転生したらウイポ馬主だった件   作:佐月檀

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 この年の年度代表馬選考が荒れそうなことに今気づいた。


揺れる秋古馬王道路線

『さあ、最終直線! 天皇賞(秋)、秋の盾を巡って、府中の長い長い直線に差しかかった!

 先頭はエリモジョージ! 宝塚記念勝ち馬の、エリモジョージであります! これを二番手から追うのはトウショウボーイ! さらには大外からグリーングラスも来ている! テンポイントは伸びを欠いているか! テンポイントはかなり厳しそうだ!

 先頭はまだ、まだエリモジョージ! エリモジョージが先頭のまま! しかしトウショウボーイだ、トウショウボーイが一気に抜き去りそうだ! 大外を回ってグリーングラスも迫る! 的田弘は負けられない! だがそれはトウショウボーイの島広彦とて同じこと! エリモジョージはいっぱいになっているようだ!

 トウショウボーイ、抜け出した! エリモジョージを差し切って、今先頭に立ちました! しかし! 大外から猛烈な脚でグリーングラスがやってきている! グリーングラスがまた突っ込んできた! それでもトウショウボーイだ! トウショウボーイがまだリードを保っている! グリーングラスは届かない! これは届きそうにない!

 

 天馬トウショウボーイだ! 2000mの大舞台で、再び羽ばたいた! 今先頭でゴールイン!

 トウショウボーイが勝ちました! 左腕を大きく掲げた島広彦! 京都大賞典を勝って臨んだグリーングラス、僅か、僅かな差を縮められず二着に敗れました! 三着には粘ったエリモジョージ! テンポイントは無念の五着!』

 

 

 

 

【1977年 天皇賞(秋) GⅠ・東京・芝2000m・良馬場 結果

 

 

 一着 トウショウボーイ 2:00:2

 二着 グリーングラス アタマ差

 三着 エリモジョージ 3/4

 四着 ハードバージ 二馬身

 五着 テンポイント ハナ差】

 

 

 

 

 

 

 TTGが揃い踏みし、トウショウボーイが勝利を手にした天皇賞(秋)から約一ヶ月後。

 今年も、世界中から強豪が集まってくる国際GⅠの開催日となった。

 GⅠジャパンカップ(芝2400m)。欧米の有力馬を招聘し、日本馬がそれに挑むという構図になる……そうなるはずだった。

 だが馬券師たちは昨年のカブラヤオーのように日本馬がまた勝ってくれると見ているようで、一から三番人気は日本馬となっている。

 海外からの有力馬筆頭はフランス所属のエクセラー。凱旋門賞では大まくりを仕掛けての三着だったが、このジャパンカップでは四番人気だ。

 俺からすればせめて複勝だけでも買っておけ、と言いたいところなのだが、それは史実を知っているからこそだ。

 

 一方で上位人気三頭。こちらは完全にTTGで固まっている。

 一番人気がトウショウボーイ、二番人気がグリーングラス、三番人気がテンポイント。

 昨年のクラシックを分け合った三強が揃うというのは、やはりロマンがある。

 この中にカブラヤオーやマルゼンスキーも加わればなおさら盛り上がっていたが、カブラヤオーは既に引退、マルゼンスキーは札幌記念勝利後は脚部不安で長期休養と、なかなか揃わない。

 そのような状況だからアメリカでグランドスラムを成し遂げたシアトルスルーを出走させようとしたが、伊坂先生から「来年のサウジカップ(GⅠ・ダート1800m)まで、しばらく休ませてやりましょうよ」と止められてしまった。今では猛省している。

 

 グリーングラスのローテーションに関しては京都大賞典勝利後にグリーングラスの疲労を鑑みつつ、伊坂先生、的田さんと協議して決定したもの。ハードではあるが、秋古馬王道路線には全て出走する予定だ。

 休養を経た京都大賞典は一着、天皇賞(秋)では仕上がっていたものの二着。

 さて、グリーングラスの初GⅠ勝利となった日本ダービーと同舞台、ジャパンカップではどうだろうか。

 

 今年は十六頭立て。肝心のグリーングラスの馬番は大外枠の十六番。

 スタート直後の位置取りは鞍上の的田さん次第。どのような競馬を見せてくれるのだろうか。

 的田さんにとっても、グリーングラスにとっても思い出深い東京競馬場で、勝利を掴めるか。

 

 

 

 

『各国から強豪集う国際GⅠ、ジャパンカップ。府中の芝2400m、今年も日本馬か、それとも外国馬か。果たして、どのような結末を迎えるのでしょう! ジャパンカップ、間もなく発走致します!

 

 

 スタートしました! トウショウボーイ、テンポイント、エリモジョージが好スタートを切りまして、エリモジョージが先頭にいきます。やはり逃げていくのはエリモジョージ。ここでも先頭は指定席、エリモジョージがいきました。

 二番手に着けたのはトウショウボーイ。この大舞台でもエリモジョージを捉えに出ます。三番手にはテンポイントがいて、グリーングラスは外を回りながら五番手の位置。外国馬、フランスのエクセラーは最後方待機です。

 各馬、最初のコーナーに入ります』

 

 かなり苦しそうな位置取りなのだが、これは大丈夫なのか。

 だがスタート直後から内に切り込んだ馬はかなり多い。無理に内に着けるわけにはいかないようだった。

 それでも外を回りながらの競馬はかなり厳しいはず。ペースは比較的ゆったりとした流れだが、最終直線での伸び脚が心配だ。

 

『1000mの通過タイムは1:02:1、やや遅めのタイムか。エリモジョージはスローペースで逃げている。トウショウボーイは依然二番手でエリモジョージをマークしている。そこから一馬身ほど後ろにテンポイント、関西のテンポイントがいます。

 グリーングラスは馬群の外、六番手。やや前目の位置なのは変わらず』

 

 スローペースなど意にも介さないように外を回るグリーングラス。こうなってくると最終コーナーはどうしてくれるのか気になってくるところ。

 

『残り600m! ここで逃げるエリモジョージを躱してトウショウボーイが先頭! トウショウボーイが先頭に立って、最終コーナーに差しかかります!

 先頭はトウショウボーイ! エリモジョージはやや後退気味! そのエリモジョージを一気に躱してテンポイント! テンポイントがトウショウボーイに迫る! 外からテンポイントが襲いかかってくる! トウショウボーイは粘ろうとしているが粘れない! テンポイントが差し切って先頭に! 最後方からエクセラーも来ているが、それより先に大外、大外からグリーングラスが末脚を放ってきた!

 先頭はテンポイント! 大外二番手グリーングラス! 的田弘のグリーングラスか!? グリーングラスだ! グリーングラスの脚勢がよさそうだ! ダービー馬が再び府中を制するか!? グリーングラスのさらに外からエクセラーが追う! 凄まじい豪脚! しかしその前にグリーングラスが勝ちそうだ!

 

 グリーングラスだ! グリーングラスだ! 関西馬グリーングラスが天皇賞(春)以来のGⅠ制覇! グリーングラスがゴールイン! エクセラーの猛追を凌いでグリーングラス! 昨年のダービー馬が見事、海外の強豪を退けました!

 二着には最後追い込んできたエクセラー。三着には関西馬テンポイント。秋の天皇賞馬トウショウボーイは沈んだか!』

 

 

 

 

 ウィナーズサークルでは、グリーングラスに騎乗した的田さんが必死になって涙を堪えていた。

 伊坂先生が「グッジョブだったよ! なんとか勝ち切れたね!」と笑顔を浮かべて的田さんに話しかけたが、当の的田さんは「グリーングラスに非常に申し訳ない競馬をさせてしまいました」と目元を赤くさせ答えていた。

 どうやら、的田さんにとっても今日の競馬は反省点ばかりだったようだ。

 

 

 

 

【1977年ジャパンカップ GⅠ・東京・芝2400m・良馬場 結果

 

 一着 グリーングラス 2:25:6

 二着 エクセラー 1/2

 三着 テンポイント 一馬身

 四着 エリモジョージ 二馬身

 五着 クライムカイザー 二馬身

 六着 トウショウボーイ クビ差】

 

 

 

 

 

 

『中山の最終直線は短い! ここを制するのはどの馬か!? 先頭エリモジョージ! しかしあっという間にテンポイントが躱していく! 二番手はトウショウボーイ! そのあとグリーングラスが追い込んでくる!

 強い! テンポイント、強い! 菊花賞馬がようやくGⅠを再度制するか!? グリーングラスが突っ込んでくる! だが差を縮ませない! テンポイントだテンポイントだ!

 

 テンポイントが先頭のまま、ゴールイン! 最後はグリーングラスの追い込みも封じて、ようやく古馬GⅠを手にしました! 有馬記念を勝ったのは、関西のテンポイント!

 二着にはグリーングラス。三着にはトウショウボーイ』

 

 

 

【1977年有馬記念 GⅠ・中山・芝2500m・良馬場 結果

 

 一着 テンポイント 2:30:1

 二着 グリーングラス 二馬身

 三着 トウショウボーイ 一馬身

 四着 クライムカイザー 3/4

 五着 エリモジョージ 一馬身】




 来年は……。
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