僕より先に銀さんが突撃した。相手は神威さん。急に銀さんが来て驚いたのも束の間、すぐに構えて銀さんがもつユキムラを傘で防ぐ。しかし、神威さんの視界は銀さんで埋まった。僕はその死角から赫子を差し向けるが、夜王の傘によって、叩き落とされてしまった。
「なんだその触手、今気づいたがお前も天人だったか。なぜそちらに付いているか知らんが、種族も違うし容赦はしないぞ」
「いりませんよそんなの。……ハハッ、夜王ともあろうものが容赦だなんて、今から言い訳づくりですか?」
「ほぉ……、随分と活きの良い小僧だ。その態度どこまで保つかな……?」
夜王の連撃を躱す。鯱さんを超えるパワーに、有馬さんみたいなスピード……。衰えたとは言え、これほどの実力を持っているとは正直驚いた。だけど、だからこそ引っ掛かる!潜ませておいた赫子が夜王の背後から飛び出す。夜王は気配を察知したようで、前方へ飛ぶが、僕はその回避を待っていた!
「赫子が牽制かどうか見極めるのは難しいですよねッ!!」
「!?陽動だったかッ!」
赫子を纏った右腕で、夜王の脇腹を抉る。腹直撃コースだったのに、こんな土壇場でも致命傷は避けるなんて……夜兎はどいつもこいつもバケモノ揃いか……?
だけど、僕は一人じゃない。ここには、まだ侍がいる!
「今だ!銀さん!!」
「分かってラァ!!!」
銀さんがもつユキムラが肩から腹までを斬り裂く。見た感じ、これまた致命傷とはいかないが、大ダメージではある。普通の人間なら重傷で動けない程だ。
銀さんは間髪入れずにもう一撃喰らわせようとしたが、その攻撃の瞬間を神威が狙っていた。
「おいおい、ジジイばっかモテモテでずるいよ〜、若者にも譲ってくれよォ!」
「ガァッ!?邪魔しやがって……」
銀時の右腕に正拳突きをかまし、そのまま回し蹴りで吹き飛ばした。再度壁に激突する銀さん。神威はそのまま追撃しようとするが、それは僕が許さない。
「僕を忘れてるんじゃないですか!?」
「忘れてねェよ!俺らはまたまだ戦れるだろ!?」
神威の拳と僕の拳がぶつかり合う。僕は赫子を纏っているので、基本的には相手の拳に大ダメージを与えられるはずなのだが、どんな技術なのか、拳に怪我は見られなかった。
銀さんと夜王の様子を見る。銀さんのほうがケガもしているし、体力も消耗していそうだが、目が負けていない。勝利を諦めていないように感じる。夜王の方は目立った怪我はあるが、体力はまだまだ残っているように思える。しかし、この場には百華の人たちもいるし、銀さんに加勢してくれそうな雰囲気だ。月詠さんがボロボロなのは気になるが、パッと見状況は問題なさそうだ。
「おい!よそ見してんじゃねぇよ!」
「頭に血が上りすぎですよ、足元がお留守だ」
よそ見をしている僕を見て、神威が突撃してきた。床に忍ばせておいた赫子を神威の足に巻きつけ、遠心力を全開にして投げ飛ばす。また、十数部屋は飛んだだろうか。しかし、今回は僕が飛ばした側になった。
この場はひとまず、銀さんと月詠さん達でなんとかなるだろうし、あの宇宙最強の息子は放っておいたら皆が危険に晒される。ここは、僕があの兄貴を止めなくてはいけない。僕はそう判断して、神威が飛ばされた先へ向かった。
戦闘中に、琲世の中で神威の呼び方が変わりました。
神威さん→神威