今こそ燃えろ黄金の小宇宙! ですわ!   作:とんこつラーメン

33 / 73
試練の日! ですわ!

 あっという間に時間は過ぎ、今日は遂にライザーとその眷属たちとの試合の日。

 この一週間、私は有言実行の精神で日常通りの生活を送っていた。

 いつも通りに学校に行き、いつも通りに家に帰ってからトレーニングをし、いつも通りの勉強をして、いつも通りに夢の中の空間で偉大なる方々と手合せをする。

 そんな毎日を過ごしていた。

 

 そして今は、生徒会室にて生徒会の方々のお仕事のお手伝いをしている。

 

「支取会長。こちらの書類の纏め作業、終了しましたわ」

「ありがとうございます。ふむ…バッチリです。相変わらず見事な手際ですね」

「お褒め頂き光栄ですわ」

 

 姫たる者、これぐらいは出来て当然ですわ。

 

「そういえば、今日が例の試合の日…でしたね」

「はいですわ」

「今日はもう大丈夫なので、自宅に帰ってから色々と準備をした方が宜しいのでは?」

「そう…ですわね」

 

 まぁ…準備と言っても、特に何かをする訳じゃあないけど。

 強いて言えば、時間まで精神を集中させておくぐらいか。

 

 因みに昨日、グレイフィアさんの方から準備完了の知らせが届き、その時にお義父様と一緒に同行する『立会人』の事を説明しておいた。

 簡単に事情も説明したお蔭か、すぐに了承が取れた。

 仮に了承が取れなくても、あの方なら勝手に来そうな気がしますけど。

 

「けどよ…本当に大丈夫なのか? 川上が強いことは十分に知ってるけどさ…相手は貴族の上級悪魔なんだろ?」

「ご心配は無用ですわ、匙さん。一度出会ってから、相手の力量は分かりましたから」

 

 私は余り相手を見下したりするのは好きではないけど、あそこまで差があれば余裕だって自然と生まれてくるものだ。

 

「彼女ならきっと大丈夫ですよ。それに、今回の相手であるライザー・フェニックスに戦略というものは余りありませんから」

「そうなんスか?」

「えぇ。彼の基本戦術は数に物を言わせた人海戦術。それに加え、フェニックス家の特徴とも言うべき高い再生能力を利用した力押しが殆どですから」

 

 高い再生能力…良いことを聞きましたわ。

 それを聞いただけでも、簡単な作戦が出来ましたし。

 

「これまでに何回か敗北したことはあるようですが、その全てが所謂『接待』だったそうです」

「接待ゴルフならぬ『接待レーティング・ゲーム』ってことか…」

「その通り。故に、彼らは完全に油断をしている事でしょう。数の上で圧倒的優位であることに加え、自分達が悪魔であるという自負と、川上さんが人間の少女であるという慢心。これが必ず、相手の首を絞める事に繋がる」

 

 …流石は支取先輩ですわ。

 生徒会長としてのカリスマ性だけではなく、戦略を読む眼すらも持っているとは…。

 この人は恐らく、指揮官としてはかなり優秀な部類なのでしょう。

 

「それでは、お言葉に甘えて今日はこの辺で失礼いたしますわ」

「はい。ご苦労様でした」

 

 鞄を持って生徒会室を出ていこうとすると、いきなり後ろから支取先輩に声を掛けられた。

 

「川上さん」

「はい?」

「今日の試合…私は見に行くことは出来ませんけど、それでも貴女の御武運をお祈りしています」

「ありがとうございます。必ずや吉報をお届けしますわ」

 

 ちゃんと先輩の方を向いてからお辞儀をし、それから生徒会室を後にした。

 

 生徒会室を出ると、なんとドアの前で兵藤さんが待っていてくれた。

 

「あら…もしかして、今までずっとお待ちになられて?」

「うんにゃ。ついさっき来たところだよ」

『嘘をつけ。ドアの前でもう30分以上待っていたくせに』

「ちょ…ドライグッ!?」

 

 兵藤さんの左手の甲が赤く光って会話に割り込んできた。

 成る程…神器を出さなくても話すことぐらいは出来るんですのね。

 

「そ…そろそろ行こうぜ! な?」

「そうですわね。では、帰りましょうか」

 

 彼と一緒に下駄箱まで行き、校門を出てから帰路につく。

 兵藤さんとは途中まで一緒なので、分かれ道に着くまでは他愛のない話をしながら歩いていくことに。

 

「では、私はここら辺で。また後でお会いしましょう」

「おう! また後でな!」

 

 互いに軽く手を振ってから、私は家へと帰る事に。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 ふぅ…家に到着…っと。

 取り敢えず、まずはこの日に向けてアイロン掛けをしておいた『勝負服』をクローゼットから出して、それから…。

 

「ただいまですわー」

「あ! おかえりなさい姫子さん!」

 

 玄関先で出迎えてくれたのはアーシアさん。

 もうすっかり、この家の立派な一員だ。

 

「あら…?」

 

 よく見たら、なにやら見た事のない靴がありますわね。

 それに…。

 

(家の中から小宇宙を感じる…? この烈火のように燃える小宇宙は…まさかっ!?)

 

 い…いやいやいや…まさかそんな事が…?

 確かに来ることにはなっていますけど、まだ指定された時間には早いですし…。

 でも、あの方は文字通りの神出鬼没。

 決して無いとは言い切れないし…。

 

「そう言えば、姫子さんにお客様がいらしてますよ」

「私に…?」

 

 それって…やっぱり…?

 

 恐る恐る靴を脱ぎつつ家に上がり、リビングへ入っていくと…。

 

「どうだい? 私特製のブレンドなんだが…中々に美味いだろう?」

「うむ…悪くない」

「気に入ったようで何よりである」

「あるー」

 

 やっぱりいた――――――――――――!!??

 

 しかも、なんか普通にお義父様やコクトーさんと一緒に寛いでる――――!?

 

「おぉ…帰ってきたんだね。おかえり姫子」

「おかえりである」

「あるー」

「た…ただいま…ですわ…」

 

 真っ黒なジャケットを着用して、胸の部分には折り畳んだサングラスがぶら下がっている。

 なんて現代風の服装…妙に似合っているのが凄いですわ。

 

「姫子か。邪魔しているぞ」

「は…はい。ごきげんよう…ですわ。一輝さま…」

 

 この方こそ…『伝説の五人』の一人にして、史上最強の聖闘士でもあらせられる鳳凰座(フェニックス)の一輝さま。

 いや、今のこの方はフェニックスだけではなく『黄金の獅子』の力も継承しておられた筈…。

 

「い…一輝さま。お言葉ですが…まだ時間は相当に早いですけど…」

「かもしれん。だが、どちらにしても来るのであれば、早い遅いなど問題ではないだろう」

「は…はぁ…」

 

 こちらにいられるのは制限時間があるとの事でしたけど…大丈夫なのかしら?

 この様子からして、全然余裕そうですけど…。

 

「いやはや…中々に面白い人物だね、一輝くんは」

「その言葉、そのまま返してやる。錬金術師だと聞いていたから、どんな奴かと想像していたら、まさかここまで陽気な奴だとはな」

 

 案の定、なんか普通に仲良くなってる…。

 意外過ぎる組み合わせですわ…。

 

「そういえば、お前の同級生に紫龍の弟子がいるそうだな」

「その事もご存じなのですか!?」

「あぁ。アイツから直接聞いた。物凄く弟子自慢してきた」

 

 し…紫龍さまぁ~っ!?

 でもそっかー…あの方はご自身のお師匠様にも恵まれ、美人の幼馴染もいらっしゃる、所謂『勝ち組』ポジでしたわね…。

 そこに加えて弟子まで出来てしまえば、自慢するのも当然のこと…か。

 

「弟子…か」

 

 あ…あれ?

 もしかして、紫龍さまに弟子がいる事を羨ましいと思っていらっしゃる?

 一輝さまに弟子が出来たら、きっと…。

 

(物凄いスパルタ教育をしそうですわ…)

 

 実際、私もこの方にご指導をして貰った時、とてつもなく厳しかったですし。

 そのお蔭で今の私があるんですけど。

 

「あ…あのー…姫子さん? この方は一体どなたで…?」

「この前に話した『立会人』の方ですわ」

「え…えぇ~っ!? それって、これまでに幾度となく世界を守ってきた五人の勇者の一人だっていう…」

「そうですわ」

「あわわわわわ…」

 

 狼狽えるのも無理ないですわね…。

 そっち方面では超が付くほどの有名人ですから。

 

「俺はそんな大層な人間ではない。ただ、己の使命を全うしたに過ぎん」

 

 あれだけの大偉業の数々を、その一言で済ませられている時点で凄すぎるんだって自覚してほしいですわー!!

 貴方様方のお力で、一体どれだけの命が救われてきたことか…。

 

「そうだ姫子よ。実は、アーシアの今後の処遇について色々と話し合っていたのである」

「アーシアさんの処遇?」

 

 今のままでは駄目なんですの?

 

「その少女の事情については俺も聞かされている。その上で、アテナはある提案を持ちかけてきた」

「アテナ様からの提案…?」

 

 一体どんな事を…?

 

「姫子。お前が正式に黄金聖闘士になった暁には…彼女、アーシア・アルジェントをお前の従者に据えろ」

「ア…アーシアさんを…」

「私が…姫子さんの従者に…?」

 

 またなんとも、いきなり過ぎる提案ですわね…。

 

「黄金聖闘士ともなれば、従者の一人や二人ぐらいいて当たり前だ。従者と言っても、そこまで堅苦しいことをする必要は無いがな。これまで通りで問題はあるまい」

「それはつまり…形式上だけの従者になれと…?」

「そうなるな。だが、アーシアが姫子の従者になれば、聖闘士と同様のアテナの加護が彼女を守ってくれる。そうなれば少なくとも、三大勢力の連中はアーシアに何も出来なくなる」

「もしも、黄金聖闘士の従者であるアーシアに手を出せば、それは即ちアテナを敵に回すことになり、休戦協定を結んでいるポセイドンやハーデスは愚か、オリュンポス十二神族全員を敵に回す事と同義になるのである」

「「ひぇ~…」」

 

 要は…アーシアさんや私にはアテナ様だけではなく、オリュンポスの神々全員の加護があるに等しいという訳ですの…?

 畏れ多すぎて逆にドン引きですわよ!!

 昨日の敵は今日の友とはよく言いますけど、それでも限度がありますわよッ!?

 

「姫子。まだ時間はあるとの事だが、それまでお前はどうする気だ?」

「えっと…部屋に戻って体を休めつつ勉強でもしようかと…」

「…そうか」

 

 なんでしょうかしら…少し残念がってる?

 もし『勉強する』なんて言わなかった場合は、なんて仰るつもりだったのかしら…?

 

 それにしても…我が家にあの一輝さまがいる光景って…凄すぎますわね…。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 外もすっかり暗くなり、私達は待ち合わせ場所である駒王学園校門前へと行くことに。

 

「では…行くか」

「楽しみだねェ」

「そんな事を言うのは、間違いなくお義父様だけですわ」

 

 緊張…はしていないけど、戦いに赴く心構えぐらいはしておりますわ。

 今思えば、私が『試合』をするのは、これが初めてですわね。

 貴重な経験が出来ると考えて頑張りますか。

 

「では、行ってまいりますわ。眠たかったら、無理して待たずに先に寝ていても構いませんから」

「分かりました。姫子さん…いってらっしゃい」

「頑張るのである」

「あるー」

 

 二人に頷いてから、一路…駒王学園へ。

 

 ま、テレポートや光速移動すればすぐなんですけど、ここは敢えてお義父様に合わせて歩いていくことに。

 それでも、そこまで時間は掛からないんですけどね。

 

「姫子。お前が着ている、その服装は一体なんだ?」

「私の勝負服ですわ。聖衣の代わりの正装のつもりです」

「…そうか」

 

 何処かの変身ヒロインのようなピンクでフリフリの格好だけれど、不思議とこれを着ていると普段以上に気が引き締まる。

 今日の試合において、これ以上の正装は他に無いと思う。

 

 暫く歩いていくと、すぐに駒王学園の校門が見えてきた。

 夜の暗さでよく見えないが、どうやら既に誰かが来ているようだ。

 

「ん? あれは…川上さんか? おーい…って、んんっ!?」

 

 先着していたのは兵藤さんでしたのね。

 その顔はなんですのよ。

 

「か…川上さん? その格好は…?」

「今回の試合に向けて着てきた勝負服ですわ」

「勝負服…」

 

 あらら。顔を真っ赤にして目を背けてしまいましたわ。

 意外と可愛い反応をするんですのね。

 

「そうか…君が話に聞く『兵藤一誠』くんだね」

「え? えっと…この人は…?」

「私のお義父様ですわ」

「か…川上さんのお父さんっ!?」

 

 字が違いますけど…まぁいいでしょ。

 実の父のように思っていますし。

 

「初めまして。姫子の養父です。よろしく」

「ひょ…兵藤一誠です! よろしくお願いします!」

 

 何をどう『よろしく』するんですの?

 こちらにも分かり易く説明して下さらない?

 

「こいつが紫龍の弟子か」

「え? どうして師匠の名前を…?」

 

 あ。一輝さまが兵藤さんに食い付いた。

 

「この方は兵藤さんのお師匠様である紫龍さまと共に戦ってきた仲間であり、今日の私の戦いの立会人でもあるお方ですわ」

「し…師匠の仲間ッ!?」

「一輝だ」

「兵藤一誠…です…」

 

 お義父様の時とは別の意味で緊張していますわね。

 無理もないですけど。

 

(す…スゲー迫力! 流石は師匠の仲間だぜ…!)

 

 冷や汗ダラダラですわよ?

 本当に大丈夫ですの?

 

『お…おい相棒!!』

「おわっ!? 急に出てくるなよドライグ…」

 

 あら。ここでまさかのドライグさん登場。

 

『な…なんだ…この男は…! 紫龍と同じか…それ以上の恐ろしく強大な力を感じるぞ! まるで、宇宙全体を灼熱の炎で燃やし尽くさんとする程の凄まじい力…いや…この場合は小宇宙と言うべきか…! 本当に人間なのか…!?』

 

 その気持ち…すごーく良く分かりますわー…。

 一輝さまの戦いを直に見れば猶の事、その異次元級の実力に絶句しますもの。

 

「赤い籠手…そうか。これが例の『赤龍帝』とやらか」

「ふむふむ…成る程。非常に興味深い」

『ひ…姫子よ…お前の交友関係は一体どうなっているのだ…?』

 

 今更、それを問いますの?

 めっちゃ遅すぎるような気がしますけど。

 

「皆様方。お揃いのようですね」

 

 後ろからいきなり聞こえてくる声。

 見た事のある魔法陣からメイド服のグレイフィアさんが現れた。

 

「そちらの方が、姫子様のお父上様ですか?」

「えぇ。初めまして。姫子の養父の『フィリップス・パラケルスス』です」

「グレモリー家にお仕えするメイド長の『グレイフィア・ルキフグス』と申します」

 

 おぉ~…大人同士の挨拶ですわ~…。

 私もいつか、これぐらい立派な挨拶が出来るようにならなければ。

 

「悪魔のメイドさんか。なんとも不思議な響きだね」

 

 感想それだけですのっ!?

 お義父様も、グレイフィアさんから感じる強大な小宇宙を感じている筈ですけど…。

 

「お隣の方が、もしや例の『立会人』の方ですか?」

「そうだ。俺の名は一輝。姫子の戦いの立会人をする為に来た」

 

 流石のグレイフィアさんも、一輝さまを目の前にしては緊張を隠せない様子。

 特に小宇宙を燃焼させなくても、このお方の強さは肌で感じますしね。

 

「…失礼を承知でお尋ねします。一輝さまは何者なのですか?」

「何者…とは?」

「貴方様からは凄まじい力を感じます。正直、本気を出しても貴方様に傷一つすらつけられる自信がありません」

「俺は只の人間だ。それ相応の修羅場を潜っては来ているがな」

 

 え~…?

 あのシャカ様を相打ちに持ち込み、サガ様と互角の戦いをし、冥界三巨頭の一角を単独で撃破し、挙句の果ては死を司る神タナトスに青銅聖衣の状態の時に一撃を与えて本気モードにさせているのに?

 それを『それ相応の修羅場』の一言で済ませますの?

 

「そ…そうですか…」

 

 まぁ…納得はー…出来ませんわよねぇ…。

 実際に戦っている姿を見たら失神するかもですけど。

 

「で…では、これより試合会場へと御案内いたします。私について来てください」

 

 話を逸らすように、再びグレイフィアさんが魔法陣を展開し、その中へと入っていく。

 私達も彼女に続く形で魔法陣へと入って行った。

 

 さて…ようやく本番ですわね。

 

 

 

 

 

 

 




姫子の勝負服は、カワカミプリンセスの勝負服そのまんまですわー!






  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。