恐らく、まだアーシアは登場しませんわー!
前回の予告通りにならなくて申し訳ありませんわー!
「ふわぁぁぁ…」
自分の部屋で目を覚ます。
昨日は色々とあったから、グッスリスリスリと熟睡が出来ましたわ。
お蔭で目覚めもバッチリ。気分も爽快ですわ。
「起きたか。姫子よ」
「おはようございます。コクトーさん」
「うむ。おはよう」
「おはよー」
朝の挨拶をしながらベッドの傍までやって来た、少しふくよかな一羽のフクロウ。
彼の名は『コクトー』さんと言って、一見すると只のフクロウのようにも見えるけど、実際には女神アテナ様の使いであり、黄金聖闘士の皆様方に師事した私を見張る役目も帯びている。
私が修行をし始めた7歳の頃からの付き合いなので、今ではもう殆ど家族同然になっていますわ。
何故か頭の上に何故か三匹の小さいネズミのような動物を乗せている。
あと、神の使いとしてのプライドが高いのか、ペット扱いすると怒る。
「今日も良い天気ですわね」
「まるで、お前の活躍を祝福しているようであるな」
「るなー」
私の活躍…か。
基本的にコクトーさんに隠し事は出来ない。
どうも彼は千里眼的なアレを持っているようで、どこで私が何をしているか全て御見通しなのだ。
「さて…と。まずは朝ご飯を食べて、その後に登校の支度をしなくては。コクトーさん。行きますわよ」
「うむ」
爪を立てないように器用に私の肩に止まり、一緒にリビングへと向かう事に。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
リビングにあるソファーにて新聞を読んでいるナイスミドルでお髭の素敵なおじさま。
彼こそが私の実父の友人であり、今の私の養父でもある人物。
「おはようございます。お義父様」
「あぁ…おはよう。姫子」
名前は『フィリップス』。
前にも言ったとは思うが、職業は錬金術師。
表向きには医師を務めている。
「コクトーくんもおはよう」
「うむ。おはようである」
「あるー」
コクトーさんが私の肩から離れ、お義父様の近くまで行く。
精神的な部分で似通っているのか、割と彼らは仲が良い。
「それじゃ、お義父様は朝ご飯はパンとライス、どちらが宜しくて?」
「今日はパンの気分かな」
「承知しましたわ」
お義父様がパンなら、私もパンにしよう。
そっちの方が作る手間が省けるし。
なら、トーストと一緒にハムエッグでも作りますか。
まだ材料は残っていた筈ですし。
棚から出したパンをトースターに入れて、その間にフライパンに油を強いてからガスコンロに火を着け、よく馴染ませてから卵とハムを投入…っと。
「お義父様~。お皿の用意をお願いしますわ~」
「分かったよ」
うん。良い匂いがしてきましたわ。
因みに、私は目玉焼きには醤油派ですわ。
お義父様はシンプルに塩だけですわ。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「「いただきます」」
トーストにバターを塗りながら、ニュースが流れているテレビに目を向ける。
すると、画面に映し出されているニュースキャスターは奇妙な事件を読み上げていた。
「汚職をしていた政治家が謎の焼死…?」
「原因は不明で、周囲に油などといった物も無かった…か」
「専門家は『人体発火現象』ではないかと言っている…であるか」
「るかー」
人体発火現象…。
通常ならば一笑に伏すような事例であるが、この世界では決して有り得ない事ではない。
私自身、その気になれば空気を摩擦させて発火させられるし、魔力を用いてに似たような事が出来る者も多々いる。
だからだろうか。
このニュースに奇妙な違和感を感じたのは。
「気になるのか、姫子よ」
「のかー」
「コクトーさん…えぇ…そうですわね。確証は無いのですけど…なんといいますか…乙女の勘とでも申しますか…」
目玉焼きをナイフで切り分けながら、私はこの手ことに関しての『専門家』であるお義父様に尋ねてみる事に。
「お義父様。人体発火現象って本当にあるんですの?」
「そうだな…一応、似たような事例は世界各地で目撃されているよ」
世界各地…思ったよりも起きているんですのね…。
「そもそも『人体発火現象』というのは、基本的に『人体が燃えてしまった状態で発見された』と言う事例に対して様々な判断が加えられることで用いられている呼称なのさ」
様々な判断…事例…。
「例えば、人物Aが友人の家や自分の仕事場に行った時、その友人や同僚の身体の大半、もしくはほぼ全身が燃え尽きた状態で発見され、しかも周囲には発火の原因と思わしきものは一切無く、燃えているのは人の身体だけで、建物や周りの物には全く火が移っておらず、焼死体もまた殆どが黒焦げ、場合によっては炭化までしている場合もあった」
「それ程の火力であるにも拘らず、他には全く燃えていない…明らかにおかしいですわね」
「そうだ。しかも、その事例の殆どにおいて発火の瞬間を目撃した者はおらず、後に専門家によって事故後の現場から推察されたと主張しているんだよ」
一般的には『謎の現象扱い』ってことですわね。
普通に考えれば、それが当たり前なんでしょうけど…。
「主な事例ならば私も幾つか知っているよ」
「まぁ…流石はお義父さん。物知りですわ」
こうした質問をするたびに思う。
この人に知らない事は無いんじゃないかと。
「1951年の7月1日。アメリカ、フロリダ州のセントピーターバーグのマンションでそれは起こった。焼死者の名は『メアリー・リーサー』。メアリーと同じマンションに住む彼女の息子であるリチャード・リーサーが部屋を訪ねると、自身の母親が体の一部…スリッパを履いた状態の足を残して焼け死んでいた。その前日に彼が部屋を訪ねた時には母親は読書をしていて、その後の話で睡眠薬を四錠飲む話をしていたらしい」
「自殺…をするようには感じませんわね。本当に突然の出来事だった…?」
その他にもお義父さんはイギリスとアイルランドで起きた事例を教えてくれた。
どちらもアメリカの事例と同じように、突発的に肉体が燃えたようだ。
今更ながら…食事時に話す事ではありませんわね。
「一応、人体発火に対して色んな仮説があるみたいなんだ」
「例えばどんな?」
「『アルコールの大量摂取による発火』とか『リンによる発火』とかね。アルコールに関しては、酒を飲まないであろう未成年の人間も被害に遭っているから即座に否定されたけどね」
仮説をした人には悪いですけど…哀れですわね。
「他にも『人体ロウソク化現象』や『プラズマによる発火』とか『人体帯電』なんてものまであったな」
「もう、そこまで来るとなんでもありな気がするのである」
「あるー」
私もコクトーさんに同意ですわ。
仮説ばかりを挙げればいいというものではないでしょうに。
「挙句の果てには『遺伝子に発火する因子があったから』とか『特異体質』なんてことまで言いだす者までいる始末なんだ」
「滅茶苦茶ですわ。途中から完全に『原因究明』から『憶測』に変わっているじゃありませんの」
原因不明で意味が分からなくなるのは混乱する気持ちは分かるけど、それでも限度というものがある気がする。
「果たして、今回の事件はどれに該当するのやら…」
これは…調べてみる価値があるかもしれませんわね…。
堕天使の一件が済んだとはいえ、それでこの町の脅威が全て取り除かれたという訳ではありませんし。
例のシスターの少女もまだ姿を現していない以上、警戒をして然るべきでしょうね。
・・・・・
・・・・
・・・
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・
「…と言う訳で、無事に堕天使達は撃破しましたわ」
私INオカルト研究部部室ですわ。
支取先輩や匙さん、兵藤さんもご一緒ですわ。
「裕斗から報告を受けた時は半信半疑だったけど、まさか本当に一人だけでなんとかしてみせるなんてね…驚きだわ」
「川上さんの戦闘力は本当に凄かったですよ。立ちはだかる堕天使達を全て一撃でしたから」
「だよな。森の中で遭遇した連中なんて二人纏めてだったもんな。いやー…あれにはマジで度肝を抜かされたわ」
あれでここまで驚くのなら、黄金の奥義を見せた時にはどんな反応をしてくれるのかしら。
地味に楽しみですわね。
「支取会長。私が眠らせたはぐれ神父達がどうなったか分かりますか?」
「川上さんの通報ですぐに駆けつけ、全員が逮捕されたようです。貴女の予想通り、はぐれ神父全員が不法入国者だったようで、しかも剣なども持っていたようで不法入国に加えて銃刀法違反にもなり社会的な意味で完全なトドメになったみたいですね」
あいつら…そんな物まで隠し持っていただなんて。
あの時は即座に『デストリップ・セレナーデ』を発動させた後に通報したので、余り調べなかったんですのよね。
結果的にそれが功を奏したからよかったですけど。
「レイナーレ達に関しては不明ですが、恐らくはグリゴリの堕天使達が回収したと思われます。あれから試しに使い魔に廃教会の様子を探らせたのですが、どこにも彼女達の姿は無かったので」
「自分達の組織で然るべき処分を受けるのが一番ですわ。彼女達は人間の法律では裁けませんから」
だからこそ、私は全ての攻撃おいて手加減をしておいた。
じゃないと、あらゆる攻撃が一撃必殺になってしまうから。
「これで一件落着…かしらね」
「一先ずは…になりますが」
私個人としては、例の人体発火事件が気になるけど、別にここで話すような事じゃありませんわね。
「…俺…川上さんに頼りっぱなしだな」
「前にも言いましたけど、気にする必要はありませんわ。私が私がやるべき事を成したに過ぎませんから」
「川上さんは…マジで優しいよな…」
あ…あれ? なんか兵藤さん…本気で落ち込んでいる?
私…何か拙いことでも言ってしまいましたかしら?
「変わらないと…ダメだよな…! もうこれ以上は…!」
かと思ったら、今度は何か燃えている?
感情の起伏が激しい方ですわね…相変わらず。
「……え?」
い…今…兵藤さんの体内から僅かではありますけど小宇宙を感じたような…?
彼の身体と言うよりは『彼の体の中にある物』から感じた。
まさか、これがレイナーレが兵藤さんを殺害しようとした原因となる神器…?
「そういえば、レイナーレが利用しようとしていたっていうシスターの女の子はどうなっているの?」
「まだ駒王町に入った様子はありません。まだ空の上なのか、もしくは今この瞬間にこの町へと向かっているのか」
「害は無さそうですし、見つけ次第、私達で保護した方が宜しいでしょうね」
「そうですね。彼女からしたら日本は未知なる国であり、彼女はまだ自分を呼んだ堕天使達が倒されたことを知らない。どうにかしてあげなくては」
よかった。彼女に関することでは共通の見解で。
支取会長はともかく、どこかまだグレモリー先輩に関しては信用しきってない部分があるから。
「あの廃教会はどうしましょうか? あのままではまだ今回のような連中に利用されるかもしれません。ちゃんと壊して更地にするか、もしくは徹底的に修繕するかを決めなくては」
「その辺は行政に任せましょう。とはいえ、このまま放置にもしてはいけませんし、それっぽい情報を流す形で注目させればいいかと」
「妥当な判断ね。あの廃教会は場所が場所だからこそ、今までずっと放置されていた部分もあるし」
人気が少ないんですよね~…あの廃教会の周囲って。
別に壊しても周囲に被害は出ないし、修繕するための工事をしても騒音を気にする必要は無い。
ぶっちゃけ、これに関しては本当にどっちでもいいと言うのが正直なところですわね。
強いて言えば、新しく正式な神父様やシスターを派遣するのにお金が掛かるぐらいか。
「川上さんはこれからどうする気?」
「今までと何も変わりませんわ。姫たる者、生徒会の方々に協力して学園の治安維持に努める…それだけですわ」
「そ…そう…残念だわ。貴女さえよければ是非とも、この『オカルト研究部』に入って欲しかったのだけれど…」
「残念ですが、丁重にお断りしますわ」
ここよりも生徒会室の方が遥かに居心地がいいですから。
それに、まだオカルト研究部の方々を全面的に信用したわけじゃない。
「じゃ…じゃあ、そこの兵藤君はどう?」
「…すんません。俺も遠慮しておきます。ちっと…考えたい事があるんで」
「そう…なのね…」
断られるとは思っていなかったのか、かなり落ち込んでいる。
この様子から察するに、想像以上の箱入り娘だったみたいですわね。
蝶よ花よと周囲から愛され、何不自由のない生活を送って来たのでしょう。
だからこそ、私は彼女の事を『姫』とは認めない。
真の『姫』とは、自らが傷つくことを決して恐れず、守るべき人々の為に迷わずに立ち上がる者。
それは私がこの世で最も尊敬する『黄金の十二人』と全く同じ。
故に、私は『姫』として彼らに師事することを決めたのですから。
アーシアは、最初は普通の出会いにしようと思っていましたけど、途中で大きく変える事に決めましたわー!
次回は、遂に兵藤さん達が変わる決意をしますわー!