江戸にて夢を見続ける   作:すぱーくしーど

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こども

 

 

 「良かったね、今から鳳仙のオキニの所に案内するよ」

 

 ニコニコと微笑みながら、神威は晴太にそう告げる。夜王鳳仙は虫の居所が良かったのか、神威に日輪の居場所を教え、晴太への道案内をさせていた。

 

「ほ……ほんとうに母ちゃんに会えるのか?嬉しいんだけどさ、今まで話したことないんだ。ちゃんと話せるかな……」

 

「そんなに会いたいんだ。ま、子どもにとって母親は大事な存在なのかもしれないね……。ところでさ、君が知る1番強い人教えてくれる?オレはさ、この星に強者を求めてやってきたんだよ。母親の居場所まで案内するんだし、そのくらい教えてくれたっていいよね?あ、あのチャイナ服の少女はダメだよ、あいつ弱いから」

 

「強い……人?オイラ、そんなにわかんないけど……そうだなぁ、せめて言うなら……銀さんかな?」

 

 晴太は、自分をこの吉原まで連れてきてくれた張本人の名前を出す。アルバイト中にお登勢さんやたまさんに銀時の事をほんの少し聞いていたのだ。

 

「かくかくしかじか……ってな訳で銀さんなんじゃないかっておもうんだよなぁ……」

 

「へぇ……侍か。そいつけっこう面白そうだね。ありがとう……晴太くん。だけどまだ道半ばだし、他に思い当たる人とかいないかな?」

 

 神威は、この星特有の侍(サムライ)という生き物に興味が湧いたが、万が一、他にも玩具(きょうしゃ)がいた場合、それを逃したくないと考えていた。自分が春雨団長という立場で、元団長かつ元師匠の鳳仙を殺せないことから別の対象に自分の戦闘欲求をあてがおうとしていたのだ。

 

「うーん、そうだなぁ……。あ、でも良かったら……良かったらだけど、アンタの名前教えてよ。アンタのこと、名前だけでも知ったほうがより良い答えが出そうな気がするからさ……もちろん!嫌だったら嫌で大丈夫だぜ!?オイラ、そういうのも分かる年頃だからさ!!」

 

 子どもなりに気を遣ったのだろう。普段物事を深く考えない神威にも、気遣いというものがダイレクトに伝わる様に、晴太の声は震えていた。しかし、自分という強者に対して、交渉というある意味戦闘の場において、一手進めた晴太の俠気を認め、神威はあっけらかんと答える。

 

「あ〜そっか、名前言ってなかったね。神威だよ、かむい。この星で表すと神に威力の威で神威だね。じゃ、答えてくれるよね。銀さん?以外の強者について」

 

 晴太は自分の考えに確信を掴めないまま、自分の本能が感じた事を答える。

 

「ありがとう、神威さん。そうだね……オイラが知る中で強者といったら銀さんと神楽さんなんだ。だけど、アンタは神楽さんを除外しただろう?そうなるとオイラは確実な答えは出せないんだけど……」

 

「へぇ……だけど?なんだい?その続きをオレに聞かせてくれよ……!」

 

 神威は無意識ながら、晴太の本能に近い感覚から出されるだろう言葉を望んでいた。それは、銀さんだけではない、また星海坊主、自分の父親すらも超えてしまうような相手……。自分も言語化できないような領域を、神威は本能的に感じていた。

 

「神威さんの期待に応えられるかは分からないけど、未知数……。そう、強いとか力って感じではないんだけど……その未知数っていうか、常に掴ませない雰囲気?の様なモノを感じる人がいるんだ。その人もよろず屋なんだけどさ」

 

「うんうん……」

 

 晴太は現時点の恐怖を誤魔化すように、自分の考えを述べていく。それは意図せず、神威が望んでいる者を答えようとしていた。

 

「うん。ハイセさんって言うんだけど、クールだけど銀さん並の実力者で、オイラがこの人って推す理由は、その人が常に全力じゃなくて力を押さえる、抑えつけてる様なイメージを感じたから……っていう結構感覚的な理由なんだけどさ……。神威さんはこんな答えで良いの?」

 

 神威は晴太からの問いかけに本心からの笑みを隠せていなかった。なぜなら自分も本能、血の呪いに近い部分からその言葉が嘘ではない、反対に真実であろう事が解かっていたからだった。

 

「サムライ……そんな生物の他にも、玩具(ライバル)になりそうなヤツがいるんだね。ハイセって言うんだ……。ありがとう……晴太くん。よく覚えとくよ、その名前」

 

 神威は、すぐにそのオトコと相見えることとなるのだが、そんなことはまだ知る由もない。ただ、未知なる星に父親以外の強者がいる可能性を知って、純粋に喜んでいたのだった。

 

 

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