仮面ライダーAGITΩ〜Shining Brave〜 作:シュープリン
ある時、ある場所で俺は誰かと会っていた。
全てが抽象的なのは、それだけ記憶が曖昧だからだ。
それが夢なのか、いつかの記憶なのか、今現在起きている事なのか、俺が昔読んだ本の物語なのか、俺の妄想なのか、全てが分からない。
まるで熱の時に見る夢のような、ただひたすらに一心に泳いでいる時のような、得体の知れない者と戦っている時のような無の心。
終わればそれは川の流れと共に霧散するような、そんな薄くて脆い、すぐに消えるほどに弱い物。
これは何だと俺は必死に思い起こす。
まず、何が見える?
すぐに答えは出る。
それは金色。
窓から見える景色が金色に輝いていた事。
辺り一面が窓からの輝きに反射し、全てを金色に染める。
そこから俺は、時刻は夕方だと推理する。
さらに、俺は『窓からの景色が金色に輝いてる』と思った。
つまり場所は室内。
そう言えば、石畳を歩いているような感覚が、その時にはあったのを思い出す。
じゃあ次だ。
俺は誰に会っていた?
分からない。だけど、その人が泣いていた事は覚えている。
夏休みが終わったら帰らないといけない。それが哀しくて、身を切られるほどに辛くて、こんな時間が永遠に続いて欲しくて、帰りたくなくて、ただ泣いていた。
帰りたくなかったのだ。
積み上げた物は容易に崩れ、それでも必死に守ろうとしたものは零れ落ち、消え落ち、傷ついて傷ついて傷ついて。その果てが全く見えなくて、全てから逃げたかった。
誰かは俺に訊いた。
今日はここに泊まらないかと。
それに対して、俺は答えた。
「今日は泊まらないよ」
続けて俺はこう言った。
「大丈夫。夏休みは終わらないから」
※
一緒に灯台に泊まった、灯台を皆で掃除した。ぬいぐるみを綺麗にした。おっぱいが大きくなるとかいう謎の体操をやらされた。かき氷で涼んだ。島の外へ行った。島の外で甘い物を食べたり、ゲームセンターを満喫したり、水着を選んだり、ぬいぐるみ屋でたくさんのぬいぐるみを眺めたり、充実した1日だった。
パリングルスを食べた。
そのパリングルスでベランダを作ると聞いた時は、大いに驚いた。
やりたいことが次から次へと出てくる彼女に、俺は眩しさを感じていた。
金色の笑顔に、俺は憧れすら抱いていた。
だからこそ、俺は考えてしまう。光が眩しければ眩しいほど、影は長く伸びる。
俺は本当にここにいるべきなのか?
俺は本当は、何がしたいのか?
俺のやりたい事が、分からない。
※
「大丈夫。夏休みは終わらないから」
※
俺のやりたい事が分からない
※
「大丈夫。夏休みは終わらないから」
※
俺は今どこにいるのか。それが全く分からない。