ただし、良い関係とは言えんじゃろうな」
夜王と関わりが強い日輪……。そして、良くはない関係ということから考えると、日輪の子かもしれないなんて子を連れて行くのは危ない可能性が高い……。
「銀さん、晴太君ですが、正直に夜王と話してなんとかなるとは思えません。別の方法を考えたほうがいいかと思います」
「だな。お気にの女のガキかもなんて、良い感情とは考えられねぇ。ちょっと作戦を考えよう」
「へぇ、鳳仙のお気にの女とその子供なんているんだ♪良いこと聞いちゃったな」
「あんま暴れすぎんなよ団長?いい加減、損害賠償とか言われるかもしれねぇ」
え?誰だこの人達……ってかヤバイ、この世界に来てから、1番キケンな匂い、濃厚な血の香りがする……!!
包帯をグルグル顔に巻いた細身の男。その細身とは裏腹に圧倒的な威圧感のようなオーラ。そして、もう1人の壮年の男。その男たちの腰には、どこか見覚えのあるような傘が……
「悪いけど、この子供は貰っていくよ。鳳仙の手土産にしたいんだ。有無は言わせない」
「みんな!!!下がって!!」
「ヌシら!!早く退きなんし!!」
「にッ」
「言っただろ?弱いやつに興味ないって」
包帯を巻いた男は、拳一発で足場のパイプを破壊し、一瞬で晴太君を捕らえた。僕たちは落下しながら、その光景を見ることしか出来なかった。
神威との初邂逅です