病弱TS娘と女騎士   作:レーズンモン

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不安な心

 はい、ベッドの住人の俺ことソニアです。いきなりの病発症で訳も分からず気を失い、気が付いたら病院のベッドの上。両親は泣いてるし、医師も病状がわからず悲痛な顔をしてるし急展開に頭がついていかず時間だけが過ぎていった。

しばらくしたらニーナとニーナのお母さん、シスタさんがやってきた。シスタさんはある程度聞いていたが再度医師に俺の容態を聞いていたが、未知の病だと聞いて苦虫を嚙み潰したような顔をしていた。ニーナは唖然としていた、きっと頭がおいついてないのだろう。大丈夫、俺もだ。そしたらだ、ニーナが徐に近づいてきて熱いまなざしでこれまた情熱的なセリフを吐いてきた。俺も徐々に現実を受け止めてきて強張った顔が解けたような気がした。そして俺も...その...熱に浮かれてくっっっそ恥ずかしいことやってしまった。あの時はやばかった、勢いって恐ろしい。周りはからかってくるしよ~もう。まぁ緊迫した空気が和らいだからよかったけど。

 

 それからはニーナ達は帰り、両親も着替えなどを取りに帰った。俺はしばらく病院に入院だそうだ。そらそうか、未知の病だしな。定期的に検査するらしく王都からも何人か医師が来るらしい。有難くもあるが申し訳ないとも思う。俺のためにもっと言えば病のためにわざわざここまで来てくれるのだから。そして親にも迷惑をかけるだろうな、いつ治るのか、いや治るかもわからない病。お金も掛かるし俺はしばらく動けない...。はぁ...どうしようか。体は動かせないから猛勉強をしようか、もしかしたら一生の持病になるかもだし。こんなんじゃ将来どうなることやら...確実に職は狭まったな。ほんとにどうしよ、こんな体験はじめてだから不安だ。

 

 

 

 俺が倒れてから数か月は経った。俺は未だにベッドの上。病の状態は未だ芳しくない。時々心臓に痛みが走ってその度に医師が駆け付けてくる。この痛みにまだ慣れない、医師が頑張ってくれているみたいだが難航しているみたいだ。俺はいつくるかわからない痛みの恐怖に耐えながら本を読んだり、編み物をしたりしている。こうやって何かをして誤魔化さないと落ち着かない。手が震え、汗が滲み出る。何もしない時間がじっとする時間が俺は恐怖の対象になってしまった。この時間は好きだったはずなんだがな。だが悪いことばかりではない。俺が入院してからほぼ毎日ニーナがお見舞いにやってきてくれる。すっかり俺の癒しの時間になった。心があったまるような、ついつい笑顔になってしまう。この時間がずっと続けばいいと思ってしまう。ニーナも前まではあまり表情を変えなかったが最近は口角がよく上がってる。イケメンスマイルだ、これは女の子には毒だな~と俺もちょっとドキドキしてしまう。

 

「今日は手紙を預かってきた」

 

「手紙?...ああ、あの子たちね」

 

 いつも遊んでいた子供達から手紙を持ってきてくれたみたいだ。ここから村まで距離があるからお見舞いにくるのは大変だ。馬でももってないと厳しい。そう考えるとニーナはその距離をほぼ毎日来てくれている。ちょっと、いや、かなり嬉しい。最高の友達だ。

手紙を一枚一枚開けて読んでいく。体調を案じるもの、退院したら遊ぶ約束等々...。拙いながらも一生懸命書いたのだと伝わってくる文字だ。ついつい頬が緩んでしまう。

ふと、頬に誰かに触られているのに気付いた。この病室には一人しかいない。

 

「ふふ、どうしたの?くすぐったいよ」

 

「いや、なに。触りたくなってしまってな」

 

「またそれー?へんなの」

 

 入院して数日経ってからだったかな?ニーナがよく俺に触れてくる。頭を撫でてきたり、手を握ってきたりさっきみたいに頬を撫でてくる。俺の存在を確かめているみたいだ。そうだよな...不安だよな、俺もまた体が急変してポックリ死んでしまったら...俺は死んでも死にきれない。せっかく転生したのもあるし、今生の親に何も返せていないしニーナ置いて死ねない。俺は生きるぞ、何としてでも!まだ女の子を楽しんでいないしな!

それからはニーナと手を繋ぎながら今日あったことなど世間話を楽しんだ。

 

 

 

 日は跨いで今日は俺の誕生日。未だベッドの上だがな。夜に親とニーナ達が誕生日パーティーをしてくれるみたいだ。朝から年甲斐もなくワクワクしてしまっていた、看護師にもソワソワしているとからかわれてしまった、恥ずかしい...。

 

 そしてついにきました、夜です。医師たち協力のもと次々と運ばれてくる見たこともない料理たちに目を奪われる。目が料理に向いているうちに飾りつけも終わったみたいだ。無駄に広い病室が華やかになり人が集まってざわざわとおとなしめに騒いでいる。医師や看護師に親にニーナ達。医師こんなにいたんだな~毎日お疲れ様です。

 

「おっほん、今日は娘のために集まっていただきありがとうございます。他にも入院してる方たちがいるので声を抑えて楽しんでください。では、かんぱーい!」

 

           「「「「「かんぱーい」」」」」

 

 皆、声を抑えて音頭をとりコップを掲げる。俺も小さくコップを掲げて口をつける。甘いリンゴジュースだ、美味しい。皆それぞれ近くの人と喋って料理をつまみながら楽しんでいる。俺のベッドの周りにも料理があるのでちょっと身を乗り出して取ろうとすると。

 

「ソニア、私が取ろう。お前は横になっていろ」

 

「うん、ありがと」

 

 ニーナは病室に入ってからずっと俺の近くにいた。そして俺が料理を取ろうとした手を優しく掴まれ、そう言われた。

 

「ほら、口を開けろ。私が食べさせよう」

 

 小皿に俺の好きなものを少しづつ乗っけて俺が受け取ろうとしたら野菜を刺して、フォークこちらに向けて言ってきた。

 

「いや、その...それは恥ずかしいよ。自分で出来るから!フォーク貸して」

 

「ダメだ」

 

「なんでよ」

 

「私がいる時は私に甘えろ。私はお前を支えると誓った、本当ならずっといたいがそれはまだできない。だから私がいる時は...甘えてくれ、甘えさせてくれ」

 

 俺の目を真剣な眼差しで、そう伝えてくる。彼女の本心からの声なのだろう...俺も目が離せなくて見つめ合ってしまう。その言葉は俺の弱った心に深く刺さってしまう、心臓が早くなって体が熱くなってしまう。段々と近づくニーナと俺の顔。視界がニーナの顔で埋まっていってしまう、目を閉じて後にくるものを受け入れるために顎を上に向けて彼女の吐息が顔に当たって...

 

「うおっっほん」

 

「「っ!!」」

 

「...そういうのは二人きりの時にしなさい」

 

 父さんが声をあげて止めてくれた。.....あぶね~俺なにしようとした?ニーナの言葉を聞いて俺はまた熱に浮かれてしまった...。はっず!いや恥ずかしいわ、これ。人も周りにいるのにまるで二人だけの世界になったように音が聞こえなくなっていた。顔が熱いよー心臓ばくばくしてるよー。死んじゃう!恥ずかし死しちゃう!

俺は俯いていた顔をゆっくりと上げニーナの様子を伺う。見たら彼女も耳まで真っ赤だ、俺も似たようなものだろう。だがフォークは差し出したままだ。仕方がなく俺は口を開ける。

 

「どうだ?うまいか?」

 

「う、うん。おいしいよ」

 

「そうか、じゃあ次だ」

 

「え、まだやるの?」

 

「当たり前だ」

 

 強い口調で言われて俺は諦めて口を開けてご飯を運ばれるの待つことにした。しばらく俺は雛鳥のようにご飯を食べさせられるのだった...。

 

 誕生日パーティー開催から暫く経ち...皆が落ち着いたころ。誕生日プレゼントを渡された。両親から本や、服。本は魔法に関しての物、服はなんかフリフリがついた女の子って感じの服だ。スカートはまだ恥ずかしいぞわたくしは。ニーナの親からは座ってもできる筋トレグッズだ、嬉しい。ずっとベッドにいたから筋肉の衰えがやばかったんだよね。そして最後はニーナだ。

 

「私からはこれだ」

 

 ニーナが差し出してきたのは赤いリボンだ。ニーナの髪色と同じ色、少し深い赤色だ。上質な布で出来ていると見ただけでわかるものだった。

 

「ありがとう...嬉しい。でも、高かったんじゃない?」

 

「ちゃんと私が働いて買ったものだ。受け取ってほしい」

 

 ちらりとシスタさんに目を向ける。シスタさんと目が合うと頷かれた。親の手伝いやらなんたらして買ったのだろう。手に乗っているリボンが少し重く感じた。

 

「私が結ぼう、少し体を上げてくれ」

 

 そう言われて俺は上半身を上げる。彼女が俺の髪を持ち上げる、肩まで伸びていた髪が今伸びに伸び、背中まで伸びている。一回髪を切りたいと親に言ったらめっちゃ拒否されてから伸ばしっぱなしの髪を彼女が触れて持ち上げる。俺の視界はニーナの胸でなにをされているか分からない。

 

「よし、もういいぞ」

 

 出来たようだ、俺の肩から纏められた白い髪が見えた。サイドテールだったか?赤いリボンが結ばれているのが見える。白い髪に赤いリボン...映えるな。

 

「ありがとう、どう?似合ってる?」

 

「ああ、よく似合っている」

 

 彼女が微笑んで俺も微笑み返す。似合っているみたいだ、よかったよかった。

それからは本を少し読んで談笑していたらいい時間になったみたいだからお開きするみたいだ。俺はすっかり満足だ、心の隅にあった不安は払拭された。今日はよく眠れそうだ。

 

「じゃあなソニア、また来る。元気でな」

 

「うん、待ってるね。おやすみ」

 

 ニーナに別れを告げ、帰っていく。静かになった病室で俺は余韻に浸る。今日はいい日だった、そう思っていたら瞼が重くなってきた。結構疲れていたみたいだ、体力落ちたなーほんとに。ベッドに潜って枕に頭を預けて今日のことを振り替えりながら意識を手放しながら、ニーナの誕生日にはなにをあげようか...俺はベッドから動けないからやっぱ編み物ぐらいしかないなーとか、なにを編もうか...寒くなってきたから手袋とか?それか靴下とか...楽しみだな...。

 

 不安があった、恐怖があった、迷惑をかけている。皆が離れていくかもしれないかと思った。親には捨てられ、ニーナも会いに来ないそんな夢を何回もみた。俺は転生者で大人のつもりだったが...結構弱かったみたいだ。だが今日はいい夢を見れそうだ、この持病は長く付き合っていきそうだ。不安はもちろんあるがそれ以上に幸福を感じよう。頑張るぞ、俺。明確に目標は決まっていないがとりあえず幸福になろう。俺はそう決意をし、意識をゆっくり手放した。

 




甘くしすぎたかとちょい不安
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