なんなんだよ、この人らッ!?いきなり目の前で戦いはじめたと思ったら、僕を巻き込んで!神威さんの話から嫌な予感はひしひしと感じていたが、まさかここでヤバくてマズイ人達と戦う事になるなんて……!
2人が少し近づいてきた時から、喰種としての本能が全力で警鐘を鳴らしていたので、ユキムラを手に持ったのが幸いした。2人の夜兎による竜巻のような暴力をなんとか凌ぐ事が出来た。
「ほぉ……。儂の、いや2人の夜兎による攻撃を防ぐか。中々やるなぁ、若造」
「へぇ、おじいちゃんも気に入ったんだ。俺も改めて気に入ったよ……ササキハイセ!」
「いやいや、ギリギリですから……僕を巻き込んで怪獣大戦争しないでくださいッ!」
ユキムラを横薙ぎするが、夜兎2人は難なく躱してすぐに反撃しようと距離を詰めてくる。このままだといずれやられる……!自然と左眼に血が巡った。
「ん?それは……。なるほどね、ただの人間じゃないってことか♪」
「ふん、眼が赫く……。貴様のような種族は知らなんだ……。フフ、広いのだな、世界はいまだ!」
ユキムラで必死に凌いでいるが、攻撃を凌ぐのがやっとだ。夜王はともかく、神威さんはこんな細身のどこから紅桜以上の膂力が出ているのか理解しがたい。これが宇宙最強の種族、夜兎……。この戦闘は、鯱さんを思い出す……。そう、守ってばかりでは負ける……!
クインケは、物によってはギミックがある。以前のユキムラはギミックなしのクインケだったのだが、源外さんと鉄矢さんに少し改良してもらっていた。
僕は、ユキムラに少し血を吸わせる。そうすると、ユキムラが淡く赫色に輝き、刀の振りに合わせて血が斬撃の形で飛んでいった。
神威は突然斬撃が飛んできて驚いたが、これを回避。加えて、斬撃波の側面に掌底を叩き込み、方向を無理やり変えた。血の斬撃に一瞬驚いた鳳仙は、すぐさま回避を判断。紙一重で躱せる距離まで退いたが、神威による方向変換までは読めず、血の斬撃が身体を掠めた。
「なるほど……。1対1対1だと高を括っていると痛い目に遭うということか。若造共は頭がよく回るようだ」
「ん〜。おじいちゃんは引き籠もって女と酒に溺れすぎたかな?拳は頑丈に、頭は柔軟にいかないと♪ね、ササキハイセ!」
血ノ斬撃で傷を負わせたことをきっかけに、夜王へと攻撃を集中させていた神威さんが、急に標的をこちらに変え、殴打を繰り出す。僕は攻撃を中断し、本気で守りの姿勢で答えた。
「いきなりコッチを狙わないでください!共喰いしてればいいじゃないです……かッ!」
「う〜ん、共食いもいいんだけど、未知の味を楽しみたい時ってあるでしょ?それが今!」
「若者同士で楽しそうではないか!この老骨には、少々骨が折れる!」
言葉とは裏腹に、老化を感じさせないスピードとパワーで攻撃する夜王。神威さんと夜王が同時に僕を狙い、攻撃が重なった時、防御に失敗した僕は軽く吹き飛んだ。
「あら〜、あんな飛んじゃってまぁ……。でも、だんだんと楽しくなってきた所だ。まだまだこれからだよね!?」
神威は、吹き飛ばされた琲世を追い、部屋から飛び出していった。鳳仙は追わず、その場に留まっていた。
すると、琲世が吹き飛ばされてつくった穴から、刀が飛んでくる。鳳仙は飛んできた刀を己の傘で弾いた。
「今夜は血に飢えた若造が多いと見た……。お前もそうなのか?銀髪のサムライよ」
「おい、晴太のかぁちゃん、日輪に何してんだ?テメェ!」
木刀の他に、刀も携えた銀時が鳳仙へと斬り掛かる。鳳仙はそれを傘で軽く受けとめた。
「なんだ、そんなことか。日輪はこの吉原の太陽に等しい女だ。太陽がいなくなってしまってはこの陽があたらぬ街はどうなる?」
「そんな……そんなことで、テメェはァ!!」
銀時は木刀と刀の二刀で鳳仙へ斬撃を繰り返す。鳳仙は軽くいなし、話の続きを自らの口で語った。
「この街から出られぬ様、両脚の腱を切ったのだ。何か、貴様に問題でも?」
「何様だ、クソジジイ!」
「儂は夜王、この街の王だ」
「うるせェ!!」
銀時は怒りに任せて刀を振るう。鳳仙はその激情を飄々と受け流した。
銀時VS鳳仙!
琲世VS神威!