or not to [BE]   作:ヤマグティ

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一般「2Bいいよね……(ケツ)」

僕「2Bいいよね……(出来る限り苦しめたい)」

どちらが、上かな?(性癖) って訳なので再投稿です。



死にぞこない共の見送人

 

 

 ▲▼▲▼▲

 

 

 

 

 もうここに残る理由はないからと、そう言ってユニットから逃げるように降りてくる。

 

 降り立った瓦礫の山。崩落したユニットの残骸。

 

 その山々を見回すと、何かを探そうと、瓦礫の山を渡っていく。

 

 ……見つけた。

 

 瓦礫の山の中、一つ窪みになった谷底に、その遺骸が横たわっている。

 

 両腕の無い、ヨルハ機体の遺骸。その頭をもたげ上げて、顔を確認する。

 

 金色の髪。口元の布、……オペレーター21Oだ。かつて、9Sの専属オペレーターだった機体。通りで私にも見覚えがあった。

 

 2Bが相手にさせられていた汚染機体は、彼女だった。

 

 オペレーター21O。私に彼女との面識はない。あるのは、9Sの記憶だけ。

 

 ……だが、9Sと馴染みのあった者。

 

 そして髪色こそ違えど、二十一号の顔。

 

 ……虚ろに開かれた瞳。

 

 

 ……閉じきれずいた彼女の瞼を、やっと下せた気がした。

 

 

 十六号、二十一号……四号……。

 

 私は、まだ生きてるんだ……ごめんね。

 

 片が付いたら、すぐにそっちに行くから……。

 

 

 去り際に、ふともう一度彼女へ振り返ると、その胸元を見つめる。

 

 一撃でブラックボックスを貫かれた、手際のいい傷口。

 

 [ヨルハ機体21Oは、既に死亡を確認されている]

 

 彼女の死を振り切れていないと思ったのか、ポッドは分かりきった事を、そう淡々と伝えてくる。

 

「……なぁ、ポッド」

 

「……お前、ずっと2Bや9Sと居たんだろう?」

 

 

 

 

 

 

「2Bは……本当に2Bなのか?」

 

 

 

 

 

 

 突然、真剣そうな横顔からポッドに向けられたのは、酷く抽象的な質問。

 

 

 [……]

 

 [……黙秘。その情報を開示する権限は、ポッド153には存在しない]

 

 

 だが、ポッドには質問の意図が通じたらしい。

 

 こちらも顔を合わせる事無く、ただ一言、そう語った。

 

 [……]

 

 [報告:大型構造物、通称『塔』ゲートの開放を確認]

 

 沈黙の間を取り持とうと思ったのか、153は突拍子もなく話題を変える。

 

 A2はその気遣いを聞くと、振り返って、何処かを目指して歩き始める。

 

 視線の先は、あの『塔』。

 

 

 

 

「それは……」

 

 

 ふと遅れて、ようやく彼女の口許から、言葉が零れ出てきた。

 

 

 

 

 

 

 

「それはもう、答えみたいなもんだろうが……」

 

 小さく、悔しそうな声だった。

 

 

 

 

 

 

 

 近くにまで見えてきた『塔』。天へと伸びた巨峰を、その目で見上げる。

 

 あの青空の中へ、ポツンと伸びた頂。

 

 なんとなく、何か情報があるのではないかという推察から『塔』の元に訪れたが、……いざこうして近くにまでやってくると、改めて機械生命体のハイテクノロジーさに辟易とした。

 

 一度、本当に潜入しようものかと足を止める。アレは機械生命体由来のモノ、そこに進んで入っていくのは、自分から罠へかかりにいくようなモノだ。

 

 それに、好奇心以上の関心があるのかと問われればそうでもない。何か『塔』に行かなければならないという、明確な理由や使命は無かった。

 

 ……だが、機械生命体由来の、()()()巨大建造物。

 

「……行ってみるか」

 

 そう、その好奇心だ。今のA2にとっては、『機械生命体の情報や、新たな発見がそこにあるのではないか』という情報収集欲こそが、大切な事だった。

 

 『塔』の入り口を探して陥没地帯を下っていくと、苛烈な戦闘の跡が目に留まってきた。

 

 まだ新しい機械共の残骸が山となって転がっている。誰かがここで戦っていたらしい。

 

 ……所々が拙い。手際の悪さが傷口から推測できる。恐らく、2Bがやったとは言えない。……となると、これだけの多数を誰が? 

 

 その答えは予想外の物だった。入り口らしい所に見える、2つの人影。

 

 遠くからでも分かる、あの特徴的な赤い髪。ハッとして駆け付ける。

 

「お前達……、なんで……」

 

 人影の正体は、デボルとポポルだった。以前2Bと間違えられ、なんだかんだで世話になった双子。

 

「あぁ……A2か……」

 

 デボルは体中をズタズタの傷だらけにして、ポポルと共に『塔』の入り口に寄りかかっていた。

 

 機械生命体と戦っていたのは彼女だったらしい。傷だらけの体でも尚、隣のポポルへ庇うように寄り添い続けている。

 

 だが、その守っていたポポルは……、もう、とっくに死んでいた。身体中には点々と、ショートした惨たらしい焦げ跡がある。

 

 ……ただ、その瞳だけは、満足そうに閉じられていた。

 

 残されたデボルは、最期の機会かと思ってか力なくも喋り続ける。

 

「『塔』の入り口は……開けておいた。2Bが先に行ってる……」

 

 何故二人がここに? 扉を開けるために、お互いにどんな無茶をした? 

 

 どれもコレも分からない。……だが、問いただす時間も無いままに、もうじきデボルも死ぬのだろう。……ソレだけは分かってしまった。

 

「……そうか」

 

 2Bがいる。何故、その名前を今ここで、私に向けて言ったのかは分からない。

 

 ……けれど、最期までポポルと共に居ると決めたその姿に、どうしてか答えがあるように感じた。

 

 

「なぁ……」

 

 

「私達は……。役に立ったか……?」

 

 

 最期に声を振り絞って、デボルが問いかけてくる。

 

 

「……、……あぁ」

 

 そう言ったのを聞くと、デボルは安心したようで、…………彼女もまた、満足そうに瞳を閉ざした。

 

 

 ……扉の先へ、二人が開けてくれた道を進んでいく。

 

 少しすると、広間に出た。円形状の部屋で、行き止まりかと思うと、周囲が一瞬揺れる。

 

 浮遊感のような揺れ。……エレベーターか。部屋の広さと装飾から、そうは見えなかった。

 

 エレベーターを抜けると、白くて遠い景色が広がっていた。上空ゆえか肌寒く、無機質だが、どことなく不思議な神秘感も感じる。

 

 誘導されるがままの一本道。所々に空いた穴からは、大地が遠く、小さく見えた。

 

 角質な地面が、コツコツとしたヒールの音をより一層響かせて、吹き抜ける風の中へ消していく。

 

 一つ部屋に入ると、大きな戦闘の跡か、地面が崩落して埋もれていた。

 

 薄暗い部屋、危ないからと、崩落した地面の外回りを通って進んでいく。

 

 ……デボルが語った通り、2Bもまたこの『塔』に居る。

 

 

「……行くぞ」

 

 自分にも言い聞かせるようにして、言葉に出す。

 

 どんな形であれ、あの二号とは決着をつけなければならない。

 

 彼女もまた、それを望んでいる筈だから。

 

 ……その時は____。

 

 

 __いや、今だけはそんな事を考えるのはよそう。

 

 少なくとも、この『塔』にやってきた理由はもう一つあるのだから。

 

 

「この構造物の目的は?」

 

 初めて『塔』を見た時からの疑問。それを調べにやってきた。

 

 

 『塔』。

 

 機械生命体由来。

 

 よって、碌な物ではない。以上。

 

 

 ……そんなザックリとした経験則以外は、何も分かってないのが現状だった。

 

 [不明]

 

 [推奨:情報収集]

 

「……だろうな」

 

 聞いておいてアレだが、ポッドが最初から全て知っていたようにスラスラと話してきたらそれはそれで怖い。むしろ、ちゃんと知らないようで安心した。

 

 薄暗かった部屋を後にし、次の部屋の扉にまで辿り着く。

 

 次に鉢合わせになる可能性も考えたが、開けた。

 

 だが、目の前に広がってきたのは、……薄暗かった先程の部屋とは対象的に、真っ白に明るい部屋だった。

 

「何だ……この部屋」

 

 壁には棚があって、何かブロック状の物が隙間なく敷き詰められている。ただでさえ真っ白なのに、更に馴染みのない光景。

 

 [予測:図書館を模した施設]

 

「図書館? ……何だそれ?」

 

 [過去に人類文明が作り上げた情報保存施設]

 

「へぇ……!」

 

 情報保存施設。その響きを聞くと、『塔』にやってきてから何処となくずっと重苦しそうだったA2の表情が、パァっと少し明るく緩んだ。

 

 情報、それこそA2が『塔』にやってきた理由。その上、コレだけ膨大な量。今のA2にとっては、ちょっとしたご褒美だった。

 

 なるほど、ラストワン賞とはコレの事だったのだろうか。

 

 早速近くの棚から一冊、本を手にとってみる。だが、あくまでも見た目を本に模しただけのようで、閲覧にはハッキングが必要だった。

 

 慣れた手付きでなんなく突破すると、じっくりと読み込む。

 

 ……『ヨナ』。何かの病気患者のカルテだった。

 

 オリジナル……『()()()()()()』。

 

 ……もしかして、ここの本棚は『あの計画』とやらを纏めたエリアなのだろうか。

 

 ……『あの計画』。

 

 それにA2はヒョイヒョイと、隣と、そのまた隣の本を手に取って、どんどんと読み進めていく。

 

 あの計画。それは9Sの記憶で見た、人類滅亡の真相。

 

 以前9Sは、人類滅亡についてを記したデータを受け取っていた。

 

 内容は、人類が滅んでいたという事実と、その上で何故ヨルハ部隊が設立されたのか。について。

 

 その時、滅亡の要因として少しだけ触れられていたのが、『とある計画』についてだった。

 

 

 それは過去に人類が行っていたとされる、一抹の望みをかけた願い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『魔素を利用した、魂と肉体の別離』

 

 

 

 

 

 

 ……。…………。

 

 

 

 ……つまり、どういう事だ。

 

 

 人類滅亡の真実を見せつけられた当時は、その結果ばかりに目が行って、あまり過程について気にしてこなかった。

 

 ……しかし、よくよく考えてみると、魔素だとか、魂と肉体だなんて文面。明らかに情報が足りなさすぎる。

 

 文面から何となく分かるのは、かなり不器用な事を出来る限り器用にやった結果、逆に頓挫して滅んだ、という事だけ。

 

 あの計画の詳細。どことなく、頭の四隅でずっと気になっていた。

 

 きっと機械共もそう思って、計画についての資料を集めて回っていたのだろう。

 

 この情報量、もしかしたら奴らの方が、計画についてよく把握しているのでは無いかと思ったが……。

 

 ……結局、あまりにも過去の記録すぎて、奴らも限定的な量しか集められなかったらしい。

 

 

 

 

 

『黒文病』『十三の書』『封印・言葉』『崩壊体』『魔物』

 

 

 

 

 

 

『6号計画』『十字軍』『赤い目』『塩の怪物』

 

 

 

 

 

 

 

 

『滅びの白』『再生の黒』

 

 

 

 

 

 

 

 

『竜』『巨人』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『魔王』 『ニーア

 

 

 

 

 ……ある限りの資料を読み回してみたが、むしろ情報量だけがやたらに増えて、余計に訳が分からなくなってしまった。なんなんだ、これは? どうすればいい。

 

 パタンと、諦めて本を閉じる。

 

「これじゃ埒が明かないな……」

 

 周囲で山となっていた本を見ると、思わずそう苦笑してしまう。

 

『ゲシュタルト』 『レプリカント』。

 

 どうやら、この2つが肝心なワードらしいが、もうこれ以上は頭がパンクしそうだった。

 

 もっと別の情報を集めなければと、本棚を変える。

 

 

 次に手に入れたのは、ようやく『塔』についての情報だった。

 

 どうやら、あの『塔』は砲台らしい。宇宙空間に向けて、回収ユニットから集めた資材と情報からなる何かの射出を目的としている。

 

 射出体、宇宙空間……。まさか、月面の人類サーバーを狙っているのだろうか? 

 

 まさか。とも思うし、機械生命体ならやりかねない。とも思う。

 

 少なくともヨルハ様の計画は、担当側こそ殆ど全滅したものの、地上側の戦意高揚という設立当初の目的自体は果たしていた。

 

 その甲斐あって地上側の大半は、まだ月面に唯一の希望が居ると信じている。

 

 ……そこへ、他ならぬ月面を破壊する絵面を見せつけてやる。成る程、アンドロイド達の最後の意地をへし折ってやるのに、コレ以上の手は無い。

 

 『塔』の存在と、その目的。ようやく、最低限求めていた情報が手に入った。

 

 よく分かった。奴らの好き勝手にはさせない。この『塔』は、必ずぶっ壊させてもらおう。

 

 パタンと威勢よく本を閉じると、キッとして先の扉を見つめた。

 

 ……。

 

 

 ……でも、まだ時間もあるから、もう少しだけ調べ物を続けようか。

 

 折角本をキリよく閉じたのに、結局また別の本を手にとってしまった。もう駄目かも知れない。

 

 

 『塔』の情報。それ以外にも、図書館には様々な情報があった。

 

 パスカルや森の王、アダム・イヴといった人型機械生命体。近年多発したイレギュラー個体についての分析に、急速に見受けられ始めた進化・多様化についての見解。

 

 ……そして、ヨルハ部隊についても。

 

 ヨルハ機体の運用履歴。作戦のパターン分析。所属機体の特徴や弱点。衛星基地バンカー所在地の、定期的な追跡。……作戦会議や、計画立案の履歴。

 

 ……あの真珠湾降下作戦も、当然のように、あるべくしてあった。

 

 そして一つ、目を引いたモノとして、『実験M部隊』とやらの数期間だけの運用履歴。

 

 ……これだけの情報量、道理で一向に戦線が進まなかった訳だ。

 

 思い返して見るに、奴らは私が製造された頃には既にバンカーに進入していた。かなり早い頃から、情報漏洩どころか掌握されきっている。まぁ、これについては然程驚かないが。

 

 ……だが、意外だったのは、殆ど同時期には月面サーバーへの進入にも成功していた事だった。

 

 要は、奴らもまた、人類が居ない事を全て知っていた。その上で、この戦争に付き合っていたと。

 

 破壊と再生。その過程に生まれる進化。兵器としての、存在意義の持続。

 

 ただそれだけの為に、やろうと思えばいつだって全て滅ぼせた癖に、終わりのない戦争の中へ死にぞこない共を生かし続けていた。

 

 この戦争も、この世界そのものも、最初から全てが無意味で無価値。

 

 だが、そんな知りたくも無かった情報だが、また一つ、また一つとこの手は情報を集めていく。

 

 

 私一人だけでもいい。この顕にした瞳には、真実を見たいから。

 

 

 せめて少しでも多く、と。途中からは、軽く読んで重要そうな情報だけを頭に収める、という方式に切り替えた。

 

 積み重なって山になっていく本を尻目に、黙々と読書にふける。また一つ、また一つと別の本へ手を伸ばしていく。

 

 そうして、また何気なく流れ作業で手にとった一冊。

 

 

 その表紙を見ると、読み進めていた動作が突然ピタリと止まる。

 

 

「ヨルハ計画における、二号モデルの運用概略……」

 

 

 二号。

 

 ヨルハ計画における、私が知る限りの二号モデル。

 

 A2と、2B。……そして、あの二号。

 

 今までと違って、この一冊だけは開けるのを躊躇ってしまった。

 

 それはA2、即ち自分の知りたくもない真実がある可能性もそうだが、……それ以上に、2Bの真実が載せられている気がしたからだった。

 

 2Bの真実。……正体。

 

 『塔』に来る前にしていた考察の答えが、ここにある。

 

 まだ一文字も見ていないのに、そんな確信を前提にして躊躇ってしまう。

 

 考察が当たっていてほしいのか、それとも当たっていてほしくないのか。

 

 ……けれど、意を決して、ページを開いた。

 

 

 その瞬間、この情報がトリガーとなったと言わんばかりに流れてきた、9Sの記憶。

 

「……あぁ、クソッ。お前全部……」

 

 

 記憶にも信憑性を補強されてしまい、悔しそうに文面を見つめ続ける。

 

「……2B。やはり、君は___」

 

 

 ____次の瞬間、突然の轟音と共に天井が突き破られた。

 

 

「なんだっ!?」

 

 

「はははははは!!」』

 

 

 漆黒の機械生命体が、突然襲いかかってきた。

 

 

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