恐らく、アンチっぽくはならないと思いますわー!
出番が少なすぎてアンチになりようがないからですわー!
出番と引き換えに安全圏を獲得ですわー!
グレモリー先輩に促され、私達はオカルト研究部の部室の中へと入り、そのまま向かい合うようにソファに座ることに。
なんともまぁ…誰も使っていないからと言って、よくもここまでド派手にしたもので。
逆に感心致しますわ。
「まずは、そこの二人に皆を紹介しないとね。彼女は…」
「知っておりますわ」
「え?」
お仲間の紹介をして主導権を取ろうとしたのでしょうが、そうはいきませんことよ?
「三年生の『姫島朱乃』さん。二年生の『木場祐斗』さん。そして一年生の『塔城小猫』さん…ですわよね?」
「よ…良く知ってたわね…」
「皆さん、とても有名ですから…色んな意味で」
その『色んな』の部分の説明は面倒くさいのでここでは割愛する。
もしも説明をし始めたら、確実に途中から口になる可能性があるから。
「それに…姫たる者、学友の名前ぐらい憶えていて当然ですわ」
「おぉー…俺なんてクラスメイトの名前で限界なのに…スゲー…」
そういえば、兵藤さんは暗記系の科目が苦手でしたわね。
コツさえ掴めば一番簡単と思いますわよ?
「そ…それにしても、ソーナがこっちに来るなんて珍しいわね。しかも、『普通』の子達を連れて」
「そうかもしれませんね。基本的に私達が会う場所と言ったら廊下とか食堂とかに限定されますから」
この二人…本当に古くからの友人同士なんですの?
明らかに支取先輩の方が毛嫌いしているように見えるんですけど。
「というか、もしやリアスは気が付いていないんですか?」
「…? なんのこと?」
「「…………」」
…冗談でしょ? この方が駒王町の管理を任されているんでしょう?
あんなにも堂々と殺人未遂を行った堕天使に気が付いていない?
「もしや、姫島さん達も…?」
「えっと…会長? 何の事を言っているのか、よく分らないんですが…」
この様子…とぼけている…ような感じじゃないですね。
あ…そっか。この人達はまだ…。
「支取先輩。まずは私達のことを話さなくては」
「分かっています。私なりにカマを掛けたつもりなんですが…」
どうやら、グレモリー先輩は本気で何も知らない様子。
けど、姫島先輩は何とも言えない感じ。
「リアス。話をする前に貴女に教えておくことがあります」
「なによ?」
「ここにいる二人はもう既に三大勢力に付いて知っています。ついでに、リアスが駒王町の管理をしている事も教えてあります」
「なんですってっ!?」
「更に言えば、ここにいる川上さんは恐らく、私達よりも遥かに強大な力を秘めています」
「この子が…? 冗談でしょう?」
冗談じゃありませんよ。
というか、少なくともアナタよりは圧倒的に強い自信はあります。
小宇宙の感じ方でなんとなく実力は分かりますから。
「…『グレモリー』…72柱の悪魔たちの一体で、26の軍団を率いている強壮にして強大な悪魔。ジョセフ・H・ピーターソン編『レメゲトン』収録の『ゴエティア』では56番目に、『悪魔の偽王国』では51番目に記載されている悪魔でもある。グレモリーに対抗する天使の名は『ポイエル』。Duchessの冠を腰の所に結びつけた美しい女性の姿で現れるとされ、ラクダの上に乗っている。その職能は過去・現在・未来に渡る事象と隠された財宝を見通すとされている。老若男女問わずに女の愛を得る方法を知っている。『悪魔の偽王国』に記載されている情報によると、特に少女や乙女から愛を得るものだとされている…ですわよね?」
「「「「「「…………」」」」」」
あ…あれ? どうして皆して私の事を凝視しますの?
グレモリーと言う悪魔に付いて説明しただけなのに…。
「川上さん…だったわよね? どこでそんな知識を…?」
「普通に本やネットで調べれば出てきますわよ?」
「マジで? 川上さんって本当に物知りなんだなぁ…」
どんな知識もあって損することはありませんしね。
興味が出た事は一通り勉強するようにしておりますの。
「と…とにかく、川上さんが普通の少女でない事は分かったでしょう?」
「そ…そうね」
これで納得されても普通に困るんですけど。
出来れば、私の戦闘を見てから言って欲しかった。
「なにやら話が逸れてしまいましたけど、そろそろ本題に入りましょう。支取先輩…よろしいですか?」
「えぇ…お願いします。私よりも当事者の一人でもある川上さんから説明をした方が確実だと思うので」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「街中に堕天使達が侵入して来ていて…」
「隣町にいる何にも知らない少女の名を語って彼に近づいてきて…」
「殺害しようと襲い掛かって来た…!?」
「それを、川上先輩が阻止した…んですか…」
取り敢えず、要点だけを押さえて説明をした。
これで彼女達の本当の情報収集具合をする事が出来るだろう。
「そんなの…たった今初めて知ったわよ…朱乃はっ!?」
「少し前から街中に奇妙な気配を感じてはいたけれど、まさか堕天使だったとは…」
成る程。グレモリー先輩は論外として、姫島先輩は『何かがいる』とは感づいていたわけか。
さっきの奇妙な反応はそのせいなのですわね。
私達が何にも知らないと思い込んでいたから、どこまで話したらいいのか分からなかった…と。
「正直、私もリアスの事は強くは言えません。川上さんの報告を聞いて初めて知りましたから」
「お二人が気配的な意味で気が付かなかったのも無理はありませんわ。実際に対峙した私からしても、彼女から感じた力は非常に小さかったですから。目の前まで行ってようやく『あ』って思うレベルで」
この感覚は、私達が道を歩いている時に虫の気配に気が付かないのに近いと思う。
要は、意識して見ようとしないと分らない…的な?
「川上さん…アナタは一体何者なの…?」
「それについて説明してもよろしいですが、今はそれよりも重要な事がありますわ」
「堕天使の事…ですわね」
姫島先輩が言った事に頷く。
別に説明するのが嫌な訳ではない。
単純に優先順位の問題だ。
「兵藤さんが襲撃された時、私は相手の堕天使の脳内から情報を読み取り、連中の規模や目的などを知りました。それをお教えしようと思いまして」
「…分かったわ。教えて頂戴」
ふぅ…やっと本題に入れる。
ここまで長かったですわ…。
「私が会った堕天使の名前は『レイナーレ』。限りなく中級に近い下級の堕天使で、実力の程はさっき言った通りですわ。問題は、彼女達の目的」
「達…ってことは、その堕天使達は徒党を組んでいると?」
「その通り。堕天使の数は4人。レイナーレを筆頭に、カラワーナとミッテルトという女の堕天使が二人と、ドーナシークという男の堕天使が一人。その他にははぐれ神父が多数…といったところでしょうか」
「そのはぐれ神父の数は分からないんですか?」
「レイナーレ本人も詳しく把握していないようでして。読み取った本人が分からない事は私にも分かりませんわ」
「道理ね…」
仮にも自分の配下の数すらも把握していないのは普通に呆れる。
それでよく動こうと思ったものですわね。
「彼女達は自分達の組織の意向を無視するような形で町に訪れているようで、今は町外れの廃教会を拠点にしているようです」
「組織…『
「かもしれませんね。例えどんな理由があろうとも、組織の秩序を乱す者には容赦なんていらないと思いますけど」
「川上さん…きびしー…」
それが集団生活を良好にする唯一の方法ですもの。
別に規律で縛り付けるとまでは言いませんけど、最低限の規則を守るぐらいの事はしないと。
「彼女達の目的は『神器』を宿した人間を抹殺すること。けどそれは、あくまで主目的のついでみたいですわね」
「神器って…なんだよそれ…んなの知らねぇッつーの…」
「兵藤さんが気が付いていないだけ…という可能性もありますけど、それについては一先ずは置いておきましょう。神器に関する詳しい説明はまた今度、ここにいる皆さんを交えてということで」
「…川上さんがそう言うなら」
あら素直。もっとごねるかと思いましたわ。
「問題なのは彼女達の本当の目的」
「それは?」
「どうしてこの町でなのかは知らないのですが、どうやらバチカンから『神器』を宿したシスターの少女を日本にやって来させて、拠点となる廃教会の地下にて彼女から神器を取り出す儀式を執り行うつもりのようですわ」
「神器を取り出すですって…!?」
「それは…洒落になりませんわね…」
グレモリーさんと姫島さんだけでなく、木場くんと塔城さん、支取先輩も暗い顔になった。
どうやら、皆さんは『人間から神器を取り出す』と言うことの意味を正しく理解しているようですわね。
ぶっちゃけ、私もレイナーレの記憶を読んでから初めて知ったんですけど。
「日本とバチカンとの時差は約7時間。更に言えば、バチカンから日本への直行便は存在していない。幾つかの旅客機を乗り継がないといけません。つまり…」
「そのシスターの少女が日本に着くまでにはまだ時間が掛かる…」
「はい。一番の理想としては、そのシスターの少女が日本に到着するよりも前に決着をつけ、彼女は何らかの形で保護するのがよろしいかと。今頃は空の上。途中から引き返すのは大変ですし、それは日本に到着した後も同様。本人の意思次第ですが、暫くは日本に滞在して貰う形になるでしょうね」
レイナーレの記憶によれば、どうやらシスターの少女は何の事情も知らされないままにに日本に来させられている様子。
姫を志す者として、なにより聖闘士の魂を継承する者として、無垢なる少女が悪意ある存在の犠牲になるのを見過ごすことなんて絶対に出来ない。
「…あなたはどうする気?」
「善は急げ…という言葉もあります。この後、早速動くつもりでいますわ」
「昨日の今日で…?」
「昨日の今日だから…ですわ。一応、レイナーレには私の技で大人しくさせていますが、部下たちが暴走しないとも限らない。ほんの少しでも被害が出る可能性があるのなら、一刻も早くケリを付けるべきかと」
「…そうね。じゃあ、私とソーナも一緒に…」
「申し訳ありませんが、お二人が動くのは止めた方が良いと思いますわ」
「な…なんでよっ!? 私はこの町の管理を任されているのよっ!?」
「だからですわ」
少し考えれば分かりそうなもんですけど…と思っていると私の代わりに支取会長が説明をしてくれた。
「私とリアスの存在は裏の住人に知られている可能性が高い。例え今回の犯人たちが組織に逆らっているに等しい状態で、何をしても問題無いとしても、もしも私達が彼女達に手を出している光景を誰かに目撃され、それを写真などで撮られてしまったら、それを口実にして再び三大勢力間での争いの火種になる可能性があるから…ですよね?」
「流石は会長。お見事ですわ」
それでこそ私が姫と認めたお方。
そうでなくっちゃ。
「可能性は低いでしょうけど、それでも万が一と言うこともあります。念には念を入れておいた方が良いですわ」
「け…けど、それじゃあ管理者として……そうだわ!」
ん? 今度は何を思い付きましたの?
「裕斗。私の代わりに川上さんと一緒に行きなさい。そして、一部始終を私に報告するのよ」
「分かりました。任せてください」
む…そう来たか。少しは知恵が回るようで。
彼女の眷属ならば、そこまで顔が知られていないでしょうからリスクは非常に少ない。
「ならば、こちらからは匙を連れて行かせます。よろしいですか?」
「勿論。匙さんならばよく知っているので安心です」
「僕は安心じゃないんだ…」
当たり前でしょうが。
私は木場さんの人となりなんて全く知らないんですから。
同級生ってだけで、それ以外は何にも知らない相手を警戒するのは人として当然の事では?
「兵藤さん。今日は真っ直ぐ家に帰って大人しくしていてください。怖がらせるようで心苦しいのですが、また堕天使の襲撃される可能性もあります」
「お…おう。分かったよ…。けど、なんか情けねぇな俺…昨日からずっと川上さんに守られっぱなしだ…」
「気にする必要はありませんわ。私は只、己がやるべきだと思った事をしているだけ。兵藤さんには兵藤さんにしか出来ない事が必ずあります。今の悔しいという気持ちは、その時にぶつければいいだけですわ」
「…本当に凄いな…川上さんは…」
俯きながら兵藤さんの体が震えている。
己の無力さからなのか、それとも昨日の恐怖を思い出したからなのか。
どちらにしても、今がきっと彼にとってのターニングポイントなのは間違いない。
乗り越え方次第じゃ…大化けするかもしれませんわね。
「それでは…行きましょうか」
こうして、私達は堕天使達が潜伏している町外れの廃教会へと向かうのであった。
次回からようやく聖闘士星矢っぽいことが出来ますわー!
それと、実は習得している技が実は『黄金』と『青銅一軍』だけじゃない事が判明しますわー!
『白銀』って…良いですわよねェ…。