全ては話の流れ次第ですわー!
「なんと…」
ある程度の予想はしていたけど、まさか支取会長と含めた生徒会の方々全てが異種族…悪魔だったとは。
流石の私もこれは予想していませんでしたわ。
「あ…悪魔って…実在してたのかよ…」
「堕天使がいるんですから、そりゃ悪魔だっていますわよ」
「ってことは、もしかして天使もいるのか?」
「らしいですわね。私はまだ見た事はありませんけど」
天使ではないけど、いつの日か『
余り想像はしたく無いですけど。
「驚かせてすみません。言わずもがな、我々にも簡単には言えない事情がありましたので」
「いえいえ。その辺の事に関しては御気になさらず。寧ろ、事情を持たない者の方が珍しいですわ」
種族なんて関係ない。
誰にだって一つや二つ、人には言えない事情を持っているものですわ。
私だって決して例外ではありませんし。
「普段は『冥界』に住んでいるのですが、私のような若手の悪魔はこうして地上に出て後学のために様々な経験や勉強をするのです」
「冥界…」
私にとっての『冥界』と言えば、冥王ハーデス様が支配する『死の世界』というイメージが非常に強い。
だが、彼女達の住んでいる『冥界』と、私の知っている『冥界』とは完全に違うようだ。
「因みに、私の本名は『ソーナ・シトリー』と申します。改めて、よろしくお願いしますね」
「成る程…地上での偽名は本名をそのまま漢字に変えた物を使っているのですわね。割と普通に日本人として違和感のない名前なので気が付きませんでしたわ」
それにしても『シトリー』…か。
この世界における『冥界の悪魔』というのは、まさか『ソロモン72柱の悪魔』なんですの…?
だとしたら、もしや『彼女』も…?
「例え悪魔であっても、会長が尊敬できる先輩であることには変わりありませんわ。貴女は生徒会長選挙も実力で勝ち取った。私も支取会長に投票しましたし」
「そうだったんですか…ありがとうございます」
一年生の時に私が彼女に投票したのは間違いではなかった。
初手から『話し合い』という選択肢を持っている相手は何よりも信用出来るから。
「な…なぁ…匙。その羽と尻尾って、ちゃんと神経とか通ってんのか?」
「一応な。触ってみるか?」
「お…おう…」
こらそこ。一体何をやってるんですの。
「お…おぉ~…見た目は作り物っぽいのに、触感は生物だ…なんかすげー…」
「驚くのは良いけど、あんまし触りすぎんな。割とくすぐったいんだよ」
なんか、一部の役員の方々が目を大きく見開きながら男子二人の様子を見てるんですけど。
そろそろ止めるべきですかしら。
「アナタ達、いい加減にしないと『
「「それだけは絶対に嫌だ!」」
なんて効果的な言葉。
一瞬で二人の距離を離せましたわ。
「それにしても、よもや生徒会全員が悪魔だったとは…」
「正確には『悪魔になったから生徒会役員になって貰った』と言った方が正しいです」
「順序が逆であると?」
「はい。私以外の皆は元々は普通の人間でした。それを、ある『道具』を使って悪魔へと転生させたのです」
「転生…」
なんともまぁ、私にとっては切っても切れない単語。
私の『転生』とは意味合いが違うんでしょうけど。
「『
「これは…チェスの駒?」
「へぇ~…普通に初めて見た。辛うじて将棋のルールが分かるぐらいだからなぁ…」
それもそれでどうかと思いますけど。
けど、この駒…普通とは違いますわね。
微弱ではあるけど、確かにこの駒から小宇宙を感じる。
「と言っても、ちゃんと相手と話し合い、許可を貰ってから…ですけど」
「それが普通ですわ」
「しかし、嘆かわしいことに相手の意志を無視して悪魔にする横暴な者達もいるのもまた事実なんです。この『悪魔の駒』は死んだ相手にも作用しますから」
「それはつまり…死者蘇生が可能であると?」
「蘇生…というよりは、生まれ変わる…文字通りの『転生』になるのでしょうね」
人間も悪魔も千差万別…か。
良い者もいれば、吐き気を催すような悪鬼もまたいるのですね。
もしも私の目の前で、そのような行いを目撃した場合…問答無用で『積尸気冥界波』の刑ですわね。
私の手で直接、黄泉比良坂の穴に叩き落として差し上げますわ。
「因みに、この駒は『自分よりも強い相手には使えない』という制限もあったりするんです」
「何気にそう言った条件はあったりするんですのね」
じゃないと、本当に質の悪いアイテムになってしまう。
これを作った人は、きっとかなりの天才なのだろう。
まぁ…聖衣の修復師であるムウ様を初めとするジャミールの方々には劣るでしょうけどー!
「お話…ありがとうございます。この事は決して表側に生きる方々には口外せず、墓まで持って行くと『女神アテナ』に誓いますわ」
「アテナ…川上さんはギリシアの神々に仕えているのですか?」
「ギリシアの神々というよりは、アテナ様に忠誠を誓っているのですわ。私自身も少なからず、アテナ様のご加護を受けておりますので。普段は皆さんと同じように隠しておりますが」
だから、私はこの世界で有名な『聖書の神』とやらには何の感情も持っていませんの。
私が全てを捧げるのは徹頭徹尾、アテナ様だけだと決めていますので。
「…と、なんだか話が逸れてしまいましたわね。お互いの裏事情も把握した所で、改めて私が得た情報をご報告しますわ」
「それに関してなんですが、少し待ってもらえませんか?」
「ふぇ? どうしてですの?」
また何か隠している事情が御有りなのかしら?
「実はですね、駒王町にいる『純正の悪魔』は私だけでなく、もう一人いるのです。表向きは彼女がこの町の管理を任されているんですが…」
「実際にはその雑務の殆どを会長が行っている…ですか?」
「そうなんです…はぁ…。彼女が決して何にもしていない訳ではないんですが…」
なんだか会長職以外にも大変そうな御様子。
姫たる者、こんな生徒会長を見過ごす事など出来ませんわ!
「ご心配なく。今後は私もこれまで以上に会長達をお手伝いいたしますわ。なんでも仰って下さいまし」
「川上さん……」
え? そんなに目を潤ませるほどに大変だったんですの?
今度…差し入れに何か甘いお菓子でも持ってこようかしら…。
疲れた時には甘いものと言いますし。
「あ…こほん。ですので、川上さんが得た情報は彼女とも共有しておく方が良いと思うんです。ですので今から彼女の元まで同行して貰えませんか?」
「私は一向に構いませんわ。という事は当然、目撃者であり被害者でもある兵藤さんもご一緒ということでよろしいかしら?」
「はい。川上さんは本当に話の理解が早くて助かります」
「え? 俺も?」
「「当然」」
ということで、私達は支取会長の案内の元で、その『管理役』とやらの元まで行くことに。
まぁ…なんとなくの想像はついてるんですが、一応名前は伏せておきましょうか。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
そうして案内して貰った場所は…。
「…旧校舎?」
「だよな…」
そこは、敷地の端の方にある木造の旧校舎…の一部。
駒王学園の歴史自体は割と長く、昭和の頃はこの木造校舎を使っていたらしい。
この建物は、当時の名残が残っている唯一の場所。
と言っても、ちゃんと修復はしてあるので倒壊する心配などは無い。
「ここって確か、もう殆ど物置同然になってるんじゃなかったか? 俺、前に体育の授業で使う道具を取りにここに来た事があるぞ」
「私は一度もありませんわ。場所が場所なだけに、近づく事は愚か視界に入れる事すら稀ですし」
まさか、こんな形で旧校舎に入ることになろうとは。
世の中、何か切っ掛けで何が起こるのか分かりませんわね。
「兵藤君の言う通り、ここは半ば物置として使われていますが、それはあくまで一階にある幾つかの部屋のみの話なんです」
「と言うことは、二階には別の何かがあると?」
「はい。旧校舎の二階には『オカルト研究部』の部室があります」
「「オカルト研究部?」」
駒王学園にそんな部活があるとは初耳ですわ。
運動部は勿論、文化部の方も実績のある部ばかりだったので、全く存じなかったですわ。
「そして、さっき言った『管理者』はその『オカルト研究部』の部長をやっているんです」
「その『部長さん』も支取先輩と『同じ』…なんですわよね?」
「はい。それ故の『オカルト研究部』…なんです」
悪魔の部活だからオカルト…ね。
なんと安直な…捻りも何もあったもんじゃありませんわね。
これなら、支取先輩達のように『実は生徒会メンバー全員が悪魔でしたわー!』の方が遥かにインパクトがありますわ。
「では、入りましょう。中は意外としっかりしているので床が崩れたり…なんていう心配はありません」
「そう言われると、一度でいいから全力で足を叩きつけてみたくなりますわね…」
「や…止めとけって! 川上さんが本気になったら、木造の校舎なんて一発で木端微塵になっちまうよ!」
「か…川上さんはそれ程までの力を持っているのですか…?」
その気になれば、この程度の校舎なんて跡形もなく消滅させられますけど。
方法は、それこそ色々ありますわー。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
旧校舎の二階に上がると、そこには何やら木製の大きな扉があった。
上の方にはちゃんと『オカルト研究部』と書かれてある。
(ふむ…確かに、この中から小宇宙を感じますわね。数は…4つ?)
ということは、オカルト研究部の部員は4人と言うことになりますわね。
一応、ギリギリ部活としての体裁は保っているようですわね。
駒王学園では、部活を設立する際には最低でも四人の部員が必要とされていますから。
私が色々と考えていると、支取会長が扉をノックした。
「失礼します」
中の返事を待たずに扉を開ける。
何気に失礼な気がしたが、中にいる人物が私の予想通りならば別に気にする必要は無いだろう。
「あら…ソーナからこっちに来るなんて珍しいわね。どうしたのかしら?」
「アナタにどうしても報告しておかないといけない事がありまして」
「それは…隣にいる子達も関係しているの?」
「というよりは、この二人こそが当事者です」
「へぇ……」
正面のソファに座りながら、まるでこちらを値踏みするかのような視線をしてくる『紅い髪の女生徒』。
私は彼女を知っている。学園中の有名人だから。
その容姿から人気はあるようだが、私は余り好きにはなれない。
どっちかと言えば支取会長の方が遥かに好感が持てる。
(成る程…『オカルト研究部』…ね)
室内の床には魔方陣のような物が描かれていたり、壁や棚にはオカルトグッズっぽい物が置かれている。
パッと見で『オカルト研究部っぽさ』を見せようとしているのだろうか。
(彼女の他には三人の部員…しかも、いずれもが学園の有名人ばかり)
黒いポニーテールの三年生女子。
金髪の端正な顔立ちの男子生徒。
白髪の小柄な一年生女子。
三人共、名前だけならば私も知っている。
言葉を交わしたことは一度も無いけど。
「初めまして。二年の川上姫子と申します」
「アナタがあの……」
ん? 向こうが私の事を知っている?
何かしましたっけ? マジで覚えがありませんわー。
「えっと…同じく二年の兵藤一誠です!」
「アナタの事も知ってるわ。色々と有名みたいだし」
「うっ……」
この反応…ちゃんと『自分の悪評が有名の原因』であることを自覚していますのね。
それを分かっているだけでも大きな前進ですわよ…兵藤さん。
「こちらもちゃんと自己紹介をしないとね。私は三年の『リアス・グレモリー』よ。よろしくね」
これが、私とリアス・グレモリーとの初めての出会いだった。
出せはしましたけど、最後の最後の方だけでしたわー!
次回は流石にガッツリと出番がありますわー!
でも、それ以降はまたリアスの出番は殆ど無いと思いますわー!
寧ろ、眷属の方々の方が出番が多いかもしれませんわー!