仮面ライダーAGITΩ〜Shining Brave〜   作:シュープリン

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私の最良の日々は過ぎ去った(後編)

友奈達は先ほどまで海岸にいたはずだった。それが今は跡形もなく木の根に囲まれた空間にいた。

 

周囲を見渡しても根、根、根。暗い空の下、不気味な色をした根が辺り一面に張り巡らせていた。

 

つまりここはー、

 

「神樹様の結界...」

 

「友奈ちゃーーーーん!!!」

 

聞き慣れた声が聞こえ、友奈は後ろを振り返った。

 

「東郷さん!」

 

さらに後ろから犬吠埼風と乃木園子が続く。

 

「ねぇ風、どういうこと?戦いは終わったんじゃなかったの?」

 

「分からない...戦いがまた始まるなんて連絡、大赦からは来てなかった」

 

「私も同じ。そもそも、またお告げが来たならさっき電話したときに伝えてるはずだもん」

 

「も、もしかして、神樹様が間違えちゃったーーとか?」

 

園子は首を横に振る。

 

「ううん。ゆーゆー、神樹様は絶対に間違えない。私達が呼ばれたということはー」

 

「皆さん!あれ!」

 

樹の焦燥の声に5人は樹が指差す方向に顔を向けた。

 

そこには、白い楕円体に目や口を思わせる器官がついた生命体が多数結界内に侵入していた。

 

「あれは、星屑!」

 

「皆、一回根っこの影に隠れて!!」

 

風に従って6人は一度根が盛り上がってる場所へ。

 

「で、どうするの?」

 

「どうするもないよ。戦わなきゃ!」

 

「無理よ友奈ちゃん!私達、勇者端末を持ってない!」

 

そう。それが今抱える一番の問題だった。星屑自体は大した脅威ではない。今までずっと、その集合体であるバーテックスと戦ってきたのだから。しかし、それも全て勇者に変身してこそだ。勇者に変身できなければ、星屑に対抗できる力が無い。

 

勇者に変身できる端末は、先の戦いのあと全て大赦に返却していたので、誰も持っていなかった。

 

「皆さん!!上!!」

 

樹の声に全員が上を見ると、一体のバーテックスが空中で静止し、こちらを見つめていた。

 

そして、口を大きく開け、勇者部へ迫ってきた。

 

ドン!

 

「うわああああ!!」

 

とっさに避けはしたが、衝撃で体が飛ぶ。

 

先ほどまで勇者部がいた場所の地面(木の根)は抉れていた。

 

「皆、大丈夫!?」

 

「ギリギリ...」

 

「っていうか、まだそんな余裕は...」

 

初撃を避ければ終わりならば苦労はない。星屑は顔をあげ、再び勇者部へ突進した。

 

「東郷さん!」

 

「友奈ちゃん!?」

 

友奈が咄嗟に東郷に抱きついた、、その時だった。

 

バチーーーーーン!!!と大きな音とともに、星屑の体は大きく吹き飛んだ。

 

「....?」

 

そして前方、星屑が突進してきた方向から光を感じた。

 

「ウワ..」

 

6人はあまりの眩しさに目を細めた。友奈は細める目で、光に包まれる人のシルエットを見た。

 

星屑も光を感じたのだろう。狙いを勇者部から光に変えて突っ込んだ。

 

「ダメ!!」

 

その人が危ないと友奈は必死に叫んだ。

 

しかし次の瞬間、星屑は体を仰け反らせて消滅した。

 

そして強くなった光の中から、一人の人物が姿を現した。

 

光が弱くなり、友奈たちは少しずつ目を開ける。

 

「あれは...」

 

それは、本当に”人”と呼んでいいか分からない出で立ちだった。

 

それは、金色の装甲に頭部には金の角、そして腰には、何かの宝飾品なのか金のベルトのような物を身に着けていた。あの出で立ちは、漫画に出てくる”戦士”を彷彿とさせた。

 

「何...あれ...?新しい勇者」

 

「ううん。あんな姿見たことない」

 

園子はずっと大赦内部にいた事もあり、勇者についてはそこそこ知っていた。彼女が把握しているのは勇者部とそれを応用して創られた防人システムだけであの姿は見たことがない。

 

「じゃあまさか、バーテックス?」

 

「待ってお姉ちゃん、でもあの人、さっき星屑を倒してたよ?」

 

それをバーテックス自身が否定するように、星屑は標的を神樹や勇者部から”金の戦士”はパンチや蹴りでそれらを往なしていく。

 

そして一瞬の隙に戦士はベルトの腰の部分に手をあてた。すると、金の装甲だった箇所とそこから伸びていた左腕だけが青にへと変わっていく。

 

「色が変わった」

 

さらにどういう仕組みなのか、ベルトから薙刀のような物を取り出した。

 

そこで園子、東郷、夏凜はあることに気が付いた。

 

「(((あの感じって...)))」

 

戦士はその薙刀を振り回して次々と襲い掛かってくる星屑を切り裂いていき、星屑の数をみるみる減らしていった。

 

それを物陰からみている星屑。それが戦士の気が他の星屑に気を取られた隙に勢いよく向かっていった

 

「危ない!!!」

 

咄嗟に友奈は叫んだ。だが、それよりワンテンポ早く戦士はジャンプして躱し、星屑の歯は空を切った。そして頭上から薙刀を振り下ろして星屑を消滅。遂に結界内にいた星屑を全滅させた。

 

「凄い...」

 

「あいつ、一体何者なの?」

 

「あの人の武器の出し方、私たちが勇者になって武器を出すのに似ていたわ。新しい勇者ではないにしても、それに近いものかもしれないわね」

 

東郷が冷静に分析をしていた時、

 

「おーーーーーい!」

 

「ってあら!?」

 

ふと横を見ると友奈がいない。友奈は星屑がいなくなるのを見ると戦士のもとへと走っていっていた。

 

「友奈ちゃん!」

 

「あのバカ...まだ味方だって決まったわけじゃないのに」

 

驚く東郷や呆れる夏凜をよそに友奈は戦士の側へ行った。

 

「あのーーさっきはありがとう」

 

「・・・・・」

 

「良かったら、名前を聞かせてもらっていいですか?私は結城友奈!讃州中学って所で勇者部をやってt」

 

ブォン!!

 

次の瞬間、持っていた薙刀の切っ先を友奈の首へ向けていた。

 

「えっ?なっ...何?」

 

「友奈ちゃん!!!」

 

そして、薙刀を持ち替えると縦に大きく振り下ろした。

 

「うわああああああ!!!!」

 

友奈は反射的に横に避けた。友奈が先程までいた場所には小さな亀裂がはしった。

 

戦士は友奈の方向を見つめると薙刀を構えてゆっくりと近づいていった。

 

「友奈!!」「友奈さん!」「友奈!」「ゆーゆー!!」

 

風、樹、夏凜、園子の四人は戦士に向かって体当たり。戦士の体制が少しだけ崩れた。

 

「友奈ちゃん!!怪我はない?しっかり!!」

 

「東郷さん!!」

 

東郷だけは友奈の元に駆け寄った。そして、無事だと分かるとキッと戦士を睨みつけた。

 

「友奈ちゃんに手を上げるなんて、いくら星屑を倒したとはいえ...てめぇの血は何色だぁあああああああ!!!!」

 

「ちょっ、待ってわっしー!」

 

今にも飛びかかろうとする東郷を園子が慌てて抑える。

 

先程は不意打ちだからまだ良かった。でも今回は違う。戦士の意識が完全に勇者部6人に向けられた。

 

いつの間にか戦士の色が青から金に変わっていた。

 

そして、二本だった角が六本に開いた。

 

「・・・・・・」

 

戦士は脚を大股に開き、腰を低くした。

 

地面には戦士の頭部を思わせる紋章が描かれる。

 

何かのエネルギーを吸収しているかのようだった。

 

そして戦士は大きくジャンプした。

 

右脚を勇者部に向け、そのまま突っ込んで行った。

 

「皆!!!!!!」

 

友奈は自分の前にいた東郷さん達を守ろうと急いで足を進めーーーーーーー、

 

「ハッ!!」

 

気がつくと学校の屋上にいた。東郷、風、樹、夏凜、園子も一緒だ。

 

青空に見慣れた景色。樹海化が解けたのだった。

 

「友奈ちゃん!!!」

 

東郷は友奈に抱きついて大粒の涙を流した。

 

大赦から何の報せが無かったにも関わらず発生した星屑、突如現れた戦士、そして星屑が倒されるや否やその戦士が勇者部を襲い掛かった事。気になることはたくさんあった。

 

だけど今はーーー、

 

東郷が涙を流したのを見て、5人も涙目になった。

 

今だけは、勇者部全員が無事に帰れた事に安心したのだった。

 

同刻。香川県某所。周囲が木々に囲まれた小さな神社。

 

「何だったんだ?今のは...」

 

男は今見た光景が信じられなかった。青年に言われるがままに現場に行き、気がつくと神社にいた。かと思いきや世界が光に包まれ、気がつくと全てが木の根に覆われた異様な空間にいた。

 

自分は不可能犯罪やアンノウンと戦い、オカルトな現象には慣れているつもりだった。

 

それでも、世界の崩壊、木の壁、敵だと思われた青年との邂逅、転移。彼の身に起こったこれまでの現象全ては男ー氷川誠ーを混乱させた。

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