果たして、原作キャラと魔改造セインティア姫子ちゃんはどんな風になるのでしょうか?
私立駒王学園。
少し前までは完全な女子高だったらしいのですが、ある時を境に共学になり、今では男子生徒が存在している。
と言っても、元が女子高だったという事もあり、まだまだ男子の数は少なく、女子の方が圧倒的に多い。
しかも、その大半は『駒王学園の女の子と少しでもお近づきになりたいから』という邪な理由で入学してきた者達ばかり。
本当に…本当に嘆かわしいですわ。
無論、そんな愚か者だけでなく、ちゃんとした理由で入学した男子も少なからずいる。
そう…本当に少なからず…だけど。
「川上さーん!!」
「ん?」
放課後に私が渡り廊下を歩いていると、後ろから聞き慣れた声が聞こえてきた。
私と同じクラスの女子達だ。
彼女達が私を呼びつける時、そこには明確な理由が存在する。
「どう致しましたの?」
「また、あの『変態三人組』が覗きをやったの!」
「本っ当にムカつく!! 何度も何度も言っても懲りないし!」
「先生達に言っても全く解決する気配も無し!」
「マジでこの学校ってどうなってんのよッ!?」
「あらまぁ」
彼女達が言う『変態三人組』というのは、昨年からずっと女子の着替えを覗いている常習犯たちの事だ。
在学している女子達の殆どが被害に遭っていて、中には覗かれたショックから不登校になったり、自主退学をした子もいるのだとか。
まさに『駒王学園に蔓延る邪悪』そのものだ。
「彼らは今どこに?」
「あっち! 私達に気が付くとすぐに逃げやがったの!」
「分かりましたわ」
女子達が指さした方へと向かい、私はもう癖になりつつある『光速移動』を開始。
傍から見ていると瞬間移動にしか見えないだろうけど。
「見つけた…あれですわね」
どうやら、校舎の中をグルグルとしながら追っ手を攪乱し、その隙に中庭へと逃げようと思ったらしい。
だが、そんな事で私から逃げられるとは思わないでほしいですわ。
「あなた達」
「「「ギクッ!?」」」
私の声を聴き、三人仲良く揃って肩を跳ねさせる。
こうして彼らの事を追い駆けたのは、これで何度目になるだろう。
もしもここが学校じゃなかったら、私達がお互いに学生じゃなかったら。
その時は遠慮なく『悪』と見なして『正義の鉄拳』をお見舞いしますのに。
「か…川上姫子…!」
「駒王学園の誇る巨乳三巨頭の一角…!」
「あぁ?」
「「ひぃっ!?」」
開口一番にセクハラとは…いい度胸をしてますわね…!
いつもいつもいつもいつも…バチクソに腹が立つ野郎どもですわねー!!
あー…もう。本当に光速拳をぶちかましたくなりましたわ。冗談ですけど。
確か、あの眼鏡を掛けているのが『元浜』さんで、あっちの坊主頭が『松田』さん…でしたわよね。
下の名前? 知りませんわ。知りたいとも思いませんし。
で、もう一人のツンツンヘアーの男子が…。
「あなた達、今いる場所が『境界線』ですわよ」
「きょ…境界線ってなんだよ…」
「今すぐに覗きを止め、これまでずっとご迷惑を掛けた方々に誠心誠意謝罪をすれば、まだ戻れると言っているのですわ」
「な…なんでお俺達がそんな事をしなくちゃいけねぇンだよっ!」
「そうだそうだ! 俺達は男としての当然の権利を行使してだな…!」
「ふんっ!!」
折角、こっちが穏便に事を済ませようとしたのに、いきなりふざけた事を言いやがりましたので、思わず顔のすぐ横の空間にマッハ5ぐらいの速度の『空拳』をぶちかましてやりましたわ。
パァンッ!! という何かが弾けたような音が周囲に響きましたけど、特に気にする事ではありませんわね。
「私はこれまでにも、何度も何度も同じような事を言ってきました。けど、そちらはそれを全て無視し、今日もまた愚かな犯罪行為を繰り返している。人間として…否、男として情けないと思いませんの?」
「う…うるせぇっ! お前に俺達の何が分かるってんだっ!」
「分かりませんわ。分かりたいとすら思わない」
バカな男の遠吠えほど、聞いていて不愉快なものはありませんわね。
どうして、あの『最強最高の十二人』のような高貴な精神が持てないのかしら?
心の底から理解に苦しみますわ。
「か…川上さん…」
「余り気易く私の名前を呼ばないでいただけませんこと? 兵藤一誠さん」
さっき名前を言い損ねたツンツンヘアーの彼は『兵藤一誠』。
実は、私と彼は同じ中学校出身だったりする。
なんでそんな事を知っているのかですって?
その理由は単純明快。
私、中学時代に彼から告白されたことがありますの。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「か…川上さん! その…えっと…ずっと前から好きでした! 俺と付き合ってください!」
私に向かって頭を下げながら告白する兵藤さん。
こうして見ていれば誠実そうに見えるが、私は知っている…彼の評判を。
彼の『下心』を。
「申し訳ないですけど、丁重にお断りしますわ」
「な…なんでっ!?」
「私…人の着替えを覗いて鼻の下を伸ばすような変態は好きじゃありませんので」
「そ…それは……」
「別に性欲を持つなとは言いません。人間の三大欲求の一つですから。けど、それを堂々と見せつけるばかりか、大勢の人々に平気で迷惑をかけるのは最低です。ハッキリ言って、私の好む殿方とは完全に真逆の存在ですわ」
どれだけ先生方から注意を受けても全く聞く耳を持たない。
反省する気が全く無いような人間を好きになんてなる筈がない。
正直言って、論外中の論外だ。話にすらならない。
「それに…私、知ってますのよ?」
「何を…?」
「あなたがこうして私の告白をしてきた理由…それは、私の胸が大きいから…でしょう?」
「!!?」
図星か。ま、分かっていたけど。
「普段から教室で大きな声で『おっぱいおっぱい』などと下品な言葉を連発している時点で最低最悪ですけど、女性の体をそんな風にしか見られないような男性に告白されて、それでOKが貰えると本気で思っていますの? どんな能天気な神経をしていれば、そんな結論が出るのかしら。微塵も理解が出来ませんわ」
「…………」
なんだか意気消沈しているけど、全ては己の自業自得。
彼に対する罪悪感なんて全く起こらないし、それどころかもっと言ってやろうと言う気にすらなっている。
「世間一般であなたのような人間をなんていうか…知っていらして?」
「いや……」
「『悪』…ですわ」
「あ…悪…?」
「私のような未熟な若輩者が正義だの悪だのと決めつける権利も資格もありませんが、常識的範疇から鑑みればあなたのやっている事…即ち『覗き行為』は紛れもない犯罪。幾ら未成年とはいえ、許される事ではありませんわ。そして、犯罪者=悪と言うロジックは、幼稚園児でも知っていること。つまり、私個人ではなく世間があなたの事を『悪』と断じているのです。私は悪と結ばれるつもりはありませんし、寧ろ私は『悪の敵』とも言うべき存在。私が目指す『理想のお姫様』に、兵藤さんのような犯罪者は無用の長物なのです。お分かり?」
言ってやった。もう思い切り言ってやった。
学校の女の子たちの無念の分まで全部言ってやった。
荒療治かもしれないけど、これで彼が善良な学生に戻ってくれるなのなら、私は喜んで憎まれ役をやって差し上げますわ。
「ご用事はそれだけですの? では、ごきげんよう」
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・・・
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けど、彼は全く反省なんてしなかった。
私と同じ駒王学園に入学し、更には仲間まで増やして覗き行為が更にエスカレートしている。
高校一年生の時にそれを知って、私は本気でショックだった。
彼らが覗きをする度に私が助けに呼ばれ、なんとか彼らを言葉で諌めようとするが全く効果が無い。
力でどうにかしようと思えば楽勝なのだが、それでは根本的な解決にはならない。
それ以前に、私が修得した『聖闘士の闘法』はそう簡単に振るっていいものじゃない。
この拳はあくまで『真の悪』に向けて振るわれるものだから。
「ち…違うんだ! これは…その……」
「言い訳無用! あの時、あれだけ言っても全く己を顧みなかったような愚か者と話す舌など有りませんわっ!!」
姫たる者、こんな事で頭に血を昇らせてはいけないと分ってはいるけど、それでも被害にあった女子達の事を思うと怒らずにはいられない。
「私は…あなた達の事を軽蔑しますわ。本当に最低…下劣極まりないとはこのことですわね。あなた達のような男性は、未来永劫結婚なんて不可能でしょうね。それどころか、世間からも確実に見放されるでしょう。誰もあなた達を助けようとは思わないに違いありませんわ」
これだけ言っても、どうせ反省なんて微塵もしないんでしょうけど。
この図太い神経を、どうしてもっと良いことに使えないのかしら?
その能力を調和と協調に使えば、その先には無限の可能性が待っているというのに。
「今日はこれで勘弁してあげますけど…もしもまた同じことをしたら…」
「「「したら…?」」」
「その時は、私にも考えがございます」
「か…考えって何だよ…」
「『容赦しない』…ということですわ。生まれてきた事を心から後悔させ、『お願いですから殺してください』と自分から懇願するような目に必ず遭わせます。御覚悟…なさいまし?」
「「「ひぃぃ…!」」」
あら。姫らしいとびっきりの笑顔で言ってあげましたのに…怖がるだなんてあんまりですわ。
「今回の事は生徒会にご報告しておきますので。では、これにて失礼しますわ」
ちゃんと姫として、スカートを軽く持ち上げてからの挨拶をしてから、この場を去ることに。
今の私…ちゃんとお姫様みたいだったかしら?
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「こ…怖かった…」
「だな…可愛い顔して、言ってる事が怖すぎんだよ…」
川上さんが去っていき、俺達は怖さのあまりその場にへたり込んでしまった。
それだけ彼女の迫力が凄かったって事だ。
「一誠…お前、よく中学の時に川上に告白とかしたな…」
「確かに美少女ではあるし、おっぱいもデカいから一誠の好みドストライクかもしれないけどよ…」
「言わないでくれ…普通に後悔してんだからよ…」
中学時代、俺は川上さんに告白したことがある。
けど、その結果はこれ以上ない程の玉砕。
しかも、その時に俺が今までやって来た事を真っ向から批難された。
俺はおっぱいが好きだ。この世のあらゆるおっぱいが大好きだ!
けど…川上さんの場合はそうじゃねぇんだよ…。
あの時、告白なんてせずにずっと自分の想いを隠したままだったら、こんな気持ちにならなかったんだろうなぁ…。
「うぅ…これ以上、川上さんに嫌われたくねぇ…! けど、覗きも同じぐらいに止めたくねぇっ!!」
「すっげー矛盾…」
「だって仕方ねぇだろっ!? 今や、あれだけが傷ついた俺の心を癒してくれる唯一のオアシスなんだからよ!」
「分かる…分かるぞ一誠!!」
「俺達も同じ気持ちだっ!!」
「松田…元浜…!」
俺はなんて親友を持ったんだ…!
駒王学園に来て本当に良かった!
「けど、生まれてきた事を後悔するような目…って…何をされちまうんだ…?」
「言うな。想像しただけで恐怖でブルっちまう」
川上さんの事だから、暴力的な事はしない…と思う。
腕っぷしは物凄いけど、それを他人に振る舞うことは滅多にない。
あるとすれば、本格的に質の悪い不良連中とかにだけだ。
俺は前に一度だけ、その光景を見た事がある。
「そういや、前に一誠って『ハーレム王に俺はなる!』って言ってたことがあるけどよ、あれってまだ目指してるのか?」
「いや…あれはなんつーか…駒王学園に入学した時の決意表明と言いますか…」
「じゃあ、今は違うのか?」
「まぁ…な。まさか、川上さんまで同じ学校にいるとは思わなかったし…」
「だろうなぁ。こっぴどく振られたとはいえ、初恋の相手の前で『ハーレム王』は流石に言えんわなぁ…」
「もし言ったら、俺達でも普通にドン引きするわ…」
「言わねぇよ。幾らなんでも、そこまで馬鹿じゃねぇわ」
今回も色々と言われちまったけど…それでも『コノヤロー!』って気持ちになれないのは…まだ俺が川上さんの事を好きだからなんだろうなぁ…。
今日の川上さんも可愛かったなぁ…また一段とおっぱいも大きくなったような気がするし…。
あれもう確実に90台に突入してるだろ!
チクショー! マジで俺はどうしたらいいんだよー!!
なんかこう…全部が上手くいくような美味い話は何処かに転がってねーのかーっ!?
まずはこんな感じ。
今の所、初恋が実る気配ゼロどころか完全にマイナスな勢いのイッセーくん。
これから彼はどうなってしまうのか?