仮面ライダーAGITΩ〜Shining Brave〜 作:シュープリン
気付くと俺は、鳥白島に立っていた。
※
分からない。
どういう事だ?
何が起こっている?
回想する。考えろ。何がどうなったのかを。
※
今日俺は、紬と静久と3人で駄菓子屋でかき氷を買っていた。紬と俺は宇治金時。静久は裏メニューのスイを買った。
粋だと思った。
それを食べながら灯台へ戻った時、大きな風が吹いた。
気が付くと、紬も静久も手に持っていたかき氷も消えていた。
夏の暑さがじっとりと感じる中で俺はその場に立っていた。
何がなんだかさっぱり分からない。
「紬?」
俺はたまらなくなり走った。
「紬!!!」
走った。
「静久!紬!」
辺りをくまなく探す。隠れて脅かそうとしてるだけ、そんなささやかな日常だと縋って。
思い込みなのは分かってる。でもそう思ってないとやっていけない。そう信じないと、とても走れない。
「蒼!良一!天善!のみき!しろは!鴎!鏡子さん!」
そして気付いた。
消えたのは紬と静久だけではない。
島民が全員消えていたのだと。
外で遊ぶ子どもの声も、港で笑う漁師の声も、世間話をするおばさんやおばあちゃんの声も、夏の暑さを一層引き立たせる蝉の声も、何も聞こえない。
夏のじっとりとした暑さ以外の物が、島ごと他の物全てから切り離されたように何も無かった。
暑さと疲れで俺はとうとう立ち止まった。
どれだけ走った?数時間?誰もいない恐怖で麻痺してるだけで、1時間も経っていない可能性も否定できない。
太陽がずっと真上にある気がする。腕時計は秒針がピクリとも動かない。電池切れか?
蒼に太陽から時間が分かる方法を聞けば良かったかな。
どこかで休もう。少しだけ。
※
休むと言えば、1つしかない。この島に来て心から休まる場所はあそこだけ。
光に導かれ船が泊まるように、傷ついた心を休める場所は1つだけ。
探していない場所は1つだけ。
※
頭の中には常にその場所を思い浮かんでいた。だけど、行くことは出来なかった。
怖かった。
もしも誰もいなかったら、俺は本当に一人なのだと思い知らされる気がして。
だけどもう、そうは言ってられない。
ここが何なのか、俺に今何が起こってるのか。何も分からない。
言い訳も尽きた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー行こう。
※
俺は灯台に来ていた。
※
夏休みの間毎日のように見たレンガ造りの灯台が、確かに立っていた。
だけど、外には誰もいなかった。
俺は灯台のドアノブを掴んだ。
この中に紬と静久がいるかもしれない。
それは喜ばしい事なのに、ドアノブに力が入らない。
不安が夏の暑さとともにじっとりと纏わりつく。
不安の正体も分からない。
分からないまま、俺は意を決して、ドアノブに無理矢理力を込めた。
そしてーーー、