今こそ燃えろ黄金の小宇宙! ですわ!   作:とんこつラーメン

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まだまだアーシア主軸の話は続きますわー!

もしかしたら、アーシアは今作のヒロインの一人になるかもしれませんわー!







保護完了! ですわ!

 無事にアーシア・アルジェントさんを救出し、私は黄金聖衣を脱いでから地下駐車場を出た。

 あの木乃伊の被害の痕跡は流石に消せなかったけど、それでも炎は消えている。

 今はこれで勘弁して貰いましょう。

 きっとアテナ様のご加護がありますわ。

 

「所詮はまだ『仮初め』…ですか」

『え?』

 

 脱いだ瞬間、蛇遣座(オピュクス)黄金聖衣(ゴールドクロス)はすぐにオブジェ形態へとなってから空間に溶けるように消えていった。

 私が正式な聖闘士になる日は、まだまだ遠そうですわね。

 

『消えた…?』

『別に気にしなくてもよろしいですわ。それよりも、まだ自己紹介をしていませんでしたわね』

 

 こちらだけが一方的に名前を知っているというのも中々に失礼な事。

 あの時は彼女を救出することに集中していたのでする余裕がありませんでしたけど、それが終わった今、ちゃんと名乗らないといけませんわよね。

 

『初めまして。私は川上姫子と申します。そして、こちらが…』

「コクトーと申す」

「すー」

『ア…アーシア・アルジェントです! 先程は助けて頂いて、本当にありがとうございます!』

 

 色んな事が同時に起きて未だに緊張しているのか、まるでロボットみたいなカックカクな動きで挨拶をしてきた。

 うーん…家に戻る前に、まずは彼女の緊張を解さないといけませんわね。

 

『先程は聞きそびれていましたけど…お怪我などはありませんでしたか?』

『だ…大丈夫です! 本当に気を失っていただけみたいで怪我とかはしてないみたいです!』

『それは何よりですわ』

 

 まだ言葉の端々に緊張の色が見え隠れしていますわね。

 仕方がない…本当は急ぎたいけど、少しだけ寄り道をしますか。

 急がば回れという言葉もありますしね。

 念の為と思ってお財布を持って来ていて正解でしたわ。

 

「コクトーさん。少し寄り道をしますけど…よろしいかしら?」

「構わぬ。お前の考えは分かっている」

「ありがとうございますわ」

 

 流石は普段から何を考えているのかよく分からない不思議フクロウのコクトーさん。

 ちゃんとこちらの意を汲んでくれて助かりますわ。

 

『では、行きましょうか』

『え…え?』

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 寄り道をすると言っても、別にお店とかに入る訳じゃない。

 私達が立ち寄ったのは、近くにあった自販機が立ち並んでいる場所。

 

『どうぞ。熱いので気を付けてくださいね』

『あ…ありがとうございます』

 

 心をリラックスさせるには、暖かい物を飲むのが一番ですわ。

 私もよく、お義父様のコーヒーを飲んでいますし。

 というわけで、アーシアさんにはホットココアをプレゼント。

 因みに私はミルクティー(暖)を買いましたわ。

 

「コクトーさんも何かいります?」

「お主…分かっていて言っているだろう」

「ろー」

「バレましたか。単なる冗談…姫ジョークですわ」

 

 いつも意味深な言葉に振り回されてるんですから、偶には仕返しをしてもバチは当たりませんわよね?

 きっと、アテナ様も笑ってお許しになってくれますわ。

 

『温かくて美味しい…』

『それは良かったですわ』

 

 ようやくアーシアさんの笑顔を見た気がしますわ。

 慣れない国に慣れない土地、その上で謎の怪人に誘拐なんてされたら…そりゃ普通は気が動転してリラックスどころじゃありませんわよね。

 

『落ち着かれましたか?』

『ようやく…面目ないです…』

『気にしないでくださいまし。そちらからしたら当然のことですし。それに…』

『それに?』

『そちらの事情は簡単ではありますが、私も把握しておりますので』

『そ…そうなんですか?』

『えぇ。その辺の話は家に着いてから致しますわ。今は兎に角、心と体をリラックスさせませんと。いつまでも緊張していたら心身ともに疲れが溜まっていく一方ですし』

 

 私も最初、黄金の十二人の方々と夢の中で出会った時はガッチガチに緊張しまくりましたわー。

 サガ様やシャカ様やカミュ様なんかはもう…ご尊顔がお美しすぎて直視できませんでしたし、アフロディーテ様に至ってはもう…余りの美しさに見ただけで蒸発しそうな勢いでしたわ。

 デスマスク様やアルデバラン様、意外と気さくな性格をしていらしたアイオロス様や童虎様、ミロ様がいなかったら、きっと緊張で胃に穴が開いていましたわね。

 余談ですけど、アイオリア様やシュラ様はバチバチに真面目なお方でしたわ。

 お蔭でこちらも良い意味での緊張感を味わえましたし。

 

『これを飲み終えたら、改めて帰ると致しましょう』

『はい』

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 家に到着した頃にはもう、すっかり夜は更けてしまっていた。

 星々は瞬き、月も明るく夜空を照らし出している。

 

『この家ですわ』

『うわぁ~…ご立派なおうちなんですねぇ~…』

 

 和洋折衷な二階建ての家。

 ここはお義父様の家で、私がここに来る形で住んでいるのですわ。

 

『そう言えば、ずっと気になっていた事があるんですけど…』

『なんですの?』

『姫子さんって、どうしてそんなにも英語がお得意なんですか? 日本人…ですよね?』

『えぇ。私は日本生まれの日本育ちの生粋の日本人ですわ。英会話が得意なのは、単純に勉強をしたからですわ』

『あんなにもお強いのに、英会話もお得意だなんて…姫子さんは凄い人なんですね』

『ひ…姫を志す者として当然の嗜みですわ』

 

 ここまで真正面から褒められると流石に照れますわね…。

 アーシアさん…恐ろしい子…!

 

「照れておるのか?」

「のかー?」

「気のせいですわ」

 

 ここで野暮なツッコミをしてくるのがコクトーさんなんですのよね…。

 今度、その羽を少しだけ毟って差し上げようかしら。

 

「は…入りますわよ!」

 

 玄関先でいつまでも時間を費やすわけにはいきませんわ。

 ご近所にもご迷惑でしょうし。

 

「お義父様。只今、帰りましたわ」

 

 玄関を開けながら家の中にいるお義父様に声を掛ける。

 すると、すぐにお義父様がやって来てくれた。

 

「おかえり。分かってはいたが、それでも無事で何よりだよ」

 

 お義父様は出かける前と変わらずの飄々とした笑顔で出迎えてくれた。

 一方、アーシアさんはいきなり現れたお義父様に困惑の様子。

 

「その子が例の『シスターの少女』かい?」

「そうですわ。一先ず、我が家にて保護しようと思いまして。構いませんですわよね?」

「勿論だとも」

 

 お義父様にも予め諸々の話はしてあるので、アーシアさんの事も知っている。

 ホウレンソウは大事ですわよね。

 

『初めまして。私はフィリップス。この子の義父だ』

『ア…アーシア・アルジェントです。こんな夜更けに押し掛けるような真似をしてしまい申し訳ございません…』

『気にする必要は無いよ。君の事情は聞いているからね。遠慮なく、自分の家だと思って寛いでくれたまえ』

 

 うーん…見事な定型文。

 けど、こういう時は変に着飾った言葉よりもこっちの方が良いのかも。

 ちゃんとアーシアさんの事を考えて英語で話しているのは見事ですけど。

 

「まずは中に入りなさい。リビングで話を聞かせて貰おう」

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 リビングに向かい、お義父様特製コーヒーを飲みながら、私は出かけた先で起きた事を全て詳細に話した。

 

「成る程…そんな事があったのか…」

「えぇ。あれは明らかに人にして人に非ず…と言った感じでしたわね。でも、本人の証言や技を放った時の感覚からして、嘗ては我々と同じ人間だった事は間違いなさそうですわ」

「ふむ……」

 

 今、思い出してもあれは異常な存在だった。

 幾ら、炎を操れる超能力者だとしても、能力に覚醒しただけであんな異形の存在に変貌したりするものだろうか?

 

「…姫子。一つ聞きたい事がある」

「なんですの?」

「君が倒したと言うその木乃伊には…『顔』はあったかい?」

「顔…ですか?」

 

 お義父様の言う『顔』が何を意味しているのか、よく分かりませんけど…。

 一応、思った事を言ってみましょうか。

 

「体の部位と言う意味での『顔』ならばありました。けど…」

「『顔面』は無かった…違うかい?」

「そう…ですわね。全身を赤黒い帯のような物で覆っていて、顔もまたそれは同様。辛うじて隙間から片目だけがこちらを覗いて視界を確保していましたわ」

「矢張り、そうか……」

 

 一人だけ納得したように唸ると、お義父様は手を組んで何かを考え出した。

 

「お義父様…あの木乃伊に付いて何か御存じなんですの?」

「いや…姫子が戦ったという木乃伊に付いては本当に何も知らない。だが…」

「だが?」

「そいつの正体…いや、その木乃伊が所属している『ギルド』ならば知っている。私も噂に聞いた程度だがね」

組合(ギルド)…?」

 

 まさか、ゲームやファンタジー映画などでしか聞かない単語をリアルで聞くことになろうとは…。

 

「恐らく、その木乃伊が属しているのは『顔の無い者』と言う名の暗殺者ギルドだ」

「暗殺者ギルド…そんな物が現代日本に存在していると…?」

「しているのさ。日本の『裏』は我々が想像している以上に暗い」

「…そうですわね」

 

 なんせ、まだ一般人の大半の方々は『三大勢力』の存在すら知らないのですから。

 そこへ更に『暗殺者のギルドがある』なんて言われても、そこまで違和感は感じない。

 

 因みに、さっきから大人しくしているアーシアさんは、コクトーさんと話をして貰っている。

 私達が日本語で会話をしているからと言うのもあるが、それ以上に余り思い出させるような真似はしたくは無い。

 

「アーシアさんが襲われたのはきっと、その木乃伊の『仕事』を偶然にも目撃してしまったせいだろう」

「彼女もまた『神器』を持つ者…こちら側の住人ですものね。見えていても不思議ではありませんわ」

 

 本人はこんなにも人畜無害なのに…現実は非情ですわ。

 

「今回の様子から察するに、奴らは仕事の現場を駒王町に移した可能性があるね」

「この町は色んな意味で特殊ですものね…誤魔化しは利きやすい…か」

 

 それこそ、はくれ悪魔とかの犯行に見せかければ済む話ですしね。

 後は三大勢力の方々が勝手に証拠を隠滅してくれる。

 

「このことは支取先輩やグレモリー先輩にも教えた方が良さそうですわね」

「それが良いだろうね。これに関しては三大勢力は関係ない。奴らはどこまでも『報酬』と『快楽』の為にしか犯行を行わない。ある意味、非常に厄介な相手だよ」

 

 顔の無い者…それが私の『敵』…なのかもしれませんわね…。

 

「丁度、明日は日曜日だ。話をするにはもってこいだろう」

「えぇ。明日の朝、電話で連絡をして話し合いの場を設けますわ」

 

 別に電話やメールなどで話してもいいけど、その場合は誰かがまた別の誰かに連絡をする必要がある。

 そこで情報の祖語が発生しないとも限らない。

 だったら、どこか適当な場所で二人同時に話した方が手っ取り早い。

 

「さて…と。今度はアーシアさんの話を伺おうか」

「了解ですわ」

 

 こちらの話が終了したので、コクトーさんとの会話を楽しんでいたアーシアさんを呼ぶことに。

 というか、普通に彼の事を受け入れてますけど…普通は驚きませんの?

 神の使いと言ってはいますが、見た目は完全に喋るフクロウですわよ?

 天然もここまで来れば、完全に才能の領域ですわ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まだまだ一日は終わりませんことよー!

我ながら、スローペースにも程がありますわー!
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