三女神様の試練って過酷過ぎない?……え?私だけ?   作:通りすがりの錬金術師

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とりあえず浮かんだのを書いてみました。
ただ、導入部だからかクロス先要素多めで、ウマ娘要素は余りありません。


三女神様の試練って過酷過ぎない?……え?私だけ?

 4月。それは新生活の始まる時期である。

 数多の新入生が期待を胸に登校し、進級した人はそんな人たちを暖かく迎える。

 それはここ、トレセン学園――正式名称を『日本ウマ娘トレーニングセンター学園』という――でも同じ。

 ここに()()()()()()()()()()()()入学した彼女もその一人。

 

 

「ここまで長かった気がする……。うん、生きてるってほんと最高……!」

 

 

 嬉し涙を流しつつも謎の言葉を発する彼女の名は『ブラッドソウル』。同年代と比べて少し背が高く、綺麗な白銀の毛並み、血のような紅い目が特徴のウマ娘だ。

 

 

「見ててね、皆。私、ここから『ブラッドソウル』の名前を世界に響かせてみせるから!」

 

 

 涙を拭い、そう意気込みを口にすると、彼女は教室へと歩いて行ったのだった。

 

 

 

 

 さて、誰もが気になっているだろう事は、何故彼女の入学が遅れたのか、だろう。

 

 ブラッドソウルは、ほとんどのウマ娘たちと同じく、幼い頃に見たトゥインクルシリーズに憧れを持った。そこで走りたいという夢を追うために、必死になって勉強し、走りの練習もして、トレセン学園の入学資格を得たのが去年の3月。

 入学まであと少し、そんなときに()()は起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ソウル!目を覚まして!』

 

『お母さん、落ち着いて下さい!』

 

『空いてる病院は?……見つかった?よし、運ぶぞ!』

 

 

 

 その日の朝。いつもなら、すでに起きているブラッドソウルがいないことをおかしく思った母親が、彼女の部屋に行くと、彼女は普通にベッドで眠っていた。

 寝坊かと思って、揺すって起こそうとしたが、一向に目覚めることはなかった。これはまずい、と思いすぐに通報。家に救急車が来るまでずっと、そして救急車の中でも、呼び掛け続けた。

 しかし、目覚める事はなく昏睡状態が続いた。特に持病もなく、前日まで元気だった為、医者にもその原因は分からず、彼女は最終的に一年ほど眠り続けたのだった。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 眠ったと思ったら三女神様に出会って、異世界に送られた件。

 

 

 この一年を、よく見るようなタイトル風にしたらこんな感じ。

 もう少し詳しく言うと、

 

三女神様と会う夢を見る

三女神様から試練を受ける

(何故か)異世界に飛ばされる

 

 

 うん、ほんとにワケワカンナイヨ……。

 試練の内容はランダムで決まるそう。例に挙げられたのは、模擬レースで何着以内、だとか、指定の距離を何秒以内で走る、だとかだったんだけど……。私の試練内容を見た女神様の様子は明らかに動揺してて、その後に憐れみの視線を感じた。

 

 

 そこから始まった私の、試練という名の異世界生活。

 

 

『あ、現実と試練世界は時間がリンクしてるってのを言い忘れたわ。……まあ、いっか。すぐに終わることになるでしょうし』

 

 

 私を送った後、女神様はそんな事を思っていたらしい。それもそのはず。悪ふざけで作った異世界試練だけど、難易度は凶悪。でも消すのは勿体無いから、と神様パワー(?)で極低確率でしか出ないようにして、試練の一つに加えたらしい。

 で、運悪く私がそれを引いてしまったと。ふざけんな、と試練が終わって聞いたときに言った。思った、じゃくて、はっきりと言った。やっぱり神ってやつは○○(※表現規制)なんだ!私の手に愛鎌(カレン)が残ってたら衝動のままに振るってたかも知れない。

 

 でも、あの世界に行って良かったと思ったのも事実。レースを全て走り終えたら、(まあ、現実と比べたら地獄のような世界ではあるけども)そこで(もう一つの家族)と一緒に過ごす(戦う)のも悪くないかな、と思ってたり。試練の為の世界らしいし、もう行けないだろうけど。

 

 

 思い出す。一年前の始まりを。あの奇跡の日を。

 

 すぐに終わると予想されてただけに鬼畜仕様だった。降りたって早々に死にかけた。でも私は、女神様の予想を越えて生き延びた。コウタさん達に助けて貰えたから。

 私がウマ娘であること、スタミナに自信があってそこそこ長い間逃げれたこと、コウタさん達は近場で任務があったこと、など色々な要因が重なったお陰で生き延びれたのだと思う。

 コウタさん達との出会いは中々に衝撃的で、一生忘れる事はないだろう。私がトゥインクルシリーズに見たのとは、また別のカッコよさがそこにはあった。

 

 助けてくれたのがコウタさん達だと言うのも幸運だったと思う。

 私がヒトミミじゃない事を知った(あの世界にはウマ娘が居なかった)コウタさんは、すぐに博士なるヒトに連絡を取って、その指示通りに裏口から拠点に案内して貰えた。他の二人はこの裏口を知らなかったらしく、驚いていた。なんでこんな都合のいい裏口があったのかは気になったけど、結局最後まで聞かなかったから分からず仕舞いだ。

 

 その後はなんやかんやで色々あって、私は彼らの仲間として活動することに。流石にヒトしかいない世界で私の姿は色々とまずいので、ヒトであればヒトミミのある位置に大きめの耳当てを着けて、ウマミミを隠す為の帽子を被りカモフラージュをする。尻尾は、無理矢理押さえ付けると調子が狂うからそのまま。全身キグルミのヒト*1とかいるし、尻尾だけなら出しててもそういう趣味のヒトだと思ってくれるだろう、って事で話が進んだ。

 

 そして、彼らと活動を始めてから暫くして、私は運命と出会った。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「『ブラッド』……?」

 

 

 アナグラ*2での訓練を終えて休んでいた私は、エリナちゃんが雑談で挙げた名前に興味を持った。

 

 

「ほら、最近増えてきたでしょ?感応種」

 

「あぁ……」

 

 

 感応種とは、最近現れるようになってきた新しいアラガミ*3だ。奴らの前では対アラガミ用武器である神機は機能を停止してしまって、倒すどころかまともに戦う事も出来ない。

 

 

「その感応種を倒せる本部の部隊なんだって」

 

「ほんとに!?その部隊がアナグラに来るってことは、もう誘導任務しなくてもいいってことだよね」

 

「……あ、そうか。ソウルは誘導任務やってるんだっけ」

 

 

 その為、感応種が現れた場合、放置してても問題ない場所へ誘導する必要がある。それを担当するのは主にベテランの神機使いなのだけど……。ウマ娘である私は素の身体能力だけなら他の神機使いより高いので、たまに駆り出される事がある。正直、あの任務は生きた心地がしない。

 

 

「そうそう。流石にベテランのヒト達みたいに一人でってのはないけど……」

 

「神機使えないのは厳しいよね」

 

「ま、それももう解決するだろうし、少しは楽になるかな。後は、『ブラッド』って名前には親近感を覚えるね」

 

「『ブラッドソウル』だもんね」

 

 

 あ、ちなみに私は今、カミジ・B・タマという仮名で過ごしている。カミジというのはお母さんの名字で、漢字で書くと『上地』になる。かなり昔は『神血』だったらしいってのは聞いたことある。タマは『魂』。ブラッドソウルだから血の魂って訳。安直だけど偽名ってそんなものでしょ?

 

 

「色々お話聞いてみたいけど、新人の私じゃ一緒になる機会はないかな」

 

「別にそうでもないんじゃない?コウタ隊長とエミールがこの前合同任務やったみたいだし。その繋がりで話せると思うよ」

 

 

 ほほう?それは楽しみだね。

 

 

 

 

 そんな話をした数日後、私は博士に呼び出された。心当たりは……なくもない。

 博士に作って貰った巨大にんじん*4を食べ過ぎたこと?それとも昨日のメディカルチェックで注射に怯えて、暫く逃げ回ったこと?それとも……。

 あれこれ考えながら歩いていると支部長室に着いた。

 

 

「博士。ソウルです」

 

『ああ、入ってくれたまえ』

 

 

 許可が出たので入ると

 

 

「よっ!」

 

「あれ、コウタさん?」

 

 

 部屋のソファーにコウタさんが座っていた。そしてコウタさんに促されるままに私も座る。

 

 

「さて、それではソウル君。単刀直入に言うと、『ブラッド』に行く気はあるかい?」

 

「……はい?」

 

「博士ー。流石に『ブラッド』について説明はしておいた方がいいんじゃないっすか?」

 

「おっと、それもそうだね」

 

「あ、いや!『ブラッド』については知ってます!大丈夫です!」

 

 

 余りにも突然過ぎて、思考が追い付かなかっただけで、言われた事は理解出来る。でも、なんで?私は神機使いとしては新人だし、偏食因子の適合率については最底辺に近く、正直ウマ娘としての身体能力で無理矢理神機を動かしてるに過ぎない。そんな私が?本部のエリート部隊に?無理無理、恐れ多いです……。

 そんなことを博士に伝えたが、

 

 

「おや、そうかい?私たちはそうは思わないけどね。そうだよね、コウタ君」

 

「ええ、博士。ソウルは偏食因子への適合率が足を引っ張ってる以外はかなりの高水準で、ベテランと比べても遜色無いですよ」

 

「いや、でもその適性が問題なんじゃないですか」

 

「そう、そこで『ブラッド』なんだよ」

 

 

 どういうこと?疑問を浮かべる私に博士は説明を始める。

 曰く、普通の神機使いと『ブラッド』は、神機のオラクル細胞*5を制御してる偏食因子が異なっていて、その為に感応種と戦えるとのこと。

 そして、昨日のメディカルチェックでついでとばかりに『ブラッド』の使っているP66偏食因子の適性検査も行った結果、今使っているP53偏食因子に比べてはるかに高い*6適性値が出たそう。この事はまだ本部には伝えてないらしい。私が希望しないなら、このまま伝えない方針だそう。私がウマ娘だという問題もあるしね。

 

 

「それで、君はどうするかい?どちらを選んでも、私たちは君のサポートを継続するよ」

 

「……『ブラッド』に行けば、強くなれるんですよね」

 

「そうだね。君の唯一の問題点である偏食因子の適合率の低さが解消されるから、明らかに強くはなるだろう」

 

「そしたらより多くのヒトを助けられますよね」

 

 

 まだ2ヶ月と経ってないけど、目の前で助けられなかった命は多い。それは民間人もそうだし、同じ神機使いもそう。その時に、もっと力があればと、悔しい思いをした。

 だから、強くなれるのであれば、私の答えはもう決まっていた。

 

 

「行きます、『ブラッド』に」

 

 

 そう言った数日後、ついに『ブラッド』がアナグラへと到着した。

 

*1
正体不明(ソウルのコメント:なんでそんなのいるの?)

*2
フェンリル極東支部の通称

*3
GOD EATERという狩りゲーに出てくる敵。モンハンでいうモンスターにあたる

*4
食料不足の解消の為、とうもろこしやお米等様々な物が巨大化されている

*5
アラガミを構成する『考えて、喰らう』細胞。単細胞生物に近く、あらゆるものを取り込み自己進化する。神機も人工物ではあるがアラガミそのものでもある

*6
元々が低かっただけ




メインはウマ娘世界。GE世界は巻きで終わらせて本編いきたい。


女神の試練
トレセンへと入学するウマ娘がある時期に三女神より受けるもの。クリア出来た試練の難易度が高いほど、受けとる力は強くなる。たまに進級の時に受けるウマ娘もいる。
しかし、ウマ娘本人には試練どころか、三女神に会った記憶すら残らない……はずだった。

異世界試練
女神の試練の中でも凶悪難易度を誇るもの。三女神が観測した別世界(ゲームなどの世界)を模した世界で行われる。その世界で何があろうとも現実の体には何の問題も起きない。
勢いと悪のりで作られたものであるが、消すのも勿体無いと言うことで残された。ただし出現率は10のマイナス6乗%と、出ないことはないがものすごく低い。
一応クリア条件はエンディングに辿り着く事だが、難易度のせいか失敗しても力は貰える。当然、エンディングに近づくほど貰える力は大きくなる。

ブラッドソウル(愛称:ソウル)
容姿は文中冒頭で述べた通り。消えるはずの試練に関する記憶が残っている。
異世界試練が存在しなければ、1勝クラスで終わっていただろうウマ娘。しかし、異世界試練を経験した彼女は……?
(GE編)
初めて会った神機使いの内二人が神機に愛称を付けていたため、そういうものだと思って彼女も愛称を付けた。極東支部初のヴァリアントサイズ使い。

一話時点での使用神機(愛称:カレン)
刀身:クロガネ大鎌型風詠(ヴァリアントサイズ)
銃身:ガストラフェテス(スナイパー)
装甲:クロガネ壁盾止岩(タワーシールド)
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