今こそ燃えろ黄金の小宇宙! ですわ!   作:とんこつラーメン

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今回は、遂に姫子以外の『次世代の黄金聖闘士』が登場します。

敢えて守護星座は明記しませんが、分かる人は一発で分かると思います。









黄金の新世代! ですわ!

 駒王町 駒王ビジネスビル 屋上

 

 ビル風が吹きすさぶ場所に、一組の男女が並んで立っていた。

 学生と思われる制服を身に付け、歳の頃は少年や少女といった感じ。

 二人はじっと、駒王町の景色を眺めている。

 

「…この町に姫子がいるんだな?」

「間違いあるまい。一輝からの情報だ」

「あの人の情報なら間違いないな」

 

 一輝の名を聞いた途端、少女の顔に笑みが浮かぶ。

 彼女にとって、彼もまた最も尊敬する人物の一人なのだから。

 

「まだ本格的に動いてはいないようだが、それでも急いだ方が良いだろう。先手を譲る理由は無い。特に、今回のような場合は」

「それもそうだな。我々だけでどうにか出来れば一番なのだが…」

「どうも、今回はそうもいかないようだしな」

 

 不意に、二人は少しだけ視線を上げて睨みを利かせた。

 

「…来ているか(・・・・・)?」

「あぁ…来ている。分かる者にしか分からないだろうが、小宇宙を隠す様子すらない」

「恐らく、自分の存在を姫子にアピールしているのだろう。『自分はここにいる。この町に来ている』…と」

「何の為に?」

「牽制の為…ではないだろうな。『今』の奴は姫子と敵対するつもりは無いようだしな」

 

 喜んでいいのか、それとも警戒すればいいのか。

 何とも言えない微妙な表情。

 敵ではない。

 かといって味方とも言い難い。

 

「兎に角、今は行動あるのみだ。コクトーが傍にいるとはいえ、情報の殆どは神託頼みだ。我々の口から詳細な情報を伝えなくては」

「うむ。教皇の勅命だからな」

「それにしても、一つの町に我々を三人も配置するとは…通常ならば考えられないな」

「確かにな。だが、今回の相手は普通ではない。念には念を入れて損することはあるまい。我等の出番が無いことが一番なのだからな」

「それもそうか…」

 

 目の前にある手すりを掴み、前のめりになる。

 そのまま、屋上から身体を投げ出すように飛び出した。

 

「行こう。我等の新たな同志の元へ」

「再会した時の、姫子の驚いた顔が目に浮かぶようだ」

「分かっているとは思うが、小宇宙は消していくぞ。余計な連中に目を付けられないように」

「承知しているとも」

 

 二人の姿は一瞬で消え、気が付いた時にはもう数百メートル先のある建物の屋根を走っていた。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 駒王町 某所

 

 白銀の髪を持つ青年が一人、静かに町の様子を眺めながら佇んでいた。

 

「この町に…『我が王』がいる…のか…」

 

 青年はずっと無表情だったが、いきなり大きな笑みを浮かべた。

 まるで、欲しかった玩具を買って貰った子供のように。

 

「やっと…やっとお会いできる…! この時を…この瞬間を…どれだけ待ち焦がれてきた事か…!」

 

 体を震わせながら笑うが、途端に彼の表情が再び無に戻る。

 

「それとは別に無粋な輩も来ているようだが。『王』の同志と思われる者が二人…それから、薄汚い『烏』が一匹、そして…」

 

 ギリッ…と拳を握りしめ、その顔が憤怒に歪む。

 

「畏れ多くも…『贋作にすらなっていないゴミ』を持ってきた愚か者が二匹…! 決して許すわけにはいかぬ…! もし遭遇しようものなら、真っ先に我が『剣』の錆としてくれよう…! しかし…」

 

 またもや青年の表情が元に戻る。

 随分と感情の起伏が激しい性格のようだ。

 

「この町に来ているのは我一人だけと思っていたのだが…そうではないらしい。まさか、『奴』が来ているとは…。この町にあるというのか…あの『聖剣』が…」

 

 目を細め、静かに天を仰ぐ。

 その瞳には確固たる決意が宿っていた。

 

「もう二度と、我は道を誤らぬ。絶対に『王』を裏切ったりせぬ。例え何があろうとも、最後の一瞬まで『王』に仕え、『王』と共にあり、『王』と共に散ろう」

 

 青年は歩き出す。

 彼が最も会いたい人物、会わなければいけない人物の元へ。

 

「我が最も敬愛する『王』よ…。今、貴女様の『第一騎士』が参ります」

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 今日は楽しい日曜日~♪

 って事で、私は朝からジャージを着て町中をランニングですわ~!

 ちゃんとお昼にまで戻る予定になっているので問題無し。

 え? 宿題?

 そんなのは出された日に終わらせてますわ。

 学生として普通の事ではなくて?

 

「ふっ…ふっ…ふっ…ふっ…!」

 

 一定のリズムで呼吸をしつつ速度を維持して走っていく。

 その気になれば文字通り一瞬で町を一周できますけど、それでは意味が無い。

 こうして地道に走ってスタミナをつけることが大切なのですわ。

 

「あら?」

 

 途中で、休みを返上してランニングをしている駒王学園野球部の方々とすれ違った。

 その中には当然、改心した松田さんもいた。

 私の姿に気が付くと、何も言わずに微笑を浮かべてから手を挙げた。

 こちらもそれに合わせ手を上げて応えると、彼は野球部の面々と一緒に走り去って行った。

 

「…頑張ってますわね」

 

 噂では、駒王野球部は本気で甲子園を目指しているらしく、つい最近も他校との練習試合で見事に勝利したとのこと。

 予選の時は兵藤さんや元浜さんと一緒に応援に行ってあげても良いかもしれませんわね。

 なんなら、駒王学園応援団に臨時参加してもいいですわ。

 

「少し小休止をしつつ水分補給でもしましょうか」

 

 何処かに自販機でも~……あった。

 丁度、公園の傍に隣接する形で設置されてましたわ。

 

「こういう時は『ポカリスエット』か『アクエリアス』のどちらかですわね」

 

 出来ればアクエリアスの方が良いけど。

 だって『水瓶座』だし。

 でも、この自販機にはポカリしかないみたい。

 残念ですけど、姫として無い物強請りは出来ませんわ。

 

「相変わらず、研鑽を怠っていないようだな」

「そりゃ勿論ですわ。姫として日々の努力は当然…って…はい?」

 

 なにやら後ろから声が聞こえてきた…?

 小宇宙は消してあるけど、ここまで近ければ嫌でも分かる。

 この独特の気配…しかも二人。

 まさか…?

 

「久し振りだな、姫子」

「また会えたな」

「あ…あなた達は…!?」

 

 片目が隠れている水色の髪に褐色の肌を持つ美少年と桃色の長い髪を持つ褐色肌の美少女。

 私はこの二人を知っている。

 誰よりもよく知っている。

 何故なら、この方たちは私の大切な…。

 

「ク…クレイオス!? ソニアまで!? どうして駒王町に!?」

「アテナと教皇からの勅命だ」

「勅命…? 何かあったのですか? アナタ達が二人揃って来るほどの事が…」

「あぁ。出来れば落ち着いた場所で話をしたい。外では流石に人目に付きすぎる」

「確かにそうですわね。でしたら私の自宅なんかはいかがかしら? あそこならばアテナの結界もありますし、防音という面では優れているかと」

「そうだな。姫子の家ならば問題は無いだろう。クレイオスもそれでいいか?」

「構わん。それに、お前の義父や従者にも挨拶をしておかなければなるまい」

 

 うーん…相変わらず生真面目ですこと。

 そーゆーところは『歴代の方々』とそっくりですわ。

 

「それでは早速参りましょうか。水分補給をしてから…ですけど」

「ならば、ついでに我等も何か買うか」

「因みに何を?」

「我は、このミルクココアを」

「私は爽健美茶にしようかな」

 

 いや…女性であるソニアが爽健美茶を買うのは分かりますけど…クレイオス、意外と可愛い一面がありますのね…。

 ちょっとだけギャップ萌えですわ。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 自宅に到着すると、クレイオスとソニアは目を丸くして驚いていた。

 

「話には聞いていたが…まさか、ここまで強固な結界が張られているとは…」

「近所の住民は想像もしていないだろうな。まさか、この家にアテナの聖なる結界が張られているだなんて」

 

 一般の方々には決して見えないから問題は無いんですけど。

 それでも、悪意ある者達は触れる事は疎か、近づく事すらも容易ではありませんわ。

 

「ただいまですわー」

「お帰りなさい、姫子さん。随分と早かったんですね」

「えぇ。実はランニングの途中で知り合いに会ってしまって。話をする為に連れて来たんですの」

「そうだったんですね」

 

 出迎えてくれたのは私服姿のアーシアさん。

 もうすっかり、この家にも馴染んでくれた様子。

 今では時々、買い出しにも行ってくれたりしている。

 アテナの加護のお蔭で、安全に外出も出来るようになったようだ。

 

「この少女が姫子の従者か」

「そうですわ。ですけど、まずは中に入りましょう。お互いの自己紹介はそれから」

「そうだな。では、失礼する」

「は…はい。どうぞ、お上がり下さい」

 

 ちゃんと日本の事も勉強しているようで、靴を脱いでから家に上がった。

 なんともシュールな絵面…。

 

 そのままリビングに通すと、お義父様が椅子に座って新聞を読んでいて、コクトーさんはその傍で一緒に新聞を見ていた。

 

「ただいまですわ」

「おぉ…おかえり姫子。おや? お客かな?」

「お主たちは…」

「久し振りだな。コクトー」

「相変わらず、梟とは思えない程に丸々としているな」

「五月蠅いのである。ソニア」

「あるー」

 

 完全にコクトーさんがマスコット扱い…。

 ま、似たようなもんですけど。

 

「少し汗を洗い流してきますので、お待ちいただけますか?」

「構わん。行ってくるといい」

「では遠慮なく。アーシアさん。お二人にお茶を出してあげてくださいまし」

「は…はい! 分かりました!」

 

 少しは主人らしいことが言えましたかしら…?

 私自身は、アーシアさんの事は従者と言うよりは一人の友人としてしか見ていないのですけど…。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 ふぅ…スッキリしましたわ~…。

 これで心置きなく話に集中出来ますわ。

 

「戻ってきたか」

「おかえり」

 

 リビングでは、お義父様とアーシアさんが向かい合うようにクレイオスやソニアと話をしていた。

 どうやら、本題ではなく他愛のない話だったようだ。

 

「お前が汗を洗い流している間に、お互いに軽く自己紹介はしておいた」

「いやはや…まさか、姫子の『仲間』が訪ねてくるとはね。これも女神アテナの思し召しというやつかな?」

「ある意味では似たようなものだ」

 

 まぁ…勅命ですしね。

 

 私もお義父様たちと同じ側に座り、彼らと向かい合った。

 話があるとのことでしたけど…この二人が派遣されて来た時点で良い予感は全くしませんわね。

 心して聞かないと。

 

「では、そろそろ本題に入るとしようか」

「そうですわね。お願いします」

 

 眉間に皺を寄せつつ、クレイオスが神妙な面持ちで語り出す。

 自分達が駒王町に来た理由を。

 私の元まで来たワケを。

 

 

 

 

 

 




エピソードGからクレイオス。
Ωからソニアの登場ですわー!

最初はクレイオスだけのつもりだったんですけど、この辺で出しておかないとソニアの出番が非常に少なくなってしまう懸念がありましたわー!
なので、二人セットで出す事にしましたわー!


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