タイムスリップしてきた忍者に、追い回されるドタバタコメディとあの忍者物の短編クロス作品。

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もう何でもいいからあの二人が幸せにやってるSSが書きたかった。
面白いとかそんなことはどうでもいい、とにかく二人が幸せにやってればいい。
勢いでやった。今は反省してない。
あと思いっきりネタバレ有り。


第1話

さらさらと流れる川の水が、太陽の光を反射して光っている。

そんな辺りを、これぞピクニックといった格好の親子連れが歩いていた。

 

「あなた、見て見て。今日は良い天気ね」

「ああ、絶好のピクニック日和だな」

 

そんな綺麗な川を、どんぶらこ~どんぶらこ~と人が流れていく。

 

「まあ、今日は人が流れているわあなた」

「はっはっは、こんな天気だものな。流れてみたくもなるってものさ」

 

と、そこではたと気付いた。

 

「って、大事じゃない!?」

「ああ、こりゃいかん!! マコト、ちょっとここで待ってなさい。お~~い、大丈夫かーー!!」

 

父親と母親が大慌てで、川を流されていた人を引き上げにかかった。

流されていたのは男女の二人組。

しかも大怪我をしていて、どひゃ~~~~こりゃいかんと、母親の方がやたら慣れた手付きで応急手当をして、父親が救急車を呼んでと大騒ぎになった。

この時、助けた二人組。

このことが後に、この家族、いやマコト少年の運命を大きく変えることになろうとは誰が想像しただろう?

 

 

はかなき夢の通い道

この世で叶わぬ恋なら

生まれ変わった次の世で

それは似たような境遇にあった縁が引き寄せた奇跡であったのであろうか

ベンベンベンベンベンベンベンベンベンベンベンベン(三味線の音)

 

   ◇◆◇   ◇◆◇   ◇◆◇   ◇◆◇   ◇◆◇

 

さてそれから時は流れ。

その時のマコト少年もいまや十六歳の高校生。

勉強がちょっと苦手で、運動もちょっと苦手。

得意なことといったらゲームと金魚の世話、あとカレー作りにこだわりがあるくらい。

鼻がちょっとだけ低いのを気にしているお年頃。

だもんだから、おかえりなさいを言ってくれたり、一緒にご飯を食べてくれたり、一緒にTVを見てくれたりする彼女がほしいなあと願ってるお年頃ということだ。

そんなどこにでもいるよ~~~~~~~~な、当たり前の高校生のはずだったのだ。

そのマコト少年は現在、ドス黒い朱の忍び装束に身を包んだ、いくら温かい目で見てもカタギの方々とは思えない、いわゆる忍者の皆様に追い掛け回されていた。

 

「ここで会ったが百年目!! 今日こそ引導を渡し、藤嵐の血を根絶やしにしてやるぞ、藤嵐誠之進よ!」

 

そう叫んだのは泣く子も泣き出す、怖い顔のおっさん。

髪との境目が分からないほど生い茂った髭に、ぎょろりとした目に大きな鼻。

ぶっとい眉毛に、スイカだって丸かじり出来そうなほど大きな口からは二本の牙がにょきりと上に向かって伸びている。

とどめとばかりに、でっかい傷跡が顔を斜め走りしている。

やりすぎもやりすぎ。

やりすぎ大魔神かってくらいに、いかつい顔だ。

この男こそ、この忍者集団、血桜忍群の副頭目、血桜虎牙(べんがる)だ。

 

「だから僕はそんな藤嵐誠之進なんてお殿様とは、無関係だって言ってるだろ」

「マコト様下がって! 虎牙、マコト様には指一本手出しさせないでござるよ!!」

 

発端は時を遡ること、西暦1482年のこと。

時は血を血で洗う戦国時代の真っ最中。

当時の藤嵐の君主、藤嵐誠十郎が、隣国、鳥兜の国に奇襲をかけ、君主である鳥兜陣兵衛のみならず、妻子、親戚一同まで根絶やしにしたのだ。

だが鳥兜陣兵衛に仕えていた忍者集団、血桜忍群の報復により、一夜にして藤嵐の国は滅ぼされてしまった。

しかも藤嵐の卑劣な奇襲によって、血桜忍群の頭目である血桜鯱肌丸も死亡していたのである。

仕えていた君主の仇であり、頭目の仇たる憎き藤嵐への報復は苛烈を極めた。

血桜鯱肌丸の娘、血桜修羅菊を新たな頭目とし、藤嵐が鳥兜に行ったようにその血族を根絶やしにするため、残る標的は藤嵐誠十郎の嫡男である藤嵐誠之進ただ一人。

 

彼等はあと一歩のところまで藤嵐誠之進の追い詰めた。

だがなんと不思議なことか、神隠しが頻発するという峠にて雷が落ちた時、彼等は五百年もの時を超えて現代に来てしまったのである。

さて現代に生きるマコト少年は、タイムスリップしてきた忍者達に、仇敵である藤嵐誠之進とそっくりだったために狙われるという、とんでもない事態に巻き込まれたのだ。

同じく時を超えてきた、藤嵐誠之進の護衛だったくノ一少女、草影 涼葉はマコトを誠之進の生まれ変わりと信じ、護衛をするとマコトの家に住み込むことになった。

 

だがしかし不幸にも彼女の服を買いにデパートに来た帰りに、血桜忍群と鉢合わせしてしまったのである。

何故か女物の服をまとった異様な集団は、一瞬で忍び装束になるとマコト達に襲いかかったのだ。

そりゃあもう、壮絶な忍者戦が始まった。

手裏剣や苦無が飛び交い、鎖分銅に爆裂玉がポンポン飛んでくる。

多勢に無勢とはいえ、下っ端の下忍達では相手にならないくらい涼葉も凄腕のくノ一だ。

レギオンみたいにわらわら群がる下忍を蹴散らし、なんとか活路を開いてマコトの逃げ道を確保しようとする。

そこへ空から巨大な鎌が飛来してきた。

とっさに身を躱した涼葉の前に大鎌が突き刺さる。

 

「おっと、お前の相手は俺だぜ。草影のお嬢ちゃん」

 

しゅばっと忍者らしく現れたのは、精悍な顔付きをした隻眼の忍者。

オーソドックスな戦闘では血桜一と言われる男。

相手を一瞬でシカバネにしてしまうというところからその名が付いた恐ろしい忍者。

血桜カバネ丸だ。

 

「どけえ!!」

 

涼葉がマシンガンのように無数の手裏剣を打つ。

カバネ丸はそれを残らず大鎌で弾き落とすと、アスファルトを蹴り一気に肉薄する。

大鎌が一閃して涼葉を切り裂くが、しかし涼葉の姿が揺らいで消えた。

残像である。

瞬時に背後に回った涼葉が短刀を振り下ろすが、今度はカバネ丸の姿が揺らぐ。

首筋に迫る刃の気配を感じて、飛び退いて間合いを開ける。

 

「よく俺の大鎌を躱した。さすがは涼之助の娘だ」

「父上を知ってるのか!」

 

カバネ丸はフンっと鼻を鳴らした。

 

「当然だ、何度も戦ったからな。決着が付く前に病気でくたばっちまいやがって」

 

父と互角。

その事実が重く伸し掛かる。

流石の涼葉といえども、この男の相手をしながらでは、とてもマコトの方に手が回らない。

ならば一気に片を付けようと放った、草影流飛燕連斬撃や草影流奥義風神竜巻斬りも、カバネ丸は防ぎきってみせた。

危うし、無防備のマコトに虎牙が迫る。

 

「マ、マコト様! 早く逃げてくだされ!!」

「そうはいかん、藤嵐誠之進よ覚悟!!」

 

虎牙がそのぶっとい両腕にぬふうっと力を込めた。

腕に巻かれた布を突き破り、鋼の仕込み爪が飛び出す。

この仕込み爪、なんと体内に隠してあるのである。

化け物なんて呼ばれる血桜忍群の上忍ともなれば、どこの改造人間ですかと尋ねたくなるようなそんな連中ばかりなのだ。

一番まともで常識人なのが、カバネ丸という辺りで察していただきたい。

 

「えーと、えーと!! あ! 目がぴかぴか光るからくる人形がぎっちょんぎっちょん音を立てて歩いてくる!!」

 

とっさにマコトは明後日の方を指差して叫んだ。

自分は何を言ってんだろうってマコトは呆れた。

しかもちょっと噛んだし。

涼葉も呆れた。虎牙だって呆れた。カバネ丸も呆れた。

呆れまくりだ。

だけど、その場にいた他の下忍達(一部中忍含む)は皆そろって騙された。

 

「いや~~~~こっちに来ないでぇぇ、アタシ、あなたとはうまくやっていく自信がないのぉぉ」

 

一人ももれることなく明後日の方向に目を向ける下忍達(と、中忍なのに大騒ぎする一人)

何と僥倖、あんな噓に血桜忍群はひっかかってしまった。

しかし、肝心の目の前の怖い顔のおっさんに通じていないので、ピンチのピンチの大ピンチは去っていない。

虎牙もしょ~もない噓にひっかかった不甲斐ない下忍達(一部中忍を含む)に怒りを爆発させそうになるが、今はそんなことより怨敵の抹殺が優先と虎牙が爪を振り上げる。

あわや、主人公死す。

これでこの物語はお終いか、と思われた時、虎牙の振り下ろした爪が何者かに受け止められた。

 

「何!?」

「お、お隣さん!?」

 

虎牙の爪を刀で受け止めた、救いの救世主。

きりりと太い眉毛に、精悍な顔付きのナイスミドル。

それは春日家の隣に住む、お隣さんだった。

昔、大怪我をしていたところをマコトの両親に助けられたのが縁で、何かと春日家に良くしてくれているのだ。

 

「ご無事かな? マコトどの」

「キサマ、何者かは知らんが、邪魔立てするか!!」

「それはこちらの言葉であろう。大恩ある春日家への狼藉、このわしが許さんぞ」

「ふん、藤嵐の血を根絶やしにするは我ら血桜忍群の悲願!! 邪魔はさせん!!」

 

虎牙は拳を握り締めると、ぶつぶつと呪文を唱え始めた。

 

「いかん、狂虎の術だ!!」

 

下忍たちから悲鳴が上がる。

自らを獣に変えてしまうという虎牙最強の術である。

一度発動したら、誰かを八つ裂きにするか気絶するかしなければ元に戻れないという。

そのあまりの危険さに二度と使わぬと封印されていた術が、今ここで封印を解かれようとしていた。

 

「虎になるつもりだ!!」

「俺、まだ死にたくない!!」

 

だがお隣さんはそんな虎牙に怯みもしない。

むしろ泣く子も漏らすおっかない顔をじっとにらめっこするかのように、その目を見据えている。

 

「あれは・・・!? 虎牙、目を逸らせ!!」

「ぬ、うぅぅ・・・」

 

カバネ丸が危険を察知して、叫ぶが虎牙は目を逸らせない。

一種異様なものがお隣さんの目にはあったのだ。

 

(ありゃあ瞳術の一種だ!! しかもとんでもなくやべえ!!)

 

とっさにカバネ丸が煙玉を放ち、オリンピック選手もびっくりの早業で、でかい図体をした虎牙を担ぎ上げて電信柱の上まで駆け上がった。

 

「すまん、カバネ丸。助かった」

「ああ、あの瞳術はやべえな。おい、てめえ、何者だ!? 血桜忍群を相手に一歩も怯まねえとは」

「血桜忍群、か。お爺から聞いたことがある。かつて化け物とまで呼ばれた忍びの衆があったと。それが文明の半ば辺りを境に、何処へともなく消え去っていたとな」

「その口ぶり、てめえも時超えしてきたってわけか。その身のこなし、甲賀者だな!!」

「如何にも、時を超えたわしらの命を救い、生活の面倒を見てくれた大恩ある誠之進どのと修羅菊どのの愛息子に手をかけることはこのわしが許さぬ!!」

 

その言葉を聞いて虎牙がいきり立った。

 

「面白い、名高い甲賀とあらば相手にとって不足はない。誠之進共々血祭りに・・・あ、げ・・・んん?」

 

と、そこまでで、虎牙は今の言葉をもう一度噛み締めた。

カバネ丸も目をパチクリさせている。

 

「おい、甲賀者。今何と申した?」

「このわしが許さんと言ったのだ!!」

「いやそうではなくてその前」

「・・・・・・誠之進どのと修羅菊どのの」

「待て! 待て! 待て! しゅ、修羅菊様が!?」

「あ~~~そういうことか」

 

驚く虎牙をよそにカバネ丸は得心がいったと頷いていた。

 

「カ、カバネ丸? そういうことかとはどういうことだ?」

「お前は知らんかったかもしれんが、あの二人って仲良かったんだ」

「そんなバカな!」

「本当のことさ。こっそり二人で会ってたりしてたぐらいなんだぜ」

「し、信じられん! ならば何故、修羅菊様は誠之進のことを殺そうとしたのだ!?」

「血桜の頭目って立場があったからな。主君と父親の仇の嫡男となれば、そうしなければならなかったんだろう」

「そんな、バカな・・・・・・そんな」

「あの時、修羅菊様は時を超えられなかったのかと思ったけど、ちゃんと超えてたってことか。俺達よりも少し飛び超えた時間がズレてたんだろう。誠之進と一緒にな。それで結ばれて産まれたのがあいつってことなんだろう」

 

これに驚いたのは血桜忍群の面々だけでなく、春日マコトと草影 涼葉もだ。

 

「マコト様が、誠之進様と、あの修羅菊の!?」

「え!? 何!? 僕って本当にお殿様の子なの!? 父さんと母さんがタイムスリップしてきた過去の人!? あとお隣さんも!?」

 

   ◇◆◇   ◇◆◇   ◇◆◇   ◇◆◇   ◇◆◇

 

日本のどこかにあるひまわり市。

その外れにある小さな一軒家、春日家はただいま忍者で混み合っていた。

 

「あ、もしもし、母さん。久しぶり」

「のう? あれは何をやっておるんじゃ?」

「あれは電話というカラクリでな。あのカラクリどうしを使って遥か彼方まで声を届けて話をすることのできるものじゃ」

「ほう、流石五百年の未来。すごい道具があるのだな」

 

お隣さんが血桜の人達に色々と説明している。

あれから取り敢えず休戦ということになって、パンチパパイヤ島とかいう南の島国にいるマコトの両親に連絡を取って真偽を確かめることになったのだ。

 

「いや、仕送りの話じゃなくて、そのさ。変なこと聞くけど父さんって藤嵐のお殿様で母さんは血桜って忍者の頭領でタイムスリップしてきたりとか・・・・・・本当・・・・・・なんだ。あーうん、来てるんだ血桜の人たち、タイムスリップして」

 

どうやら本当だったらしい。

 

「あ、わに太郎くんいる?」

「いるよー」

「その僕の母さん、君のお姉さんが代わってくれって」

「このカラクリで遠くにいるお姉ちゃんとお話できるんだね、もしもし修羅菊姉ちゃん?」

 

この間ふとしたことで知り合い、ナクドマルドでハンバーガーを奢ったり、福引で当てたゲームボーイアドバンスを交換したりした子供が、自分を狙っていた忍者達の頭領で、歳下の叔父と知って結構フクザツな心境のマコトはこれからどうするかと頭を悩ませた。

 

「あの、マコト様。本当に?」

「うん、僕って藤嵐誠之進の息子だったみたい」

「生きておられたのですね誠之進様。よかった」

「はは、これから涼葉は父さんの護衛になるのかな?」

「拙者は誠之進様をお守りするのが使命でござる。しかし、この時代ではあまり必要はなさそうでござるな。あの修羅菊が一緒のようであるし、敵ならば恐ろしいが味方ならまあ心強いでござるし・・・・・・」

 

そういう涼葉は、実に複雑な表情だ。

タイムスリップというとんでもない事に巻き込まれてみれば、淡い恋心を抱いていた主が無事が分かったと同時に、すでに結婚していて、しかもその相手が誠之進を殺そうとし、護衛である涼葉と殺し合いまでした女。

しかも、そんな相手と前々から恋仲だったという寝耳に水な情報で、ちょっと頭がどっか~んとなりそうだった。

会ってどう反応すればいいのか、全く分からないのだ。

後に帰国した誠之進と再会した涼葉は、現代でラテンなノリに染まった誠之進の変わりっぷりに、さらに微妙な表情を浮かべるのはまた別の話。

 

「二人でなに話してるんですか?」

 

そう言って近付いて来たのは、くりんくりんとした天然茶髪のカールヘアーで、ちょっと垂れ目の血桜のくノ一だ。

 

「どうも、血桜かなでですぅ。かなでって呼んでください~~~」

 

ちょっと頭ゆるいんじゃなかという口調の娘、かなでは頭を下げた。

 

「かなでさんか。僕は春日マコト」

「・・・・・・草影涼葉でござる」

「ちょっと、父さんと母さんのことをね」

「マコトさんのお母さんって、あの修羅菊様なんですよねぇ? いや~~~びっくりしましたよ~~~あの修羅菊様があの誠之進さんとなんて」

「拙者もびっくりでござる」

 

乾いた笑いを浮かべる涼葉。

 

「でも、それなら誠之進さんもう殺さなくてもいいんですよねぇ。いや~~~~よかったですぅ。悪いことしてないのに、血がつながってるってだけで殺すなんて嫌でしたし」

 

その言葉に意外にも下忍達も頷いている。

 

「実は本当のこと言うとオイラもあんまり気乗りしなかったんだよな」

「奇遇だな。俺もそうだったんだ」

 

その様子をお隣さんは、感慨深そうに眺めている。

 

(悪いことをしていないのにか。甲賀だ伊賀だというだけで、殺し合いまでしていたわしらと、この血桜・・・・・・一体どちらが化け物というのか)

 

「マコト兄ちゃん、これの遊び方教えて!!」

 

わに太郎がマコトに交換してもらったゲームボーイアドバンスを抱えてやってきた。

 

「ああ、わに太郎くん。電話は終わったのかい?」

「うん、なんか虎牙に代わってくれって」

 

見ると虎牙が電話に向かって、その巨体を借りてきた猫のように縮こまらせて、ひたすら平身低頭して謝り倒している。

どうもわに太郎が口を滑らせて、マコトを殺そうとしたことが知られたようだ。

 

「・・・・・・母さん、怒ると怖いからな」

「うん、修羅菊姉ちゃんこわい」

「修羅菊様こわいですからね~~あ~~修羅菊様帰ってきたら私達までお仕置きされちゃうかも!! マコトさん助けてください~~」

 

がばっとかなでがマコトに抱きついてくる。

 

「う、うわああああ」

 

もちろん、大いに慌てふためくマコトくん。

 

「こ、こらおぬし! 何をしてるでござるか!」

 

涼葉が目をつり上げた。

 

「だって修羅菊様ってこわいんですよぉ!! マコトさん助けてください!! もう、アタシ、マコトさんの言うことなんだって聞いちゃいますからぁ!!」

 

押し付けられる弾力がダイレクトで大変。

男の子が大変、マコト君大変。

 

「離れるでござる! 離れろと言ったら離れるでござる破廉恥な!!」

 

かなでを引き離そうとする涼葉と引っ付こうとするかなでに挟まれて、両側から弾力がフィーバーしてマコトは頭がお花畑だ。

 

「はっはっは! モテモテですなマコトどの」

「からかわないで下さい!!」

「まあ大丈夫そうですな。わしはそろそろお暇するとしましょう。ナニか困ったことがあればいつでも言ってくだされ。甲賀忍法には独筋具とか色々ありますればな」

 

そう言ってからからと呵々大笑するお隣さん。

たぶん困ったことというのは、まだ色々早いことなんだろうなーとマコトは冷や汗を浮かべる。

 

「ああ、ちょっと待ちな甲賀者」

 

カバネ丸がお隣さんを呼び止める。

 

「さっきの立ち回り、見事なもんだったぜ。特にあの瞳術。どういう技かは知らねーが、煙玉がもう少し遅けりゃ、下手すれば全滅もあり得たかもしれん。流石は名高い甲賀だって関心したぜ。名前くらい聞かせてくれや」

 

お隣さんは、目を細めて、その名を告げた。

 

「弦之介。甲賀弦之介じゃ」

 

   ◇◆◇   ◇◆◇   ◇◆◇   ◇◆◇   ◇◆◇

 

「それでの、その虎牙どのが借りてきた猫のようになって、電話の向こうの修羅菊どのに平身低頭してひたすら謝り倒しておってな」

「まあ、弦之介様ったら」

 

弦之介が愛妻である朧お手製のカレーを、美味そうにかき込んでは、今日あったことを話し、それを朧が聞いては微笑んでいる。

現代にタイムスリップしてから、すっかりカレーが好物になった二人の食卓にはよくカレーが上るのだ。

美浜シーランドという遊園地に遊びに行った時は、八十種類を超えるというカレー料理店で、年甲斐もなく目を輝かせていたりもしたのだ。

 

「いや、しかし大事がなくて良かった。マコトどのに何かあれば、誠之進どのと修羅菊どのに、会わせる顔がなかった」

「ええ、私と弦之介様がこうしていられるのも、あのお二人のお陰ですものね」

 

永年、反目し続けてきた甲賀と伊賀。

それも弦之介と朧の祝言で、終焉を迎えられるはずだった。

だが慶長十九年、徳川の政治的理由でそれは破られ、甲賀卍谷と伊賀鍔隠れの争乱は互いがそれぞれ選び出した十人の忍者同士が全滅するという凄惨なものになった。

恋人同士だった弦之介と朧も、最後は互いに自刃して川に身を投じたのだ。

それが気付けば四百年も時を超え、それも恋人同士が敵となりタイムスリップしたという、同じ境遇の夫婦に助けられるという。

いはやは何とも奇妙な宿縁と言えよう。

あの二人の説得がなければ、互いの仲間が全滅してなお、生きて結ばれようとは考えなかったかもしれない。

 

「いや、しかし、本当に平和な時代になったものじゃ。戦だ何だとあの頃のようなこともない。誰もが頑張れば真っ当に生きることが出来る、まっこと良い時代になった」

「そうですね、弦之介様。甲賀と伊賀の様子を見に行った時は、本当にびっくりしました」

 

何しろ、ま~~~だいがみ合ってはいるものの、やってることは運動会で競い合うという、あの頃を考えれば何とも平和な手段になっていたのだから。

平和とは何ともいいものだ。

こうして愛するものと、何の憂いもなく一緒に歩んでいくことが出来るのだから。

この後も、誠之進のかつての婚約者だった杏姫の妹、桃姫が現代にタイムスリップしていたことが判明したり、バレンタインに一騒動合ったり、桃色茸で朧さんが大変なことになったりそんなドタバタが待っているのだが、まあそれはまた別のお話だ。

 

いつもどこでも忍²ニンジャ×甲賀忍法帖 おわり

 

声『にん吉』

声『にん美の』

二人の声『おまけこ~~な~~』

 

煙とともに二人が現れる

 

にん吉『どうも皆さんこんにちわ。血桜忍群下忍の血桜にん吉です』

にん美『同じく、血桜忍群下忍の血桜にん美です。よろしくね』

にん吉『このコーナーは視聴者から伝書鳩で寄せられたおハガキを紹介し、質問にお答えしようというコーナーです』

にん美『それでは最初のお便りから。異世界出身の黒モジャーさん』

 

★「原作のどの辺りの話なんですか?」

 

にん吉『このSSは原作四話のゴールデンウィーク最終日に、涼葉の服を買いにデパートにでかけた時の話だよ』

にん美『原作だと虎牙様とわに太郎様、それと下忍達という顔ぶれでデパートに行ってたけど、このSSでは、中忍のかなで様と上忍のカバネ丸様も同行していたって設定ね』

にん吉『原作じゃニアミスだったけど、ここじゃかなで様とカバネ丸様がいるので行動がちょっと変わって、ばったり遭遇しちゃったって設定だね』

にん美『という訳でした。黒モジャーさん。分かったかな? それでは次の質問。長野県在住の真ジャブローさんからの質問です』

 

★『なんで甲賀弦之介と朧がタイムスリップしてるの?』

 

にん吉『原作じゃ上加峠の不思議な地場とかで、タイムゲートが開いてたよね』

にん美『でも他の場所や条件じゃ起きないとは言ってないわ』

にん吉『つまり甲賀忍法帖で自刃した二人が川を流されているときに、たまたまタイムゲートが開いてタイムスリップしたんだよ』

にん美『そこをピクニックに来てた修羅菊様に助けられたってわけね。これでいいかしら真ジャブローさん?』

にん吉『それじゃ次のおハガキ。黒臼市のトラパンさんから』

 

★『弦之介は誠之進と修羅菊って呼んでたけど、現代じゃ別の名前を使ってるんじゃないの?』

 

にん吉『苗字は春日だしね』

にん美『これは弦之介さんが、藤嵐の血を根絶やしにするって聞いて、これは素性を知ってやっているって判断したからね』

にん吉『だから隠す意味は無いって思ったんだね』

にん美『ちょっと迂闊な気もするけど、結果的にはそれで争いがスパッと解決しちゃったから結果お~らいってやつね』

にん吉『それでは最後のおハガキ。長野県在住の七味うどんさんから』

 

★『弦之介と朧がカレー好きって何で?』

 

にん美『これはもう阿智太郎ワールドとクロスしたからとしか言えないわね』

にん吉『そ~~~いうこと。カレー好きな主人公多いからね阿智太郎さん』

にん美『全部が全部じゃないけどね』

にん吉『それでは、このへんで。血桜忍群下忍、血桜にん吉と』

にん美『同じく、血桜忍群下忍、血桜にん美がお送りしました』

二人『さよ~~~~なら~~~』

 

どろんどんどろん(煙が出て二人が消える)




文体は阿智太郎先生を真似てみました。
他の阿智太郎作品のネタもちょこっと入ってます。
タイトルはいつもどこでも忍²ニンジャの前に書かれていた、阿智太郎先生の初期の代表作二作の系統にあやかってみました。
最初は『僕に手裏剣を投げないで』というタイトルの予定だったそうですし。

最初はノリが違いすぎるけど、幸せにやってるならこういう世界観の方がいいよねっと思ったけど、よく考えてみると山風作品てノリとかネーミングとか、割りと似たとこあるなと思ってそのまま突っ走ってみました。
続かない。たぶん続かないんじゃないかな。

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