今こそ燃えろ黄金の小宇宙! ですわ!   作:とんこつラーメン

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今回から一誠さんが本格始動ですわー!

ここまで本当に長かったですわー!







弟子入り懇願! ですわ!

 朝っぱらから前代未聞の衝撃的な決意表明があった日。

 あれから学園内は何とも微妙な雰囲気となっていた。

 男子達は彼ら三人の決意を受け止め、その前途を応援する様子ではあったが、女子達は全く違う反応を示していた。

 少なからず反省を受け入れている者が少数。

 だからどうしたと言った感じで、今まで通りなのが約3分の1ぐらい。

 それ以外は、どう反応したらいいのか分からずに困惑している者が多数。

 

 因みに、私自身も少なからず困惑はしていた。

 余りにもいきなり過ぎて驚いているし、それをどうして全校集会の場でやったのかも理解不能。

 分かる事と言えば、彼らの本気度具合ぐらいか。

 

 理由や原因はどうあれ、愚かだった過去の自分を払拭して、心機一転してこれから頑張って行こうという姿勢は素晴らしいと思う。

 変わろうとする意志自体は肯定してあげるべきだと思うから。

 

 で、そんなこんながあった放課後。

 私は何故か兵藤さんに校舎の屋上へと呼び出されていた。

 

「いきなり呼び出したりしてゴメン。川上さんも忙しいってのに…」

「いえ…それは別に構わないのですけど…」

 

 私は自主的に手伝いをしているだけであって、生徒会に所属しているという訳ではありませんから。

 

「で、私に一体何の御用があるんですの?」

「あぁ…そうだったな」

 

 兵藤さんの目と顔は真剣そのもの。

 ある意味、今朝よりも遥かに緊張しているようにも見えた。

 

「俺…あれからずっと考えてたんだ。このままでいいのかって」

「あれからと言うと…レイナーレの一件から…と解釈していいのかしら?」

「そうだ。俺は川上さんに守られてばかりで何にも出来なかった。それどころか、もしも君がいなかったら死んでたかもしれない」

「…そうですわね」

 

 彼は彼なりにあの一件で色々と思う事があったようですわね…。

 よくよく考えれば、ごく普通の男子学生がいきなり命を狙われたりしたら、そりゃ混乱もするし、同時に色んな事を考えてしまうかもしれない。

 

「俺は…本気で変わりたい。馬鹿な自分から脱却したいんだ」

「それは立派な考えですけど…それと私とどんな関係が?」

 

 うーん…イマイチよく分かりませんわ。

 兵藤さんは私に一体何を求めているんですの?

 

「情けないと思われるかもしれない。失望されるかもしれない。でも、こういうのを頼めるのは川上さん以外にいないと思ったんだ」

「はぁ……」

 

 私が曖昧な返事をすると、なんといきなり兵藤さんがその場で土下座をした。

 しかも適当な感じのやつではない。

 頭はしっかり床に付き、凄く体勢を低くしている。

 なんと見事なジャパニーズ土下座…。

 

「川上さん!!」

「は…はい!?」

「頼む!! 俺を君の弟子にしてくれ!!」

「……はひ?」

 

 え…っと…? ん~?

 私の聞き間違いかしら? 今…弟子にしてくれと聞こえたような気が致しますのだけれど…。

 

「もう二度と、今までの情けない自分に戻りたくないんだ! 他力本願かもしれない! 何言ってんだって思ってるかもしれない! けど! 実際に川上さんの凄い所を見て、諸々の事件も解決したって聞かされて、こんな俺の性根を叩き直してくれるのは君しかいないって…そう思ったんだ!!」

「えぇ~…」

 

 それで、どうして私の弟子になるって結論に至るんですの~…?

 

「そ…それだったら、別に剣道部や柔道部とかに入部したりしてもいいのでは…?」

「それじゃあ駄目なんだ!」

「なんでですの…?」

 

 心身を鍛えると言う意味では、私よりも遥かに適任だと思うんですけれど…。

 一体どこが駄目だって仰るつもりなんですの?

 

「なぁ…俺が狙われたのって、俺の中に何かが眠っているからなんだよな?」

「そうらしいですわね。私も具体的な事は存じませんけど」

 

 兵藤さんの中には『神器』が宿り、眠っている。

 まだ覚醒には至っていないが、だからこそレイナーレに狙われたとも言えた。

 

「俺はそれを目覚めさせたい。それさえ出来れば、少なくともこの間のような事にはならないと思うんだ」

「まぁ…最低限の自衛能力ぐらいは身に付くかもしれませんけど…」

 

 そう簡単に事は運びませんと思いますわよ?

 どんな能力に目覚めようとも、自分自身を鍛えなければ宝の持ち腐れになるだけですから。

 

「だから、普通の部活じゃダメなんだ。川上さんのような『凄い力』を持っている人の傍じゃないと!」

「えぇ~…」

 

 そんな事を言われても普通に困りますわ~!

 何が悲しくて同級生でクラスメイトの男子を弟子にしないといけませんの~!?

 うー…あんまり気は進まないけれど、こればかりは仕方がありませんわね…。

 

「特別云々でしたら、私じゃなくて支取先輩やグレモリー先輩達の元に行けばいいのでは…?」

「それも少しだけ考えはした」

「だったら…」

「でも、あの人達は悪魔で、俺は人間だ。俺は人間のまま、人間として強くなりたいんだ」

 

 言ってる事は本当に立派だと思いますけど…どうしたら彼を上手い具合に説得できるんですのぉ~…。

 

「あうぅ~……ふぇ?」

 

 私のスマホに着信…? 一体誰から…。

 

【黄金の天秤】

 

 え…えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~っ!?

 こ…これって、もしかしなくても『あの方』なんですのっ!?

 どうやって私のスマホに…って、それに関しては考えるだけ無駄な気もしますわね…。

 今は兎に角、この着信に出なくては。

 

「少し失礼しますわ」

「分かった」

 

 ちょっと離れた場所に移動してから着信に応じる。

 ドキドキしながらスマホを耳に当てると、聞こえてきたのは案の定なお方の声だった。

 

『姫子よ。どうやら困っているようじゃな』

「や…やっぱり童虎さま…」

 

 前聖戦にてたった二人のみ生き残った生きる伝説にして、あのサガさまが『最強の実力を持つ男』と評価なされている程の大英雄。

 黄金聖闘士、天秤座の童虎さま。

 そして、『その名に龍を持つ者』の師匠でもあられる御方でもある。

 

『どうじゃ。あの小僧のこと、儂らに任せてみんか?』

「ひょ…兵藤さんの事を…ですか?」

『そうじゃ。言葉は空回りしているようじゃが、その決意は本物のように感じる。それに…』

「それに?」

『もうそろそろ、あやつにも弟子の一人ぐらいおっても良い頃じゃろうて』

「そ…それって、まさか…?」

 

 兵藤さんに『あの方』を師匠としてつけるおつもりなんですの?

 なんと畏れ多い…。

 

「け…けど、よろしいんですの? こう言っては何ですが、彼自身は少し前まで何にも知らなかったごく普通の一般人だったんですのよ?」

『構わんよ。そんな事を言えば、殆どの聖闘士が元は単なる一般人じゃった』

「それは…そうですけど…」

 

 けど…本当によろしいのかしら…心配ですわ…。

 

『では、言伝を頼んだぞ。お主も精進するんじゃぞ、姫子よ。お主の『最後の試練』の日も…着実に近づいてきていることじゃしの』

「…承知しましたわ」

 

 はぁ…全く童虎様も人が悪いですわ。

 私が伝説の方々に逆らえないと知って、あんな事を仰ってるんですから…。

 仕方がありませんわね。

 ああ言われた以上、ちゃんと伝えなくては。

 大きな溜息と共に、私は通話を切った。

 

「お待たせしましたわ、兵藤さん」

「もういいのか?」

「えぇ…」

 

 正直、気が重いですわー…。

 けれど、童虎様の折角のご厚意を無下にする事だけは絶対に出来ませんし…。

 

「えっと…兵藤さん? 先程の弟子にする云々の話なんですけれど…」

「弟子にしてくれるのかッ!?」

「いえ…それは無理ですわ」

「そ…そっか…」

 

 ちょっとストレートすぎましたかしら。

 すぐに本題に移らなければ。

 

「そもそも、私自身もまだまだ修行の身。未熟者の私が弟子を取るだなんて畏れ多いことなんですわ」

「嘘だろ…? 川上さんほどの実力を持ってる人でも、まだ未熟者認定なのかよ…」

「そうですわ。ですので、私の弟子にするというのは流石に無理なのです。その代りと言っては何ですが、兵藤さんの師匠になってくれそうな方に心当たりがありまして」

「ほ…本当かッ!? どんな人なんだっ!?」

「それはまだ内緒…ですわ。会えば分かります」

 

 大体の想像は着いてはいるんですけれどね。

 

「兎に角、今日はもう帰ってゆっくりと休む事をお勧めしますわ。今の兵藤さんには心を落ち着かせる時間が必要だと思いますから」

「川上さんが、そう言うなら…」

 

 やっと兵藤さんが土下座体勢から元に戻り、私に『また明日』と言ってから屋上を後にした。

 はぁ…やっと解放されましたわ…。

 なんだか無駄に疲れたような気がしますわ。

 生徒会室でお茶とか貰えるかしら…?

 ちょっと図々しいとは思いますけど、精神的な疲労の時は甘い和菓子に渋いお茶と相場が決まってますもの。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 屋上で姫子と別れた後、一誠は言われた通り、そのまま自宅へと帰った。

 そして、普通に風呂に入り、普通に夕飯を食べ、自分の部屋でスマホを弄りつつ暇潰しに動画を見て過ごした。

 

 部屋の中にあった数々のグッズを一掃したお蔭で室内はかなり広くなり、見た目的には相当にスッキリした。

 因みに、彼が変わる決意をした時、一誠の両親は泣いて喜んだとのこと。

 

「川上さんが紹介してくれる人って…一体どんな人なんだろうな…」

 

 いつ会えるのだろうか。どんな人物なんだろうか。

 普通に過ごしながらも、心の中はドキドキとソワソワで一杯だった。

 

 そんな事を考えた直後に『まずは自分にやれる事でもしてみるか』と思い、部屋の中で腕立て伏せやスクワット、腹筋などをしてみた。

 一誠自身は一般の男子高校生の平均値のような体型をしているので、動くこと自体はそこまで苦労はしなかったが、かといって楽々に出来ると言った感じでもなかった。

 良くも悪くも『普通』だった。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…! 俺って…もしかして割とマジで運動不足だったりする…? これ、変わる云々関係無しに普通に運動しなくちゃいけないんじゃねぇか?」

 

 ここに来てようやく自分の健康を気にし出す一誠。

 だが、それはそれで良い傾向なのかもしれない。

 

 結局、一誠は寝る少し前までストレッチを繰り返し、その後に軽くシャワーを浴びてから就寝した。

 寝る前に体を動かしたお蔭か、その日はすぐに眠りに着けた。

 

 そして…夢の中で彼は運命の出会いを果たすことになる。

 文字通り、自分の人生を変えるような出会いを。

 

 

 

 

 

・・・・・

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・・

 

 

 

 

 駒王町 中央区 駒王病院前

 

 

「Pape Satan…Pape Satan…aleppe…」

「だ…誰か…助け…!」

「comincio pluto con lo」

「だれ…か……」

「voce chiocciai」

 

 プチン…。

 

「e quell savior qentil」

「あ…………」

「che tutto seppe」

 

 神曲『地獄編第七歌』

 冥府神 咆哮。「パペ・サタン・パペ・サタン・アレッペ」

 

「いざ…斬ろう…銀の糸(シルバーコード)…」

 

 ドサリ…。

 

「いざ参ろう……『人形(・・)』の元へ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




一誠さんの師匠には『あの五人』のうちの誰かがなりますわー!

もうお分かりの人が多いと思いますけどー!



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