「ハァ…ハァ……あー…疲れた…」
ディスティースは倒れた脳無の目の前で屈んでいた。
「ゴホッ…ちょっと頑張り過ぎたな…服もボロボロだし。」
ディスティースのヒーロースーツは血や劫火でボロボロになっていた。
「さっさと報告しないと……」
ディスティースは立ち上がって、スマホを取り出し、脳無を報告しようとする。
「えっとぉ…?どれだっけ?………ん?」
ガタッ…ガタッ…
「…何ガタガタって……」
ディスティースが振り返ると、そこにはビー玉程の小さな玉が落ちていた。玉には文字が刻まれている。
「…あの車か。やってくれるじゃないの。止まろうとしたのはわざと、って事ね。」
その玉は緑色の光を放ちながら、倒れ込んでいる脳無の傷を治していた。
「…やるしかねぇーか。」
「もう、死んでも知らねぇぞ。」
ディスティースは再び劫火を右手に纏わせる。
「GYAAAAAAAAAA!!!!」
昇華の剣舞
ディスティースはロストヴェインを右手で抜剣し、劫火を纏わせる。するとロストヴェインの刀身は赤黒く染め上がり、ドス黒いオーラを纏う。そしてそのまま、ディスティースが脳無に斬り掛かる。
「GUOOOOOOOOー!!!!」
「加減はしてやらねーぞ。」
神千斬り
ドス黒いオーラを纏ったロストヴェインが、脳無を斬り裂く。
「GAAAAAAAAAA!!!」
脳無は大声をあげて、自身の傷を全く気にせず、ディスティースに向かってくる。ディスティースはロストヴェインを左手に持ち替えて、右腕に劫火を纏わせる。
スーパー・ノヴァ
「GYAAAAAー!!!」
ディスティースは右手にロストヴェインを持ち直し、連撃を浴びせる。
劫焔万丈
ディスティースは脳無の身体を斬りながら駆け上がり、ロストヴェインを上から斬り下ろす。そして、それによって出来た傷跡が爆発する。
ドオオォォォーン!!!
「GA……A……」
ディスティースは脳無を見つめ、トドメを刺す。
地獄の裂け目
ディスティースの姿がブレて、すぐさま脳無の背後に移動する。
「これで最後だ。」
脳無に一筋の斬れ目が入る。
「GA?」
ピキッ
「…ごめんな。」
すると、その斬れ目から、脳無の身体にひびが入る。
「…もういい、ゆっくり休んでくれ。」
そのひびは、脳無の身体全体に行き渡る。そして、そのヒビから炎が燃え盛る。
ゴオォォォォ……
「OOOO……」
脳無は小さく声をあげながら、再び倒れた。
「…………よく、頑張ったね。お疲れ様。仇は私が必ず討つからさ。おやすみ。」
脳無はそのまま動かなくなった。
「………あいつは、こんな事をして…何をしたいんだろうなぁ…」
ディスティースが脳無を眺めていると、こちらに向かってくるパトカーが見えた。
「誰かが通報したのかな?ゴホッ…はぁ、こんなに無理するんじゃなかった…きっと、もうあれは盗まれちゃったかな。骨折り損のくたびれもうけってやつ?……ま、この子は止められたし、良いか。」
「大丈夫ですかー!!」
「大丈夫だよ。お疲れさん。来てくれてありがとうね。」
「い、いえ、仕事なので。それよりも、救急車を…」
「いや、来てもらうのも癪だし自分で行くよ。」
「え、でも腕が……」
「ああ、これは元々あったやつだから大丈夫。むしろ風邪薬の方が欲しいかも…ゴホッゴホッ…ごめんね。それじゃあこいつの搬送を頼む。」
「でも、これがもし起きたら……」
「なるほどね。それなら安心だよ。」
「え……?」
ディスティースが翼を生やす。
「そいつ、もう死んでるから。」
その言葉を最後に、ディスティースは飛び立っていった。
◆
ディスティースは1番近い病院の前に降りた。
「……ハァ…らしくない事、しちゃったなぁ…」
ブルブル
ディスティースのスーツから、スマホの音がする。
「ん?…ああ、ナイトアイか。わざわざ心配のメールまで送ってちゃって……変わったなぁ。いや、わたしが変えたのか。」
ディスティースはナイトアイからのメールを眺めながら、そう呟いた。
(ナイトアイは、アニメではあそこで死んでいた。原作とは違う結果になったってことか。……いや、私がいるんだからとっくの昔に変わってるのか。そう言えばだけど、原作の緑谷くん達は、どうなったのかなぁ。ハッピーエンドになってたらいいな。)
ナイトアイのメールを読んでいて、ディスティースはハッとする。
「……あ、そうだ。」
ディスティースはスマホの写真アプリを開く。
「……写真撮らないからすぐ見つかったな…」
ディスティースはある動画を見る。
「……ふふっ…懐かしいなぁ。確かこの時ってお酒呑んでたんだっけ。………きっと、あいつはもう乗り越えたんだろうなぁ。…じゃ、もうこれいらないか。」
ディスティースは保存されていた動画を削除する。そして、病院の方へと歩いていった。
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