Fate/extra future   作:きちきちきち

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第2話

(ここは…?)

意識が浮上し、目を覚ます。辺りは白い壁に白い天井。清潔感に満たされた無機質空間。

その中で何故か、静寂である事がとても怖い。

とりあえず動かなくては。自分は何かをするべきかと、少なくともこうして寝ている場合ではなかったはずだ。

 

「っぅ」

腕を支えにベッド絡みを起こした途端。突然、手に走る痛み、そこに描かれた蛇をモチーフにした紋様。

―――令呪だ。それを見て意識が覚醒する。

「ぐ、そうだ…オレは…聖杯戦争に、サーヴァン…そうだオレのキャスターは!」

「ほう、目を覚ましたか。君が73人目予選突破者だ。少年」

 起き上がり周囲を確認する、その近くから特徴的な渋い声が聞こえた。

「うげ」

 気が付けば、胡散臭い笑みを浮かべた鋼の男、監督役の役割(NPC)言峰綺礼がそこにいた。

 見ているだけで不安になるその顔、蔭の深い人物を認識して鉛のように重い脳味噌が、やっとの事で動き出した。

 

「おはよう、少年。とりあえず予選突破おめでとう。とでも言っておこうか。君の場合少しばかり特殊な事情があってだな。本来の保健室担当のNPCの代わりに、審判役である私が担当する事になった」

「っ特殊な事情…」

 召喚に際する空白時間(タイムラグ)の事を刺していると思われた。英雄の誰も召喚に応じなかった。言葉にすればそれだけだが。それは異常な事だとは予想できる。

 なぜならイレギュラーだからこそ、介入がなかった。ムーンセルは機械的に運用され、基本的に無駄を許さない。故に、一人にエリア一つの容量(メモリ)を長時間占有させ続ける道理はない。

 

「なるほど。その様子なら現状は理解はしているようだな。審判役たる私は、月の聖杯戦争に関する全ての裁定権限がある。勝利はしたが条件が満たせぬ者の可否の裁定は前例もなく非常に困ったのものだった。時間が隔離されているとはいえ、あの召喚場は共用だからな。精々、失格の判定をしなかった私に感謝するがいい」

 口元を歪め、鉄仮面のまま反応を愉しむように、言葉を重ねる彼。

 彼は源流たる物語(stay/night)における黒幕の一人を元にしたNPCだ。愉悦という名の悪悦をこよなく愛する外道、作中で評価された通りの胡散臭さと鋼の肉体による圧力を実感する。だからこの役割交代は割と嫌だった。

(今回限りだといいが…。ん、まてよ間桐桜も似たようなもんか、鬱だ)

 考え直す。そういえば本来の保健室担当NPCの間桐桜といえば、色々な次元でラスボスの種である。このムーンセルの人選の基準はなんなのだろうか。本気で謎だ。重要NPCにろくな奴がいない。

 

「…あぁ助かった。アンタの事だから善意ではないんだろうが」

「くっくく、よくわかっているじゃないか。なに、あれだけ芳しい慟哭と断末魔は滅多にない。実を言えばこちらが感謝したい所なのだよ。無理に役割(ロール)を捻じ込んだ価値はあったとゆうものだ」

 案の定の愉悦行動を聞き口が引き攣る。この言動、コピーとはいえ、ああやはりコイツは言峰綺礼だ。

 他人の不幸で飯がうまいコイツと、うまく付き合って行ける気がしない。そこも岸波白野(しゅじんこう)の器の大きさに脱帽するほかない。

 

「陰ながら面白い事になるのを祈っているよ。如何なる英雄(かのうせい)に見捨てられた。最低のマスター候補よ。精々足掻いてみるがいい」

「…っ!」

 見捨てられた。その言葉で思い浮かぶ、あの静寂の空間。ずきんと鈍痛。再発する、動悸と汗が。言峰綺礼の元になった人物は"傷を切開"するのを得意とする。的確に人の傷口にメスを入れてきた。

―――全てを良しとする『施しの英雄』すら、この身に応えなかったという事実は。

 未だに、『城井彰人』の心を重々しく蝕んでいた。英雄、反英雄。人類史の誰からも肯定されない存在だと勘違いするが故に。

 

「そこまでよ!」

―――ブン!

それを見て愉悦に浸る言峰の正面に、光が集まり実像が現れ、割り込んでその旗を監督役に付きつけた。

紺銀の輝きを放つ、サーヴァント、キャスター。今まで霊体化して話を聞いていたらしい。

「ぼくのマスターに随分と失礼なこと言うのね。さては相応の覚悟があっての事かしら」

「おっと失礼した。名も知らぬサーヴァントよ。少々興が乗ってしまったようだ。これでも私の元になった人物は神父なのでね。迷える子羊は放って置けはしなかったのだよ。頼もしいサーヴァントもいる事だ。ならば私はもう行こう。審判役も暇ではないのでね」

 がららがらと、木風なスライドドアの音。最後まで鉄仮面のまま、この場から逃げる様に去る外道神父。

 今までのやり取りで、キャスターもコレの性根が何となく感じとれたようだ。苦虫を噛み潰した如く表情をしていた。

 彼に監督役(ロール)がなければ、一発殴っていた事は想像に難くない。

 

「……」

 言峰綺礼が出て行った後も、とにかく呼吸を落ち着かせようと。

空白の時間が生まれる。

 早くに動悸と発汗が落ち着いてきた。誰か味方がいるというのはこんなにも得難い。それを再度実感した。

「ふぅ行ったわね。何なのアイツ。マスター?だめじゃないボクのマスターなんだから、あんな性悪言い負かす気概が欲しいよ!」

「ぁぁ、ごめん」

興奮しながら苦言を呈するキャスター。

彼女がいる。膨大な英霊の座から一人だけでも、召喚に応えてくれれば聖杯戦争に参加するには十分だ。

意識を切り替えて、とにかく先に進む為の強さ(メンタル)を取り繕った。

 

「改めて。貴方がオレのサーヴァントって事で間違えないよな。オレの名前は城井彰人、今回の聖杯戦争に参加したマスターの一人だ」

「うん。ボクはサーヴァントキャスター、契約に応じて参上した事に間違えはないわ」

 手を差し伸ばして握手。

 とりあえずお互いに様子見と言った所だろう。聖杯を求めるパートナーの初接触としては悪くない感触だ。

 信頼関係はこれから構築していくとして、とりあえず自身のサーヴァントの情報が欲しかった。

 

「とにかく情報交換。サーヴァントの特性を知っておく事は勝ち抜くために必須な物だ。サーヴァントとしての君の情報をできるだけ開示して欲しい」

「ふふん、当然だね。クラスはキャスターそして驚きなさいボクの真名は…」

 自分で言ってなんだが、早々に自信満々に。真名を明かそうとするキャスターに不安を覚えた。

 聖杯戦争における魔術師(キャスター)というクラス。その真価は自陣での防衛戦や強力な魔術、高い魔力、そして古の権謀術数の数々を利用した謀略戦にあり、戦術的なサーヴァント戦よりも戦略的な行動に適したクラスである。

 本当に彼女はキャスターのサーヴァントなのだろうか、腹芸の気配すら感じさせぬドヤ顔に、その片鱗は全く見えない。

 とりあえず都合がいいので次の言葉を待つ。が、それも酷く意外な真名だった。

 

「―――僕の真名はジャンヌ・ダルク。東欧のフランスを救った大英雄なのだから」

 

 

 

―――しばらく置いて。アリーナの一回層にて。

 ここはムーンセル表層アリーナ、光を湛えた海の波紋に包まれた静けさなタイルで構成された空間。

 月の聖杯戦争参加者に用意されていた鍛錬の場。だが同時に勝者を振り分ける篩いの一つでもある。参加者はそれぞれの一回戦猶予期間(モラトリアム)にアリーナを踏破し、隠された2つの暗号鍵(トリガーキー)を見つけなくては決戦に挑む事すらできない。

 その中に旗を振るい。青きタイルを駆ける戦乙女が一騎いた。

「前方に敵性プログラム(エネミー)一つ。君の力を見せてもらおうか」

「勿論、っふ―――ヤァァァ!!」

 旗槍の一振り、敵性プログラム(エネミー)が砕ける音が遠くに聞こえた。あの後とりあえず力を見せてもらおうと迷宮に脚を運んだわけだが。正直、頭が混乱している。

 異端(イレギュラー)異端(イレギュラー)を呼んだか、本来有り得ない英雄を召喚してしまったらしい。

 

「ふむ、キャスターでありながら肉弾戦か。そこそこやれるな」

―――聖処女ジャンヌ・ダルク。

 百年戦争で有名なフランスの大英雄。オルレアンの聖処女ジャンヌ・ダルク。

おそらく日本で最も有名な聖女。十七歳で故郷を発ち、十九歳で火刑に処されるわずか二年間で歴史に名を 刻んだ。百年戦争においてフランスを救った聖女であり、奇跡とも呼べる快進撃を成し遂げた後、貶められて悲劇的な結末を迎えた。

 

 文句なしの大英雄であり、召喚する事ができれば優勝候補筆頭に上がる超一級サーヴァント。

 ……なのだが、元の世界の史実はともかくこの世界では、魔女に堕ちる素養が皆無という、正真正銘の聖人という事が明言されていた。

 故に、キャスタークラスで呼ばれるはずのない、それどころか聖杯に託す願いが無い為裁定者(ルーラー)以外では、聖杯戦争に呼ばれる可能性がないとはっきり定められている。

 

(難儀な…、うまく使えばいいのか)

 この事から、大体察する事が出来た。このサーヴァントは、救国の大英雄ジャンヌ・ダルクの殻を被った何者かなのだと。

 例がない訳ではない。ツバメ返しという要素に被った実体なき亡霊『佐々木小次郎』、ハサン代々の秘儀を納めハサンなくハサンを被った『――――――(名前なきアサシン)』。更に自らの意志で、弁慶を被りその無二の威風を演じ伝える『常陸坊海尊』。

例外とはいえ前例はある。故に重要なのはジャンヌダルクを被った英雄の実体なのだが…。

 

(今はまだ問わない方がが良いか。仮にも彼女がジャンヌ・ダルクと名乗ったのだから)

 藪を突く必要はない。踏み込むには信頼関係がまだ浅い。

 そうやってとりあえず問題を先送りにして。自身のサーヴァントという事実で認識した。そしてエネミーを屠る彼女を配布された携帯機器でマトリクスを加味して分析していく。

 

【CLASS】キャスター

【マスター】城井 彰人

【真名】ジャンヌ・ダルク?【】

【性別】女性

【身長・体重】157cm・49kg

【属性】混沌・中庸

【ステータス】筋力D 耐久D 敏捷C 魔力C+ 幸運D 宝具C+

【クラス別スキル】

陣地作成:E

 自力での陣地作成は不可能。

 ■■■、■■■■■■■■、■■■■■、■■■■■■■。

道具作成:E

 自力での道具作成は不可能。

■■■、■■■■■■■■、■■■■■、■■■■■■■。

【固有スキル】

 魔術(偽):C+

 ヨーロッパ各地の土着信仰に由来したマイナーな魔術と黒魔術を行使する。

 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■、■■■■■■■■■■■■■■■■。

 

 ?????? ?

 

 ?? ?

以下不明。

 これが戦闘を観察して現在判明している情報だ。ムーンセルのマトリクスは判明していること以上の情報を開示しない。まだ黒塗りも多いがこれを見て一言。

(なんだこれ、どこがキャスターだ)

 魔術師が魔術師たる所以を微塵も感じないステータスだ。陣地作成は不可、道具も作成できず、魔術のランクも決して高くない。ステータスが最低限あるとはいえ、近接戦に頼るのは心もとない。というか魔術に(偽)と書いてあるのが非常に気になる。

 

「どうマスター、これがぼくの実力!凡百のエネミーなんて相手にならないわ」

 そんなマスターの胸中も、お構いなしに旗槍の長柄で力任せにエネミーを叩きのめし胸を張るキャスター。魔術を使え魔術を。

 

「うん、強いな。キャスターの近接戦でここまでやれるなんて」

「あ、当たり前じゃない。ボクは大英雄ジャンヌダルクなんだから!」

「そうか」

 少し皮肉交じりに褒めたたえておく。

 流石に宝具の情報を明かせば、真名を偽っている事がばれるだろう。距離感がつかめてないならまだ直接は聞けない、だが技能(スキル)、宝具の情報は欲しい。ぽろっと零してくれないだろうか。

 

「っいったぁ」

 流石に連戦に疲れたかエネミーに反撃の一撃をもらうキャスター。

「ん、大丈夫か」

「何てことない!ここはぼくの魔術で」

迫るエネミーに、やけっぱちにキャスターが呪文を唱える。

「"我は監視者、黒き羽はわが手先、この者地に縛り付けよ!!"」

だが、マトリクスを見ても一流の魔術師に必須の技能、魔術詠唱を早める技術は開示されない。

「"黒鴉の戯"」

 一節の言葉を経て呪術による黒い鴉を模した虚像が現れ、エネミーの動きを阻害する。

 ゲーム的に言えば俊敏をダウンさせスタンさせる効果だろうか。だがこの後にキャスターに動きはない、動かない。

 

「や、やった。成功したんだ。初めてだけどうまくいったわ」

「おい、なんか聞き捨てならないこと言ってるが、隙作ったならとりあえず殴れ!!」

「あ、そ、そうね!」

 固まっていた彼女に指示を飛ばして攻撃させる。直撃を食らったエネミーはゆっくりと霊子の海へと霧散していった。それを見て思う。

(これは…はぁ、うちのキャスター、魔術も戦闘も本職じゃないな)

 (偽)と付いているのも加味して考えると、逸話等で、死後に魔術を使えるようになった類なのではないだろうか。英霊にはそう言う類の逸話を元にした後付けもかなりいる。

 自身の行いに驚いて立ち止まる様は、改めて魔術師のサーヴァントには見えない。

 

そして。

 霧散したエネミーが経験値《リソース》と身体(アバター)に吸収されていく。

「とりあえずお疲れ様、これが経験値を得るって事か。お金も出てくるし、実際体験するとゲーム染みて違和感あるな」

「そう?ぼくは都合の良いのは大歓迎だよ」

 旗を肩に担ぎ仰ぐキャスターの被った英雄。彼女はジャンヌダルク(聖処女)の事を誇らしげに語る事が多い。

 無銘のハサンと同じく、彼女が生前に聖人であるジャンヌの熱狂的な信者で在り、人しれず研鑽を積んだ無銘と言う可能性もあり。それなら該当する名に心当たりがある。

 だが、それでは負の側面である、神の名のもとに、フランスとイギリスを振り回した魔女という側面で顕れる理由がわからないし、初めて魔術を使用したという言葉にも合わない。

 

(せめて宝具がわからないとなぁ、だがC+は一般的な宝具程度だよな)

 元々の聖杯戦争にとって強力なサーヴァントほど、魔術に抵抗のあるサーヴァントが多い。

 故にキャスターは宝具便りになりやすいのだが。戦闘の様子を見て、これだけは何とか聞き出そうと方針転換を心に決めた

 

 その後は、幾らかエネミーを倒し、慣らしは終わってアリーナより帰還した。

 月海原学園は予選と同じくかなり閑散としていた。まだ様子見しているマスターが多いのか。まだ脱落者が居ない証拠だろうか。単純に初日にアリーナに挑もうという者が少ないだけなのか。

「さてこの後とりあえずマイルームの鍵をもらいに行って、反省会といきたいのだが。不満はあるか?」

「マスターの方針には従うよ。得難い機会、とりあえずマスターのお手並み拝見と行くよ」

 彼女はとりあえずこちらの指示には従うようだ。公舎の廊下を歩きながら、今後の方針を考える。サーヴァントとのコミュニケーションは第一、その次に重要施設の確認だ。特に経験値(リソース)を使いサーヴァントの強化を行う"魂の改竄"を行う青崎姉妹は確実に存在しているかはわからない。

 

他の足音が響く、そして遠くに見える二つの影。

「向こうから足音がするキャスター、霊体化をして」

「?、わかったわ」

 その言葉と伴にキャスターの姿が掻き消えた。

 そのまま静かに廊下を歩く。真名を看破されるかもしれないリスクがある以上、警戒するには越した事がない。施しの英雄や、英雄の王、童話作家、そして城井彰人の一見はそのまま真名看破に繋がる。そんな例外が他にいないとも限らない。

 とにかく足を潜め、不意に立ち会った振りして、知らぬ誰かのサーヴァントを確認しようとするが…。

 

「あれ?セイバーが警戒しろっていうから、何かと思ったらアキトさんじゃないですか。よかった、あなたも予選突破できたんですね!」

「ん、予選の魔術師(ウィザード)か。どうにか、お陰様でね」

 姿を見せたのは魔術師『窪田千砂』。

 彼女も無事に予選を突破したようだ。更に先に気が付かれていたようで。しっかりとサーヴァントを霊体化させている。相手もサーヴァントを連れているのだから、素人が隠れて優位に進めようという目論見が自体が甘かったか。

「もう、予選で約束したじゃないですか。ちゃんと名前で呼んでください」

「そういえば、そうだったな」

 そう無垢な笑顔で拗ねたように主張する彼女。予選ならともかく、既に記憶が返却されている、お互いが敵同士だというのはわかっているハズなのだが。どういう事だ、距離感が掴めない。

(―――むぅ何、この子犬ちゃん。マスターの知り合い?)

(―――予選でまぁ共闘した?魔術師だな。それ以外は何も知らない)

 

「じゃあ千砂さんと呼ばせてもらおうよ。とりあえず、予選突破おめでとう」

「えへへ」

(―――む、ちょっと、マスターなんか態度が馴れ馴れしいよ)

 キャスターが念話で苦言を呈してくるが無視する。

(やりにくい)

 魔術師は基本外道だ。一般人に理解できるのは等価交換の概念ぐらい。

 笑顔の背中に刃を隠し持ってるかもしれない。名前を共有する事で嵌める魔術もあるだろう。だが、そう思いこんでもも邪気がなさすぎて、利用するつもりが調子が狂う。

 

だが。

「そこまでです、千砂。早くその男から離れてください」

「ッ!ぐッ!!?」

突然、刀が背後から突き付けられる。

(―――なっこの女!?さっきまでそこに…、動かないで、マスター今助ける!)

「なっ待てキャスター!ここで戦闘になっても勝ち目がない!!」

「なるほど。あなたの駒はキャスターですか。策謀を得意とするクラス。ますます見逃せません」

 焦ったか念話でなく、反射的に怒鳴ってしまう。自身のサーヴァントのクラスが露見してしまった。

 月の聖杯戦争のルールで、サーヴァントによるマスターへの直接攻撃は封じられてる。

 だがそうと分っていても、それでもゾッと汗が噴き出す、人類の上位存在が放つ殺気に体中の欠陥が逆流したような錯覚を覚え…いや、実際これ体に不調が出てる。口から血の味がした。

 

「セ、セイバー!?なんで、早くアキトさんからその刀を離しなさい!」

「いえ、それはできません千砂。この男からは観柳斎のような臭いを感じます。人を盤面に見立て実利のみ見て踏みにじる畜生の匂いです。どうやら随分とうまくマスターに付けいったようですね」

 マスターの制止を振り切り。なお刀に力を込める正体不明のサーヴァント。

「ですが、その狼藉もそこまでです。私の眼が黒い内は千砂には近づけさせはしません。大人しく引くならよし、さもなくば……」

「……酷い評価だな。魔術師にとって等価交換は最大限相手を尊重した形だろ?利用したことは否定しないけどな」

 相手はセイバーらしい。喪うだけじゃ割に合わない。

 精一杯、軽口を叩きながら一般範囲の思考歯車を蹴り動かす。刀を扱う東洋の英雄、幾ら最優のセイバーといえ、一瞬の実体化で同じサーヴァントに全く反応させず背後を取るのは不可能だ。つまりなんらかのスキルか宝具によるもの。宝具を解放するには一呼吸かかる、ここからの推測で…。

 

「姿が露見しないように背後をとるのは人斬りとしての本能かね。幕末の天才剣士、新選組一番隊隊長『沖田総司』」

「んなっ!?あ、ちょ」

 驚愕の声、刀が少し浮いたのを確認して身を屈めて拘束から脱出した。真名は当たっていたらしい。

 そも刀を使う東洋の英雄で隠密に一芸があり、距離を無視するスキル『縮地: A』を所持するのは彼…いや彼女だけだ。原作から増える(観測できていない)のは管轄外だが。ほぼ間違えはない。

 

 そのままゆっくりと霊体化したままのキャスターの後ろへ引く。令呪の使用すれば何とか対応できるかと算段を付けて。そしてキャスターが旗槍を掲げ、目の前に実体化して立ち塞がる。

(―――ちょっとやばい、胃がグルグルするし舌切った。辛い)

(―――マスター、大丈夫。次はボクが反応する)

ガタガタ震える脚が誤魔化せているかがわからない。

「…そのアキトさん、ごめんなさい!セイバーが大変失礼を。でもびっくりです、アキトさんセイバーの真名までわかるんですね」

「まぁこれ位しかできないんだがな。魔術もハッキングからきしだ」

 暗に彼女を直接傷つける手がないと、まだ固まってるセイバーを牽制しながら平常を装った。

 心臓は未だ早鐘を打っている。ああトラウマになりそうだ。

 

だがそんな緊張も吹き飛ぶ展開が訪れる。

「ほらセイバーも謝りなさい。お世話になった人にいきなり刀向けるなんて失礼でしょ。道義はちゃんとしないと」

「えー沖田さん悪くありませんしー!とにかくその男は危険ですよ千砂!!将来斬り合う相手、戦場に事の善悪なし、ただひたすらに斬るのみですー!」

「……いい加減にしなさい。あんまり我儘言うと、ここで令呪使っちゃいますよ」

「「!!?」」

 千砂は刺青の刻まれた右手を掲げ、耀きを放つ。

 令呪とはサーヴァントに対する絶対命令権、聖杯戦争における参戦権でもある。

 使い方次第では不可能を可能にし、宝具以上の切り札になる重要な物だ。間違ってもケジメなんかに使っていいものではない。

 

「わーわー!正気ですか千砂!?それだけは勘弁してください!ごめんなさい!人様にいきなり刃を剥けて脅迫したりしてごめんなさい!!」

「あ、ああ。オレは気にしてないから。そこまでしてもらわなくて十分だ」

「そうですか。よかったー。初めての友達に嫌われたら、私どうしようかと…、あの、本当に気にしてないですか?」

「うん」

 速攻でセイバー同調した。しかもいつのまにか友達認定されてびっくりだ。

(イカン、ダメだ)

 魔術師とかそういう問題じゃない。窪田千砂はアホだ、いや真性の善人だ。

 きっとやろうと思えばどこまでも彼女のリソースを削れてしまうだろう。まだ対戦が決まっていない今、それを行う利点はない。むしろ元から組し易い彼女に、対戦相手を削ってもらう予定だった。

 

「とりあえず、俺達はもう行く。初めてのアリーナ帰りで疲れても、時間は有限だ。他に見回らなきゃいけない所が多い。手早く済ませないとな」

とにかく、この場から逃げる事を考えて言葉を選ぶ。本気で最初の打算行動を後悔してるところだ。

セイバーが怖いのもそうだし、彼女の読めなさも怖い。心臓に悪い主従だ。

「あら、そうですか。私達もこれからアリーナ行こうかと思って。セイバーったら斬り放題な案山子が一杯うろうろしてると聞いて張り切っちゃって」

「千砂ー、何でそんなに大っぴらなんですか。その男、大した情報もないのに真名を抜くとか、少しは警戒しましょうよ!やっぱり怪しいですよ!信用なりませんってばー!!」

 セイバーが騒ぎたてるが、千砂は微塵も動じていない。

 どう考えてもセイバーの方が正論なんだが、彼女は凛々として態度を改めない。仕方なくか、セイバーが恨みがましくこちらを睨み。

「うぐぐ…。沖田さんは認めませんよ。千砂に寄る悪い虫は悪即斬です!」

「うん、頑張れセイバー、めざせ保護者(プロテクター)、超がんばれ」

「うるさいですよ!元凶!何ですかプロテクターってそんなクラスありません!!」

 最後におそらく、苦労しそうになるだろうセイバーを応援して、見事反発にアホ毛が躍る。

 セイバーの眼からは城井彰人の存在は背を刺す刃であり、事実その通りなのだが。それとは別にこの労りの言葉はオレの本心だった。

 人は他者に自分の心を投影する物だ、中身が根腐れおこしている人間には千砂の純心は恐ろしい。ましては特にここは型月世界だ。その内実どんな破綻を含んでいるかもわからない。脳筋に寄っているとはいえ刃を突き付けたセイバーの方が、反応が予想通りで何か安心する位だった。

 

「余計な世話だろうけど千砂さん、アリーナの敵性プログラムは等しくサーヴァントにも通じる。油断して脱落なんてないようにね」

「わかってますよ。事前にハッキングして捜査(サーチ)済みです。抜かりはありません」

 サーチ、こちらの埒外の手段、予選で示した通り、彼女は魔術師(ウィザード)として能力は高い。

 脱落するなら利用価値はそこで終わる。それに合わせて、最優のセイバーを引き当てたのだ。役に立てる為に多少の投資はする。

 何より最優のセイバーでありながら、対魔力が無いに等しく、おそらくキャスターと相性が悪くないのが大きい。

 

―――そしてそのまま窪田千砂と別れて教室へと向かう。

 しっかりと周囲を見渡し。他のマスターがいない事を確認してから。

「もう出てきていいよキャスター。誰もいない」

「―――ふん」

サーヴァントを呼ぶ。

現れ寄りそう銀紺の耀き、心なしか少しキャスターは不機嫌そうに鼻を鳴らす。

「なんなの。あの魔術師とサーヴァント、マスターに馴れ馴れしいかと思ったら、いきなり刃を付きたてたりしちゃってさ」

「さてな。人斬りセイバーはともかく千砂はまだよくわからん。とにかく、とんだ凹凸コンビだが実力は本物だ」

「……そうね。ぼくよりあっちの方が、強かった。僕の器は大英雄のモノのはずなのに」

 微かなに引き攣る声、だろうか。

 良く見れば、しきりに自身の得物である旗槍を擦っていた。セイバーの不意打ちに全く反応できず一時でも自身のマスターを危険に晒したのが悔しいのか、柄は強く握りしめられたままに。

 

「仕方ない。元々魔術師(キャスター)剣士(セイバー)じゃ土俵が違う。競おうという方がお門違い。キャスターは悪くない。」

「でも、ぼくはこの旗にかけて無様は」

「無様?むしろ良い判断だったろ。咄嗟に制止を聞いてくれてなければ。最悪戦闘になったと考えれば、あれで出血は最低限になった。次があるなら策と場を整えて殴る」

 それが出来なければ死ぬだけだ。

 あのセイバーは幕末の剣豪沖田総司、人斬りの適性からアサシンの要素も混じっている。正直あの距離ではどうしようもない。

(ふむ、おそらく被った英雄にもその名に汚点を着せたくないって感じか、うちのキャスターも善良だなぁ)

 それとも彼女がジャンヌ・ダルクを大好きなだけなのか。とりあえずキャスターの前でフランスとイギリスに関連した事は言わない様に、自重しようと心に決める。彼女が聖女の最後をどう受け止めているかもわからない故に。

 

「良い判断。そう、そうね…。まだ始まったばかりだものね。この旗とマスターに誓って必ず勝つわ!」

 その賞賛に安堵したように旗を掲げ直し、改めて宣言するキャスター。

 その顔は心なしか嬉しそうに見えた。キャスターは性根が一般人に近い、伴に歩き伴に言葉を交わし伴に事を成す。マスターとしての当り前の事が絆に繋がるらしい。

(取り繕うものとしか言葉に価値を視ない、己の腐りっぷりがよくわかるな)

 これが普通という事だ。実によいものだと思う。そう嘲笑(情景)を堪えた。

―――退屈の毒は、根深く彼の精神を腐らせていた。

 

 暫く、探し続けて辿り付いた月海原学園の食堂にて、やっと監督役のNPC『言峰綺礼』を見つけ出した。

「なにあの…なに」

 神父は、呑気にクソ真っ赤なマーボーに頬張っていた。

 異様な光景にキャスターが息を呑む、視覚にすら毒な辛味を放つマーボ。調味料の調味と言う概念を何処かに放り投げ、ただ辛味を極める為に劇物と言う要素をぶち込まれた混沌の釜。

「探したぞ監督役」

「ふむ、このしがない神父を探したとはなんか用かね。懺悔なら今は食事中だ。後にしてくれたまえ」

「惚けるな、早く自室の鍵(マイルーム)を寄越せ」

 そう自室《マイルーム》、ムーンセルにおける数少ないプライベート空間、高セキュリティの敷かれたマスターたちの聖域だ。作戦会議もここでなくては成り立たない。

 本来なら、監督役が保健室に訪れた際に渡すのが手間がなくてよかったのだろう。

 そうしなかったのは、混乱していて余裕がなかった自分とは違う。この神父に限ってうっかりという事はない。意図的なものだ。

 

「ふん、なるほど知っていたか、道理で焦りもせずにつまらなかった訳だ」

「おいこら」

 やはり愉悦的行動の結果だった。どれだけのマスターを振り回して来たのやら。

殴りたいこのふてぶてしいニヤリ入った含み顔。

「いやいや、策謀を好むマスターの気配を感じとって、パーソナルスペースの鍵を渡すのを、先に延ばしたなんてことはない。さぞかしハッカーの眼から逃れようと機密確保に七転八倒もがくかと思いきや、残念だという事も決して、ない」

「なんか凄い性質悪いこと言ってるんだけど!こんなNPC本当に監督役にしていいのムーンセルは?!」

 キャスターが当然の疑問を口にする。傍から見れば聖職者と言う自称も性質の悪い冗談にしか聞こえない男だ。

 

「失礼な、銀のキャスターよ。私ほど人間すべてを平等に見る人間はそういないと自負しているぞ。他の聖者や覚りに近い者はこの争い自体に意味も意義を見出せないからな。監督役には呼べん」

「それ全て平等に玩具(オモチャ)という意味でだろ。つまりこいつが監督役なのは消去法だよキャスター」

「なにそれ理不尽!!」

 従来のシステムの模倣(盗用)というのもあるだろうが、思うに欠片男にはオリジナリティが足りない。

「良くわかってるではないか。私はこの役割にすこぶる満足しているよ。人の苦悩は蜜の味、せいぜい生暖かい視線に耐えるがいい。はははザマァ」

 コトミネが煽り、監督役を殴る訳にはいかないとキャスターが青筋を堪える。

 英雄王の規模で封印判定したムーンセルが、それ以上の規模を持つ覚者を再現したのもトライアルの裁定者を期待したからだろう。なんとなくとか、できるからとかじゃないはずだ。多分。

 実際は、思い通りにならず放置していたら、降りてきてただ一人を加護してゲームを無茶苦茶にするとかしたのだが。ムーンセルはうっかりスキルでも付いているのだろうか。

 

「まぁそれはそれとして役割(ロール)は果たさねばならんな。そら、望みのものだ受け取るがいい」

「どうも」

 無造作に鍵を受け取る。これでキャスターに堂々と物を聞く事ができると言うものだ。

「さて、それはともかくとして折角、この世の味覚の極みというものを目撃したのだ。到底我慢できまい。どうだね。一口、いっとく?」

「遠慮する。忙しいからな!早速自室(マイルーム)の様子を見に行こうかキャスター!」

「え、ええ!」

 地獄色のレンゲを差し出され、キャスターは霊体化。勢いにまかせとにかく急いで踵を返しこの場を去った。多少配慮とかの隙を作ればこの口にあの煉獄が流し込まれるだろう。

 冗談ではない、あんなもの口にしては敗北の前に脳が辛味に焼かれて電脳死だ。

 

 アリーナでの時間消費が響いたか、時は既に夕刻を過ぎた。これ以上の学園内での活動は難しいだろう。

今日の所はマイルームにて余暇を潰す事にしよう。

 

―――マイルームにて。

 マイルームの光景は、殺風景極まるものだった。

 無機質な教室のパネル、粗雑に積み上げられた机に、用を成さない連絡板。魅力的な点は学び舎特有の大きな複数の窓位だろうか。

「以外と広いのね。良くて、田舎の狭い屋根裏位のものだと思ってたのに。ムーンセルも気前がいいわ」

 それでもキャスターにとっては満足のいく物らしい。目を輝かせて辺りを物色する。

 確かに教室一つ分くらいのスペースはあり、広さで言えば十二分すぎるが。必要家具も道具もない。居心地は良いが。住心地は悪そうだ。流石に床で寝るのは体調面でマイナスだ。

 

「とりあえず、寝具位は早急に欲しいものだけど」

「ん?そんなのこれだけの資源(リソース)があれば魔術でどうにでも、ってそかマスターハッキング苦手なんだっけ。しょうがないか」

そう言うとキャスターが、何かを詠唱する。

「"―――この者、魔の力を持ってを無辜成る者を囲いし罪人なり、―――反証完了(ギアスシフト)。【陣地作成】」

 すると虚空から半透明な電子構造体が現れ、徐々に中身が伴ってベットやタンス、キャビンやソファ等が造形で現れた。

「…っ」

「ほら、この通り!神代資源(エーテル)がある程度供与されてる。改竄すれば樹木由来の器物を作り出すなんて余裕なのだから」

「うん、凄いありがとキャスター。木々で編む様な家具なんて始めて見る。魔術は殺伐な物ばかりだと思ってたから驚きも一塩だ」

「ん、当然よ」

 胸を張るキャスター。「魔術C+」がどれ位のものかはわからないが、素人目に見れば凄まじいの一言だった。神代に近い環境だから可能な事だろうか。

 ……と思いきやキャスターの陣地作成、先程までEであったのがDに上昇していた

 『陣地作成 D: 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。簡易的な工房を作成可能』

(伏せられていた?それとも自己拡張?)

……不可思議なサーヴァントである。キャスターとしての能力がないという認識は間違えかもしれない。

 

「さてとにかく、これで安全で落ち着ける場所(セーフゾーン)が確保できた。余りもう時間がないが。お互いの認識を合わせる事にしようか、キャスターは何か質問はあるか」

「そうね。まずはマスターの能力かしら、魔術師(ウィザード)としての能力が知りたいわ。特にいきなり初見のサーヴァントの真名看破をしたのはどういう理屈?」

 マスターとしての能力か。彼にとってそれは難しい質問だった。城井彰人の特性は正直に答えると正気を疑われるものだからだ。

「あー、とりあえず疑われるだろうから、全ての手を明かすが。オレはマスターであるけど魔術師(ウィザード)ではない、ほぼすべての魔術も電子干渉もできない」

「へ?だって聖杯戦争の前提条件は魔術師(ウィザード)である事のハズでしょ。おかしいじゃない」

 その疑問は当然だが、この理屈は明かすことはできない。サーヴァントである彼女に対する最大の■■だから、性根の腐った彼は表情を崩さず自然に言葉を続けた。

 

「さぁ?気が付いたらここに居たんで。所詮例外(イレギュラー)って奴だ。なに、聖杯戦争では良くある良くある」

「そ、そんな…。じゃ、じゃあ真名を看破した理屈は?何か隠し手があるのよね」

 キャスターの顏が落胆に沈んで一抹の希望にすがるように陰る。

 ここまでなら二流どころか三流以前のマスターである。優勝を目指すサーヴァントとしては不足にも程があった。

 

「勿論、種はある。オレの聖杯戦争のマスターとしての本領は知識だ。高確率でサーヴァントの真名と宝具を看破できるし、過去の聖杯戦争の顛末も幾らか把握している。何故なら…」

 ただ平行世界から来たではなく、この世界(Type-Moon)が娯楽として出回ってると世界から言われても、城井彰人のマスターとしての価値は上がらないし、正気を疑われるだけ。

 故に、彼の特性を例えてこの世界の価値のある物に置き換えて、マスターとしての価値を示そう。

 

「半ば事故みたいなものだが、オレは根源の渦、英霊の座を一部を情報として認識したことがある」

「―――ッ!??」

 キャスターの驚愕。『根源』、魔術師の目指す究極に触れたという一般人。そう自分の特性を置き換えた。現在地が物語(原作)にない以上未来予知は語れない。だが観測したモノは本人より詳細に特性を、運命の一端を語れるだろう。多分これが最上のマスターとしての城井彰人の価値の表現だ。

 

「それに君はジャンヌダルクなんだ。だから勝つよ俺たちは、ほかの全部の願いをつぶして」

「………ぇえ、勿論そしてぼくたちこそが願いを叶えるのだから」

 城井彰人は嘘をおくびに出さずに語る。

 そうだ、実のところ根腐りで自暴自棄である彼は、致命的な特大の嘘を含んでいる。

 

「とにかくいろいろ動いた今日は休もうか、また"明日"キャスター」

「えぇ……、寝てるからって変なことしないよね」

「あほか、どこの命知らずだ」

 美少女相手とは言え、そういう馬鹿は予選で淘汰されているだろう。

 木の絡まったアンティーク家具に、身を預けてまどろみを漂う。

 それを知られてしまえば破綻してしまう明日を、本気で向き合うのだった。

 

 

 

 

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