仮面ライダーAGITΩ〜Shining Brave〜   作:シュープリン

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おわりのはじまり

「...川さん」

 

・・・・・・・・

 

「氷川さん」

 

誰かから自分を呼ぶ声が聞こえて、氷川誠は目を覚ました。

 

「まったく、久しぶりに警視庁に来たと聞いたから挨拶でもしようと思って来てみれば、こんな所で昼寝をしていたとは。暇で良いですね」

 

この憎まれ口には聞き覚えがあった。

 

「北條さん」

 

「そうです。2年ぶりですが、どうやら僕のことは忘れていないようで安心しました」

 

「忘れるわけ無いじゃないですか。一緒にアンノウンと戦った仲間なんですから。あっそうだ。あのときはありがとうございました」

 

「あの時...とは?」

 

「アンノウンの攻撃で、僕の目が一時期不調だった時のことです。あのときの的確な指示は本当に助かりました。ちゃんとお礼を言えてなかったので、改めて」

 

「よしてくださいよそんな2年も前のこと。あの時はアンノウンを倒すという共通の目的があったんだから当然です。そう言えば、g3ユニットを離れた後はどうでしたか?確か、今野さんの元で捜査一課をやってから、香川県警に戻ったと聞きましたが」

 

「g3ユニットにいたときとあまり変わってませんよ。相手がアンノウンから犯罪者に変わっただけなので。アンノウンによる殺人が0になってからは、犯罪も増えてきて毎日走り回っています」

 

「アンノウンと人間の犯人を同格とは...中々大物ですね。ま、ここで昼寝をしてた人が忙しいと言っても、説得力はありませんよ」

 

北條は氷川の向かいに座るとあるモノに気が付いた。

 

「それは...あかつき号事件の資料ですか?」

 

「はい。少し、気になることがありまして」

 

あかつき号事件。それは、この世界で初めてアンノウンが確認された事件。沢木哲也、もとい津上翔一がアギトの力を手に入れた事件だ。

 

「気になること...というと?」

 

「場所です」

 

「場所?」

 

「アンノウンによる事件のほとんどは東京周辺で起こっていました。しかし、あかつき号事件が起こったのは香川県の瀬戸内海です。何故、ここまでズレてしまったんだろうと」

 

「アンノウンの事件が東京で頻繁してたのは、単純に人口が多いからでは?その分、アギトになる人物も多かったでしょうし」

 

「だったら尚更です。あかつき号事件は、アギトの力を追ってやってきたアンノウンによる事件というのが見解です。ならばそれも、人口の多い東京で起こらなければ辻褄が合わないと思うんです。何故、わざわざ人気の少ない瀬戸内海の船上という場所を選んだのでしょうか?」

 

氷川誠の疑問を聞き、北條透もフムと顎に手を当てた。

 

「順当に考えれば偶然。津上翔一の証言によると、男がアギトの力を彼に与えた直後にアンノウンが現れたのだから、その男を追って来たことになる。元から津上翔一に目をつけていたと仮定するなら、こちらの世界に来たときに彼は瀬戸内海上にいたからそこに現れた、と考えることが出来ます」

 

「ええ、僕もそう考えました。しかし、色々思ううちに別の可能性を思いついたんです」

 

「別の可能性?」

 

「アンノウンの事件は、初めから1体か、多くても3体までしか、同時に発見されていませんでした。初めからアンノウンの大群で来られていたら、僕たちにはどうすることもできなかったにもかかわらず。その答えがここにあると思うんです」

 

「それは面白い話の飛び方ですね。その心は?」

 

「アンノウンは、大群で来ないのではなく来られなかった。つまり、アンノウンがこちらの世界へ来るための通路が、あかつき号事件があった場所の周辺にあったのではということです」

 

「つまり、その通路の大きさ的に一定数のアンノウンしか通れなかったと。なるほど。確かにそれは面白い可能性だ。しかし、それはもっと早く辿り着きたかった可能性ですね。最後にアンノウンが倒されて2年。この仮説も宝の持ち腐れだ」

 

「まぁ、そうですね。上手くいけば、ゲートを破壊することも出来たかもしれません」

 

「あなたのことだ。あかつき号事件の現場へは行ってみたのでしょう?」

 

「はい。まぁ、何もありませんでしたが」

 

「既に無くなっているのか、我々の目には見えないのか、そもそも氷川さんの仮説が間違っているのか。いずれにしても、アンノウンが出なくなった今、それを確かめる方法はありません」

 

「そうですね。そう言えば、北條さんは今までどうしていましたか?小沢さんから!イギリスで会ったと聞いていましたが」

 

これ以上掘り下げても平行線だと思い話題を変えた。

 

「それ2年前の話ですよね?いつの話をしてるんですか?それにイギリスも、事件の捜査で必要だから入国しただけですよ」

 

とは言え、と北條透は言葉を切って続けた。

 

「たとえイギリスで忙しくしていたとしても、あの連絡が来れば、必ず駆けつけますよ」

 

「そうですね...」

 

話題を変えたにもかかわらず、また空気が神妙になった。そう。今回氷川誠が香川県警から警視庁に来たのは、懐かしい仲間に挨拶をする為でも、アンノウンの捜査をするためでも無かった。

 

3ヶ月前、氷川誠と同じく、G3ユニットにいた小沢澄子から久しぶりに連絡が来たのだ。

 

G4チップを破壊すると。

 

 

東京都内 某所

 

一人の男を先頭にとある集団が闊歩していた。

 

周りの人はこの忙しいのにと舌打ちしながらも、巻き込まれまいと自分の体に端に寄せる。

 

男はメガホンを片手に、声高々に叫んだ。

 

「アギト反対!!!!!!」

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