仮面ライダーAGITΩ〜Shining Brave〜   作:シュープリン

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勝利

牛の角のような部位があるタウラス・バーテックス、天秤のような形が特徴のライブラ・バーテックス、クラゲのようなヒレが特徴的なピスケス・バーテックス、人型であり、文字通り2体存在するジェミニ・バーテックス、そして、長い尾とその先に付いた針が特徴のスコーピオン・バーテックス。計6体。

 

完成形のバーテックス集団を前に防人はもちろん、勇者も二の足を踏んだ。

 

完成形のバーテックスが6体。先の不完全体3体とは格が違う。単純な攻撃力だけじゃない。御霊を破壊しない限り永遠に再生される完璧な生命体。

 

量も質も圧倒的に勝っている。

 

「メブーーーーーー!;;」

 

「ちょっと雀!くっつかないでよ!!」

 

「無理無理無理無リムリムリムリ今度こそ死んじゃう死んじゃう死んじゃう死んじゃう!!相手は最強だよ!?今までとは全然違うよーーー今度こそ死んじゃうよーーーー!!!」

 

涙を浮かべて芽吹に抱きつく雀。他の防人も的を得ているといった顔をしていた。

 

「皆落ち着いて!私たちはあの時の私たちじゃない!防人の性能はパワーアップしているし、私たち自身も格段に強くなってる!」

 

芽吹が喝を入れる。

 

「それに、微力ながら僕もいます」

 

氷川が言った。

 

「氷川さん?いつの間に着替えましたの?」

 

「ずっと着けてるんですよ。こうなるって分かってるのに、装着型を脱いでるわけにはいかないでしょ?」

 

「微力とかじゃなくて、普通に期待していますよ氷川さん。それに他の皆も」

 

バーテックスに目を向けたまま風が言った。

 

「さすがに今回はあたしらだけじゃ目に余る」

 

バーテックスは6体。勇者も6人。しかしながら、バーテックスは複数人でかかるのが基本だ。唯一、満開システムを使えば一人でも可能だが、それはプロテクトされてるという話だったし、そもそも論、リスクが大きすぎて例え使えても論外だ。

 

「チームワークだよ。皆!」

 

園子が声をかけたと同時だった。

 

ライブラバーテックスが木の体を付けると、その場で回転を始めた。

 

「来るよ!!!」

 

「護盾隊展開!!!」

 

竜巻とも思わせる突風が勇者たちを襲った。

 

「グッ!」

 

あまりの風圧に芽吹は顔をしかめた。護盾隊を展開してなおこの威力。まともに食らったらあっという間に吹き飛ばされている。

 

勇者の方も同じで、

 

立っているのもやっとという感じだった。

 

「まずは、あの風を止めないと!!」

 

風が言った。

 

「私に任せてください!!」

 

東郷は風圧に耐えながらライフルを手に持ち、ライブラに狙いを定めたーー時だった。

 

ピョコンとスコープの小窓から現れた白い影。

 

「あっ」

 

「東郷!」

 

「東郷さん!」

 

気付いた時には、ジェミニバーテックスから蹴りを食らわれていた。

 

さらにもう1体のジェミニの攻撃が他の勇者部を襲った。

 

「キャッ!」

 

「うわぁ!」

 

「くッ!」

 

「あぁ!」

 

「ああ!」

 

蹴りを食らった勇者達はライブラの風圧に乗ってそれぞれバラバラの方向へと飛んでいった。

 

「皆!?」

 

防人達が勇者達の飛ばされた方向へ目を追ったその時だった。

 

「なっ!?」

 

突然、防人の立っていた地面が盛り上がり、弾けた。

 

その正体はピスケス。いつの間にか、地面に潜行していたのだった。

 

「「「うわあああああぁぁぁぁ!!!!」」」

 

ライブラの風圧も重なり、防人達も飛ばされるが、それだけでは終わらなかった。

 

飛び出したピスケスが防人達への追撃を始めたのだ。

 

「ぎゃああああああああああぁぁぁ!!!メブメブメブメブメブメヴーーーーー!!!」

 

「銃剣隊!!出せる!?」

 

芽吹は空中で銃剣を構えながら言った。

 

「当たり前だろ!!」

 

「私を誰だと思っていますの!?」

 

シズク、夕海子、他にも何人かの防人が銃を構えていた。

 

「撃ーーーーー!」

 

芽吹の合図で一斉に発砲。攻撃を受けたピスケスは嫌がる素振りを見せ、回避行動を取った。

 

「(通じた!)」

 

防人の性能がパワーアップしている事を確信した。

 

「ナイスです!皆さん!」

 

「氷川さん!?」

 

見ると、氷川は自身の武器であるランチャーを構えていた。

 

「GS-02 アクティブ!!」

 

氷川はグレネードランチャーを放出。ピスケスに確かにヒットし、爆炎を浴びせた。

 

「よし!」

 

だが、ピスケスはそのまま地面へ潜ってしまった。

 

「イタタ..バーテックスは倒しましたの?」

 

「いえ、また潜ったのを見た。御霊も出てないし、まだ近くにいる。探して」

 

芽吹が言った。

 

「探すと言ってもこんな状態でどうやって?」

 

シズクが言った。

 

もっともだった。先のピスケスの攻撃と風で何人かは煽られ、散り散りになってしまった。

 

風が吹き荒れる状況では、満足に歩くことも出来ない。

 

まずは、あの風を何とかしないとーー

 

「風なら私たちにまかせて!!」

 

園子はそう言うと槍を一振りして、階段を形成。

 

「ふーみん先輩!」

 

園子の掛け声で風は一気に階段を駆け上がると風の範囲外へ。

 

「どおりゃああああああぁぁぁぁぁ!!!!」

 

風はそのまま飛び出すと大剣を構えてライブラへ突っ込んで行くもーー

 

「ーーーーーーーーーー!!!」

 

「グッ!これ...」

 

突然の不協和音に風は顔をしかめた。タウロスが音波で妨害していた。

 

「それがどうしたああああああぁぁぁ!!!」

 

歯を食いしばって耐えて、勢いは止めない。

 

「根性おおおおおおぉぉぉぉ!!!!」

 

風の大剣の刃がライブラに届いた。それがストッパーとなり、風が止まる。

 

それを見逃さなかった。

 

タウロスが音波を出しているベル、そこにツルが巻き付かれて音が止んだ。

 

「もう二度と、あなたの攻撃ではやられない!」

 

「樹!!」

 

音が無くなって楽になった。この隙にーー

 

「一撃で倒す!!!うおりゃああああああああぁぁぁぁ!!!」

 

その宣言通り、ライブラの天秤を見事に切り裂いて、中にある御霊ごと破壊した。

 

「防人の皆さん、今です!!!」

 

「銃剣隊、撃ーーーーー!!!」

 

芽吹とはまた別の部隊長との掛け声で、タウロスに向かって一斉射撃。樹に拘束されてなす術がないタウロスは、バージョンアップした弾幕を前に、その装甲がどんどん剥がされていき、そしてーー

 

「御霊!!」

 

「みんな、ナイス!!」

 

チラリと見せた御霊。そこに向かって園子は槍を一突きしてそれを破壊した。

 

残りバーテックス、4体

 

「風が止んだ?」

 

「えぇ友奈ちゃん。風先輩達がやってくれたのを見たわ」

 

「さすがね。それじゃこっちも負けられないわね!」

 

そう言うと夏凜はこちらに向かってきていたジェミニの一体を受け止めた。

 

「ちょこまかちょこまかと動き回ってくれたわね!」

 

夏凜はジェミニの一撃を楽々と弾く。

 

「あの風が無くなれば、こっちのもんよ!!」

 

夏凜は二刀を構え、ジェミニの一体を倒そうと振りかぶったその時だった。

 

「えっ?」

 

突然、夏凜のいた地面が盛り上がり、地中に潜っていたピスケスバーテックスが姿を現した。

 

ピスケスの頭突きによって夏凜は空中へと投げ出される。

 

さらに、そのピスケスの背中を伝って、今度は2体のジェミニが夏凜に蹴りを喰らわせた。

 

「グッ!」

 

夏凜は腕でそれをガードしたが、二体はさらに追撃。空中にいるというのもあり、夏凜は防戦一方になっていた。

 

「東郷さん!」

 

「分かってるわ友奈ちゃん。ここから夏凜さんの援護を!」

 

「違う!後ろ!」

 

「えっ?」

 

東郷が振り向いた先、そこには毒の尾を持つスコーピオンバーテックスの姿があった。

 

その尾が東郷に向かって振り下ろされた。

 

「やぁ!!」

 

間一髪。友奈が尾を拳で弾いた。

 

「ありがとう、友奈ちゃん!」

 

「東郷さん、私たちはこいつを倒そう!」

 

「でも友奈ちゃん、夏凜さんは?」

 

「そっちも大丈夫!」

 

友奈は自信満々に言った。

 

「ったく、ちょこちょこと鬱陶しい!さっさと...」

 

「やぁ!!」

 

ジェミニ2体からの攻撃に悪態をついていた時だった。

 

横から何者かが乱入してきて、ジェミニの一体が木の根に落ちた。

 

その隙に夏凜がもう一体も落とす。

 

「無様ね。私と一騎打ちしてた頃の方が強かったんじゃないかしら?三好さん」

 

「くっ、楠木さん!?」

 

乱入してきたのは、楠木芽吹だった。

 

「ちょっと油断しただけよ!」

 

「戦闘で油断するようじゃまだまだね。ここで実績を上げて、防人の方が凄いって大赦に分からせてやるわ!」

 

そう言って芽吹は武器を構えた。

 

「って、グレネードランチャー!?」

 

夏凜が驚いて言った。

 

「これが新型防人の力よ!」

 

そう言って芽吹はグレネードランチャー―G3-Xが用いていGG-02を模して造られた武器―を発砲。

 

1体のジェミニに当たるがーー、

 

「御霊が」

 

ジェミニバーテックスは小型の御霊を多数放出する。これら一つ一つを破壊しなければ倒せない。

 

「そんな事は織り込み済み!弥勒さん!」

 

「この私、弥勒夕海子が掃除係..でも構いませんわ。これも弥勒家の再興のため!」

 

「ガトリングガン!?」

 

「GX-05、アクティブですわ!!」

 

銃口から何千発もの銃弾が一気に火を吹いた。

 

多数あった御霊がみるみる内に減っていく。

 

もう一体のジェミニがその攻撃を止めようと、弥海子の方へと向かって行ったがーー

 

「「油断しない!!」」

 

夏凜の短刀と芽吹の銃剣に貫かれ、それも止まった。

 

「あっ、ありがとう..ですわ..」

 

夕海子は驚きながらもお礼を言った。

 

もう一体のジェミニも多数の御霊を出したが、機動力の高い夏凜の短刀、夕海子のガトリングガン、芽吹のグレネードランチャーによる爆炎で全て消滅させたのだった。

 

残りバーテックス、2体

 

夏凜の足元から現れたピスケスバーテックス。そのまま追撃し、勇者を屠ることを考えていたバーテックスだったがーー

 

「おらぁ!!!」

 

それは、楠芽吹と弥勒夕海子と共にやって来た氷川誠と加賀城雀、そしてシズクによって阻まれていた。

 

「遅いぜ遅いぜコイツ!!!」

 

シズクがピスケスの長い胴体を次々と切り刻んでいく。

 

それから逃れようと地面に近付こうものなら、

 

「怖いよ怖いよ怖いよ怖いよわーーーーー!!!」

 

と言いながらも新型で強化された雀の盾によって流され、潜ることすらままならない。

 

「いいぞ!!その調子で潜らせんな!!!」

 

「無理だよ早く倒してーーーーー!!!」

 

「おうよ!!!」

 

そう応えるとシズクは銃剣をピスケスに突き刺す。

 

「これで終わりだ!!!!」

 

そして、銃弾をゼロ距離で放射。内部が傷つきピスケスは悶える。

 

「GG-02 アクティブ!」

 

「なっ!?」

 

そこに氷川誠が変身するG3-Sによる火力が届き、ピスケスの体は消滅した。

 

「おい!!オレの獲物だぞ!!!」

 

シズクの声を最後にこちらの世界での氷川誠の初陣は終わった。

 

残りバーテックス、1体

 

1体に集中できるようになった友奈は、スコーピオンに向けて飛び出した。

 

スコーピオンは近付けまいと尾を振り下ろしたが失敗。

 

東郷の射撃によって尾が根本から折られたからだ。

 

「やあああああぁぁぁ!!」

 

抵抗する術を失くしたスコーピオンはそのまま友奈の拳を受け、御霊ごと消滅。

 

あっという間の決着だった。

 

残りバーテックス、0体

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