今こそ燃えろ黄金の小宇宙! ですわ!   作:とんこつラーメン

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9月11日に、この作品の主人公のモデルとなったカワカミプリンセスが天寿を全うしたと聞きました。

実に今更ながら、彼女の冥福をお祈りします。

虹の橋の向こうで、キングヘイロー達と再会できますように。







まずは話し合い! ですわ!

 コカビエルの事を捜査しようと思って街に繰り出したら、久し振りにフリードさんと遭遇し、しかも彼が私達をストーキングしていた相手をとっ捕まえた挙句に、何やら事情を知っている様子なので色々と尋ねようとしたら、これまたいきなり自分の事を『ランスロット』と名乗る謎の人物が出現し、しかも私の事を『アーサー王』とか言って目の前に跪いてきた。

 

 …自分でも『何言ってんだ』って感じですわ、

 私自身も、今のこの状況を正しく認識できていませんし…。

 

「あ…あの…? 私がアーサー王ってどういう事ですの? それに『ランスロット』って…」

「なんと! もしや、この我の事をお忘れかっ!?」

 

 いや…忘れるも何も…私達は今日が完全に初対面なんですけど。

 

「…待てよ? カムランの丘での戦いから幾星霜の時が経過しているのだ。幾ら王とはいえ、記憶の混濁や摩耗が起きていても全く不思議ではない」

 

 なんか急に自分で勝手に理由を付けて納得してるんですけど。

 

「あのー…フリードさん? この方は一体…?」

「俺っちにもよく分かんにゃい」

「さいですか…」

「ただ一つだけ分かっている事があるとすれば、それは…」

「それは?」

「ランスロットの旦那が滅茶苦茶に強いってことだけだな」

 

 それはなんとなく分かりますわ。

 こうして近くにいると、彼の身からは発せられる恐ろしく強大な小宇宙。

 コカビエルの強さがどれぐらいかは存じませんけど、これだけは確実に言える。

 

 このランスロットを自称する彼一人でも、十分過ぎるほどにコカビエルを打倒出来ると。

 

「王よ。貴女様に幾つかお尋ねしたい事があるのですが、よろしいでしょうか」

「え? えぇ…いいですけど…」

 

 周囲に私達以外の人間がいないとはいえ、道のど真ん中で堂々と畏まられると、物凄く反応に困る。

 いや…私も黄金聖闘士である以上、聖域に行けば否が応でも似たような扱いはされるのでしょうけど…。

 

「王と一緒におられる者達は一体何者なのでしょうか?」

「あ…あー…」

 

 彼からしたら当然の質問…なのかしら?

 取り敢えず、ここは素直に答えておきますか。

 

「まず、こちらの二人は私と志を同じくする仲間ですわ」

「現世における王の仲間…! 流石は我が王…この時代においても、御身に匹敵する程の強大な力を持つ同志を見つけておられるとは…」

 

 基本的に私の言葉は全肯定なんですのね…。

 信じてくれたのは有り難いけど、少しは疑う事を知って欲しいと思うのはいけないことだろうか。

 

「…どうやら、我等への警戒心は解けたようだな」

「らしいな…しかし、姫子がアーサー王とは…言い得て妙だが、今のアイツには『アレ』が宿っているからな…」

「少なくとも、我等の口から否定の言葉は出せまい…」

 

 後ろの方でソニアとクレイオスが彼に対する説明を諦めているように感じたんですけど?

 もうちょっとでいいから粘って欲しい。

 

「そして、この兵藤一誠さんは私と同じ高校のクラスメイトであり、今は私が尊敬する方の一番弟子をしておられますわ」

「王と同じ学び舎に通う者…所謂『級友』と呼称される者ですね」

「え…えぇ…その認識であってますわ」

 

 言葉の一つ一つが堅苦しくて、なんか色々と面倒くさいですわ…。

 話してるだけで疲れてきた…。

 

「『級友』って…初めて聞いたぞ、そんな日本語…」

 

 奇遇ですわね。私もですわ。

 今時そんな言葉、ドラマやアニメの中でしか聞かないですわよ。

 

「では、最後に一つだけよろしいでしょうか」

「まだありますの…?」

 

 この最後の質問だけは、なんとなくその内容が想像出来た。

 

「どうして、王はその『贋作と呼ぶのも烏滸がましい剣』を持つ者どもと一緒にいられるのですか?」

「な…なんだとっ!?」

「が…贋作ってどういう意味よッ!?」

「そのままの意味だ! 貴様等の所業は、我等『円卓の騎士』全てに対する最大の侮辱と知れ!!」

「「なっ…!?」」

「もしも、この場に王がおられなければ、貴様達の首を即刻撥ね、我が『聖剣』の錆としてくれたものを…」

「「ひっ…!」」

 

 よ…よかったー!

 私が一緒で本当に良かったー!

 もしも、あと少し合流するのが遅かったら、街中に謎の首なし死体が二つ転がっていた所ですわー!

 

「なんという殺気だ…」

「殺気というよりは『剣気』と呼ぶべきか…」

「少し前までの俺だったら、泡吹いて気絶してただろうな…。マジで師匠に感謝だぜ…」

 

 これは…あれですわね。

 紫藤さんとゼノヴィアさんに、ちゃんと『エクスカリバー』の事を説明しないといけないみたいですわね…。

 本当は、コカビエルの一件が終わってから、ゆっくりとお話ししようと思っていたのに…。

 

「が…贋作とはどういうことだ…! この剣は、教会から借り受けたれっきとした…」

「あー…ゼノヴィアさん? 一先ず、ここでのお話はここまでにして、続きは場所を移しませんこと?」

「…もしや、姫子は何か知っているのか…?」

「まぁ…私だけじゃないと言いますか…」

「なん…だと…!?」

 

 ここまで来たらもう話すしかないじゃありませんの…。

 どうして私は穏便に事を運べないのかしら…。

 姫への道は、まだまだ遠いですわね…。

 

「ランスロットさん…でしたわよね?」

「我の事は呼び捨てで構いませぬ」

「で…ではランスロット。貴方も一緒に来なさい」

「よろしいのですか?」

「勿論ですわ。というか、アナタが来ないと始まらないでしょうに」

 

 そもそも、アナタが全ての原因なんですから。

 

「それと、フリードさんもご一緒にいかがですか?」

「へ? 俺っちもいいわけ?」

「えぇ。アナタからも色々とお話を聞きたいので」

 

 どうしてランスロットと行動を一緒にしているのか…とか。

 どうしてコカビエルの事を知っているのか…とか。

 こっちはともかく情報が欲しい。

 この際、どんな些細なことでも構わないから。

 

「姫子。一体どこに行く気だ?」

「この街で、人目を気にせずに色んな事を話せる場所なんて相当に限定されると思うが…」

「分かっていますわ。誰にも迷惑を掛けずに、安全に気兼ねなく話が出来る場所なんて言ったら、それこそ一ヵ所しかありませんわ」

「「「あぁー…」」」

 

 御理解いただけたようで何より。

 では、行きましょうか。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

「ここが…王の住んでいる邸宅…」

「ほえ~…中々に良い家に住んでるじゃん。やるねー」

 

 はい。毎度お馴染みの我が家に到着ですわ。

 本当はオカ研の部室も考えたんですけど、今のランスロットがグレモリー先輩達に出会ったら、即座に斬り掛かりそうな気がしたので止めましたわ。

 

「ま、取り敢えず入ってくださいまし」

 

 こんなにも大勢を連れてくるのは流石に初めてですわね…。

 お義父様は兎も角、アーシアさんは驚くかもしれない。

 

「ただいまですわー」

「姫子さん! おかえりなさい!」

 

 玄関に入ると、元気よく出迎えてくれたのはアーシアさん。

 エプロンを身に付けていると言うことは、さっきまで何か家事をしていたのかしら。

 

「む…王よ。この少女は?」

「私の従者であるアーシア・アルジェントさんですわ」

「王の従者…! 現世においても、もう既に従者を引き連れておられたとは…」

 

 そこ、感心するところですか?

 

「王の騎士ランスロットだ。よろしく頼む」

「え? あ…アーシア・アルジェント…です。こちらこそ…ん? ランスロット?」

 

 アーシアさん。そこは別に気にしなくても良いですわよ。

 ツッコむのも野暮ってもんですから。

 

「あれ? フリード神父もご一緒なんですか?」

「おー…アーシアちゃんじゃーあーりませんか。まさか、お嬢ちゃんの家に住んでたとはな。ま、いいんじゃねーの? 少なくとも、教会にいるよりは遥かにマシだろ」

 

 あれ? フリードさんとアーシアさんってお知り合いなんですの?

 二人の共通点と言えば、レイナーレの知り合いって事ですけど…。

 

「アーシアさんって、フリードの奴と知り合いなのか?」

 

 兵藤さんが私の言葉を代弁してくれた。

 地味に感謝しますわ。

 

「はい。バチカンにいた時にレイナーレ様とお会いした時に知り合いまして…と言っても、それだけなんですけど…」

 

 なーるほど。

 どうやらレイナーレは随分と前からフリードさんの事を雇っていたみたいですわね。

 結局はお金で紡がれた安い縁だったせいか、簡単に見捨てられてますけど。

 

「申し訳ないんですけど、また家で色々とお話がしたくて。お義父様やコクトーさんはいらっしゃいますの?」

「はい。お二人ともリビングで寛いでいらっやいますよ」

「それは何よりですわ」

 

 いざと言う時、お義父様が良い感じで潤滑油になってくれるから安心ですわ。

 頼りがいのある大人が傍にいてくれるというのは良いことですわね。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 リビングに入ると、そこではお義父様とコクトーさんとが一緒に新聞を読んでいた。

 

「おや? 今日はまた随分と早いね姫子。おかえり」

「おかえりである」

「あるー」

「ただいまですわ」

 

 性格が似ているせいか、この二人(?)は一緒にいる事が多い。

 肩にフクロウを乗せている中年男性と言うのは、中々に目立ちますわね…。

 

「今日もまた満員御礼だね。ん? 君は…」

「お前は…どうして王の家にいる…!?」

 

 え? なんでランスロットがお義父様の事を知っていますの?

 もしかして、お知り合いとか?

 

「えっと…この方は私のお義父様ですわ」

「貴様が…王の養父だと…!?」

「その通りさ。だから、そんなに警戒をする必要は無いよ。少なくとも、私は君と敵対する気は無い」

「…そのようだな。今の貴様からは全く戦意が感じられん。いや…それは前からか。お前にならば、王を任せても大丈夫か…」

 

 なーんか、私達を置いて二人だけで盛り上がってるんですけど。

 もしかして、家に連れて来たのはミスだった?

 

「お話は終わりまして?」

「…はっ!? も…申し訳ありません王よ!! 貴女様を差し置いて話をするなど…円卓の騎士として恥ずべきこと! なんなりと罰をお与えください!」

「いやいや…たったそれだけの事で罰とか与えませんから。だから、顔を上げてくださいまし」

 

 つーか、いきなり大袈裟に謝られると、却ってこっちの方が困るんですけど。

 

「おぉ…流石は我が王…何と寛大なお心…このランスロット。この御恩は一生涯忘れませぬ…」

「そ…そうですか…」

 

 もう好きにして…。

 

「ははは…どうやら、随分と面白いことになっているみたいだね、姫子?」

「もう…笑わないでくださいまし…お義父様」

 

 これは…話をするだけでも時間が掛かりそうですわ…。

 別の意味で厄介な相手の出現ですわね。

 また先輩方に報告することが増えてしまった…はぁ…。

 

 

 

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