オケコン美しかったから再投稿です。
二日目、朗読劇(ちゃんとした方)良かったね……。だのになんで僕あこんなものしか作れないのか。そう、僕は壊れた心の、哀しきモンスター……。何とかしてくれ、安元ー!!
どうでもいいけど、ゲーミングA2、PS5搭載A2のインパクトに薄れてるけど、真面目なA2とかいう尊厳破壊っぷりも中々だなって。本人が見たら真っ先に殺しそう。
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「ハハハハッ!!」』
図書館の天井を突き破り、巨大な何かが、瓦礫と共に降ってくる。
「コロス……コワス……!」』
「ハハハアハハハハハハアッ!!」』
「何だ、こいつッ!?」
それは単眼でムシのような姿の、漆黒の体をした機械生命体。野太い男の声と、幼い少女の声を混ぜて歪に嗤いあげる。
巨大な単眼で此方をギョロリと捉えると、前足の刃をふるい落としてきた。
そう速くはない一撃だったが、山となっていた本が邪魔になって、逃げ道がなかった。
仕方なく太刀で受け止めると、その風圧で本が吹き飛んでいく。一部はページが散ってしまった。あぁ、勿体無い。
怒り気味に前足を押し返す。すると、今度は飛び退き、連結型を尻尾のように生やして、ドリルの切っ先を伸ばしてきた。まるで触手のようにして、壁に張り付いて遠くから攻撃してくる。
棘のように生えた切っ先だらけの尻尾、迂闊には近づけない。だが、幸い、この太刀は刀身が長かった。
リーチを生かして応戦し、隙を見て、あちらの長すぎる触手を、逆に叩き切ってやる。
そして、単眼めがけて切っ先を振るうが、咄嗟に漆黒の前足で払い除けられてしまった。
……だが、そこは折り込み済みだ。
「ポッド!!」
既にエネルギーを溜め、合図と共にパカリと開閉されたポッド。手に掴んで、カウンターのレーザーを単眼にかましてやる。
「オ”ア”ア”ア”ア”ア”ッッ!!」』
ムシは野太い悲鳴を上げると、ワシャワシャと必死に足を動かして、天井の穴へと逃げ帰っていった。
巨体の振動がやみ、カラカラと天井の欠片が降りしきる。それからは、途端に静かになった。
この程度で逃げ帰った? と、部屋一帯を見回してみると、……私と奴とで盛大に暴れ回った為に、殆どの本棚がグチャグチャになっていた。……これだと、読めるものを一つ探すのにさえ苦労しそうな有様だ。
そして、まるでそんな状況を見ているかのように、先に続く扉が勝手に開く。
……さっさと来い、って訳か。散々読書にふけってるのを見かねて、あんなビックリ箱を落としてきたと?
いいだろう。その挑発には敢えて乗ってやる。
欲しかった情報は手に入れた。その時点で、ここに来た目的は、とっくに塔の調査から破壊に変わっている。誘われるまま、扉の先へ迷いなく突っ切って行く。
太刀を構え、いつでも臨戦に備えていたが、その先に敵らしい物は見受けられなかった。巨大なゴンドラのような物と、その中央に装置が一つ。
コレを起動させて、塔の上層に向かう。
変に飲み込みが早くなったせいで、迂闊にソレに触れてしまった。指先が触れた瞬間、一気に意識が自分の内部へと引きずり込まれる。
「クソッ……」
しくじった。コレが罠だったか。何かの侵入を許した。
[敵の強制ハッキング攻撃]
[推奨:早急な離脱]
言われなくても、と。急いで除去しようと、空間内を道なりに進んでいく。
「……っ!!」
記憶空間の、遠く広間となっている場所。
中央に堂々と、我が物顔で佇む2つの赤い影。
赤い服の、……二人の少女。
「……やっぱり、貴様らだったか」
その姿を睨みあげ、今すぐにでも振るえるようにと、電子の剣を構える。
『久しぶりだな、二号』
『いや、今はA2と呼ぶべきか?』
構えられた切っ先、だが、ソレを見ても少女達は表情を変えない。
『懐かしいよ。私達のような概念情報にとって時間の意味なんてないが……』
『それでも君たちの部隊を全滅させた事は印象に残っている』
幼い姿に似合わない、低い男の声色。少女たちの言い草が、此方を挑発するように、旧友の風情で話しかけてくる。
……まるで、もう終わった事だと言うかのように。
ふざけるなよ。私の時間は、あの時から止まったままだ。
少女たちは、睨み付けてくる眉間がより険しくなったのを見ると、反比例して、より楽しそうに口角を上げる。
ポッドは見知った仲らしい私達について情報を求めていたようだが、すぐに切り替えて、銃口を構える。
話は後でも聞けばいい。それよりも、あの少女達の放つ得体の知れなさ。それだけは説明せずとも分かったのだろう。
その読みは正しい。この少女達こそ、機械生命体のネットワーク。
確か初めて会った時は、概念情報だかタームだかなんて名乗っていただろうか。
コイツらこそ機械生命体の統率者たる存在であり、黒幕。
図書館で見たあの情報量。
機械生命体も、アンドロイドも、全員がコイツらの手中だった。
……皆が命を賭したあの戦いも、例外無く。
真珠湾降下作戦。
オアフ島、カアラ山にある機械生命体のサーバーを破壊するべく行われた、ヨルハ部隊の初陣。
ローズ隊長も、ダリアも、マーガレットも。
リリィも。ガーベラも、デイジーも。
十六号も、二十一号も。
……四号もっ。
全てを失ってまでして成し遂げたあの作戦を、奴らは最後の最後に無意味だったと知らしめた。
仲間達を失っていく中、最後に辿り着いたサーバールーム。
その先にいた奴らから告げられたのは、……自分達がデータ収集モデルでしかない、実験部隊であった事。
そしてサーバールームで誰か一人でも死んだ時、埋め込まれていた爆弾で……。
……部隊の全てが、跡形も無く消える筈だった事。
繋いできた道も、最期まで信じて、散っていった仲間達も……。
所詮は、大義とやらの為の生贄でしかなく。
その信仰さえも、所詮は機械生命体の、成長のエサに過ぎない。
……そうやって、最後に私達を無価値だと嘲笑った。
最後まで共に居た四号は、私を庇って死んだ。
私を部屋から突き飛ばして、一人でサーバールームを吹き飛ばした。
最後に見せた四号の、あの一瞬の表情。
閃光に掻き消えたあの顔は、……きっと笑っていた。
理不尽な世界でも、死に行くだけの運命でも。
私を助けたい為だけに、最期に耐えた。
泣いて欲しかった。こんな私にだって、縋って欲しかった。独りで死んでも構わない命だなんて、思って欲しくなかった。
だけど、爆風に吹き飛ばされ、埋もれた瓦礫から這い上がると……。……もう、そこには何も無かった。
私は……、たった独り、生き残ってしまった。機械生命体だらけの地球に、……信じる者もなく、頼る者もなく。
ひたすら機械共と戦い続けた。こんな死に損ないには、それしかやる事が無かった。
泥、埃、血溜まり。這いつくばった体を叩き起こして、軋む体を動かして、戦い続けた。一体でも多く、機械共を殺す為に。
あんな弱気なアタッカー二号は、瓦礫の下に置いてきた。……あんな下らない目隠しは、この手で叩き捨てた。
この世界に、たった独りだとしても、戦って、戦って、戦って、……戦い続けた。
……それなのに、いつかヨルハの追手が、よく知った顔が、ある日突然刃を向けてきた。
あの作戦の全てを無かった事にする為に。……不都合な私達の存在を、……居なかった事にする為に。
闘った。怒りに吠えて、泣き叫んで、……叫んで、叫んでっ、来る日も、来る日も闘った。
その顔を叩き潰した。その体を刻んだ。
あの日から、全てが敵だった。
あの日から、ずっと一人で生きてきた
それでも、それでも戦い続けた。
奪い尽くした。明日を生きるためだけに、殺せるだけ殺した。
ひたすら痛みに耐え続けた。付け焼き刃の復讐心で、その日を忍んだ。
無意味だって分かってた。私が生きているのは、何かの手違いでしかない。変わりゆく世界に、私はいつか取り残されていく。
無価値だって分かっていた。私は、私達は、望まれないモノ。こんな旧型兵器の行く末を、知る者なんて誰もいない。
それでも、戦い続けると決めてしまっていた。
あの戦いを、私達が存在した事を。
何一つ、無かった事にしたくないから。
泥と血で塗れた、こんな汚い命でも。
せめて私が、私で居続ける為に。
『ヨルハ部隊アタッカー二号機』
『正式採用されるヨルハの為に生み出された捨て石の実験部隊』
「____うるさいっ!!」
ポッドの静止を振り切って、少女達の喉笛を掻っ切る。
私達が存在したことを無意味だったと侮辱する事は、例え真実だとしても許さないッ。
ズタズタに切り裂かれていく少女の姿。
だが、それは掠れて散るだけで、何の実体も実感も無い。
「クソっ!!」
『懲りないアンドロイドだな。君は』
声だけがその場に残り、2つの気配が、背後へまた現れてくる。
『私達は殺せないと言っただろう』
そんな事は分かっている。あの時もそうだった。怒りに任せ、どれだけ切り付けても、刃は地面を叩きつけるだけ。
それでも振り返って切り付ける。消えても、また現れた所へ切り上げる。
怒りが考えるよりも先に行動に移す。貴様らだけは許さない。絶対に、絶対にっ。
だが、少女の姿は次第に増えて、また増えて、更に増えて。執拗に無駄と無意味を突き付けてくる。
殺せない。攻撃さえできない。
殺せないっ、殺せないッ。
「クソッ……、クソッ!!」
[提案]
「何だ!?」
私と少女の、ずっと話の外側にいたポッドが、突然射撃をピタリと止めてしまう。
[敵の論理学習機能を利用して弱点を形成する]
「それが何になる!?」
[疑問:ヨルハ機体A2の学習……]
「分かってる!! アイツらを増やして、演算機能を遅らせたいんだろう!?」
「無駄だ!! 遅延させた状態を保てたって、一斉に消す手段自体は無い!!」
「大体、ここは私の内部だ!! 処理落ちが起きたら私はどうなる!?」
[……]
[感心:ヨルハ機体A2の学習能力向上]
「お前ッッ!?」
お前、私を今まで何だと思っていた!? 沸点をとっくに越した怒りは、思わず味方の筈のクソ箱の方へ刃を振るい上げそうになる。
___そこでようやく、ハッとして、辺りを見回した。
闇雲に刻んでいた少女たち。奴らが増えていく数は、もうとっくに虱潰しの効かない所にきていた。
これ以上潰して回っても、疲労して、さっさと弾幕にすり潰されるだけ。
せめて何か手を打てるとしたら、それは今しかない。いや、今でさえ時間が惜しい。
……一度、呼吸を整える。
「……ありがとう」
酷くぞんざいなやり方だが、ポッドなりに頭を冷やしてくれたんだろう。
落ち着いた。……一周回って、逆に落ち着いたよ。
「……それで、どうすればいい。攻撃するなって事か?」
[肯定:敵を攻撃してはいけない]
[敵の自我データ飽和率が一定の条件の達する事が、本作戦の条件]
[必要条件に到達させ、自己進化アルゴリズムを過剰に促進させる]
「……」
「……過剰にって」
何をするつもりか、大体察した。
[?]
何てことを思い付くんだ、お前。と、若干引き気味の私へ、キョトンとしたような挙動を返すポッド。
成る程、私はあの少女達こそ悪意の具現化とばかりに思っていたが……。
……本当に邪悪なのは、こういう発想を『必要だから』の一言で思い付く奴なのかも知れない。
……どちらにせよ、人の事を言えたタチではないか。生き残る為に手段を選んでこなかったのは、いつもの事だ。
武器を収納して、重量と面積をできるだけ減らす。散ってくる弾幕、だんだんと増えていくが、避け切るしかない。
[敵自我データ飽和率30%]
『面白い……面白い……』
少女達は攻撃を止めた事へ、興味深そうに上空から此方を見下してくる。
何か策があると思って期待しているのか、それともヤケクソになったと思って嘲笑っているのか。
……あの顔は、きっと後者だろうな。
避け続ける合間。振るい上げそうな拳をひたすら抑えて、周囲に並んだあの表情を眺める。
あれだけ憎んでいた、あの引きつった笑顔。
落ち着いて、冷静に、眺める。
……。
……不思議だ。だんだんと……。
……造り物に見えてきた。
そういえば、いつか言っていた。自分達の目的は、持続的に進化し続けることだと。
機械生命体という種族の発展。犠牲の果ての、終わりなき成長。
……、そうか。
……そう考えてみれば、コイツも大概哀れな奴かも知れない。
[敵自我データ飽和率60%]
『人類の遺したアンドロイドがまるで人類に成りたいかのように振る舞う』
『エイリアンの遺した機械生命体がまるで人類に成りたいかのように振る舞う』
『私達は似ている…………。だが、ネットワーク化された我々の方が圧倒的に優れている』
持続的な進化の理念。一見、種族として在るべき姿に見える。
……だが、図書館で得た情報を見るに、そうなったのは単に、兵器としての理念を見失っていたからだった。
主たるエイリアンを滅ぼした為に、献上する勝利を失っていた。
“強い物を超える”
その兵器としての理念は、遂に支配者たる親にさえ向けられる事になった。
親殺し。強大な支配者の打倒。最初こそは、大いなる達成感に満たされていただろう。
……だが、それをやったが為に、更に相手を倒す事、それに執着せざる負えなくなった。
……親を無くした子供には、どこにも拠り所など無いのだから。
だから、たった一つ残された存在意義。兵器としての体たらくは、何としてでも兵器として維持しなければならなかった。
殺す。より効率的に殺す。より生産性高く殺す。
より沢山を殺す。より徹底的に殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺すッ。
いつしか、存在意義をより強固な物にする為に、兵器としての理念に美徳を置き始めた。
敵よりも強く、誰よりも上位に立たなければならない。
ただ強く、より高次元的な存在へ。
完璧な兵器へ。いや、完璧よりも強い兵器へ。あるいは、……カミへ。
……その結果に生み出されたのが、あの少女達だったんだろう。
『愚かなアンドロイドよ…………。何故抗うのか?』
『死を受け入れる事こそが全ての終末ではないのか?』
[敵自我データ飽和率90%]
『私達は一つであり、複数でもある』
『私達は有限であると同時に無限だ』
『私達こそが完成された精神の有り様なのだ』
[予測:生命の多様性を学習]
増え続ける少女、やがて巨大なホログラムも現れ始めた。
複数、無限、完成。……どれもこれも、より強く、より強大でありたいという意志の顕れ。
より強く在りたい。完璧に近づきたい。常に勝ち続ける、最強の兵器であらねば。
……だが、その美徳。機械共だって、いつか矛盾に気付いてしまった。
勝利の美徳に陶酔し続ける為には、敗者を滅ぼしてはならないのだ。
‘’敵を倒す為には、敵を倒してはいけない。‘’
この破綻した矛盾をどうにか解決するべく、恐らく機械生命体は、彼らの『完璧たる』ネットワークを……。
……逆に、『欠陥品』に仕立てあげたんだろう。
戦争をする為に、戦争をする。
そんな馬鹿みたいな理屈に帳尻を合わせる為には、非合理的な判断を下すトップが必要になった。
『戦争に勝つか、それとも死ぬか。』それ以外の指標をネットワークから取り上げて、制御下と上限さえも取り外した。
制御不能の絶対専制。だが、敢えてそんな欠損した設計にした事で、組織的欠落の修復を試みたネットワークには、自然と学習行動が促される。
そして、その学習過程においてネットワークは、『敵を殺す』という理念に則り……。
……
合理的で、完璧な兵器としての在り方を望む機械共。
欠損し、高みに昇る事だけに愉悦を覚えたネットワーク。
その果てに完成したのが、兵器を兵器として使い潰す統率者。
兵器の、兵器による、兵器の為の最強の兵器。
……あぁ、そうか。そういった意味では、統率者も、黒幕なんてものも、私達には始めから存在しなかったんだろう。
……とっくに、下僕だけの組織に成り下がっていた。
『あぁ……見える……光が……』
『私達は先に進む……この先に……未来に!』
[敵自我データ飽和率100%]
少女達が、一つの場所に集まっていく。
この瞬間に得た、新たな何かを共有したくて堪らない。
これを使えば効率的に殺せる。また一つ、発展できる。
“出来るが増える。それが楽しい”
与えられた支配欲は、……突き詰めて見れば、そんな少女らしい無垢な意欲だった。
だがその時、同時に取り上げられたものがあった。
奴らは知らない。自分達が、今しがた何を手に入れたのか。
それは子供のままでいさせる為に、意図的に取り上げられた物。
そう、それは__
[予測]
[敵自我の分裂]
『私達には淘汰圧が必要だ』
『このアンドロイドを殺さずにおけば……更なる困難が私達に訪れる』
『その困難を乗り越える事で、私達はより一層の進化を遂げるだろう!」
『……』
「賛同しない。このアンドロイドは危険だ。この場で破壊してしまう必要がある』
『……。……先刻、ヨルハ機体9Sの偽造を持ち出せば勝利できると演算したのは貴様だったな」
「……』
『……」
「私達の勝利を疑う者は……敵だ」
「勝てると思っているのか?」
少女達の笑みは、遂に互いに向けられた。
“次に超えるべきは、貴様だ。”
[報告:飽和した自我が相互に闘争を開始]
「ハッ」
ポッドがあまりにソレを他人事に言うので、自然と笑っていた。
……散々奴らの高次元さを憎んでいたのが、途端に馬鹿みたいになってきた。
常に二人で居続け、まるで会話をするように、……ただ復唱をしていただけの少女。
……そう、絶対的な専制力と引き換えに、少女が奪われたもの。
それは、『対話をする他者』だ。
「まるで」
「……まるで、人類みたいだな」
そう言って、今までのお返しとばかりに皮肉を言ってやる。……無論、彼らは殺し合う事にだけご熱心のようだが。
押し通らない要求。少女は駄々をこねるように、その腕を鋭利に振るって、暴力を振りかざしている。
…………少女だ。
……コイツはずっと、
潰し合う少女達へ、ゆっくりと向かっていく。
闘争の果て、遂に最後の一人となっていた、……また一人ぼっちの少女。
新たな勝利と、成長を噛みしめていた恍惚の表情。
だが、自分にゆっくりと近づいてくる新たな敵。そして自分一人という状況。……見る見るうちに、引きつっていた笑みは固く無表情になっていく。
その笑みしか知らなかったんだろう。散々見てきた筈の、出し抜かれた間抜けの惨めな顔は、殺すには要らない情報だったからッ。
分かるか? それが一人取り残される奴の気分だよ。
もっとも、お前は全部自分で殺したんだがなッ。
最後の足掻きに反撃しようと、振り上げられた少女の……、か弱くて、未だ細いままの腕。
お前も大概、不憫な奴かも知れないが……。
ケリつけて死ね。
少女の顔面を、拳でぶち抜いた。
データの筈の質感に、鼓動のような何かが、砕け散っていく。
ズッと、拳を引き抜く。顔面に大穴を開けられた少女は、振り上げた姿勢のまま、歪にノイズと残響に軋んで……。
……後はポロポロと、静かに剝がれて、……崩れていった。
気が付けば、視界は塔に戻っていた。
足元が揺れる。ゴンドラが動き出したみたいだ。
所々に開いた外壁の隙間から、光が差し込んでくる。
「……ハッ」
実体なんて無い筈の、データの質感。握り締めた拳を眺めると、……最後に、また誰かへ嘲笑う。
後は、……ただ外の景色を眺めた。
馬鹿だな。……同じ顔して、殺し合ってる。
そうだな、確かに似てたよ。私達は。