or not to [BE]   作:ヤマグティ

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楽しいNieRの二次創作が書きたい


解釈違いを起こさない為に一度原作とかをやり込み読み込む。


鬱になって寝込む。


起床。NieRをキメた頭で原作遵守の鬱二次創作が出来る。


なんで二次創作までしてこんなものを……? 楽しいNieRの二次創作が書きたくなる



振り出しへ還元されるので再投稿です。




染みついた思い出と、涙

 

 

 

 

 意識が明瞭になって、意思が芽生えていく感覚がする。

 

 これは……、再起動の感覚だ。

 

「……ハッ……」

 

 良く見知った天井が、パチリと開かれた視界に映る。

 

 ここはバンカーの……、私の部屋だ。

 

 

 どうして……、……ここに? 

 

 脳裏に真っ先に浮かぶのは、最終奪還作戦の事。

 

 その為に、今日はもうバンカーから出動した筈だった。

 

 覚えているのは、自室で装備の調整をして、それから地球に向かい9Sと合流して、それから……

 

 ____思い出すよりも早く、私の疑問に答えるように、遅延してあの感覚が手に纏わりついてきた。

 

 アンドロイドの体を貫き、切り裂いた時の感覚。

 

「……ッ!!」

 

 感覚と記憶が一気に体を駆け巡り、思い出した。

 

 大規模進行。その先行部隊の援護に向かったが、……そこで予想外の事態に陥った。

 

 EMP攻撃と、隊員達のウィルス汚染。

 

 この手の感触は、その戦況を突破するために襲いかかってきた彼女らを……仕方なく破壊した時のモノだ。

 

 あの鈍い感覚が、今は別の義体になったはずなのにまだ残っている。

 

 ……いや、今はそれよりも気にしなければいけない事がある。

 

 急いで起き上がる。司令室に向かうために。

 

 隊員達の集団感染。それを報告しようとしたが、バンカーと連絡がつかなかった。

 

 通信妨害などでなく、通信自体のロスト。バンカーに何か異常が出ている。

 

 戦線を脱出する為に、私と9Sは、私達とポッドの自我データをバンカーにアップロードし、ブラックボックス反応で周囲を破壊することでここに戻ってきた。

 

 その筈だ。ここにいるのなら、きっと上手く行ったんだ。

 

 必要最低限の事を思い出し、扉を抜ける。

 

「2B!」

 

「急いで指令部に報告を!」

 

 9Sは既に待っていたようだった。分かっている、と。共に廊下を駆け出して、司令室に向かう。

 

 

 ……だが。

 

「これは……」

 

 司令室にあったのは、いつもと何も変わりない光景。不自然な程に、自然な様。

 

 モニターには地上で機械生命体と戦うヨルハ部隊の戦況が映し出され、オペレーター達は黙々と、その地上の戦線と連絡を取っている。集中しているのか、入ってきた私達にさえ気づいていない。

 

 モニターに映された映像。……だが、実際に私達が地上で見せつけられた光景は、コレではない。

 

 となると、……あの映像は、偽装情報だ。異常があることにさえ、気づかれないようにされている。

 

「司令官!」

 

 想像以上に悪い事態になっている。急いで司令官の元に向かう。

 

「2B……9Sも!? ここで何をしているんだ?」

 

 本当に何も違和感など感じていないようで、司令官は私達を見ると、当然の事として目を丸くする。

 

「地上のヨルハ部隊がウィルスによって乗っ取られたんです! 僕達は暴走したヨルハ隊員をブラックボックス反応で……」

 

「ウイルス……? 何を言っているんだ。地上からはそんな報告上がってないぞ?」

 

「あれは偽装です! 現在バンカーの通信は封鎖されていて……」

 

「……そもそも、命令もなく戦場から何故戻った?」

 

 駄目だ。当然だけど、疑われている。

 

「だから! ヨルハ部隊が暴走して……!」

 

 けれど、そう分かっていても、その融通のもどかしさに、声が少し荒くなってしまう。

 

「……。いや……汚染されているのはお前達じゃないのか?」

 

 しまった。かえって疑いが深くなった。あぁ、こういう事に自分は得手じゃないと分かっているのに。

 

「違うんですっ!」

 

 9Sは必死に弁明を試みるが、もう、司令官はステッチを構えてしまった。

 

 

「2B、9S。貴様たちをウイルス汚染の疑いで拘束する」

 

 

 そう、告げられてしまう。

 

 

「待ってくださいっ!!」

 

 足踏みを揃えて向かってくる、護衛達。どう説明すればいいと、そう考えている内に、……目まぐるしく事態が急変した。

 

『うっ、あぁぁ!?』

 

 突然として、護衛達が悶え始めた。

 

『くっ!?』

 

『あああっ!』

 

 蹲り、頭を抱え、何かに抵抗するような挙動と叫び声を上げる。

 

 これは_________。

 

 

『ふふふ……せいか~い♪』

 

 

 突然、6Oが上機嫌そうに、返事をした。

 

 

 その口元の布越しに、ケタケタと笑う声。

 

 そして、それに呼応するように、周囲のオペレーター達も、ギネリと視線をこちらに向ける。

 

 やがて、うずくまっていた護衛たちも、起き上がった。

 

 

 ……その瞳を、真紅に輝かせて。

 

 

「汚染!?」

 

 司令室全体に輝き渡る、点々とした赤色と。赤色と。……赤色。

 

 

 四方八方に現れたのは、他ならぬ、敵だった。

 

 

『アアアッ!!』

 

 護衛は……いや、元護衛だった汚染機体は真っ先に司令官を狙って、私達に向けていた筈の刃を司令官の方へ振りかざす。

 

「なんだっ!?」

 

「ッ!! 司令官!!」

 

 汚染機体を通り越し、司令官を突き飛ばして、振り返って刃を受け止める。

 

 甲高い金属音が、指令室に鳴り響く。鍔迫り合いに、ヘルメット越しの真っ赤な閃光が自分を覗き込んだ。それはレンズの縁までも満たしている、汚染の色。

 

 何故、バンカー内部にまで汚染が? 

 

 そんな疑問が、頭の中に繰り返し浮かんでくる。

 

 既に以前から、乗っ取られた汚染機体に侵入されていた? それとも新型の兵器? 

 

 どうしてこんな事態になってしまったのかは分からない。……けれど、少なくともやるべき事は分かっている。

 

「司令官ッ! 退避します!」

 

 汚染されておらず、最優先に助けるべき人物は誰か。

 

 もう彼女らは乗っ取られてしまった。汚染を治すには遅すぎて、数も多すぎる。

 

 武装した護衛に、素手のオペレーター達。

 

 ジリジリと、前方を阻んで迫ってくる。

 

「バンカー内部までウイルスが入っているのか!?」

 

 司令官の驚嘆の声に、6Oはクスクスとして返事をする。

 

『それも、せいか~い♪』

 

「オペレーターさん!?」

 

「違う……9S……あれは……」

 

 

 

 

『私達は、機械生命体』

 

 

 

 

『ネットワークとウイルスを通じ ハ ナ シかけ ている」

 

「そんな、そんな事が!?」

 

 』随分と 楽しませて もらったけど〜ッ もう、この基地は終わりリだダね♪』

 

『うふふっ……あっははははあはははは!!』

 

 ﹃アハはあはあはは! ハハハアハハ! ハハああは!! ﹄

 

「……ッ!!」

 

 出し抜いてやった。してやったりだ。そう言わんばかりの6Oの……、いや、機械生命体の見下した嘲笑が、司令室中に木霊する。

 

 

「くそっ……扉が……!」

 

 何かを察して、真っ先に扉に向かっていた9S。当然というべきか、ロックされているようだった。こちらへ振り向き、視線で伝えてくる。

 

 コレの解錠には、時間がかかる。あの切実そうな視線、そういう事だろう。

 

 それからすぐに、9Sは踵を返して扉に向かい合う。自分のやるべき事をやる、……と。

 

 ……そうだ、やるべき事を、彼は分かっている。

 

 視線を目の前に戻す。そこにいるのは、迫りくる無数の汚染機体達。

 

 その攻撃をいなして、蹴り戻して、少しでも距離を取っていた。だが……、もう、これ以上は後退できない。行き止まりだ。

 

 ……けれど、後ろにいる司令官を、私は何としてでも守りきらなければならない。

 

 そして9Sにも、彼女らを向かわせないようにしなければならない。

 

 ……だと、すれば。

 

 

 ……分かってる。もう分かっている筈だ。

 

 この数を殺さず食い止めるなんて、そんな器用な事はできない。実際、それができなかったから、地上からは撤退してきた。

 

 

 向かってくる、護衛とオペレーター。

 

 

 

 彼女らは……、……ここで殺す。

 

 

 ……それが、私のやるべき事だ。

 

 生き残るべき者の裁量なんて、ずっとやってきた。

 

 何かを救いたいと願うには、何かを切り捨てなければならない痛みが伴う。知っている。分かっているから。

 

 刃の柄を両手で強く握りしめて、自分に言い聞かせる。

 

 

 これは敵だ。これは、敵だ。

 

 

 これは、もう敵だから。

 

 

『アアアアア!!』

 

 

 私を叩き切ろうとする、雑な一振り。

 

 弾き返し、よろけさせ。

 

 

 その胸を、貫く。

 

 

『ゴッ……、ボッ……』

 

 

『ッああああ!!』

 

 後ろに倒れたその個体と入れ替わるように、今度はオペレーターの蹴りが飛んでくる。

 

 だから、……その足を、切り飛ばす。

 

 転ばせて、止めを刺す。

 

『ヴあぁァ……ッ!!』

 

 

 汚染機体特有のか、それとも、機械生命体がアンドロイドの操作に慣れていないのか。……酷く、殺しやすかった。

 

 特に、武装していた少数の護衛を殺しきってしまうと、……残りの大多数を占めていたオペレーター型の処理は、ただ一方的な物になった。

 

 非戦闘モデルの機体、その上、無理矢理に動かされているだけに過ぎない。その一撃は鈍く、照準も曖昧。武器も持たず、素手で殴りや蹴り入れるしかできないソレを、……切り飛ばし続ける。

 

 それでも彼女らは構わず、攻撃を続けてくる。

 

 右腕が無くなれば、左腕を。両腕が無くなれば、蹴り入れる為の足を。

 

 ……どんどんとオペレーター達の体が、アンバランスなモノになって転がっていく。

 

 けれども、それでもオペレーター達は多すぎて、切り捌き続ける為に、トドメを刺す余裕が無い。彼女たちは片足だけで蹲り、ただ悲痛に唸り続けている。

 

 耳を背ける。その声は彼女らを操る、機械共のモノだと、そう信じて。

 

 

 これは敵だ。

 

 

 これは敵だッ。

 

 

 これは、敵なんだッ______。

 

 

 

 『____イギャアッッ……!!』

 

 

 唸り、叫び声を上げ続けるオペレーター達。その中で一際大きくつんざいてきたのは、……その声色。

 

 今、切ったのは。

 

「……6、O……ッ」

 

 そう呼んだ頃には、もう彼女はドサリと地に伏せて、先の無くなった右腕を抑え込んでいる。

 

『……ッッ……ッ……』

 

 戦場に降りる事の無い彼女が、決して感じる事など無かった切り裂かれる痛み。赤い瞳で、私を見上げてきた。眉を力強くひそめて、その腕を抑え込んでいる。

 

 ……けれど、その表情に見えたのは、苦痛でも、恐怖でも、動揺でも、……怒りでも無かった。

 

 自制。

 

 勝手に立ち上がろうとする自分の体を、抑え込んでいる。

 

 

 早_く、逃げ___て。

 

 

 一瞬、布越しの口が、そう動いたように見えた。

 

「6___」

 

 

「_____開いたよ! 2B!!」

 

 唸り声だらけの室内に、一際大きな声が聞こえてくる。

 

 その声に、反射的に司令官の腕を掴むと、司令室を脱出するべく走り出す。

 

 まだ向かってくる彼女らを、転がる彼女らの視線を振り切って、司令室を抜ける。

 

 私達が扉を抜けると、9Sはその扉を再び固く閉ざして、遮断した。

 

『緊急放送。現在バンカー内部の……』

 

 今になってようやく、バンカー全体に緊急事態を知らせる連絡が鳴り始める。

 

 そのアラートが鳴り始めると同時に、廊下の奥から、私達に向かって数名のヨルハ隊員たちが走ってきた。

 

 この事態を伝えようと声をかけようとして、……すぐに、無駄と悟る。

 

 彼らは私達を見るや否や、武器を構えた。

 

 〘ジジ……人類に……栄光.ァァァ……れレ……」

 

「ヨル……ハ部隊……全……キ……発進……』

 

 所々がノイズとバグにまみれた音声。だが、それは紛れもない、彼女ら自身の言葉。

 

「まだ……意識が……」

 

 なんて、酷い事をするんだ。乗っ取る為に、基盤である自我を破壊したら制御できない。だから中途半端に残している。

 

 じゃあさっきの彼女らも、6Oも、ずっと______

 

「2B! 油断しないで!」

 

「ッ!!」

 

 目の前に迫ってきていた汚染機体。反射的に、その喉元を掻き切ってしまう。

 

 〘あ゛あ゛っ……!!』

 

 喉元から溢れ出てくる血に、ゴボリと溺れた叫び声。

 

 「……ッ!!」

 

 振り切って、走り抜けていく。もう殆ど、無意識的に向かってくる彼女らを切り続けていた。

 

 道を開くために。司令官を、9Sを、守るために。

 

 これは敵だ。敵なんだ。私が殺すべき敵。

 

 司令官はヨルハ機体じゃない。戦えない。9Sは戦闘向きじゃない。汚染されているとはいえ、同じヨルハ機体相手は危険だ。

 

 そうだ。同じヨルハ機体。私にしか、殺せない敵。

 

 生き残る為には、私にしか、できないから。

 

 私にしか、私に____

 

 

『ツービーさん、ワワ私……オペレーター6Oゥ。]

 

 

「……6O!?」

 

 突然、ポッドのマイクから、彼女の声が聞こえてきた。

 

 まるで、いつもの定期連絡のように。……けれど、モニターの方にはノイズが掛かって、向こうの事が何も見えない。

 

 あの扉の先で、まだ生きている。

 

「6O____」

 

『オハナをありがとうゴ、ゴゴ……ザイマス……﹃

 

「……え?」

 

 花……? 

 

 ……そうだ。以前、砂漠のバラの写真を、彼女にあげた事があった。

 

 彼女はオペレーターで、地上には行けないから。だから、地上にあるモノの写真を送ろうという話になって……。

 

 でも、何で今、その事を……。

 

 

 〙砂漠のバラハはステキデスネ……』

 

『ア アア リガトウ アリガ……」

 

 

 ……あぁ、そうか。

 

 自分の死期が近いって、分かっているから。

 

 

 

「いつか ……私……  」

 

 

 

 そこまで言って。……だけど、その先は言わないようにと。

 

 

 ……向こうから、通信を切ったようだった。

 

 

「……ッ!!」

 

 その先の言葉を、知っていた。

 

 もう叶わない夢。もう、……届かない夢。

 

 

「どうして、お前たち二人は汚染されていないんだ?」

 

 事切れたように途絶えた、6Oからの通信。司令官が声を振り絞り、そう問いかけてくる。

 

 次々と倒れていく、かつての部下達。無数の唸り声と、見上げてくる赤い瞳。

 

 乗っ取られた全ての中で、どうして私達だけが例外なのか。

 

「わかりません!」

 

 考えてみれば、そうだった。……どうして私達だけが? 

 

「いえ……恐らく、僕がデータ同期を保留していたからです。以前、バンカーのサーバーデータにノイズがあったから、それが気になって……」

 

 データ同期の、保留? 

 

 ……そうか、バンカーのサーバーに、既に機械生命体は侵入していた。

 

 同期した機体にウィルスを仕組んで、後はいつでも起動できるように、と。

 

 ……もう、とっくにバンカーも、ヨルハ部隊も。機械生命体に掌握されていたのか。

 

「……そうか」

 

 私と同じ結論を出したようで、司令官の顔は悔しそうに沈む。

 

 少し違えば、気づけていたのではないか? 

 

 そんな責任感に苛まれ、ここまで重い顔をした司令官を見たのは初めてだった。

 

『キャッはハハは!! 楽しいなぁ、楽しいなぁ』

 

『仕組んでおいたウィルスの種が、こんなにも花開いているよ!』

 

 その9Sの考察も正解だと言うように、バンカーの通信機能も乗っ取って、また6Oの声が聞こえてきた。

 

 ……だけど、ソレは機械生命体に掌握されきってしまった、もう6Oでは無いモノ。

 

「……ッッ!!」

 

 彼女の声で、奴らが嘲嗤っている。形容しがたい不快感が湧き上がってくる。

 

 6Oへの、侮辱だ。あの優しかった、……純粋で、明るかった彼女への。

 

 それに、彼女の声で嘲笑う者。その不快な存在に、……私は何処か既知感がある。

 

「……司令官! この基地はもう駄目です! 一旦退避しましょう!」

 

 それでも、怒りを押し殺して、バンカーの廊下を駆け続ける。振り返れない、振り返ってはいけない。

 

 もうバンカーに安全地帯は無い。サポートできるオペレーターもいない。戦闘員も敵になってしまった。

 

 ヨルハ部隊も、乗っ取られたバンカーも、全員が敵になってしまった。

 

「アクセスユニットは汚染されています。格納庫まで行って飛行ユニットを奪いましょう!」

 

 9Sが先導して、格納庫に向かっていく。

 

「司令官! 格納庫から飛行ユニットで脱出します!」

 

 足取りが重くなっていく司令官の手を、強引にでも引いていく。司令官が責任感の強い人なのを知っている。この事態に、何も手を打てない悔しさも分かる。

 

 けれど、今は。せめてこの場を生き残ることだけが____

 

「司令官! 早く!」

 

 もう飛行ユニットが目の前の所。司令官が突然、手を引き離す。

 

 

「……私は……行けない……」

 

 

 それは一体、どうして。

 

 そう聞こうとして、……けれど、すぐに全部分かってしまった。

 

 サーバー同期時に、ウィルスを仕組まれた。

 

 ……どうしてその言葉に、悔しそうにしていたのかを。

 

 司令官が、うつむいていた顔を上げる。

 

 此方を見つめるその双眼は、……赤く染まり上がっていた。

 

 

「あぁ……司令官……」

 

 

「私も……サーバーとデータ同期をしていたからな……」

 

 

「でも……それなら9Sが……!」

 

 ハッキングで治せるかも知れない。と、言葉を続けようとして、遮られる。

 

「そんな時間はないッ!!」

 

「お前たち二人は……最後のヨルハ部隊なんだ! 生き残る義務がある!」

 

 

 

「司令官……」

 

 一歩、足が司令官に向かおうとする。

 

 縋るような感情が、体を動かそうとしている。

 

「それに私は、この基地の司令官だ」

 

「せめて最期まで上官らしく、いさせてくれ……」

 

 嫌だ。と、司令官に向かおうとした私を、9Sが腕を掴んで引き止めてきた。

 

「ッ!! 2B!! もう基地が……!!」

 

 何かに気づいたのか、焦った顔で私を見上げている。

 

 スキャナーモデルの彼には、分かっているんだろう。

 

 司令官の汚染を取り除くには、もう進行は末期で。

 

 バンカーに留まるには、もう何かが始まっていて。

 

 助けられない事を認めたくなくても、持ち前の頭脳で理解してしまった。

 

 その小柄な体格から力強く、せめて私だけでもと、飛行ユニットの方へ引っ張っている。

 

「司令ッ!!」

 

 それでも、司令官に向かって叫ぶ。

 

 

 貴方がいたから、私は兵士でいられた。

 

 貴方が共にいてくれたから、私は戦えた。

 

 貴方が認めてくれたから、私にも、ヨルハ部隊に居場所があった。

 

 

「行けぇッ!! 2Bィ!!」

 

 最期の叫びと共に、司令官は私を突き飛ばして、その扉が閉ざされてしまう。

 

「……司令、官……」

 

 もう司令官とも、バンカーとも、ヨルハ部隊とも、……隔てられてしまった。

 

「2B、急がなきゃ!!」

 

 呆然と立ち尽くす私に、9Sが叫んでくる。

 

「……わかった」

 

 返事をした声は、低いものだった。

 

 9Sと共に、飛行ユニットの方に振り返って、走り出す。

 

 そうしてバンカーから脱出し、飛行ユニットの出力を最大にする、その直後。

 

 後方が、真昼のように明るくなった。

 

 振り返らなくても分かった。バンカーが爆発した。さっき9Sは、これを感知していたんだろう。

 

 真空の宇宙空間。音もなく、私達が過ごした場所は、……虚空に消えてなくなった。

 

「うぁぁ……ッ!」

 

「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!」

 

 例え真空の中に消えると分かっていても、悔しくて、悲しくて、泣き叫ばずにはいられなかった。

 

 振り切るように、猛スピードで大気圏に突入する。

 

「う……ぐぅ……!」

 

 成層圏に突入した摩擦熱で、全体が熱帯びる。

 

 ヨルハ機体も、飛行ユニットも、シールドを張ればこれぐらいは耐えられる。

 

 耐えられる、……けれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゴーグルに染み付いていた涙は、一瞬で蒸発してしまった。

 

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