本当は候補が二つあったんですけど、迷いに迷った末にカワカミプリンセス(ヒト耳)の作品を書くことにしました。
因みに、もう一つの候補はオリ主がメルトリリスに転生して無双する話でした。
「お断りしますわ!」
「え? マジ?」
どこもかしこも真っ白な空間。
そこで私は『神』を自称する方と話をしていた。
神と言っても、私からしたらどこにでもいる普通の老人だけど。
前世に置いて私は死んだ。そして、『異世界転生』とやらをする為にここにいる…らしいですわ。
色々な説明の際に、よくある『転生特典』の話になった。
皆さんもよくご存じの通り、転生の際に様々なチート能力を持って生まれ変わる事。
普通ならば、ここでは喜んで色んなアニメなどに登場するチート級の能力を欲するのでしょうが…私は違った。
と言っても、もう既に見た目だけはすっかり変わってしまっているのだけど。
今の私は『ウマ娘』の『カワカミプリンセス』…そっくりの少女に変わっている。
ウマ耳はなく、完全な人間…ヒト耳だ。
それ自体は地味に嬉しかったりする。前世でも好きなウマ娘だったし。
けど、それと今話している事とは全く話が別。
「だってお前さん…『聖闘士星矢』が大好きなんじゃろ? 大ファンなんじゃろ?」
「その通りですわ」
「じゃから、その技や聖衣とかを特典として授けようって話をじゃな…」
「くどい! ですわ!!」
全く…本当に何にも分かっていらっしゃらないのですわね!
呆れてモノも言えませんわ!!
「楽して会得した技など、己の技に非ず!! 必殺技とは! 過酷な修行の末に身に付けるべきものであり、決して誰かに与えられるような物ではありませんわっ!!」
「おう…可愛い顔をして、言ってる事はかなりマッスルじゃな…」
「当たり前です!! 姫たる者、いついかなる時もハングリー精神を忘れるべからず! ですわ!!」
「ワシの知ってる『姫』とは完全にかけ離れた格言なんじゃけど…」
それは、貴方が真の姫を知らないだけですわ。
というか、いつの間にか本気で『自分の理想のお姫様』を目指そうとしている自分がいますわ。
これが俗に言う『肉体に精神が引っ張られる』というものなのかしら?
前世では完全な男だったのに、そんな事なんてもうどうでもよくなってますし。
「それに! 聖衣は選ばれし者のみが纏う事を許された聖なる鎧! 私のような凡俗が軽々しく纏っていい物ではないのです!! 神ならば、それぐらいは理解してくださいまし!! じゃないと、今ここでぶっ飛ばしますわよッ!?」
「まだ生まれ変わってもいないのに物騒過ぎるッ!?」
あ~…もう! どちゃくそにイラついてきましたわ~!
本当に一発ぐらい殴ってもよろしいかしら?
神様なんですし、平気ですわよね?
「わ…分かった! お前さんがそこまで言うなら、もう何も言わん!」
「最初からそう言っていればよろしかったのに…周りくどい神様ですわね」
「もう何この子…今までのアホな転生者達とは違い過ぎるんですけど…」
「私を他の皆さんと一緒にしないでほしいですわ」
時には特典を欲しがらなくてもいい。
これが自由と言うもの…ですわ。
「転生する時に、ここまでワシに意見する人間はお前さんが初めてじゃわい」
「私はただ、正当な意見を言っただけですわ」
「はぁ…まぁいい。今から転生させるが、他に何か聞きたい事はあるか?」
「私が生まれ変わる世界はどんな世界なんですの?」
「それはワシにも分らん。完全なランダムになっておる」
「では、生まれ変わった私はまた赤ん坊からスタート…ということでよろしいんですの?」
「うむ。あくまで『生まれ変わり』…じゃからな。勿論、文字通り一から…いや、ゼロからの完全なリスタートになる」
「分かりましたわ」
「では…お別れじゃ」
神様が手に持つ杖を一振りすると、私の身体が薄くなり、あっという間に消えていく。
それと同時に意識が無くなり、私は静かに目を閉じた。
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全く…なんちゅー人間じゃ。
にしても見た目を好きなキャラに変えるだけ…というのは流石にアレじゃな。
かといって、そのまま特典を送っても本人が納得しないじゃろうし…。
ん? んん? こやつのこの生前から持っていた才能…もしや?
成る程のぉ…これは確かに『平和な世界』では完全に発揮されずに埋もれて無用の長物となる才能。
しかし、こいつは丁度いい。
本人が『修行』を望むのであれば、それを『特典』にしてやろうではないか。
お前さんの元に、あの『黄金の戦士たち』を送り込む事でな…。
それなら満足するじゃろうて。
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川上姫子。
それが、生まれ変わった私の今の名前だ。
異世界転生…と言う割には、今いる世界は私がかつていた世界と殆ど変わりがない世界だった。
私を生んだ両親は存命…と言う訳ではなく、物心つく前に二人とも事故で亡くなっていて、今は両親の友人だったという人物に引き取られて生活をしている。
生活自体は別にごく普通のものだった。
普通に幼稚園に通い、普通に小学校にも入学する。
そんな私の『普通の生活』は、ある日を境に突如として消えた。
小学校に入学をした日の夜。私は『夢』を見た。
上下左右、どこを見渡しても真っ白な空間にいる夢。
夢を夢だと認識している…何とも不思議な体験。
私が困惑してキョロキョロとしていると、いきなり後ろから誰かが近づいて来る気配がしたので咄嗟に振り替えると、そこには心臓が飛び出しそうな程に驚愕する人物が優雅に立っていた。
「あなたが『川上姫子』さん…ですね?」
「そのお顔…その声…黄金に煌めく『牡羊』を模した聖衣…ま…まさか…貴方様は…!?」
そこに立っていたのは、『黄金十二宮』にて第一の宮である『白羊宮』を守護する『
あぁ…今までずっと画面越しやページ越しに見てきたご尊顔が目の前に…。
生で見ると、なんてお美しいんでしょう…。
「ど…どうして貴方様がこのような場所に…? というか、これは本当に夢…?」
「えぇ。これは紛れもない『夢』ですよ。普通の夢ではありませんけどね」
「普通の夢じゃない…?」
ムウ様の言葉の意味が良く理解出来ずに小首を傾げる。
「…とある『お節介な老人』に頼まれましてね。『夢の世界でとある転生者の少女を君達十二人の力で鍛えてあげてくれ』…と」
「老人って…まさか!?」
あの神様の仕業…!?
私があんな事を言ったから、実際に修行をさせる事で特典を与えようと言う魂胆っ!?
それはそれでどちゃくそに嬉しいし非常に光栄極まりないですけど、普通そこまでします?
「どうやら、今あなたがいる世界は中々に『厄介』みたいですしね。聖闘士としても、一人の大人としても、あなたを何の防衛手段も無いままに放置するのは忍びない」
「ほへ?」
厄介? この世界が? どゆことですの?
「それに…あなたは鍛え甲斐がありそうだ。久し振りですよ。『彼ら五人』以外に、ここまでの『才能』を秘めた者は」
「五人って…まさかっ!?」
あの『伝説の青銅聖闘士たち』のことですのっ!?
「ここでの出来事は全て現実世界にも反映されます。つまり、ここで修行をすれば目が覚めた時の貴女も同様に強くなっている…と言う事です」
「おぉ~…で…でも本当によろしいのですか?」
「何がですか?」
「私もそれなりの正義感などはあるつもりですが、それでも『黄金聖闘士』であるあなた方十二人には程遠い…。それどころか、こうして直々に鍛えて貰うこと自体がとても畏れ多いと言いますか…」
私にとって、彼らは青春の全てだった。
例えフィクションだと分っていても、こんなカッコいい人達になりたいと憧れた。
その憧れの対象に修行を付けて貰える。
ファンとして、こんなに嬉しいことは無いだろう。
「そこは別に気にしなくてもよろしいですよ。私達は好きでやってますから」
「け…けど、私は『正義』の為ではなく『夢』に向かって歩くと決めた者。それでもよろしいんですの…?」
「夢…大いに結構じゃないですか。人間として最高の原動力だと思いますよ。それに…」
「それに?」
「あなたが『夢』を叶える過程で歩く道は、私達と同じだと思ってますから」
「ムウ様…」
なっんて眩しいお方…。
これが黄金聖闘士…なんですのね…。
「私達の修行はとても厳しいですが…覚悟は出来ていますか?」
「はい! 覚悟ならば、とっくの昔から…それこそ転生する時に完了しまくってますわっ!!」
「よろしい。では、基礎的な事から地道にスタートしますよ。いいですね?」
「はいっ!!!」
「因みに、この空間はちょっと特殊らしくて、どれだけ長い時間修行をしても外の時間には全く影響がないそうです。いやはや…凄いものです。ある意味、感心しますよ」
「あのヒゲジジイ…ちょっと気合を入れ過ぎではなくて…?」
こうして、私の夢の中での聖闘士修行が始まったのであった。
この時の年齢はまだ7歳。
奇しくも、これはムウ様を初めとする黄金聖闘士最年少組が聖闘士になった年齢と全く同じだった。
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そして…それからあっという間に年月が流れた。
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私は無事に高校生になり『私立駒王学園』へと入学し、今では高校二年生。
夢の中での修業は物凄く大変だったけど、同時に物凄く新鮮で楽しかった。
何より、憧れの人物達からの直接指導と言うだけで、どれだけ困難な修行も余裕で耐えられる!
それがオタクの根性ってやつですわ!!
けど、ここで一つだけ付け加えがある。
確かに私は黄金聖闘士の方々からの指導を受けました。
けど、それは何もムウ様の世代の方々だけではございませんの。
次世代…即ち、『黄金聖闘士に昇進した元青銅聖闘士五人』からも修行を受ける事が出来ましたの~!
本っ当に大感動しましたわ~!!
感極まって号泣しまくって、皆さんを困らせてしまった程ですから。
けど、お蔭で私は自らの目指す『理想の姫』へと大きく前進する事が出来た…と思っています。
姫たる者、どんな時も『強く』『気高く』『美しく』!
そして…何があっても絶対に諦めない『ド根性』!!
それこそが私の目指すべき『真の姫』!!
けれど、いつまでも楽観的ではいられない。
修行の末に『
幼少期、ムウ様が仰られていた『中々に厄介な事』の正体が。
駒王町…否、この世界全体には何やら奇妙な小宇宙が無数に存在している。
その気配はまるで、暗い闇の底から這い出てくる悪鬼のような…そんな感覚。
今までは奇跡的に遭遇していないけど、これから先も同じとは限らない。
私の愛する町と人々の平穏を脅かすと言うのであれば…私は決して容赦なんていたしませんわ。
例え何が相手でも、必ずやこの拳で守ってみせる。
偉大なる…戦神アテナの名の下に!
次回から原作突入ですわー!