仮面ライダーAGITΩ〜Shining Brave〜   作:シュープリン

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August 7th(mockito)

あれから何日か経った。

 

俺は毎日のように灯台に行くようになっていた。

 

紬との時間は楽しかった。

 

海岸に打ち捨てられたぬいぐるみを綺麗にした。ベランダ作りのためにパリングルスを集めた。親友の静久を紹介された。他にも色々。どれもこれも充実した楽しい時間だった。

 

この時間が永遠に続けばいいと思える程に。

 

帰らなければいけないのは分かってるけど。

 

俺は今日も灯台へ向かっていた。

一日分の着替えとか、そこそこの荷物を持って。

 

話の中で、今日は紬と俺と静久の三人で灯台に泊まろうということになったので鏡子さんの許可を得て灯台へ戻っている所だった。

 

長く感じた灯台までの道も今ではすっかりお手の物だ。

 

トントンと灯台のドアをノック。

 

「紬さーーーん、来ましたよーーー」

 

ガチャリとドアが開いた。

 

「いらっしゃいませーーー」

 

「.....」

 

猫だった。

 

「むにゃーーーー」

 

かわいい。

 

「猫です」

 

「猫だな」

 

「ではご案内しまーーす」

 

説明終わった。

 

「シズクも来ていますよ」

 

「ウンモーーーーーー」

 

牛がいた。なるほど。あのパジャマは静久産か。

 

「あっ、ごめんなさい」

 

「いや別に謝るような事じゃ」

 

「ううん、違うの。本当はもう一着パジャマを用意出来れば良かったんだけど、急だったから」

 

「どういうパジャマを用意するつもりだったんですか?」

 

紬が言った。

 

「サソリのパジャマよ。繕うのがとても大変で」

 

「さっサソリ?」

 

着ぐるみに無さそうなモノを選択されてた。

 

「だって、あなたは毒の抜けたサソリなんでしょ?」

 

「あっ、あぁ」

 

フェリーで言ってたあれ、島に住んでいない静久にまで拡がっていたのか。島の情報網って怖い。

 

それにしても、と俺は灯台の中を見渡した。

 

灯台の外で遊んでばかりだったから、灯台に入るのは初めてだった。

 

灯台の中は古臭かったが、紬が集めてきたぬいぐるみが所かしこに並べられていて、机の上にある瓶に花がいけてあり、女の子の部屋っぽく改装されていた。

 

「これ、全部漂流物?」

 

「そですにゃ!」

 

うぐっ...

 

「紬..」

 

「むにゃ?」

 

「辞めてくれ、何か頭を撫でたくなる...」

 

「むにゃーー」

 

照れた。

 

「それはダメよ。猫なら首を撫でてあげないと」

 

静久!?

 

「そっそれが猫のしゅくめーであれば、撫でられてみせます!」

 

マジか..

 

「ほら、やってあげましょう」

 

「おっ、おう」

 

静久に促されるまま、俺は首に手を伸ばした。

 

「・・・・・」

 

「ゴロゴーロゴーローロー」

 

あの歌の猫バージョンが出た。ご満悦な様子だ。

 

「そう言えば、この歌は何なんだ?」

 

「むにゃ?」

 

紬が楽しい時に出る曲なのは知っていた。だけど、そもそもこの曲が何なのかを俺は知らなかった。

 

「原曲はね、ドイツの民謡から来ている曲なの」

 

「ドイツ?」

 

そう言えば紬の名字は『ヴェンダース』だった。ドイツ由来なのかもしれない。

 

「でも歌詞は私たちのオリジナルでね、この島に来てから作ったものなの」

 

「そうなのか?」

 

「はい、3人のがっさくです!」

 

「3人?」

 

「私と、シズクと、もう一人、私の大切な人が私のために作ってくれた曲なんです」

 

紬が、懐かしむような顔をしていた。普段は見せない表情だった。

 

紬に大切に思われてる人はどういう人なのか、少し興味が湧いた。

 

「ふわーーーっーーぁー」

 

その後もパリングルスを食べながら(紬のパジャマの手では掴めないから食べさせた(何故か静久も便乗))たくさんお喋りをした時、静久が大きな欠伸をした。

 

「むにゃ...」

 

紬も首をコックリコックリしている。

 

「二人とも眠そうだな」

 

「えぇ、ちょっと長くお喋りし過ぎたみたい...」

 

「そうか?」

 

俺は窓の外を見た。

 

確かに長く話していたが、まだ太陽は沈んでおらず、西日が灯台に差し込んでいた。

 

「むにゃ..」

 

コテンとまず紬が落ちた。

 

「ごめんね。寝不足は..おっぱいの..天敵..だから...」

 

と言って、静久もコテンと落ちた。

 

「・・・・・」

 

まぁ眠いならしょうがない。少し早いけど、俺も寝るか。

 

俺も横になった。夕方に寝るなんて初めての経験だけど、たまにはいいか。

 

夏休みはまだまだ続くんだ。永遠に、ずっと。それでいい。その後の事は...

 

目を閉じて、俺はいつの間にか眠った。

 

 

 

 

 

 

『いいか、その気持ちに蓋をしたらダメだ。お前はお前だ。お前が、正しいと思った事をするんだ。心に従え』

 

誰かが言ったその言葉が、胸の奥に引っ掛かりながら。

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