今こそ燃えろ黄金の小宇宙! ですわ!   作:とんこつラーメン

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聖剣抜刃! ですわ!

 姫子とコカビエルとの壮絶な死闘は更に激しさを増していく。

 

「舐めるなぁぁぁぁぁぁっ!! 小娘ぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 ミリオン・ゴースト・アタックを全て破られ、そのままコカビエルの拳が姫子の腹部に直撃する。

 聖衣越しとはいえ、その衝撃は装甲をも貫通して、姫子の肉体に直に伝わった。

 

「がはぁっ!? けど!」

「し…しまったっ!?」

 

 全力の直撃をモロに受けたにも拘らず、姫子は不敵な笑みを浮かべる。

 その意味に気が付いた時、コカビエルは初めて動揺した。

 

「ようやく…捕まえましたわ!! 食らいなさい!! 雷蛇の一撃を!!」

「くぅぅぅぅぅっ!!」

 

 姫子の右手に紫電が迸り、それがそのまま鋭い爪となってコカビエルの体を引き裂く!!

 

 

             雷  鳴  鉤  爪(サンダークロウ)

 

「ぐぅおぉぉぉぉぉぉっ!! や…やってくれる…! だが!!」

「むっ!?」

 

 雷鳴の宿りし一撃を受け、コカビエルの天衣のボディに大きな爪痕が刻まれ、そこから激しい鮮血が噴き出る。

 だと言うにも拘らず、コカビエルは苦痛を気合で耐え、口の端から血を流しながらも姫子の右足を掴んで大きく回転しながら振り回す!!

 

「これならぁぁぁぁぁぁぁぁ!! どうだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 ジャイアント・スイングの要領で投げ飛ばされる姫子。

 投げた相手はあのコカビエル。

 その投擲力は通常の人間の比ではない!

 文字通り、一瞬で姫子の体は校舎の壁に叩きつけられそうになる!

 

「なんと言う力…! けど!!」

 

 投げ飛ばされながら、なんと姫子は小宇宙を集中させて星雲鎖(ネビュラ・チェーン)を生成し、それをコカビエルの体に巻き付けた!!

 

「ぐっ!? こ…この鎖はッ!?」

「私だけ吹き飛ばされない…! お前も道連れですわ!!」

「おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

 自分の投擲の勢いに引っ張られる形でコカビエルも姫子と一緒に校舎の壁を突き破り、戦いの場の舞台は少しの間だけ校舎内へと移り変わった。

 それを見ていたリアス達は、両者の戦いの余りの壮絶さに開いた口が塞がらない状態になっていた。

 

「な…なんなの…あれ…」

「あれが…コカビエルの真の実力…! それに全く後れを取らず、互角以上に渡り合ってみせるとは…!」

 

 もう悪魔とか人間とか関係ない。

 そんな種族の壁なんて微塵も意味が無くなる程の実力差をまざまざと見せつけられた。

 

「わ…私達…あんなのに戦いを挑もうとしてたの…?」

「今…ハッキリと理解した…。私達では…コカビエルには絶対に勝てない…。それどころか…近づく事すら出来なかっただろう…」

 

 少し前までの強気な態度は完全に消失し、嘗ての自分達が敵視していた相手の強大さをまざまざと思い知らされる教会組。

 目の前で繰り広げられている、まるで神話の時代の戦いのような光景に、二人はもう腰が抜けるしかなかった。

 

 そうしている間にも、姫子とコカビエルが校舎の壁に開けた大きな穴の中から閃光のような煌めきが何度も見える。

 あの中でまだ両者が戦っている事を示す証拠だった。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 教室と言う狭い空間。

 本来ならば戦う場所としては完全に不向き。

 にも関わらず『そんな事など知るか』と言わんばかりに姫子とコカビエルは戦い続けていた。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「ぬぅん!!」

 

 姫子の渾身の蹴りを左腕でガードし、その足を掴んでから再び投げ飛ばす!

 彼女の体は教室のガラスを破壊してから廊下へと落ちる。

 

「乙女の足を何度も何度も…投げ飛ばすんじゃありませんわ!!」

「乙女は乙女でも、貴様の場合は『戦乙女』だろうが!!」

 

 即座に教室内へと戻った姫子は、そこからコカビエルと激しい拳と蹴りの応酬を繰り広げる。

 コカビエルの拳に対し、カウンターとして顔面蹴りをお見舞いしたかと思ったら、技を出した後の一瞬の硬直を狙ってコカビエルの膝蹴りが姫子の腹部に直撃する。

 思わず胃の中の物が出てきそうになるが、それを歯を食い縛りながら気合で耐え、大きくジャンプしてから天井に両手を着き、バネの要領で必殺の蹴り技を繰り出した!

 

「イーグル・トゥ・フラッシュ!!」

「がはぁっ!? そうか…この蹴りは! 相手の急所のみをピンポイントで鋭く攻撃する一撃か!」

 

 大きく吹き飛ばされて黒板に激突しながらも、一瞬で技の特性を看破する。

 どうやら、コカビエルも聖闘士たちと同様に同じ技は二度も通用しないようだ。

 

「このまま…一気に決める!! おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

 姫子の全身に雷撃が宿る。

 やがて、それは右拳に集約され、恐ろしく強大な雷光の塊と化した!!

 

「こぉぉぉぉぉぉれぇぇぇぇぇぇぇぇでぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」

 

 

             雷  光  電  撃(ライトニング・ボルト)

 

 

「聖なる雷…ならば!!」

 

 

              天  魔  閃  光  拳

 

 

 コカビエルの拳に全ての光が集まり、それが姫子の雷撃とぶつかり合い、教室全体を破壊しつくしてもまだ余りあるほどの威力と成り、凄まじい爆発音と共に校舎がほぼ半壊してしまった。

 そんな威力の中、コカビエルは僅かずつではあるが確実に押され始めていた。

 

「なんという威力…! この雷は…まさか…雷帝ゼウスの…!?」

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

 

 姫子の裂帛の気合いによってコカビエルの体は校舎の外に押し出され、激しい雷光を纏いながら二人一緒に再び校庭の上空へと戻ってきた。

 

「吹き飛べぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」

「ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!」

 

 コカビエルの技は完全に破壊され、姫子の雷光に貫かれながら夜空へと飛ばされる。

 それでもまだ彼の目は死んでおらず、それどころか嬉しそうに笑みすら浮かべていた。

 

「我が技ごと俺の体すらも撃ち貫いたか…! なんと恐るべき威力…! だが!」

 

 そう…コカビエルは見ていた。

 否。コカビエルしか見えていなかった。

 今の一撃を放った際、両者の技がぶつかり合った衝撃で姫子の右拳が完全に砕けてしまった事を。

 実際、蛇遣座の聖衣の右腕部は粉々になりかけていて、そこから大量の出血をしていた。

 

「片手だけで打ち倒せるほど…俺は甘くは無いぞ!!」

「そんなの…私が一番よく…分かってますわ…!」

「ならば、何故まだ戦う?」

「愚問…ですわ…」

 

 頭から血を流し、意識も朦朧とし始める。

 だが、姫子は決して勝負を捨てない。

 

「神が与えてくれた刻から…逃げたり…したくないから…!」

「神が…与えてくれた刻…だと…?」

「そうですわ…! この『有り得ない刻』を…絶対に捨てたり…するもんですか…!」

 

 一瞬だけ、姫子の視線が横にずれる。

 そこには、こちらをジッと見つめているクレイオスとランスロットの姿があった。

 

「私は…見せなくてはいけない…! なんとしても…私の全てを…今…ここで! 証明しなくちゃいけない!!」

「…いいだろう。その貴様の決意…しかと受け止めた。だからこそ俺は…」

 

 コカビエルが右腕を掲げる。

 彼の頭上に、無数の小さい光の槍が出現し夜空を覆い尽くす。

 

「全力で貴様を葬ることとしよう!!」

 

 

            聖  槍  万  雨(ホーリーランス・ミリオンレイン)

 

 

「この『雨』に俺は濡れない。これは…お前だけを穿つ死の雨だ!!!」

 

 大量の光の槍の雨が姫子の全身を貫き、至る場所から血が噴出する。

 常人ならば一瞬で消滅する程の威力。

 それを真正面から受けながらも、姫子は未だに意識を保っていた。

 

(ここ…で…倒れ…倒れ…たお…れ…て…!)

 

 赤く滲む拳を握りしめ、力強く顔を上げる。

 その目はまだ勝負を諦めてはいない。

 

(たまる…ものか!!!)

 

 その時、この場にいる者達の中でクレイオスとランスロットだけが気が付いた。

 姫子の気配が変わった事に。

 自分の纏う聖剣『アロンダイト』が突如として謎の共鳴現象を起こしたことを。

 

(この小宇宙は…!)

(遂に解き放たれるのか…王の中の王のみが持つ事を許されし…最強の聖剣が!!)

 

 上空から降り注がれる光の雨を受けながらも、その体を起こし、その右腕に全ての小宇宙を集中させる。

 黄金の聖なる刃が…解放される。

 

(なんとしても…見せなくてはいけない!! 今の(・・)私の力を!!)

 

 自分の身を貫く豪雨に向かって、姫子は逆に飛び上がっていく。

 貫く威力は更に増すが、今の彼女にはもう微塵も躊躇いは無かった。

 

(シュラ様の盟友であるクレイオスに! 私の事を王と呼んでくれたランスロットに!! 私は見せる義務がある!!)

 

 次々と聖衣に突き刺さる光の槍などお構いなしに飛んでいき、姫子は遂にコカビエルの上を取った!

 

(私が…偉大なる黄金の勇者から譲り受けた『聖なる剣(エクスカリバー)』…)

 

 姫子の右腕がこれまで以上に眩く光り輝き、それが一筋の光の刃と化す。

 それを見た全員が魂で感じた。

 

(そして…正義なる熱き魂と…偉大なる黄金の小宇宙…その全てを!!)

 

 これこそが真の『聖剣』であると。

 全ての『聖剣』の頂点に君臨すべき存在であると。

 

(私に託して良かったと…皆に思って貰う為に!!!)

 

 その瞬間、コカビエルはまるで全てに満足したかのように優しく微笑んだ。

 両手を広げ、全てを受け入れた。

 

「今こそ断て!!! 我が…否!!!」

 

 

 

            聖  剣  抜  刃(エクスカリバー)

 

 

我等(・・)の聖剣よ!!!!!」

 

 

            一  刀  両  断

 

 

 それは黄金の一撃。

 全てを斬り裂く光の刃。

 選ばれし者だけが持つ事を許された最強の聖剣。

 

「見事…だ…」

 

 天衣ごと肉体を貫き、コカビエルはその体から鮮血を吹き出し、黒い羽根を撒き散らしながら静かに地面に落下した。

 

「これが…これこそが…遥か神話の時代から脈々と聖域(サンクチュアリ)に継承されてきた偉大なる宝剣…」

 

 姫子も重力に従うように地上に戻って来るが、彼女はしっかりと自分の両足で着地をしてみせた。

 夥しい程の血を流しながらも、姫子の目は生気に満ちていた。

 

聖剣(エクスカリバー)…ですわ」

 

 こうして、姫子とコカビエルの壮絶な死闘は…姫子の勝利で幕を閉じたのだった。

 彼女の勝利を祝福するかのように、夜空には綺麗な満月が浮かんでいた。

 

 

 

 

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