今こそ燃えろ黄金の小宇宙! ですわ!   作:とんこつラーメン

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最強の聖騎士! ですわ!

 ローラン…!

 デュランダルの真の担い手にして、最強の聖騎士!

 本人は戦う気はないと言っているけれど、この状況で現れたと言うこと自体が大き過ぎる脅威!

 

「うぅ…デュランダルが…取られた…」

 

 んで、なんかゼノヴィアさんはさっきから号泣してますし…。

 

「いや、あれは私の剣だってさっきから言っている筈だが?」

 

 ローランが律儀にツッコミしてるし…。

 剣闘士って黄金聖闘士と同じぐらいに個性豊かな人達なんですのね…。

 

「さて…こうしてデュランダルが我が手に戻って来た以上、少なくともここでの私の用事は終了したも同然だ」

「本当にそうか?」

「クレイオス…?」

 

 鋭い眼で睨みつけながらクレイオスが前に出る。

 同じ剣士同士で何か感じるものが有るのかしら…。

 

「と言うと?」

「貴様の目が言っているぞ。『今すぐにでも戦いたくてしょうがない』と」

「ふむ…否定はしない。だが、今ここで戦う気が無いと言うのは間違いなく本心だよ」

 

 私としても、彼が嘘を言っているようには思えないんですのよね…。

 ローランと言えば、世界的にも有名な最強騎士。

 それ程の男が嘘を言うとは思えない。

 

「確かに、ランスロットの持つ『アロンダイト』は勿論、君のような素晴らしい剣士もいる上に、完全覚醒を果たした最強の聖剣『エクスカリバー』もある。これ程までの錚々たる面子が揃っているのを見て、心沸き立ち、高揚せぬ剣士などおらぬよ」

 

 た…確かに…。

 ここまでのメンバーが揃っているのを見て興奮しない戦士はそういませんわよね…。

 

「だが、私はあくまで『正々堂々とした戦い』を望む。コカビエル達との戦いで負傷、消耗した君達と戦っても私は決して満足などしない」

「騎士道精神…ですか?」

「騎士道と言うよりは、私個人の単なる我儘だよ。若き悪魔の剣士君」

 

 あら…ちゃんと木場さんの事も見ていたんですのね。

 てっきり背景の一部ぐらいにしか感じてないかと思ってましたわ。

 

「だから、今はまず傷を癒したまえ。君達が万全の状態になった時、改めて正当な勝負を挑もう。エクスカリバーとデュランダルとの戦いをね」

「…覚えておきますわ」

 

 字面だけを見ればとんでもないですわね…。

 エクスカリバーとデュランダルとの戦いって。

 

「そういう訳だ。そこでこちらをずっと見ていた『君』も、余計な手出しはしない事だ」

「「「「え?」」」」

「やっぱりか…」

 

 悪魔の皆さんは気が付いてなかったみたいですけど、私達や兵藤さん、ランスロットやフリードさん辺りはずっと気が付いてましたわよ?

 

「…流石は伝説の聖騎士ローラン…。お前の目は誤魔化せないか」

 

 ゆっくりと上空から降りて来たのは、全身を白い鎧に身を包み、その背に機械的な翼を携えた人物。

 まさか、こいつが…?

 

「俺の本当の仕事は、コカビエルの始末だったんだが…その必要はなくなったようだな」

「あぁ。彼女達がやってくれた」

「知っている。ずっと見ていたからな」

 

 あの白い鎧の男…私を見ている?

 

『相棒。アイツが…』

「言わなくても分かってる。なんて言ったら分からないけど…頭じゃなくて本能で理解出来ちまうんだよ。初めて会った筈のアイツが『因縁の相手』だってさ…」

 

 兵藤さんの『因縁の相手』…。

 では矢張り、アイツが例の…。

 

「そこにいる『そいつ』が、現代の赤龍帝か」

「そうだ。そして、今の時点で既に君の実力を遥かに上回っている少年でもある」

「なに…?」

 

 あのローランが兵藤さんの事を評価した…?

 もしや彼は、兵藤さんに秘められている潜在的な能力を見抜いている?

 

『久しいな、白いの』

『そうだな。赤いの』

 

 ドライグさんに反応して出た声。

 これが彼の対となる『白い龍』ですのね…。

 

『随分と面白い奴に宿っているようだな』

『あぁ…こいつは凄いぞ? 間違いなく、歴代で最強の赤龍帝になる。それだけじゃあない。遠い未来においても、相棒を超える赤龍帝は一人も現れないだろうさ。ハッキリと断言出来る』

「ドライグ…」

 

 それには私も激しく同意ですわ。

 私から見ても、今の兵藤さんは嘗ての紫龍さまを見ているよう…。

 これからの成長が楽しみで仕方がありませんもの。

 

「面白い…そこまで言うのなら、今からやってみるか? なぁ…赤龍帝くん」

「やめとけ」

「……っ!?」

 

 ほんの一瞬だけ、兵藤さんの小宇宙が最大にまで高まった。

 一瞬だけだったから体への負担も少なかったみたいですわね。

 

「お前からは何も感じない(・・・・・・)

「なんだと…?」

「お前は自分の体に『宇宙』を感じたことがあるのか?」

「宇宙…だと?」

「そうだ。それを感じられなきゃ、俺には勝てねぇぜ。なぁ…」

 

 完全に気圧されてますわね。

 彼の言葉は決して慢心から出た言葉じゃない。

 純然たる事実だからこそ言っているだけ。

 今の兵藤さんには、彼は敵ですらない。

 

「…白龍皇」

 

 彼が言った一言に私達以外の全員が戦慄する。

 赤き龍と対となる白き龍。

 それが目の前に現れたのだから。

 

「言っておくが、お前がパンチ一発を放つ間に、俺はお前に最低でも百発以上のパンチを繰り出せる自信がある」

『分かるか白いの。これが『差』だ。しかも、まだ相棒は発展途上…スタートしたばかりだ。これからまだまだ加速度的に強くなっていく。お前達が一歩進んでいる間に、相棒は千歩以上先に進む。そもそもの話、スタートラインが違うんだよ』

『スタートラインだと?』

『そうだ。相棒には最強にして最高の師がいる。嘗て、幾度となく世界を救った勇者の師がな。そいつの元で相棒は心身共に徹底的に鍛え上げられた。才能、向上心…優れた師。この三つが揃った事で、こいつは完全にお前達を超えた』

 

 そう…ですわね。

 確かに、普通に考えれば白龍皇は強敵なのかもしれない。

 けど、彼からは全く小宇宙を感じられない。

 恐らく、今まで彼は『強者と戦う』ことで自分を鍛えあげてきたんだろう。

 その方法でも強くはなれる…けど、いつかどこかで必ず限界は来る。

 別の言い方をすれば、頭打ちになってしまう。

 それが二人の実力を致命的に大きく広げてしまっている。

 確かに今の兵藤さんは毒龍との戦いで疲れ切っているけど、それでもまだ彼の方が白龍皇の実力を圧倒的に上回っている。

 

「ドライグの言う通りだ。白き龍よ」

「貴様は…円卓の騎士ランスロット…」

 

 あら。

 ここでランスロットが前に出てきた。

 

「暴れるしか能の無い龍如きに、真の戦士となった一誠は倒せん。その拳すら当てられるかも疑問だ」

「ぐっ…!」

 

 もう完全にフルボッコですわね。

 なんかもう逆に白龍皇が哀れになってきましたわ。

 

「分かったら、早くこの場から去ることだ。それでもまだ彼らの相手をしようと言うのなら…」

 

 ローランがデュランダルを構え、白龍皇を睨み付ける。

 その瞬間、彼から凄まじく暴力的な小宇宙が発せられた。

 

「なっ…!?」

「なんという…強大な小宇宙か…」

「これが伝説の聖騎士の力…」

「ス…スゲェ…! コカビエルとは別ベクトルで強いぜ…!」

 

 まるで肌がピリピリする…!

 血を流し過ぎて意識が朦朧としている筈なのに、彼から放たれる小宇宙で気も失えない…!

 

「バ…馬鹿な…!? この俺が…震えている…だと…!?」

 

 ローランの小宇宙に白龍皇が完全に圧倒されている…。

 無理も無い…。

 小宇宙に全く目覚めていない者には、これは超絶的なプレッシャーにしか感じない筈だ。

 実際、後ろではグレモリー先輩達がさっきからずっとガタガタと震えている。

 

『大人しく下がれ、白いの。彼我の戦力差が分からない程、お前も愚かではないだろう』

『赤いの…貴様…!』

『相棒と一緒に修行をしたせいかな…。今の俺にはもう、二天龍の因縁なぞ、どうでもよくなっている。それがどれだけ矮小で下らない事だと気が付いたからな』

 

 …どうやら、成長をしたのは兵藤さんだけじゃなかったみたいですわね。

 これこそまさに『神器一体』。

 共に成長した二人は…強い。

 

「…いいだろう。ここは引こう。だが、次会った時には赤龍帝…お前を必ず倒す」

「出来るもんならな」

「くっ…!」

 

 勝負をする前に負けてますわね。

 完全な負け惜しみを言いながら、空の彼方に飛んでいきましたわ。

 

「それでは、私もそろそろ失礼しよう。さらばだ、エクスカリバーの姫。そして、黄金聖闘士たちと若き赤龍帝くん。次また会える日を楽しみにしているよ」

 

 それだけを言い残し、ローランは軽く手を振りながら去って行った。

 

「はぁぁぁ~…」

「「姫子ッ!?」」

 

 今度こそ…やっと気が抜けましたわ…。

 もう…色んな意味でヘトヘトですわ…。

 

「今夜はよく頑張ったのである。良く休み、体を癒すのである」

「あるー」

「言われずとも…そうしますわ…」

 

 さぁ…帰ろう…私達の家に…。

 今は…一刻も早くベットで寝たいですわ…。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「キャ――――――っ!? 姫子さ――――――んっ!?」

 

 クレイオス達に肩を貸して貰う形で家に帰ると、玄関に入った直後にアーシアさんの悲鳴が炸裂した。

 勿論、ちゃんと聖衣は外してますわ。

 

「気持ちは分かるが静かにするのである。ご近所迷惑なのである」

「あるー」

「あ…ごめんなさい…」

 

 コクトーさんに窘められるアーシアさん…シュールですわ。

 

「おやおや…これまた派手にやったね。大丈夫かい? 姫子」

「なんとか…ですわ。でも、気を抜いたらすぐにでも倒れそうですわ…」

「だろうね。ふむ…一誠くん。クレイオスくん。済まないが、姫子をリビングまで運んでくれるかな?」

「うっす!」

「了解した」

「ご迷惑をおかけしますわ…」

 

 二人の力を貸して貰い、私はリビングのソファーに座らせて貰った。

 やっと落ち着けますわ…。

  

 というか、なんかしれっとオカ研の皆さんとランスロットにフリードさん、支取先輩と匙さんも一緒に来てますわ。

 

「アーシアさん。君の神器は使えるかな?」

「は…はい! 大丈夫です!」

「神器で治療しているだけでは間に合わない。同時進行で手当てをしよう。頼めるかな?」

「ま…任せてください! 姫子さんの従者として頑張ります!」

「では始めよう。君達は離れていなさい」

 

 そうして、私はアーシアさんの神器によるヒーリングと、お義父様の適切な治療によって、傷だらけの体を癒していくのだった。

 本当に私は…人脈に恵まれてますわね…。

 

 

 

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