仮面ライダーAGITΩ〜Shining Brave〜   作:シュープリン

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第3部
燃える情熱


ゴールドタワーにある訓練場、そこで友奈達勇者部の皆や芽吹等防人たちが興味深げに見守っていた。

 

スーツは緑で、見た目は防人と変わらない。しかし、頭は完全なフルフェイス。露出は一切ない完全防御。

 

別世界から来た氷川誠が持っていたG4チップ、あれを解析して作成した装着型の完全人造勇者システム。

 

『G3-S』

 

「ではこれより、デモンストレーションを開始します」

 

神官が言った。

 

G3-Sの目の前にはボールの発射台。

 

かつて、乃木園子、鷲尾須美、三ノ輪銀が特訓のために使っていたあの機械だ。

 

ブーーー

 

合図と共にボールが発射。G3-Sは銃ーGS-01ーを取り出して発砲。銃弾は全てボールに当たり破裂。

 

「回避」

 

神官の合図と共に今度はボールを躱し始めた。

 

その場をほとんど動かない最小限の動きは見ていた人たち全員を驚かせた。

 

「迎撃」

 

再び攻撃体制。今度はナイフーGS-02ーに持ち替えて、そばに来るボールを全て薙ぎ払った。

 

「銃撃」

 

G3-Sは素早く銃に切替えて再度ボールを撃った。その時ーー

 

ブーーー

 

再びブザーが鳴った。ボールの発射も停止。

 

G3-Sは銃を仕舞い一息ついた時だった。

 

バッ!

 

停止していたはずの機械からボールが一球発射。

 

「あっ」

 

友奈が思わず声を出したのと同時だった。

 

G3-Sは再度引鉄を引き、そのボールを撃ち落とした。

 

ブーーー

 

「これにて、デモンストレーションを終了します」

 

「ふぅ」

 

G3-Sが一息つくと、ワッと友奈達がやって来た。

 

「凄い!凄かったよ!狙ってくるボールを全部バン!バン!ってさ!」

 

その場でフリをしながら友奈が言った。

 

「それでも、最後のはズルすぎません?完っっっっっ全に終わったと思いましたわ!」

 

「戦いは最後まで油断するなということですよ」

 

最後の不意打ちに納得のいかない弥勒夕海子を窘めながら、G3-Sの装着員、氷川誠は言った。

 

テスト終了後、勇者と防人の皆は会議室に集められた。

 

「先ほど見せた通り、あれが私たちが開発した完全人造勇者システム、G3-Sです。神樹様の力を使用していないため、アプリによる変身ではなく装着するタイプになります」

 

「白鳥歌野と同じだ」

 

乃木園子がふと、西暦時代長野にいた勇者を思い出して呟いた。

 

「これからのお役目には、氷川様も同行することになりました」

 

「はい。よろしくお願いします」

 

氷川誠は体を大きく曲げて一礼。

 

「よろしくね!氷川さん!」

 

それを友奈は快く受け入れた。

 

「あっちのバーテックスと戦ってた人なんて心強いわ」

「色々教えてもらいましょ!」

 

他の娘達も新たな戦力増強に頼もしさを感じていた。

 

「それともう1つ。防人の皆さまへ端末をお返しいたします」

 

それを合図に、横で待機していた大赦職員が一人一人に防人用の端末を手渡し始めた。

 

「氷川様が所持していたG4チップ、それを解析し、我々の方で防人システムに大幅なアップデートを行いました。これにより、神樹化現象の中でも動けるようになり、あなた方一人一人の戦闘力がより強化されました」

 

「おぉ!これで弥勒家の功績がより残せるというわけですわね!」

 

ひと際興奮した声で夕海子は言った。

 

そして、防人たちのざわめきが小さくなったのを見て神官は続けた。

 

「先の遠征については全て確認を取りました。不完全体のバーテックス3体。再生スピードが我々の想定よりかなり早く、異常が起こっているのは明らかです。これからはより綿密な連携を期待します」

 

「うわぁ!!」

 

ドテッと雀が転んだ。これでもう三度目だ。

 

「雀ちゃん、大丈夫?」

 

友奈が急いで駆け寄る。

 

「うわーーーん難しい難しい難しいよーーーー!!」

 

「確かに、新しいシステムは動かすのにちょっとコツがいりますわね」

 

「そう言ったって弥勒さんは転んでないじゃないかーー」

 

「あなたとは才能が違いますのよ」

 

今日の演習はいつもと少し違かった。

 

新型防人システムに慣れるための練習だ。

 

新型の防人システムは、新樹の力に加えて、G4もといG3-Xに使われていたAIが搭載している。故に旧式の防人システムより攻撃を躱しやすくなったり、また武器もAIの制御が加わったことでより高威力のモノに変更されたのだが、

 

「ウワッ!」

 

「あっ、ようやく転んだ」

 

「失礼じゃありませんこと!?ちょっと銃が強くなっててビックリしただけですわ!!」

 

新樹とAI、それらを使う体がチグハグではそのアンバランスさですぐに体制が崩れてしまう。AIの命令と自分の体の動きが合わなければ隙を作り、簡単に敵にやられてしまう。AIに自身の動きを学ばせ、逆に自分はAI処理の癖を体に染み込ませる。

 

双方をバランス良く使いこなす事が課題だった。

 

「氷川さん!どうやってやるんですか?」「どうしても転んでしまいます!」「戻すように大赦の方に言えませんか!?」

 

防人達が次々と氷川へと助言を求めに行った。

 

「そうですね...やはり一番は力を入れ過ぎないようにする事ですね。AIの補助が入ったといってもあくまで補助です。それを制御するシステムも組み込まれているので、体を動かしているのはあなた方に変わりありません。なのであまりAIの事は意識しないで動かす事が重要だと思います。AIと喧嘩をしないで、思うまま動かせるようになればきっと強くなると思いますよ」

 

氷川誠も、今日から防人の指導教官として入るようになった。氷川は自分が初めてG3を装着した時を思い出しながら助言をしていた。

 

新防人システムのコツの伝授を氷川が、戦闘については変わらず勇者という具合だ。

 

1日だけでも、既に馴染みに差が出始めていた。

 

山吹しずくがその一人。既にほとんど転ぶことが無くなっていて、既に戦闘訓練に入っている。

 

弥勒夕海子も色々言ってはいるが、全体で見れば馴染みのペースは早いと氷川は感じていた。

 

そして、彼女たち以上に圧倒的に使いこなしていたのがーー

 

「フッ!フッ!フッ!」

 

しずく以上に早く戦闘訓練に入り、黙々と木刀を振り回している防人のリーダー、楠芽吹だった。

 

彼女の成長スピードには目を見張った。自分でもたった1日でここまで使いこなす事が出来なかったのに。既に自分の手足のように動かしている。

 

芽吹は、勇者の選抜で最後まで夏凜と並んで最有力候補だったという。なるほど、それも納得の器用さだった。

 

「凄いわね、楠さん」

 

他の防人の様子を見ているから分かるのだろう。夏凜がそれを称えた。しかし、

 

「何よそれ?嫌味のつもり?」

 

芽吹の反応は冷ややかだった。

 

「えっ?」

 

「確かにバージョンアップはしたけど、勇者の力には遠く及ばない。こんなんじゃ、また何もできないままよ」

 

「楠さん..?」

 

「私の事も他の防人の事も構わないでいいから、あんた達は自分の鍛錬に集中したら?案外、これからの戦闘も勇者だけの方がいいかもしれないわね。私たちみたいな足手まといを庇わずに済むんだから」

 

「なっ..!」

 

「ちょっと芽吹ね〜、自分がリーダーのチームをそんなに卑下するもんじゃないわよ」

 

たまらなくなり風が割り込んできた。

 

「私たちはチームアップするってのがお役目でしょ?防人は防人、勇者は勇者よ。あなた達にしかできない事だってきっとー」

 

「それがウザいっていうのよ!!」

 

芽吹の叫びに風はたじろぐ。他の人たちも何事かと覗き込んできた。

 

「あの戦闘を見てもそんな事が言えるの?3体のバーテックス、それも不完全な状態だったのに、私たちは何も出来なかった。攻撃は届かなかった。私たちがどれだけ訓練をしても、勇者と私たちにはそれだけ大きな差があるのよ!」

 

「芽吹ちゃん、初めてならそんなもんだよ!私だって、初めてのお役目の時は何がなんだか分からなくて逃げてたんだから!」

 

友奈が言った。

 

「それでも最後は倒したんでしょ?必要なのは結果。近い未来、私たちの世界は滅びる。これから先きっとどんどん強いやつが現れる。私たちはどれだけ努力をしてもついてこれない。もうダメなのよ、私たちは」

 

芽吹はそう言うと、皆に背を向けて歩き出した。

 

「メブ!」

 

雀の叫びにも振り返ること無く、芽吹は訓練場を後にした。

 

3日が経った。

 

訓練は早々に切り上げ、芽吹は自分の部屋にいた。あの日から、どうにも気分が優れなかった。

 

あれから、勇者部の皆も私に話しかける事が無くなった(友奈は何度か近付いたけど東郷に止められてた)。

 

こういう悶々とした時はいつもプラモデルを作ったり走り込んだりするのだが、今日はどうにもそうする気にはなれなかった。

 

努力でどうにかなると思っていた。勇者に圧倒的に劣る私たちでも訓練を重ねていけば勇者に並び、大赦にも、私を選ばなかった神樹にもギャフンと言わせられると思っていた。

 

しかしその壁は私が思っていた以上にずっとずっと高くそびえ立っていた。星屑ごときで手こずる私たちが肩を並べようなんて、到底無理な話だった。

 

大赦が私たちを代えのきく代替兵だと、車輪の下敷きになるものだとしたのも、きっと性能の違いがそれだけ違うと分かっていたからなのだろう。

 

自分がなぜ無駄な努力をするのか、分からなくなっていた。

 

その時、トントンとドアをノックする音が聞こえた。

 

「はい」

 

「氷川です。楠さん、少しいいですか?」

 

楠芽吹と氷川誠はゴールドタワーの前にある公園を歩いていた。西暦の頃は、恋人の錠前があちこちにかかっていて、カップルの聖地として賑わっていたと聞く。

 

今は大赦が全てを買い取って市民には公開していないので、ガランとしているが。外に出ているのは芽吹と氷川の二人だけだった。

 

「新しいシステムになってから3日経ちますが、その後どうですか?」

 

氷川が言った。

 

「どうって..そうね。大分使いこなせるようになったわ。射撃も剣もそれなりには」

 

「ですね。僕も見てますが、楠木さんの成長スピードには驚きました。僕が初めてG3を付けた時も、こんなに早く使いこなす事はありませんでしたから」

 

「それでも、越えられない壁っていうのはありますよね」

 

「・・・・」

 

「確かに強くなりました。氷川さんにも、その点には感謝しています。だけど、私には分かるんです。それでも勇者には遠く及ばない。星屑が少し倒しやすくなった位で大元のバーテックスにはきっとダメージすら与えられないって。それなのに、これからどんどん激しくなる戦闘に私たちが入って私たちに何ができるのか」

 

「楠さん..」

 

「あっ、ごめんなさい!もっと強くして欲しいとかそういう事を言うつもりは無いんです。ただ、これから私は何をすればいいのかが分からなくなってしまって」

 

会話の中でつい本音が口を出た。防人のリーダーではなく、一人の楠芽吹としての気持ちが。

 

「いえ、分かります。その気持ちは」

 

「氷川さん?」

 

「僕の世界にいたアギトも勇者と同じで、選ばれた人がなれるものでした。あなた達にとっては敵という認識ですが、僕の知っているアギトはとても強くて、純粋で、本来市民を守らないといけない立場である僕よりもずっと先を行ってる気がしていて、劣等感を感じていた事もありました」

 

「『感じていた』?」

 

過去形だったのが気になり芽吹は尋ねた。

 

「僕の仲間に、ある日こんな事を言われたんです。『私から言わせればあなたもアギトだ。力を合わせて戦うべきだ』と。嬉しかったんです。僕のことをアギトだと言ってくれた事が」

 

「氷川さん..」

 

「それで僕は吹っ切れました。G3-Xとして、ただの人間としてできる事を考えようと」

 

「ただの人間として..できる事..」

 

芽吹の心の琴線に何か引っかかるのを感じた。

 

「ようやく見つけましたわ!」

 

そんな時だった。弥勒夕海子が二人の元へ腰に手をあてながら現れた。

 

「弥勒さん?」

 

「楠木さん、少しよろしいかしら?」

 

場所は道場。既に訓練は終わっていて、防人も勇者もいなかった(また勇者部の活動へいったのだろう)。

 

今いるのは楠芽吹と弥勒夕海子の他には、加賀城雀、山吹雫、国土亜耶の何だかんだ一緒にいる事が多いメンバーと氷川誠だけだ。

 

そして、先の二人は新型の防人へと着替えていた。

 

「一本先手で行きますわよ!その木刀で先に相手を打ったほうが勝ち」

 

いつも訓練で使っている模擬銃剣を指差しながら言った。

 

「弥勒さん、今さら模擬試合って何なの?何の目的があって」

 

「お喋りしてる暇は無いですわよ!」

 

そう言って弥勒夕海子が先に動いた。

 

剣を構えて接近し、大きな横振り。

 

ーーーが、楠芽吹はそれをジャンプして躱した。

 

スタートの合図が無い不意打ちだったが、今さらそれを食らうほど楠芽吹は愚かではない。

 

夕海子は銃剣を構えて今度は発砲。なるほど、空中なら身動きが出来ないと考えたのだろうが、防人のスーツを着た今の自分なら余裕だ。むしろAIが加わり容易くなったと言える。

 

芽吹は銃剣の切っ先で銃弾を全て弾く。何てことはない。着地したら一気に間合いを詰めて一発食らわせれば終わり、と思った時だった。

 

最後の銃弾を弾いた時だった。銃剣を持っていた右腕に何かが巻き付いてきた。

 

「!?」

 

巻き付かれたのはワイヤー。今回新しく導入された拘束用の武器。

 

「やあああああああああああ!!!!」

 

夕海子がそれを巻き取りながら接近し、芽吹の顎に飛びきりの頭突きをお見舞いした。

 

「がは..」

 

これは効いた。頭がクラクラする。

 

そのまま、右腕を踏みつけられてーー

 

「私の勝ちですわね」

 

気が付いたら、芽吹の喉に銃口が突きつけられていた。

 

「何で..?」

 

驚いた。芽吹は全く手加減をしていなかった。弥勒夕海子だって、少し前までは歩くのが精一杯といった感じじゃないか。いつの間にここまでの差が。

 

「これこそが新型の性能ですわ!AIで計算されたあなたの動きに合わせて、私が的確な攻撃を出しましたの。以前のバージョンではできない芸当ですわよ」

 

「そんな..」

 

それは自分も使っている。幾らか便利になったと感心したモノだ。それなのに何故ーー、

 

「メブ、弥勒さんはね、訓練の後もずっと練習していたんだよ」

 

「えっ?」

 

「ちょっ、雀さん!見ていましたの!?ここは華麗に天才タイプを見せようとしましたのに、これでは私のイメージがーーー!」

 

「でも、シズクちゃんよりは実力下だよね!!」

 

「雀さん!!!!」

 

夕海子が大声で雀を嗜め、改めてコホンと咳払いをしながら言った。

 

「雀さんの仰る通りですわ。(悔しいけど)今の私の実力は山吹さんよりも下。つまり、今やあなたは三番手なのよ」

 

「んまぁ、そーいうことだ」

 

今まで見ていたシズク(いつの間にか人格が入れ替わっていた)が前に出て言った。

 

「前言ったよな?弱いやつに従うつもりはないって。テメーがオレよりも弱い事は確定したんだ。これからは好き勝手にやらせてもらう」

 

「まっ、待って!」

 

芽吹が咄嗟に手を伸ばす。シズクが勝手にやれば、防人の隊列は一気にーー

 

「別にいいんじゃありませんの?それならそれでシズクが勝手にやるという体で私が防人を引っ張りますわ。防人である事を放棄した芽吹さんは隊長なんて器じゃありませんものね」

 

「わっ、私がいつ防人を放棄したって」

 

「しているじゃない」

 

起きて近寄ってくる芽吹を夕海子は銃剣を突きつけて止めた。

 

「最初の勇者以降、あなたは全く訓練に身が入っていない。大方、勇者とのスペックの差に絶望してるのでしょうけど」

 

その通りでぐうの音も出なかった。

 

「全く見損ないましたわ!あなたは私のライバルに相応しい、骨のある人と思いましたのに!!」

 

「でも、弥勒さんも見たでしょ?バーテックスの未完成体を前にしても、私達は何も出来なかった。悔しいけど、大赦の言う通りだったのよ。私たちは所詮踏み台。夏凜達のずっと後ろを歩く存在」

 

「それが何だって言うんですの?」

 

「えっ?」

 

「後ろを歩く存在なら、前で戦う勇者達の後ろから援護をすればいい。相手が勇者ばかりを警戒しているなら、その後ろから私たちが束になって不意をつけばいい。バーテックスだって神だって勇者ばかり警戒していて私達には見向きもしていない。だから私達はその隙を突ける。防人だからこそ出来ることがきっとありますわよ!」

 

「...」

 

「それに、バーテックスを倒すことだって、私は諦めていませんわ。聞くところによれば、私たち防人のスペックは初代勇者様とほぼ互角と聞くじゃない。乃木若葉様達は、そんなに少ないスペックでも、たった四人で戦い抜いてきた!私たちは30人もいるんですのよ!」

 

「あなたのその気持ちはその勇者様達への、今一生懸命頑張っている全ての防人への冒涜ですわ!私たちの存在全てを否定するな!!!」

 

今まで夕海子からは考えられないに激しい言葉だった。でも、だからこそ芽吹の心にある何かに響いた。

 

「ンまぁそういうことだ。勇者をバカにして、弥勒にも負ける。心身共に劣ってるようじゃあ従う義理はネェよな。つー訳で、俺は勝手にやらせてもらうぜ〜」

 

「待ちなさい」

 

「あ?」

 

訓練場から出ようとするシズクを芽吹は止めた。

 

「誰が、誰より弱いって?」

 

「なっ!」

 

その言葉と同時だった。目の前の夕海子の体に向けてワイヤーを巻き付け、それを巻き取る銃剣の勢いに乗せて思い切り頭突きをかました。

 

「あ痛っ!?」

 

予想外の衝撃に夕海子は尻餅をついた。

 

「ルールは確か、一本先取で勝ち。さっきの弥勒さんは、私に寸止めしていただけだったし、何より試合終了の合図もなかった。私の勝ちね」

 

トンと、肩に軽く木刀を当てて芽吹は言った。

 

「なっ、卑怯ですわよ!無効!無効ですわ!」

 

「あら?弥勒さん、さっき言わなかったかしら?相手が別に気を取られているなら不意をつけばいいって」

 

「それとこれとは!」

 

「まぁ確かに、今のじゃ勝ちとは言えない。単なる屁理屈。だからもう一度超えるわ。次のお役目までに。そして私がもう一度防人のリーダーになって勇者も超える」

 

スッと夕海子に手を伸ばして言った。

 

「やっと、私のライバルに相応しい存在になりましたわね」

 

夕海子はその手を受け取った。

 

「山吹さんも、それでいいわよね?今は確かにあなたの方が強い。だけど、次のお役目までにもう一度あなたを倒して従ってもらうわよ。あなたに暴れられたら、本当に防人は終わっちゃうから」

 

「フン!好きにしろ。なら俺はもっと先を行くだけだからよ!」

 

芽吹がいつもの芽吹になり、黙って見ていた雀と亜耶は微笑んだ。

 

「良かったですね、氷川さん」

 

「えぇ、本当に良かったです」

 

改めて、仲間はいいなと思った。

 

小沢澄子、尾室隆弘、北條透。自分も、仲間に恵まれていなかったら、アギトとの差に絶望していただろう。

 

それをせずに乗り越えられたのは、自分を支えてくれた皆のお陰だ。

 

その結果、数々のアンノウンを倒した。

 

 

もしかしたら、これが現状打破の鍵なのかもしれない。最悪の未来を変えるという大きな事を可能にするのは、人と人との繋がりによる無限の力なのではないだろうか。

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