まさかのサーゼクス様と貴鬼が同時に来るという事態。
今までの事を考えたら、そこまで驚くような事じゃないんですけど、この二人がいる事でどんな化学反応が起きるのかが不安ですわね。
「牡羊座…それが君の守護星座とやらかい?」
「はい。どうやら、その辺の事はもう既に聞いているようですね」
まだまだ、本当に触り程度ですけどね。
「それで…君が兵藤一誠くん…かな?」
「え? は…はい!」
「そうか。君が紫龍の弟子なんだね。成る程…良い目をしている。余程、良い指導をされていると見える」
「も…勿論っす! 師匠は自慢の師匠ですから!」
「はは…そうか。生真面目な所は昔から変わってないんだなぁ…」
貴鬼と紫龍さまは、それこそ幼い頃からの付き合い。
故に、色々と思う所があるんでしょうね。
「そう言えば、また従者を一人増やしたらしいな?」
「例のコカビエルの一件で。そう言えば、まだ二人とも紹介してませんでしたわね。アーシアさん。ゼノヴィアさん」
「あ…はい!」
「うむ…そうだな」
これから顔を合わせる事も多いでしょうし、ちゃんと自己紹介をして貰わないと。
「えっと…姫子さんの従者を務めております、アーシア・アルジェントと申します」
「同じく、従者のゼノヴィア。二人して今は姫子殿に従属しております。以後、言お見知りおきを」
「こちらこそ、よろしく」
従属って…また仰々しい言い方を…。
「そして、そこに座っているのが、前に姫子が話していた『オカルト研究部』…もとい『グレモリー眷属』の子達かな?」
「えぇ。そうですわ。自己紹介はー…」
「いや。流石にそれぐらいはするわよ?」
あ…するんだ。
てっきり、このままの流れで放置かと思いましたわ。
「えー…おほん。私が部長のリアス・グレモリーよ」
「副部長の姫島朱乃と申します」
「部員の木場裕斗です」
「同じく部員の塔城小猫です」
うーん…何気に律儀。
この頃は少しずつ彼女の方も改善されつつある…ような気がするのは私だけ?
未だに支取先輩からは厳しい意見が出てるし。
「ところで、どうして貴鬼さんはここに来たんスか? 川上さん達に会いに…ってわけじゃないッスよね?」
「勿論。俺がこっちに来たのは、姫子の聖衣を修復する為さ」
ま、そうですわよね。
それ以外で彼が出張する事なんて、かなり珍しいですし。
「姫子。聖衣はどこに?」
「自宅にありますわ」
「血の方は…問題無いか。怪我をした際に流れた血液で十分に足りるだろうし」
「だと思いますわ。いつでも修復は可能で?」
「あぁ。ちゃんと道具は持って来てる。流石に俺は先生程じゃないから、一晩ぐらい時間が掛かるが…」
「遠慮なさる必要はありませんわ。寧ろ、頼んでいるのはこちらなんですから。手厚く持て成して差し上げます」
「それは助かる。帰りはテレポーテーションすればすぐだから心配はいらない」
「でしょうね。その辺は危惧してませんわ」
そうじゃなくても、夜中で一人で歩いても普通に平気でしょうに。
そこらの不良とか片手間で倒せますわよ。
「え? あ…アナタ…あの鎧を直せるのっ!?」
「まぁね。それが役目でもあるから」
本当に…貴鬼も強く、大きく、逞しくなりましたわね…。
あのやんちゃ坊主が…と言う気になるのは、私が転生者だからかしら。
「そう言えば、サーゼクス様。先程、何かを言いかけてませんでしたかしら?」
「そ…そうだったね。彼の登場で少し忘れかけていたよ」
それでいいのかしら魔王陛下。
「僕が地上に来た理由…それは何も授業参観の為だけじゃない。ある『会談』をする為でもあるのさ」
会談…?
その会談と言うのは…まさか…。
「お兄様。会談って…」
「そう。『三大勢力会談』さ。あの戦争以来一度も執り行わなかった会談を今再び行うことになったのさ。この駒王町でね」
「それは…コカビエルの一件が元となって…ですの?」
「それもある。本当は、もっと早くにするべきだったんだが…色々とタイミングやら予定やらが合わなくてね。だが、そうも言ってられなくなってきた」
「でしょうね…」
顔の無い者という暗殺者集団が表立って台頭し始めた。
これは三大勢力としても決して看過できない事態だろう。
しかも、奴らがコカビエルとも結託していた。
純粋に仕事として受け持ったことだろうが、だからこそ危険極まりない。
その気になれば、アイツ等はどの勢力にも協力すると言う証拠なのだから。
それに加え、コカビエルと言う超大物が堂々と動いた。
ここまで来たらもう、四の五の言ってる場合じゃない。
「だから、半ば無理矢理にでも予定を合わせて、三大勢力間の代表がそれぞれに顔を合わせて、今後の事について話し合う為に会談をする事になったのさ」
「場所は? 会場はどこを使うつもりなんですの?」
「最初は、この駒王学園を使うつもりでいたが…ここは少し前に戦場になったばかりだ。当日、会談の妨害を目論む者達が襲撃してこないとも限らない。だから、駒王町の中央区にある市民ホールの大会議室を使わせて貰う事にした」
妥当な判断ですわね。
あそこならば、かなりの人数が入れるし、いざと言う時に結界を張り易い。
少なくとも、学園よりは暴れやすいですわ。
「その会談とやら…勿論、私達も…?」
「あぁ。出席して欲しいと思っているよ」
だと思った。
私達は、ここ最近の町で起きた事件の当事者ですものね。
出ない理由がありませんわ。
「となると…貴鬼?」
「そうだな。あの『お方』にもお教えしなくてはいけないだろう」
「ですわね」
「うむ」
「当然だな」
はい。黄金聖闘士四人全員満場一致って事で。
「確か…『こちら』におられるのですわよね?」
「来ているよ。俺も何度か見舞いに行った」
「謁見ではなくて?」
「場所が場所だからな。それに、あそこならば『彼』もいる」
「そうでしたわね」
これもまた運命…か。
それとも、神々の書いた筋書き通りなのか。
「えっと…川上さん? さっきから何の話をしてるんだ?」
「大事な話ですわ。兵藤さんも決して他人事じゃありませんわよ?」
「お…俺も?」
「えぇ。どうせなら今日行きませんこと? 思い立ったが吉日とも言いますし。早く知らせるに越したことはないですわよ?」
「そうだな。だが、放課後の予定とかは良いのか?」
「ご心配なく。ここでこうしていること自体が『放課後の予定』ですので」
「成る程」
いつの間にか、こんな生活も馴染んできましたわねぇ~。
我ながら慣れって怖いですわ。
「兵藤さん。アーシアさん。ゼノヴィアさん。アナタ達も一緒に来て貰いますわよ? ちゃんとご紹介しておかないといけませんし」
「それはいいけど…」
「どこに行くんですか?」
「というか、誰に会いに行くんだ?」
あら。
まだそれを話してませんでしたわ。
「今から行く場所は『駒王中央病院』。実は、そこに勤務をしているお医者様の中の一人に我々の仲間…即ち、黄金聖闘士がいますの。『
「ま…マジか…! 駒王中央って言えば、かなりデカい病院じゃねぇか…。そこで川上さん達の仲間…ってことは師匠の仲間でもある人が医者をやってんのか…」
「ですが、それはあくまでついで。本命は、そこに入院しておられる『偉大なお方』に会いに…謁見しに行くのが今回の主目的ですわ」
「謁見…と言うと…それは…」
「まさか…!」
「そう。我々『聖闘士』の統括者にして、女神アテナの地上代行者…」
目を瞑り、静かに深呼吸をする。
この名を口にするだけでも緊張する。
「『教皇』猊下に会いに行きますわ」
「「「!!!」」」
三人の顔が驚きの色に変わる。
それと同時に、グレモリー先輩達やサーゼクス様たちも目を見開いた。
「師匠から話は聞いてたけどよ…とうとうマジで会っちまうのか…教皇猊下に…!」
「きょ…教皇猊下と言えば…世界各国の国王や大統領にも命令を下せるほどの立場にいるお方だと聞いてますけど…」
「そ…それ程のお方に我々如きが会ってもいいのだろうか…」
「大丈夫ですわ。…私達もすっごく緊張してますし」
どうしよう…。
自分で言っておいてなんだけど、今から超緊張してきましたわ…。
手に滲んだ汗が凄いことに…。
「ちょ…ちょっと待ってくれないか? えっと…君達のトップの人間がこの町にいるのかい?」
「はい。駒王中央病院にて入院しておられますわ」
「あの方は地上の平和の為に肉体を酷使し過ぎているからな」
「良い機会だから、本当はゆっくりと養生して欲しいのだが…」
「それをさせてやれないのは、偏に我々の未熟さ故か…」
出番が無いのなら、それに越したことはない。
だけど、今の事態がそれを許してくれない。
「ね…ねぇ…私達も行った方が良い…かしら…?」
「グレモリー先輩方も?」
「い…一応、この町の管理を任せられてるし…そんな凄い方に挨拶もしないと言うのは不敬過ぎる気がして…」
あらら…まさか、この方からこんな言葉が出てくるとは。
どうやら、ようやく自分が上に立つ立場であると自覚し始めたようですわね。
「リーアが行くのなら、兄として、魔王として僕も行かない訳にはいかないだろう。君達には助けられてばかりだし、挨拶するだけでなくお礼も言わなくては」
「はい。私もそれが良いと思います。サーゼクス様」
結局、この場にいる全員で向かう事になるんですのね…。
なんとなーく、この展開は予想出来てましたわ。
「それに、会談の事は僕から話した方がいいだろうしね」
「そう…ですわね。では、その話が出た時は説明をお願い致しますわ」
「心得たよ」
さて…この魔王さまが、あの方と出会った時…どんな反応をするのやら。
その前にまずは私が緊張を解さないと。
深呼吸…深呼吸…。
「では、姫子の家に向かうのは教皇と会ってからでいいか」
「え? あ…そうですわね。私からも猊下につい先日の戦いについて報告しないといけないでしょうし」
コクトーさんから報告は行っているかもだが、それとは別にちゃんと私から話しておかないといけないだろう。
実際に戦った私だからこそ分かることもあるから。
「ところで貴鬼。アナタはもう既に『あの事』を…?」
「あぁ。ちゃんと聞かされてる。この駒王町にて異例の『黄金結合』を執り行うと。今頃、他の皆もこっちに向かっている頃だろう」
そう言えば…ちゃんと全員が揃うのってこれが初めてなのでは?
だとすると、凄い光景になりそうですわね。
「か…川上さん? なんかまた凄い単語が聞こえたような気がするのだけど…?」
「『黄金結合』のことですかしら?」
「え…えぇ…それは一体…?」
「簡単に言うと、女神アテナの名の元に、黄金聖闘士全員が集結する事ですわ」
「ぜ…全員集結ッ!? 12…いや、川上さん達を含めて13人全員がっ!?」
「もしかしたら、会談にてお披露目になるかもしれませんわね」
そうなったら、さぞかし眩しいことになりますわねー。
黄金聖衣は夜の闇の中でも普通に光り輝くし。
「って事は、師匠と『こっち』で会えるだけじゃなくて、一輝さんもまた来るってことか?」
「えぇ。お二人とも立派な黄金聖闘士ですので」
「そっかー…今から楽しみだなぁ…」
一輝さまも兵藤さんの事を気に掛けていたし、ようやく現実世界で紫龍さまと会えるんですものね。
そりゃ、彼でなくても楽しみになりますわ。
「そうか…また彼と会えるんだね…」
そういや、サーゼクス様たちはもう既に一度、一輝さまに会ってたんですわね。
あの時は完全に気圧されてましたけど。
「では、この紅茶を飲み終えたら向かいますか」
ちゃんと淹れて貰った以上、姫として残すなんて論外ですし。
お茶菓子も全部食べますわよー。
次回、聖域側の超々大物登場。