【中編】蜘蛛屋敷~ボクとヤベぇ女の脱出夏休み戦争~   作:影薄燕

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 実はプロローグと同じ日だったり。


8月31日 エピローグ

 

 ボクは激怒した。

 かの悪意逆非道な蜘蛛の神に鉄槌を喰らわしたいと。

 

「ナーねえ」

 

「なーに、そーくん♡」

 

 カランッと、麦茶に入った氷が音を立てる。

 クーラーが涼しげな風を送り、夏の熱を冷ましてくれる。

 

「昨日の今日で緊急の連絡を受けて、夏休みの宿題を手伝ってくれているのは本当にありがたい。感謝している」

 

「そーくんのためなら例え火の中水の中だから♪」

 

「でもね……」

 

 机を叩き、立ち上がる。

 

「何でOLさんの格好をしなきゃいけないんだ!!」

 

「私のやる気に繋がるからだよ♪」

 

「頼むんじゃなかった!」

 

「頼まれて良かった♪」

 

 ボクは今、再びナーねえの屋敷――その地下にある部屋で夏休みの宿題を大急ぎで片付けていた。

 

 昨日の夜中までで防災ポスターを仕上げ、読書感想文用の本を読み終えたものの、そこで限界。そこで翌日、つまりは今日の朝方に貰ったナーねえの連絡先にヘルプを入れて今に至るわけだ。

 

 ただし、その代償は高かった。

 手伝う代わりにコスプレしてもらうと、しかも女装でと、言いやがあったのだ。

 

 ほぼ反射で逃げたね。

 最初にナーねえが見せてきたのなんてゴスロリとかって名前のものだったけど、間違ったって男が着るものじゃないもん。

 

 まあ、その逃げている途中で新たに加わった忍者屋敷みたいなトラップに引っ掛かって、ナーねえの胸へと飛び込み捕まった訳だけど。

 

「大体、何でカラクリ階段なんて仕掛けが……!」

 

「そーくんを飽きさせないため、今度はアスレチック風にしようと……」

 

「余計なお世話!」

 

 現在ボクはナーねえと共にドリルに挑んでいる。

 ナーねえとボクとじゃ字のクセが違うから、ナーねえには答えや式だけ解いてもらって、ボクが写すという作業をしているけど。

 

「これこそ、ある意味初めての共同作業だね♡」

 

「こんな共同作業とか嫌だ」

 

「夏休みの宿題のおかげでそーくんとすぐ会えたし感謝感謝♪」

 

「ナーねえが8月になってすぐボクを監禁したせいなんだけど!!」

 

 自分の所業を忘れるんじゃない!

 

「そーくん♡」

 

「何!?」

 

「これからもよろしくね♪」

 

「……うん」

 

 そう、ナーねえとボクの関係はまだまだ始まったばかりだ。

 これからどうなるか分からないけど……

 少なくとも、寂しい思いだけはしないで済みそうだ。

 

 

 

「あー自由研究はどうしよう……」

 

「絵画にするんだったら、私に良い考えがあるよ!」

 

「どんな?」

 

「私の……ヌードデッサン♡」

 

「却下で」

 

「何でよー!?」

 

「……ナーねえのそういう姿、絵でも人に見られたくない」

 

「え!? そ、そ、そ、それって……!」

 

 良い人(神様)だけど、変に抜けてるんだよな。

 ちょっとはボクの気持ちも気にしてほしい。

 

 

 そうやってボクの微妙な心の変化と共に夏休みは終わりを告げた。

 

 




 これで【中編】蜘蛛屋敷は完結です。
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