ついでに、一誠を初めとする三人組が更生する可能性も高いですわー!
一誠が悪魔になる? 多分、ありませんわー!
次の日、私はいつも通りに学校に登校し、その途中で兵藤さんとも一緒になったので、そのまま教室まで向かった。
「おはようございますわ」
「はよーっす」
私達が教室に来た事に真っ先に反応したのは、松田さんと元浜さんの二人だった。
お二人はすぐにこちらまで来て、兵藤さんの無事に安堵していた。
「い…一誠! 大丈夫だったのかッ!?」
「ま…まぁな」
「元浜さん。松田さん。お二人ともまずは落ち着いてください。ちゃんと、話せる範囲でご報告いたしますから」
「わ…分かった」
興奮気味な二人を落ち着かせ、自分の机に鞄を置いてから前と同じように教室の隅の方まで移動してから話をする事に。
まだ朝礼前という事もあり、この喧騒の中なら普通に話していても気が付かれる可能性は低いだろう。
「まず、結論から申し上げます」
「「ごくり…」」
「お二人の危惧は半分当たり…といったところでしたわ」
「半分? どういうことだ?」
「お二人が見た『兵藤さんに好意を伝えてきた天野夕麻さん』は真っ赤な偽者だった…という事です」
「に…偽者っ!? マジかよッ!?」
元浜さんが驚いているが、その反応も無理は無い。
こんな真実、それこそ探偵小説やドラマとかでないと普通は有り得ないですから。
「間違いありませんわ。お二人と話をした日の放課後、私は実際に隣町の学校まで行って『本物の天野夕麻さん』とお話をしています」
「徹底してるな…流石は川上…」
「彼女の話では、兵藤さんの事は全く知らないし、それどころか駒王町に来た事すらないと仰っていました。あの話し方から見ても、彼女が嘘をついているようには見えませんでしたし」
「って事は…その『本物の天野夕麻ちゃん』も今回の被害者だったんだな…」
「そうなりますわ。因みに、どうして天野さんの名を語ったのかに関しては、恐らくは適当…もしくは偶然だった可能性が非常に高いです。偽者の容姿も、割と本物と酷似していましたし」
「つまり、自分達に勝手な都合で偶然にも似ていた女の子の名前を利用したって事なのか…」
「なんだよそりゃ…! 普通に外道じゃねぇか…! ふざけやがって!」
「全くだな…! 別に恨みを持つ持たないは自由だけどさ、その為に無関係の人間を捲き込むとはマジであり得ねぇだろ…!」
元浜さんと松田さんが本気で憤慨している。
はぁ…この正義感をどうして普段からもっと発揮出来ないのかしら…。
そうした方が今よりも遥かにモテると思うのに。
「ですが、ギリギリのところで辛うじてなんとか防ぐことには成功しました。ね? 兵藤さん」
「あ…あぁ…そうだな。川上さんがあそこで駆けつけてくれなきゃ、今頃本当にどうなっていたか…」
「本気で危なかったって事か…」
「でも、無事そうで本当に安心したよ」
「松田…元浜…」
男の友情…ですわね。
いいですわね。好きですわよ? こーゆーの。
「ここに来る途中で聞いたけど、まさかお前らが川上さんに俺の事で相談してたとは知らなかったぜ」
「そりゃ、あんだけ怪しい場面を目の前で見ちまったら…な」
「しかも、そのターゲットが自分達の友人となりゃ誰だって相談ぐらいはするだろ」
「なんか…元を辿って行けば、俺ってお前達に助けられたんだな…ありがとよ」
「ちょ…よせって! なんか恥ずかしくなる!」
「そうだぞ! あ…急に鳥肌が立ってきた…」
「なんだそりゃっ!? 俺の感謝の気持ちを返せ!!」
ウフフ…いつもの三人組に戻りましたわね。
けど、それでこそ…ですわ。
「兵藤さん。今日の放課後、時間おありで?」
「え? 別に部活とかも入ってないし放課後は基本的に暇だけど…」
「でしたら、放課後に私と一緒に『生徒会室』までご一緒してくださいませんこと?」
「せ…生徒会室? なんで?」
「今回の一件、実は生徒会にも相談していまして。ちゃんとご報告をしておかないといけません。兵藤さんは今回の事件の『被害者』であり『目撃者』。無事の報告もしておきませんと」
「…俺が知らない所でかなりの大事になってたんだな…。今更ながら、罪悪感で胃が痛くなってきた…」
「そう思うのでしたら、今後から気を付けてくださいまし」
「りょ…了解…」
よろしい。
さて…と。問題は支取先輩に『どう話を切り出すか』…ですわね。
意図しなかった事とはいえ、兵藤さんはハッキリと『堕天使』の存在を知ってしまった。
となると、もうそろそろ『色々な事』を明らかにしないと。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
放課後になり、予定通りに私と兵藤さんは一緒に生徒会室へと足を運んでいた。
「俺…生徒会室って初めて入るかもしれない…」
「でしょうね。本来は余程の用事が無い限りは役員以外の人間は入らない場所ですから」
私の隣で兵藤さんはガッチガチに緊張している。
今までの彼の素行を考えると無理ないかもしれないけど。
「匙から一通りの報告は聞きました。まさか、天野夕麻さんが偽物だったとは…完全に盲点でした」
「それは私もです。もし匙さんと一緒に情報収集に行っていなければ、完全に後手に回っていた可能性が高いでしょう」
今回の事件は本当にギリギリのタイミングで未遂にする事が出来た。
幾ら私が『光速移動』出来るとはいえ、事前に察していなければどうしても一歩遅れてしまう。
普段のこまめな対処が功を奏しましたわね。
「兵藤君も、今回は大変でしたね」
「あ…はい。なんか…その…御心配お掛けしてスンマセンでした…」
ちゃんと謝れてエラい。
生徒会の方々は目を丸くして驚いてらっしゃいますけど。
彼は変態行為を除けば、割と普通の好青年ですわよ?
「つーか、まさか匙が生徒会に入ってたことに驚きなんだけど…」
「余計なお世話だ」
「んなことよりもよ…」
「なんだよ?」
ん? 急に兵藤さんが匙さんに顔を近づけて…内緒話かしら?
でも残念。私には丸聞こえですことよ。
「お前…川上さんと二人きりで隣町に行ったって…本当かよ?」
「ま…まぁな。会長から指示を受けたってのもあるけど、それ以上にほっとけねぇだろ。どんだけ強いっつっても川上は女子なんだしさ…」
「言いたい事は分かるけどよ…ちくしょう…それってもう実質的に川上さんとデートをしたって事じゃねぇか…」
「デ…デートか……そういや、あの時も川上の彼氏に間違われたしな…」
「なんて羨ましい…!」
…なんで兵藤さんは血の涙を流して悔しがって、匙さんは頬を赤くしながら照れくさそうにしているのかしら?
うーん…これが私がとっくに忘れ去ってしまった『男だからこそ分かる話』という奴かしら。
「…で、今日は調査後の話…つまり、昨日起きた事に付いてのお話に来たのですが…」
「どうかしたのですか?」
「実は、今回の事件…どうやら普通の事件ではなかったようですわ」
「と言うと?」
私達に淹れられているお茶を一口飲んでから心を落ち着かせる。
本気で学園と生徒の事を考えている支取先輩にこのような事をするのは本当に気が引けるんですけど…今回ばかりは仕方がありませんわね。
少しだけ…『カマ』をかけてみるとしましょうか。
「『
「「「「「!!??」」」」」
「偽者の天野さんは自らの事をそう名乗っていました。背中から黒い翼を生やし空中浮遊をした上で。ね? 兵藤さん」
「お…おう。いきなり変な服…ボンテージ…だったか? それっぽい服に変わって…」
仕方がない事とはいえ、昨夜の事を思い出させてしまったのか兵藤さんの身体が震え始める。
姫たる者、恐怖に震える同級生を放置するなど有り得ませんわ。
なので、彼を少しでも安心させる為に兵藤さんの手にそっと自分の手を添えた。
「川上さん…?」
「大丈夫。私が付いてますわ。だから、安心してくださいまし」
「…ありがとう」
彼の震えが止まった。
やっぱり人肌の温もりは偉大ですわ。
「…本当に彼女はそう名乗っていたのですか?」
「えぇ…間違いありませんわ」
「そう…ですか…」
こんな尋問染みた事はしたくは無いけど、だからと言って真正面から堂々と『正体を教えてください』とは言い難い。
我ながら非常に回りくどいとは思うけども、こうでもしないと今度は私の方が罪悪感で参ってしまう。
「あ…そうそう。そう言えば会長達に言い忘れていた事がありましたわ」
「…なんですか?」
「私…
「何を…ですか?」
「『
生徒会室の中が一気に緊迫感に包まれていく。
念の為にいつでも小宇宙を燃やせる準備だけはしておく。
「私の父…正確には養父なのですが。職業柄…『ソッチ方面』の事に非常に詳しんですの」
「お父上のご職業は?」
「『錬金術師』をやっております。表向きは『医者』という事になっていますが」
「今の時代にまだ錬金術師が存在していたなんて…」
「私の養父は少々『特殊』な者でして」
お養父さまを『特殊』の一言で片付けるのはかなり安易だけど、私的にもそれ以外の表現方法が思いつかない。
「幼少期から色々と教えて貰いましたわ。天使…堕天使…そして『悪魔』…。その特徴や身体構造、他にも様々な事を」
「…………」
「それと、私も『神器』ではありませんが、少し特殊な『力』がありまして」
「『力』…?」
「えぇ。種族を問わず、誰もが潜在的に持っている『力』。心の中…体の中にある『宇宙』を燃やして『力』へと変えられる…。魔力や霊力とはまた違うコレを私は『
「その…コスモとやらは、私にも宿っていると?」
「勿論ですわ。小宇宙は誰の身体にも生まれた瞬間から存在している。ただ、その燃焼の仕方を知らないだけで」
緊張感がピークに達し、隣りの兵藤さんはさっきから冷や汗を流しまくり。
本当に申し訳ないのですが、あと少しだけ耐えてくださいまし。
「…………」
「…………」
私も久し振りに冷や汗を掻いた。
こんなにも緊張したのは、あの最強の黄金聖闘士『射手座のアイオロス』様からのご指導を受けた時以来ですわね…。
「はぁぁ……降参です。川上さんがそこまでご自身の事を語ってくれたのに、私達が何も教えない訳にはいかないじゃないですか…」
「「ふぅ……」」
なんとか根競べに勝った…。
無理矢理に聞き出せば、確実に支取先輩方を敵に回すことになっていた。
それだけは何が何でも避けたい事でしたから。
「川上さんのお察しの通り、私達もまた『普通』ではありません」
「やっぱり…」
「その言葉が出るという事は、最初からご存じだったと?」
「確信はありませんでした。ただ、生徒会の皆さんや学園に在籍している『特定の人物達』から僅かではありますが『小宇宙』を感じた事がありましたので。もしかしたら…と言った感じでした」
「成る程…どうやら、川上さんに隠し事は出来なさそうですね。仕方ありません…そこにいる兵藤君にもお教えします。偶発的とはいえ『堕天使』の事を知ってしまった以上。単純に『記憶を消せばいい』という話だけでは済みませんから」
「き…記憶を消す…!?」
「大丈夫。そんな事はしませんよ。私自身がそんな暴力的な事が大嫌いですから」
それでこそ駒王学園の生徒会長。
私が学園でも最も『姫』に近い女性と尊敬しているだけはありますわ。
「今から見せるもの…話す事は絶対に内緒にしてくださいね?」
「勿論です。姫たる者、秘密と約束は絶対に守る…ですわ」
「お…俺もっス! こう見えても口は堅い方ッスから!」
「結構。では、お教えします…私達の事を。みんな」
支取先輩が椅子から立ち上がると、他の皆も頷きながら私達を見て部屋のカーテンを閉めた。
「私達は……」
バサッ…っと、支取先輩や匙くん、他の皆さんの背中から蝙蝠の羽のような物と尻尾が生えてきた。
「悪魔です」
次回、ようやくリアス・グレモリーが登場…するかもしれませんわー!
あくまで『かもしれない』ので、保証は出来ませんわー!