仮面ライダーAGITΩ〜Shining Brave〜   作:シュープリン

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August 9th(maybe)

お泊りも終わり、俺は一度鏡子さんの家に帰った。

 

昨日は本当に楽しかった。

 

灯台の中に泊まるなんて初めてだったし、静久や紬と話すのは楽しかった。パリングルスは美味しかった。灯台で見る星は、紬の言う通りとても綺麗だった。

 

心にあるしこりが取れたみたいで、優しい時間が流れていた。

 

「〜♪」

 

俺もつい、紬の鼻唄を口ぐさんでいた。

 

頭に思い浮かぶのは紬。俺に楽しい夏休みをくれた特別な存在。

 

紬..紬..紬..。

 

もしかして、俺は紬の事が...。

 

「おはよう静久」

 

「おはよう」

 

灯台に行くと、静久が既に待っていた。

 

「紬は?」

 

「まだ来てないわ。多分、灯台で色々準備してるんじゃない?」

 

「そうか」

 

昨日の今日だからな。色々あって当然だ。

 

「なぁ、静久」

 

「うん?」

 

今のうちにと、俺は静久に今の気持ちを伝えようと口を開いた。

 

「俺、もしかしたら紬の事..」

 

一息ついてからさらに続けた。

 

「好きになったかもしれー」

 

「ダメよ」

 

そんな俺の気持ちを、静久が遮った。いつものおっぱいを思い出すような柔らかい感じではなく、どこか硬く冷たく感じだった。

 

夏の空気も凍るほどの間が、確かにそこには流れていた。

 

「いやっ、えっと...えっ?」

 

思考が固まり、俺は間抜けな声を出すのでやっとだった。

 

「だってあなた、紬が好きってわけではないでしょう?」

 

意味が分からなかった。目の前の娘は、俺の抱えている気持ちは偽物だと看破する。

 

何を根拠に?いや、ずっと一緒にいたのだから、態度とかそういうのはあるかもしれないが、そこまで露骨だったか?俺が嘘をついているとでもーー

 

「嘘ではないわ」

 

心を読まれたかのように先回りされた。今日の静久は何かが違う。いや、違うというなら...

 

「あなたが私と紬が好きなことは嘘ではない。でも、そうね、それが分からない内は、きっと帰れない」

 

「それってどういう...」

 

「それにね」

 

静久が言った。

 

「紬、もう恋人がいるのよ」

 

「えっ?そうなの?」

 

今日一番の衝撃だった。

 

「遠距離で遠くにいるんだけどね、あなたみたいに夏に出会ってそのまま」

 

「そうだったんだ」

 

嘘云々は分からないけど、それ以前の問題だった。

 

そりゃそうか。あれだけかわいくて純粋な子、恋人がいないと考える方が不自然だ。

 

「お待たせしました〜!」

 

ちょうどその時、灯台の扉が開いて紬が出てきた。

 

「おはよう紬。昨日は楽しかったわね」

 

話はそこで終わりだった。いつもの柔らかい物腰に戻っていた。

 

それからは、紬に対する好意は忘れるように努めた。

 

しかし、忘れようとするほどそれを逆に意識してしまうのが人間だ。

 

そして、考えれば考えるほど、最後は静久の言葉に行き着く。

 

『ダメよ』

 

紬が好きという訳では無いとはどういう意味だ?

 

この気持ちが偽物なら、本当の俺の気持ちは何だ?

 

俺は一体、何がしたいんだ?

 

考え疲れたのか、その日は夕方の内に眠りについた。

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