今こそ燃えろ黄金の小宇宙! ですわ!   作:とんこつラーメン

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今回、一誠さんの参加フラグが立ちますわー!

といっても、実際に戦う訳ではありませんわー!







まさかの要望! ですわ!

 姫子がリアスから相談を受けた日の夜。

 一誠は夢の中で紫龍の指導を受けていた。

 

「よし一誠。試しにこの大岩を砕いてみせろ」

「う…うっす!」

 

 もう既に赤龍帝の籠手を展開済みの一誠は、自分の拳に全神経を集中させ、目の前にある自分よりも遥かに巨大な大岩を睨み付ける。

 

「大事なのはイメージだ。聖闘士の闘法の基本を忘れるな」

「基本…基本…!」

 

 一誠は今までに紫龍から様々な事を教わっている。

 小宇宙の存在と、それを燃焼させることの重要さ。

 この世の全てが『原子』で構成されていて、その『原子』自体を小宇宙で燃やした拳にて砕く事が『破壊の究極』であるということ。

 これさえ忘れなければ理論上、物質としてこの世に存在している物で破壊出来ないものは無い。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…!」

『こ…これが小宇宙…か…! 魔力とは全く違う、ありとあらゆる生物の根底に眠っている潜在的な力!』

 

 全く籠手の倍化の能力を使用していないにも拘らず、一誠の全身に赤いオーラが出現し、同時に力が漲っていく。

 今、確かに一誠は自らの身体に宿っている小宇宙を燃やしている!

 

「今こそ燃えやがれ!! 俺の…小宇宙ォォォォォォォォォォォォっ!!!」

 

 渾身の力を籠め、全力で拳を大岩へと叩き付ける!!

 凄まじい破裂音が響き渡り、籠手を纏った拳が岩盤へと突き刺さり、そこから全体に渡って罅が広がっていく。

 このまま粉々に砕け散るか?

 そう思われたが、結局は罅の拡散だけに留まり、大岩が砕けなかった。

 

「はぁ…はぁ…はぁ……チックショー! まーた駄目だったかー!」

「そう嘆くな。前よりは格段に進歩している。前は罅すらも出来なかったじゃないか。小宇宙の燃やし方も悪くない。だが、もう少し効率よく燃やせれば猶良し…だな」

 

 落ち込む一誠を励ました後、別の大岩が紫龍の目の前に出現。

 それに向けて、彼はそっと人差し指を向ける。

 

「最終的には…『こう』なるのが理想だな」

「え?」

 

 トン。

 ほんの少し、指先で大岩の表面を突く。

 たったそれだけで、なんと巨大な岩が文字通り木端微塵に砕け散った。

 

「す…スゲー!!! 流石は師匠だぜ!!」

『ゆ…指一本だけでこれとは…! 強さの次元が違い過ぎる…! この男…どれ程の領域に到達しているのだ…!?』

 

 数多くの猛者たちと死闘を繰り広げ、時には神々とも拳を交えた。

 強敵たちとの戦いが、紫龍の強さを異次元級の域にまで成長させていた。

 

「いつの日か、一誠にも同じ事が出来るようになって貰うぞ」

「うっす! 絶対にやってみせます!」

「うむ。その意気だ。…そうだ。折角だし、あれも教えておくか」

「『あれ?』」

 

 いきなり意味深な事を言いだした紫龍に小首を傾げる一誠とドライグ。

 紫龍が指をパチンと弾くと、一瞬にして周囲の風景が一変し、大自然豊かな山奥へと変貌した。

 

「おぉ~!? なんじゃこりゃっ!?」

『夢の中の世界故にそこまで驚きはしないが…ここはなんだ? 随分と自然溢れる場所のようだが…』

 

 その光景を懐かしむように見つめる紫龍。

 幻影とはいえ、第二の故郷とも言うべき場所を見ると、感慨に耽ってしまうのは仕方がないことだった。

 

「中国。廬山・五老峰。俺が人生の殆どを過ごし、同時に我が師と共に修行をした場所でもある」

「師匠の師匠…」

「そうだ。そして、その人物はあの姫子にとっても師匠のような存在でもある」

「か…川上さんのッ!?」

 

 と言うことはつまり、紫龍と姫子は兄弟弟子のような存在になる。

 それだけで改めて、姫子の強大さを実感した一誠。

 

「一誠。あそこにある大滝が見えるか?」

「あ…はい。見えます。めっちゃでっかい滝っすね…」

『大自然の産み出した奇跡…という奴か。雄大な景色とはまさにこれだな』

 

 一誠の感想は実に簡素なものだったが、ドラゴンであるドライグはその景色に感動をしたのか、まるでコメンテーターのような感想を述べた。

 

「最終的には、あの大滝を逆流して貰うぞ」

「ぎゃ…逆流ッ!? あのでっかい滝をっ!?」

『そ…そんな事が可能なのかッ!? 明らかに物理法則を無視しているぞっ!?』

「ふっ…聖闘士にそんな事を言うのは愚問だぞ。ドライグよ」

『うぐ…!』

 

 言われてしまった。

 自分自身が超常の存在であるドラゴンに物理法則云々を言われても、普通に困るのは紫龍の方だ。

 

「俺は…14の時にあの大滝を逆流してみせた」

「マジっすかっ!?」

「本当だとも。そして、姫子もまた今から約2年前…つまり14歳の頃に同じことを達成してみせた」

「川上さんも…」

 

 自分が呑気に遊び呆けて、馬鹿のように彼女に告白をした頃。

 姫子は人知を超越した偉業を達成していた。

 そう思うと、途端にやる気が溢れてきた。

 

「やってやる…! 俺もいつの日か必ず、師匠や川上さんと同じように、この大滝を逆流させてみせる!!」

「よく言った。それでこそ、この紫龍の弟子だ」

 

 自分の弟子が嘗ての自分と同じことを目標としてくれた。

 師匠として、こんなに嬉しいことは無いだろう。

 

「その姫子だが…近い内、『大きな戦い』をする事になるぞ」

「大きな…戦い?」

「そうだ。と言っても、別に人命に関わるような物ではなく、ある種の『試練』のような物らしい」

「試練……」

 

 あれ程までの強さを誇る姫子でも、試練なんてものを受けなくてはいけないとは。

 『強さ』というのは本当にキリが無いと思い知らされる。

 

「可能であれば、一誠もそれを見学してみるといい」

「いいんスかね…?」

「別に見るぐらいは構わないだろう。それに…」

「それに?」

「強者の戦いを見るのは、それだけで最高の特訓になる。必ず、そこから得られる物がある筈だ」

 

 昔から『視稽古』というのは確かに存在している。

 他者の戦いを見る修行方法。

 紫龍を初めとする『伝説の五人』もまた、数多くの戦いを見る事で何かを得た事が多い。

 

「よし。では、このまま修行を再開するか」

「うっす!」

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 さてはて…どうしたものやら。

 グレモリー先輩に婚約者の事について相談を受け、どうにかすることで話が進んでしまったが…。

 私の頭の中では、大まかな方法は考えてはいるが、問題は『どうやってその話に持っていくか』だった。

 一応、念の為に相談を受けた事を支取生徒会長にも報告したのだけれど…。

 

『はぁ…全くリアスは…。本当に申し訳ありません…』

 

 …と、何故か謝られてしまった。

 生徒会長とグレモリー先輩は幼い頃からの仲…所謂『幼馴染』の間柄だからなのだろうか?

 

 お昼休みに食堂へと向かう最中にそんな事を考えながら廊下を歩いていると、いきなり背後から声を掛けられた。

 

「川上さん!」

「この声は…兵藤さん?」

 

 彼から私に話しかけてくるとは、また珍しい事もあるものだ。

 何かあった時などはともかく、プライベートでこうして彼と会話をするのは初めてかもしれない。

 

「ごきげんよう。どうかしたんですの?」

「あのさ…実は師匠から聞いたんだけど…」

「紫龍さまから?」

 

 あの方から一体何を伺ったというのかしら?

 

「近い内、何か大きな戦いをするんだろ?」

「なんという地獄耳…」

 

 恐らく、デスマスク様辺りから聞いたのでしょうね…。

 昔の因縁もあってか、紫龍様とは何気に仲が良いですから。

 

「その事でちょっと頼みたい事があるんだけど…いいかな?」

「内容にもよりますけど…言ってみてくださいまし」

「俺に、その戦いを見学させてくれ! 頼む!」

「け…見学?」

「あぁ!」

 

 これまた意外なお申し出。

 『手伝わせてくれ!』なんて事を言いだしたら、即座に断っていましたけど…見るぐらいなら大丈夫かもしれませんわね。

 今の彼は一般人じゃない。

 三大勢力の事を知り、伝説の大英雄の弟子となっている今、兵藤さんも立派な当事者だ。

 

「私からは何とも言えませんわね…。そもそもの話、これはグレモリー先輩から持ちかけられた話ですので」

「あのリアス・グレモリー先輩に?」

「そうですの」

 

 見学を目的としているのなら、ここで事情を教えておいても問題は無いだろう。

 ということで、簡単に教えてあげる事に。

 

「…と言うことですわ」

「成る程な…。その婚約者との話をどうにかしてほしいって事を相談したのか」

「えぇ。幾らなんでも、後輩にソレ系の相談をするのはどうかと思いますけど」

「まぁまぁ。それだけ川上さんが頼りにされてるって証拠だろ?」

「そうかもしれませんけど…」

 

 私は別に高校生探偵をしているわけじゃあありませんことよ?

 今更ながら、完全に相談する相手を間違っているとしか思えませんわ。

 協力を了承してしまった今では、意味が無いですけど。

 

「今日の放課後にでもオカルト研究部にお邪魔して、もっと詳しいお話を聞こうと思っていますの。その時にでも頼んでみたらいいと思いますわ」

「そっちの方が確実か。分かったよ」

 

 これで、この話は終わり。

 ついでということで、私達はこのまま一緒に食堂へと行くことに。

 その際に女子の皆さんがニコニコしながらこっちを見てましたけど…どうかしたのかしら?

 

「あら? これは…」

「どうかしたのか?」

「噂をすればなとやら。グレモリー先輩からのメールですわ。えっと…なになに?」

 

 あらあら…まぁまぁ…。

 なんとも話が早いことで。

 先輩が焦っているように見えたのも、これを予見していたからかもしれませんわね。

 

「なんて書いてあったんだ?」

「どうやら、今日の放課後に件の『婚約者』が尋ねてくるそうですわ。で、その席に同席して欲しいと」

「またいきなりだな。昨日の今日だぜ?」

「そうですわね。でも、無駄に話が長引くよりは。手っ取り早く済ませてくれた方が有り難いですわ」

「それもそっか。俺も一緒に行ってもいいよな?」

「別に構わないでしょう。『部外者を連れてくるな』とは一言も書かれてありませんですし。日本語は難しいですわー」

「それって屁理屈…いや、言葉の綾ってやつか? どっちにしても、本当に川上さんって強かだよな…」

「褒め言葉として受け取っておきますわ。では、まずはお昼ご飯と洒落込みましょうか?」

「お…おう!」

 

 こうして、放課後の予定も決まり、私はようやく昼食にあり付けたのですけど…なんでそれだけのことなのに兵藤さんは気合が入っていたのかしら?

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、ようやくライザーが登場ですわー!

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