本編よりストックができてしまっている始末。
問:人は平等であるか否か。
解:否、不平等である。
生物は生まれるところを選べない。人間も例に漏れず、最近では毒親なんて言葉が作られたりもした。そこは平等だったりするが、環境は平等ではない。恵まれた環境、才覚を持って生まれる人もいればその逆もいる。
そこを平等にしようものなら人類を機械に管理させて、人間の遺伝子をいじって平均的能力にして地球環境も一定に...というふうに平等を実現するには大きな犠牲を払わなければならない。
おそらく平等な世界には『人権』という言葉は存在しないだろう。
全て平等な生物、そこには理性や知性は存在しておらずただの家畜である。
人間ですらない、平等って結構恐ろしい言葉でもあるわけだ。
さて、そんな事は置いておいて。
「いやはや...今日はホントに綺麗な晴れ空だ。まるで我を祝福してくれているようでとても気分が良い」
視界に広がる雄大な青を見てつい口から言葉が漏れる。
我が名は皇 百華(スメラギ モモカ)、この名前は一部の人間から初見で『ひゃっか』と間違えられる。
それは訂正すればいいのだが、一部のアホ共が何度も間違えるのを聞くとこう思ってしまう。
ひゃっかじゃないももか だ、にどとまちがえるなくそが。
早速話が脱線しかけた...というか本題にすら入っていないな。
呟いたことに祝福のワードが入っていたと思うが、今日は我にとって特別な日なのである。高校入学だ、それも国立の特別な高校である。
確か、『この高校は100%望みの進路に進むことができる』という話があったような気がする。
しかし、それはどうでもいい。
我はそれなりに優秀な人間だと自負している、何故か友達が出来にくいという難点があるが、自分の力で望みの進路を切り開くことができる。
それなら何故そこを選んだのかというと、国立の高校の中で一番不思議なところだからである。設備が非常に整っていたり、学校の敷地が某巨大テーマパークかそれ以上な広さを誇っていたり、学校在籍中は外部との連絡不可能だったりと不審な点がてんこ盛りだ。
そんな学校は教育方針も意味不明に違いない。
巷の噂では退学者が多いそうじゃないか。
異常としか言いようがない国立高校、そこで天才...とまでは言われていないが結構優秀な人間が卒業まで粘ることができるのか。
非常に興味深いじゃないか。
という事で、入試の際の参考偏差値の幅がとても広い事に唖然としたり、その割に入試の過去問や対策問題の難易度が高レベルな事にドン引きしたりと色々あったが、そんなものも我にかかれば赤子...いや、この表現は良くない。
子供は大事な国の宝、雑な扱いをしてなるものか。
そうだな、朝飯前という表現が適切か。
電車に揺られてそんな事を考える。
周囲を見渡してみると我と同じような制服を着た人間が少ないながらも乗っている。
それにしても、だ。
ガン見にならない程度にしているが、我の入学予定の女子制服のスカート丈短くない?
普通学校のスカートって短くても膝より少し上とかそんなものだと思っていたのだが、そんな比ではない。
漫画とかラノベとかそんな創作でしか有り得ないような短さだ。
太ももフェチの我としてはガン見したい...。
邪念が蝕み始めていると目的の駅に着いたため、気持ちを切り替えて電車を降りて改札から出てバスターミナルに向かう。
そのバスターミナルから学校へ向かうシャトルバスがあるはずだ。
とはいえあくまで学校専用のバスではなくて、民間のバスがこの時期だけ特別に学校に寄ってくれるというだけな為、他の人も乗ってくる。
公共機関ではあるが、どうにも何か面白いことが起きるのではないかと我の変人としての勘が囁いてくる。
バスの最後尾の座席に腰を下ろして出発時刻を待つ。
余裕を持って行動したためかまだまだ時間は有り余っている。
「復習しとくか...」
小さく呟いて高校一年生の範囲が記載された問題集を開く。
分厚くて多少重いが、これがあれば有意義な暇つぶしができる。
既に8周はしたが、飽きる事はないため繰り返して解いている。
解き終わるタイムは1回目と比べて随分と早くなったがそれでも楽しい。
自分としても変わった感性をしているなと思う。
その原因はおそらく『転生特典』が原因だろうなと考えた。
前世はザ・普通な人生で特に何かあったわけではなく、幸せに暮らしていたのだが突然視界が切り替わり、謎の存在に
「チートやるから別世界に行ってこい、丁度いいから新しい体もやるよ」
と言われて、多分転生というものをして両親のいない幼少期を過ごした。
遺産やらなんやらだったり、精神が既に成人していたという事もあって少し寂しい以外は不満のない人生を過ごして来れた。
そして我に授けられた『チート』というものはどの分野についてのものかと転生当時は不思議に感じていたが、生活していくと自然と明らかになった。
『あらゆる分野におけるチート』は我の探究心を刺激し、学びが楽しく感じたり物事の吸収が良くなったり、色々なスポーツのポテンシャルが高くなった。
それだけではなく、声真似や変装技術も人間技から逸脱したりもした。
そんな生活をしていたら今回の学校のことを知って面白そうだと感じても不思議ではないだろう?
ふと、周りに音を感じるので問題集を閉じて視界を上げる。
どうやら既にバスは出発しており、通勤ラッシュ程ではないが結構な人数が乗り込んでいた。
ちなみに問題集は高校の範囲は全てコンプリートしてある。あとは学校の方針に合わせて復習かそれとも追加で少し勉強するかすれば授業の完全理解も夢ではない。
周囲の生徒と思わしき人達を品定めするように見渡す。
雰囲気的に目立っているのは、優先席に優雅な座り方をしている金髪で体格もガッチリしている男。高貴な存在と言えばいいのか、いや違うか。
あの茶髪の男は一見なんのオーラもない平凡な人間に見えるが、逆に平凡すぎて不自然だ。意図的に隠しているのか、人間性がイかれている危険人物の可能性ありかもな。
その隣に座っている黒髪の少女は、今は開花していないもののそれなりに実力はあるとみてもいいだろう。
何か足りない部分さえ当てはまれば光り輝くだろうな。
あとは...気になる生徒はいないな。
一人不審な気配を隠している少女がいたが、あれは評価に値するか怪しい。
そんな神様ムーブをかましているが絶対に口には出していない。
口から出ていたらとても恐ろしいからね。
お?
一般女性が金髪男子になんか言ってるぞ?
その側には老齢の女性が...ふむ、そういう事か。
一般女性が優先席に座ってる金髪男子に対して席を譲れと命令しているという訳だな。
本来であれば金髪男子くんの援護射撃をしてやりたいところだが、こことあそこは結構な距離があるから声を張らないと伝わらないだろう。
しかし公共機関で面白半分で大声を上げるのはよろしくないよな。ということでやめておく。
我が仕方なく傍観に徹していると、さっき見た不審な気配を隠しているのか少女が参加して金髪男子を説得し始めた。
その人はテコでも動かないと思うがな。
それにしてもあの少女、不審な気配と振る舞いが全くの逆というか漫画のヒロインのような振る舞いをしている。
あの感じからして人脈を築いて何かしら悪事でも犯すつもりか?一応警戒しておくか...。
結果、金髪男子はイヤホンをして爆音で音楽を聴き始めてしまい説得失敗。
結局他の人が席を譲る結果となり空気は微妙なものになっていた。
バスが着くとゾロゾロと生徒が降りていき、我が最後に降りる。
校門を通って少し歩いた先に掲示板があり、そこに人がたくさん集まっていた。
クラス名簿が貼ってあるようで自分の名前を探す。
「D...ね。なんか癪だが、まぁいいだろう」
そこはかとなくバカにされた気がするが、現時点ではどう言った基準でクラス分けされているかは不明なため、深く考えても時間の無駄だ。
名簿の隣に貼り付けてある案内に沿って目的の教室に向かう。
ホワイトボードに貼ってある席順を見る。
我は窓側の後ろの方か。
席についてからこの教室を観察する。
天井がまず異常だ。
どういった目的で段が出来るような立体的な天井になるのだろうか。
そしてその段の間から見える夥しい数の監視カメラ。
明らかに防犯以外の目的があるように思われる。
しかも少し薄暗い...。
綺麗な教室である事は確かだが、暗さと教室の色味の無さから何かの研究施設を連想させる。
鞄から携帯を取り出してネットに接続した。
イヤホンを携帯に繋いで動画サイトからアニソン系の作業用bgmを再生して他の生徒がある程度来るまで待つ。
15分したあたりで結構教室が騒がしくなってきた。
相変わらず薄暗...はて?
先ほどより明るくなっており、不気味さは消え去っていた。
もう一度天井を見ると光っていなかった部分が光っており、おそらく誰かがスイッチを操作して電気をつけたのだろう。
まぁ、それもそうか。幾ら何でも教卓あたりにしか電気がついていないというのもおかしいよな。蛍光灯だったら気づけたんだがなぁ。
さて、もう一度品定めをば。
不審な気配ちゃんに黒髪ちゃんにサイコ予備茶髪くんに高貴金髪くん、他多数。
その他大勢はマイナス評価な人間が多い。
我は時計をチラ見してまだ時間に余裕がある事がわかったので他の教室を見にいくことにした。
まずはCクラス、Dクラスほど酷くはないがそれでもマイナス評価な人間が多いことに変わりはない。こちらも数人有能そうな人間がいる。
次にBクラス、好評かとまではいかないが品性も普通にあり、及第点と言ったところだろうか。少なくとも野蛮な生徒はいなさそうだ。
最後にAクラス、一番落ち着きがあり化け物じみたオーラの人間も混じっているが全体的に高評価だ。
そしてこれらの観察結果をDクラスに向かいながらまとめる。
おそらくこのクラス分けは有能な人間をAに、磨けば光るだろうけど現時点では問題を抱えた不良品がDという事だろう。
我がDなのはあれだろうか。
面接の志望理由で余計なものを付け足したのが理由なのかもしれない。
やはりあの『面白そうだったから』は余計だったな。
再び席について右を見る。
サイコ予備群くんだ。
折角なので挨拶でもしておこうか。
体をそちらに向けて声をかける。
皇「ちょっといいかね?」
綾小路「どうしたんだ?」
皇「折角隣の席になったんだ、これも何かの縁だと思ってね。自己紹介をしておこうと思ったんだ。これから同じ教室で青春を過ごす友として、ね?」
綾小路「友...。あぁ、いいなその響き」
どうやら興味を持ってもらえたようなので話を継続する。
皇「我の名前は皇 百華だ。女の子のような名前だが見ての通り男だ。よろしく頼むよ」
綾小路「オレは綾小路清隆。よろしく頼む、皇」
こうしてサイコ予備群くんこと、綾小路と自己紹介と友の契りを交わしたのだった。
そのあと流れで綾小路がさらに右の黒髪ちゃん(名簿によると堀北 鈴音)に自己紹介をしていたが冷たくあしらわれてしまい、少し落ち込んでいた。
皇「まぁ、あんまり気にしない方がいいさ。どうやら彼女は恥ずかしがっているようだ。これから頻繁に話しかけていけば良好な関係を築ける。諦めないことが重要だよ」
綾小路「わかった。アドバイスありがとうな、皇」
多分だが、堀北という少女は恥ずかしがっているのではなく好きで孤独になっているだけだろう。
ただ、綾小路はそのことについて理解が及ばないようだから揶揄いも込めて嘘情報を教えておいた。
堀北はこれから綾小路にしつこく話しかけられて迷惑を被るだろうが、是非とも頑張って欲しい(他人事)。
主人公は転生者ですがよう実の事は知りません。
ただ、与えられたチートによって自己研鑽しまくった結果狂人が完成しました。
面白いね。