仮面ライダーAGITΩ〜Shining Brave〜 作:シュープリン
あれから一週間が経った。
芽吹はすっかり調子を取り戻し、訓練を朝から晩までひたむきに打ち込む日々になった。
その結果ーー
カンカンカン
2日後には、弥勒夕海子を圧倒するほどの力を見せた。
「うぐぅ..屈辱ですわ〜」
その1日後にはーー
「うぉりゃあああああああああ!!!」
「ハァ!!」
ガン!という鈍い音が響いたと思えば、木刀でシズクの体を突く芽吹の姿があった。
「じゃあ、もう一度私に従ってもらうわよ」
「マジかよ..」
さすがの戦闘センスだった。あっという間に新型の防人の性能を限界か、もしくはそれ以上に引き出していた。
G3を扱っていたから分かる。芽吹は天性の戦闘センスの持ち主だということを。三好夏凜と並ぶ勇者候補生だったというのも納得だ。
※
氷川誠はまたゴールドタワーからほど近い所にあるスーパーに来ていた。また差し入れで何か持って行こうと思ったのだ。
「7500円になります」
前回はここのお金を持っていないがために失敗したが、今回は違う。
大赦の連絡用にとスマホを手渡されたのだ。
デンシツウカと呼ばれるもので買物ができるらしいことを知った。実際のお金を介さないとは大いに驚いたものだ。
自分たちの未来でもこれからの買い物は通貨を介さないモノになるのかと思った時だった。
「あの..」
店員が申し訳なさそうに声を掛けてきた。
「はい?」
「アプリを起動していただけないと支払いは..」
「あっ、あぷり?」
あぷりとは何だ?機械の名前か?
氷川誠はスマホのホーム画面をじっと見つめた。確か皆はこの四角いボタンを押していた。それがあぷり?
ブブブブブ
「わわっ」
突然スマホが揺れて画面が変わった。
この番号は楠木芽吹からだった。
出る?いやでもまずは支払いを。っていうかさっきの画面にはどう戻れば...
と思いながら適当にボタンを弄った結果ー
「あっ」
『再起動します』
「あっ、あの〜?」
後ろにそれなりの列が出来た時だった。
「ごっ、ごめんなさい!7500円ですよね?こちらでお願いいたします!」
横から誰かがスマホを店員に見せていた。
デジャヴ。もちろんそれは、国土亜耶の手だった。
※
「スマホを開いたら、この右上のアイコンを押してください。そしたらバーコードが出ますので、それを店員さんに見せればOKです」
帰り路、国土亜耶は丁寧に買い物の方法を教えてくれた。
「一度ならず二度までも、本当にありがとうございます」
恥ずかしさでいっぱいになりながらも氷川は礼を言った。
「いえ、ちゃんと説明をしておけば良かったですね。氷川さんがいたのは2002年。ここはそれから300年以上も後の世界なんですから、スマホなんて物はありませんよね?」
「そうですね。ここに来て驚いた事の1つですよ。僕らの世界の携帯電話は、こういう板ではありませんでしたから」
「あっ、全然違うんですね。触っても大丈夫ですか?」
「どうぞ」
どうせ誰にも繋がらないのだ。そもそもとっくに充電は切れている。
「昔の携帯電話ってこんな感じだったんですね」
ガラケーをパカパカしながら亜耶は言った。
自分の感覚で言えば、300年前は江戸時代だ。自分の持ってるものも、それくらい珍しく写ってるのだろうと思った時だった。
「あれ?」
国土亜耶の手が、ガラケーを閉じようとした瞬間で止まっていた。
車の音、工事の音、鳥の鳴き声、先ほどまで漠然と耳に流していた音が聞こえなくなっていることにこのとき初めて気づいた。
「まさか..」
これは、初めてこの世界に来た時と同じ光景だった。辺り一面が花びらに包まれてそしてーー
「あぁ..」
気付いた時には、木の根が広がる空間へと変化した。
始まった。バーテックスの出現によって現れる神樹化現象。
もしかしたらこれが、僕の世界の未来が変わるトリガーかもしれない。
そう思った氷川は、まずは合流と他の皆を捜し始めた。
「氷川さん!」
幸いにも、友奈達とはすぐに合流できた。トレーニングをしていたのもあって、芽吹達防人も皆固まっていた。
防人達は初めて見る神樹の結界にただただ唖然としていた。
「来るよ」
静かに佇んでいた園子が静かに声を上げた。
見学じゃないんだ。唖然とする時間に関係なく、敵は前へと現れる。
「嘘..」
それは、芽吹達防人にとっては想像を絶する光景だった。
神樹の壁からやって来た敵はバーテックス。その数6体。
不完全体ではなく、完成形のバーテックスの姿がそこにはあった。