怪獣娘トリガー ~ウルトラマントリガー復活計画~ 作:特撮恐竜
ダーゴンによる襲撃から2週間後、怪獣娘特有の高い治癒能力によってレイカは退院して普通に学校に通っていた。そして今日も幼馴染であるツバサと共にGIRLSに来ていた。2人は最近の調査部の調査結果が記された報告書を片付けている。
「これでマガバッサーさん達の調査記録は以上だね。」
「うん。」
「これが終わったら後はこの間現れたキングゴルドラス関連の資料だけだけど・・・どうする?終わったら帰る?」
「ううん、私はトレーニングかな。怪獣娘である以上、いつ戦う事になるか分からないし・・・日々の特訓は怠らるなってレッドキングさんも言ってたし・・・。」
「そっか・・・けどよく分かんないよな〜。何で調査部の人達まで特訓しなきゃいけないんだか。」
「仕方ないわよ。私達怪獣娘はシャドウから市民を守らなきゃいけないんだから。これは各部署の管轄とか無しにやらなきゃいけないんだし。」
「けどさ、芸能課に所属しているキングジョーさんやザンドリアスちゃん達まで戦いに駆り出されるって・・・少しおかしくない?」
「前はシャドウ退治専門の戦闘部署があったらしいけど・・・それだけだと人手不足だからって事で他の部署の怪獣娘も戦わなきゃいけなくなったみたいよ。」
「そうなんだ・・・GIRLSって思ったより人手不足なんだね・・・。」
2人は資料を全て片付けるとトレーニングルームに向かった。2人が着いた頃には既にガッツ星人がミクラスとスパーリングをしていた。その横ではゴモラとアギラが次のスパーリングに向けて軽く準備運動をしている。
「皆さん、お疲れ様です。」
「おお、ツバちゃん‼︎それにダム子も‼︎」
「だ、ダム子じゃないです‼︎」
「アギラさん達も特訓?」
「うん、この間、カルミラとの戦いに負けて思ったんだ。・・・今回の敵はこれまで戦ってきたシャドウよりも遥かに強いって。だから・・・ボク達も強くならなきゃ。」
アギラは拳を握りしめて力強く誓う。その横で彼女の言葉を聞いたレイカは以前の敗北を思い出して思わず表情を曇らせる。そしてミクラスとガッツ星人、アギラとゴモラのスパーリングが終わるとレイカの番に回ってきた。レイカは怪獣娘『ウインダム』に変身するがその表情はまだ曇ったままだった。
「よっしゃ‼︎体もあったまってきたし、テンション上げてくぜ‼︎」
意気込むノイズラーと違ってウインダムの方はスパーリング直前であるにも関わらず不安げな表情を見せている。今のウインダムの表情を知らないノイズラーはそのまま自身のテンションで呼び掛けた。
「そんじゃセッション開始と行くか‼︎ウインダム、よろしく頼むぜ‼︎」
「・・・・・・。」
「ウインダム・・・おい‼︎ウインダム‼︎聞いてんのか‼︎」
「は、はい⁉︎」
「ったく・・・これからスパーリングだってのに・・・一体どうしたんだよ・・・。」
「あ、ああ‼︎そうですね‼︎頑張りましょう‼︎よ、よろしくお願いします‼︎」
ウインダムは自身に蔓延る不安を振り払うように頬を叩きながら意識をノイズラーに集中させる。そして2人のスパーリングが始まった。
「行くぜ‼︎うおりゃあああ‼︎」
ノイズラーは飛び上がると同時にウインダムに飛び蹴りを放つ。ウインダムはそれを見ると横に前転して避けた。ノイズラーは着地するとウインダムに急接近して右腕からの拳を放つ。ウインダムは反応に遅れ、頬を拳が掠るも何とか避ける。ノイズラーの拳を避けて彼女をもう一度見た瞬間、カルミラとの戦いの記憶が彼女の脳裏に浮かんだ。
そんな今のウインダムの事を知る由もないノイズラーはそのままウインダムに拳と蹴りを連続で放つ。ウインダムは頭に浮かんだ敗北の記憶に気を取られ、ノイズラーの拳と蹴りを連続で受ける。
「ぐうっ‼︎・・・ぐぐっ⁉︎・・・うぐっ‼︎・・・があっ‼︎」
ウインダムは吹っ飛んで地面に倒れる。そして立ち上がったと同時にこちらに向かってくるノイズラーに以前戦ったカルミラとダーゴンのビジョンを重ねてしまった。目の前のスパーリング相手に、以前自身が戦った強大な力を持つ闇の巨人の存在を重ねたウインダムはこちらに迫ってくるノイズラーに何の抵抗も無く連続パンチを受け、とどめと言わんばかりに放たれた超音波で吹っ飛んだ。
「きゃあああ‼︎」
「どうしたんだよ、ウインダム⁉︎今日のお前は何か動きが鈍いぞ‼︎」
「うう・・・。」
「まさか・・・アタシが年下だからってナメてるんじゃねえだろうな⁉︎もし、そうだとすれば」
「そんな事ありません‼︎決してノイズラーさんの事を馬鹿にしている訳ではありません‼︎」
「何か・・・ウインちゃんの様子がいつもと違うような・・・。」
「ウインちゃん・・・どうしたんだろ?」
「調子悪いのかな?」
「ツバちゃん、何か知ってる?」
「いや・・・ただ最近何かにビクついてるような気はしてたけど・・」
2人のスパーリングを見ていたツバサ達もウインダムの動きを見て疑問を感じている。ウインダムは立ちながら自分に言い聞かせるように口を開いた。
「私は・・・私は・・・まだ戦えます・・・まだ戦えますから‼︎」
「本当に大丈夫かよ・・・?」
「はい‼︎ノイズラーさん、お願いします‼︎」
「よし、んじゃあ行くぜ‼︎」
気を取り直したノイズラーは今度は右足の蹴りを放つ。ウインダムは集中して腕を交差させてその蹴りを受け止めた。するとノイズラーは左足から蹴りを放つ。ウインダムはこれも受け止めるが彼女が体勢を立て直して放ったストレートを受けて吹っ飛んだ。崩れながらノイズラーと距離を離した彼女は再び視線を彼女に向ける。その時、こちらに向かってくるノイズラーにカルミラを重ね合わせた彼女は震え出す。
「あ・・・ああ・・・。」
そんな事も知らないノイズラーはそのまま拳を放とうとする。それが以前自身に拳を向けてきたダーゴンの姿に見えた彼女は思わず頭を抱えて叫び出した。
「いやああああああああああああ‼︎」
「ウインちゃん・・・⁉︎」
突然叫び出したウインダムに思わずノイズラーは拳の軌道を逸らす。ノイズラーの拳はそのまま床にぶつかる中、レイカの体は恐怖で震えながら蹲る。
「いやああああああ・・・来ないで・・・来ないで下さぁぁい・・・お願いだから来ないでぇぇぇぇ‼︎」
「お、おいウインダム⁉︎お前、どうしたんだよ⁉︎」
「ウインちゃん、どうしたの⁉︎ウインちゃんってば‼︎」
「いやぁぁぁぁぁぁ‼︎来ないで来ないで来ないでぇぇぇぇぇぇ‼︎」
そのままウインダムは気を失い変身が解けてしまう。ツバサは地面に倒れそうになったレイカを見て駆け出すと彼女の体を支えてアギラ達に叫ぶ。
「まず、今日のトレーニングは中止しましょう‼︎僕はレイカを医務室に連れて行くので後の事はお願いします‼︎」
ツバサの言葉に全員が頷くとツバサはレイカを抱えたまま、トレーニングルームを後にする。その後でアキとミクがその後ろをついて行った。
その頃、何処か潰れた酒場で闇の巨人の1人であるカルミラは黄昏ていた。彼女は隣のバーカウンターに置いてあるウオッカの瓶を手に取り、口元に持って行くと勢いよく一気飲みする。ウオッカを飲み干したカルミラは一息つくと拳を握り締めて思い切りカウンターを叩いた。
『まさかあたしがあんな小娘に・・・今度会ったら必ず息の根を止めてやろうじゃないか‼︎』
カルミラは以前、ウインダムにミサイルを受けた事を思い出すと怒りを露わにしながらまたウオッカの瓶を手に取り、一気に飲み干す。その光景を見ていたヒュドラムは年季の入ったワインをグラスに注ぎ、グラスを手に取った。隣で日本酒を注いだお猪口を手に持ったダーゴンが席に座ると2人は話し合う。
『カルミラに一泡吹かせるとは・・・その怪獣娘も中々面白そうですねぇ・・・私も興味が出てきましたよ。』
『しかし、我もその怪獣娘とは戦ったが大した力は無かった・・・寧ろその後にやって来た者達の方が手応えがあったぞ。』
『ふむ・・・もしかしたらまだ使えなかった力が土壇場で覚醒したのかもしれませんねぇ・・・。』
『何?まだ覚醒していない力があったかもしれないというのか?』
『ええ、怪獣娘は自身に宿る怪獣によって様々な力が使えるらしいのですが中には元の怪獣には無かった力が現れるケースもあるらしいのですよ。』
『何と・・・では我ともやり合える怪獣娘がまだまだ出るかもしれないという事か・・・実に楽しみだ。』
『そうですね・・・酔い醒ましに丁度良さそうです・・・私も直に見に行ってみるとしますか・・・その怪獣娘の姿を・・・・・・フッフッフッフッ・・・フハハハハハハハハハ‼︎』
ヒュドラムはワインを一口飲むと邪悪な笑みを浮かべるかのような笑い声を上げる。ダーゴンは笑い声を上げるヒュドラムを横にお猪口を手に取り、日本酒を一気に飲み干した。
その頃、GIRLSでは医務室のベッドで横たわっていたレイカが目を覚ました。レイカは辺りを見渡して自身がいる場所を確認している。
「ここは・・・?」
「レイカ、気が付いたの⁉︎」
レイカはすぐ隣にツバサがいる事を確認する。幼馴染の少年の姿を確認した彼女はベッドから起き上がった。
「ツバサ・・・ここは?」
「医務室のベッドだよ。レイカ、突然倒れたんだよ。」
「倒れた・・・私が・・・?」
レイカはツバサの言葉を聞いて何故自分がここにいるのかを思い出す。先程まてノイズラーとスパーリングをしていた事を思い出すと彼女はベッドから飛び出そうとする。ツバサはここから飛び出していこうとするレイカを必死に抑えた。
「そういえば・・・私は・・・‼︎ノイズラーさん‼︎」
「駄目だよ‼︎寝てなきゃ‼︎」
「ツバサ、でも‼︎」
「許可が出るまでは寝てなきゃ駄目‼︎ちょっと待ってて、ピグモンさん呼んでくるから‼︎」
そう告げてツバサは部屋を出て行く。数分後、ツバサがアキ、ミクの3人とともに戻ってきた。アキとミクはレイカを見るなり彼女に駆け寄った。
「ウインちゃん‼︎」
「目が覚めたんだね‼︎」
「は、はい・・・ご迷惑をお掛けして御免なさい・・・。」
「いいよそんなの‼︎寧ろあたしの方がウインちゃんには迷惑掛けてるじゃん。主に勉強とか勉強とか勉強とか。だからこのくらいなんて事ないよ。」
「レイカに掛けてる迷惑の全てが勉強関連だ・・・。」
ミクの言葉にツバサが思わず小さく呟いた。そして医務室にトモミとミサオが入ってきてレイカが目を覚ました事を確認する。レイカは新たに医務室に入ってきた2人を見て頭を下げる。
「ピグモンさん、それにノイズラーさんも‼︎お2人にもご迷惑をお掛けして本当に申し訳ありません‼︎」
「い、いえいえ‼︎気にしないで下さい‼︎」
「・・・一体どうしたんだよ?突然あんな悲鳴上げちまってさ。」
ミサオの疑問にレイカは思わず顔を暗くして黙り込む。そしてそのまま沈黙が続くとミサオがレイカに詰め寄った。
「おい、ウインダム・・・何黙ってんだよ。」
「ノイズラー?」
「・・・・・・。」
「おい‼︎何黙ってんだよ‼︎何か言えよ‼︎」
「ちょっ!ちょっと待って、ノイちゃん落ち着いて‼︎」
レイカに詰め寄るミサオをミクが引き離す。ミサオが離れたタイミングでツバサがレイカの手を握った。
「そんな風に詰め寄られちゃ話せる事も話せないよ。ここは僕に任せて。」
「ツバサ・・・。」
「レイカ、落ち着いて・・・大丈夫だから・・・ね。」
「う・・・うん、ありがとう、ツバサ。
「・・・落ち着いた?」
ツバサの問い掛けにレイカは頷く。するとツバサはレイカの手を握ったまま彼女に優しく問い掛けた。
「落ち着いたなら、さっきノイズラーとのスパーリングで何があったか聞いてもいい?勿論、話したくないっていうんだったら話せるようになるまで待つよ。」
「大丈夫よ・・・と言いたいけど・・・お願いだから手を握って。そうすれば落ち着いて話せるかも・・・。」
「分かった。じゃ、この手は離さないよ。」
ツバサはレイカの手を握ったまま彼女の顔を見つめる。レイカは自身の手を握ってくれたツバサを見て安心しながら心を落ち着かせると意を決して話し始めた。
「実は・・・先程、ノイズラーさんにカルミラ、ダーゴンを重ね合わせてしまって・・・。」
「えっ⁉︎カルミラとダーゴン⁉︎」
「何でアタシとその2人を⁉︎意味が分かんねえよ・・・。」
「実は・・・あの日以来、カルミラにやられた時の事と・・・ダーゴンにやられた時の記憶が夢に出てくるんです・・・。そしてその時に味わった体の痛みも蘇ってきて・・・。」
「ウインちゃん・・・。」
レイカはツバサに手を握られながら闇の巨人達と戦った時の事を思い出しながら体を震わせる。彼女の目からは涙がこぼれ落ち、目が恐怖に覆われていた。
「カルミラとの戦いで・・・私、初めて死ぬかもしれないって思いました・・・ギランボさんが来なければ・・・私はカルミラに殺されていたかもしれません・・・カルミラとの戦いの傷が癒えて退院した日もずっとあの日味わった苦痛が忘れられずにいました・・・。そしてその苦痛が浅い日のうちに・・・。」
「力に長けたダーゴンと戦い・・・また重傷を負って・・・。」
「ええ・・・私がダーゴンに勝てる訳がない・・・そんな事は分かっていました。それでも・・・街の人を守るために戦わなきゃならない・・・そう思って変身して・・・立ち向かって・・・私は・・・ダーゴンに・・・また闇の・・・巨人に・・・殺され掛けました・・・。」
「ウインダム・・・。」
レイカは闇の巨人達との戦いで初めて味わった死の恐怖に今も震え上がる。幾ら怪獣娘とはいえまだ16歳の少女である彼女にとって闇の巨人達との戦いで2度も死に掛けた事で強く染み付いた死への恐怖が忘れられずにいたのだ。その事に気付かずに問い詰めたミサオは思わず小さな声で謝った。
「ウインダム・・・悪かったな・・・アタシがスパーリングに誘ったばかりに・・・。」
「い、いえ、ノイズラーさんは何も悪くないんです‼︎ただ・・・あの日以来どうしても戦う事に対して・・・怖くなってしまって・・・。」
「ウインウイン・・・。」
「これまで・・・シャドウとの戦いでは・・・遠距離からの狙撃で皆さんの援護に回ってきたから・・・こんな事を体験する事になるなんて思わなかったんです・・・闇の巨人との戦いで初めて思い知りました・・・死ぬかもしれないという事がこんなに怖いなんて・・・。」
「ウインちゃん・・・。」
「もし、闇の巨人がまた現れたら・・・私は・・・本当に・・・こ」
闇の巨人と死の恐怖に震えるレイカをツバサが優しく抱き締める。彼女を抱き締めながらツバサはレイカに優しく言い聞かせた。
「大丈夫。絶対にそんな事はさせない。レイカに何かあったら僕が駆け付けるよ。」
「ツバサ・・・。」
「僕だけじゃない。レイカには沢山の仲間が付いてる。いざとなったら皆が助けに来てくれるよ。勿論僕もさ・・・だから大丈夫だよ。」
「ツバサぁぁ・・・。」
レイカはそのままツバサの胸に顔を埋めると泣き出した。ツバサは泣くレイカを優しく抱き締める。そのままレイカはツバサの胸の中で泣き続けていた。
その後、容体が落ち着いたレイカはGIRLSを後にして帰路についていた。ツバサはまだやる事が少しだけ残っていたためGIRLSに残る事になったものの先程何かあったら連絡すると約束したためレイカだけ先に帰路につくことになったのだ。レイカは今のところは普通に帰れていた。
しかし、闇の巨人の魔の手はすぐそこに迫っていた。1人帰路に着くレイカをヒュドラムが監視していたのだ。ヒュドラムはレイカをじっくり眺めて呟いた。
『成る程・・・彼女がそうですか・・・しかし、弱そうですねぇ・・・本当にカルミラに一泡吹かせる程の実力があるというのでしょうか?』
レイカを見て疑問を浮かべるがヒュドラムは立ち上がってダガーヒュドラムを展開する。
『まぁ、戦ってみれば分かることでしょう・・・。』
ヒュドラムは高速でジャンプするとレイカの前に立ち塞がる。またしても1人でいる時に遭遇した闇の巨人にレイカは体を震わせる。
「あ、貴方は・・・闇の巨人の1人・・・ヒュドラム⁉︎ど、ど・・・どうして・・・?」
『いえ、カルミラが貴方に一泡吹かせられた事に怒り心頭な模様でして・・・本当に貴方にそこまでの実力があるのか気になってしまいましてね・・・是非ともその力を拝見させて頂きましょうか。』
「そ・・・そんな・・・。」
レイカは震えながら後退りする。そしてヒュドラムに背を向けるとすぐさま駆け出す。しかし、スピードを武器とするヒュドラムに敵う訳もなくあっという間に前に回り込まれてしまう。
『おやおや?何処へ行こうというのですか?まだ戦いは始まっていませんよ?』
「ひいっ⁉︎」
ダガーヒュドラムを首に突き付けてくるヒュドラムに悲鳴を上げながらもレイカは再び走り出し、ソウルライザーを取り出す。そしてツバサに連絡を掛けた。
「ツバサ、ツバサ‼︎助けてツバサぁぁ‼︎」
『もしもし、レイカ?どうしたの?』
「今、私の目の前に闇の巨人の1人が・・・ヒュドラムがいるの‼︎お願いだから早く助けに来て‼︎早くぅぅ‼︎」
突然、ツバサへの連絡が切れる。連絡が突然切れた事でレイカは焦りながらソウルライザーに耳を当てて問い掛ける。
「もしもし‼︎ツバサ⁉︎もしもし⁉︎・・・お願いだから返事してよぉぉぉぉ‼︎ツバサぁぁぁぁぁぁ‼︎」
『フハハハハハハハ‼︎ハハハハハハハハハハ‼︎ハーッハッハッハッハ‼︎』
レイカは後ろからヒュドラムが迫っている事を知ると再び背中を向けて駆け出した。しかし、ヒュドラムはすぐさまレイカの前に立ち塞がり、その行手を阻む。
『お嬢さん、私はスピードに優れていましてね・・・貴方の足では私から逃れる事は不可能ですよ。』
「ひいいいいいいいいいいい⁉︎」
『さあ、諦める事です。』
レイカは目の前から迫ってくるヒュドラムに震えながら後退りする。彼女は玉砕を覚悟でソウルライザーを操作し、怪獣娘に変身した。
「ソウルライド、ウインダム‼︎」
『そうそう、それでいいのです。さぁ、掛かってきなさい。』
「ううう・・・うわああああああああああ‼︎」
ウインダムは恐怖に震えながらヤケクソ気味に額からレーザーを放つ。しかし、高速で動くヒュドラムにレーザーは命中さえせず、あっさりと避けられ、後ろに回り込まれた。
『遅いですよ。』
「きゃあああ‼︎」
ヒュドラムは彼女の背後から斬撃波を放った。ウインダムは斬撃波をまともに受けて地面に転がっていく。再びヒュドラムはウインダムの後ろに回り込み、今度は蹴りつける。ウインダムの体は蹴られて後ろに吹っ飛ぶ。その隙にヒュドラムは彼女の側まで高速で移動し、すれ違いざまにダガーヒュドラムで斬りつけた。
「ううっ・・・助けて・・・誰か助けて・・・。」
獣殻で守られた体だったため致命傷は免れたものの彼女は闇の巨人であるヒュドラムへの恐怖心に染まり切っていた。ウインダムは恐怖に震える自身の体を引き摺りながらヒュドラムから距離を引き離す。ヒュドラムはその様子に愉悦を抱きながら迫っている。
『フハハハハハハハハ‼︎これはこれは‼︎私に怯えているのですか⁉︎体が震えていますよぉ‼︎愉快ですねぇ‼︎フハハハハハハハハ‼︎』
「ひいいいいいいいいい‼︎いやぁぁぁぁぁぁぁ‼︎来ないで来ないで来ないでぇぇぇぇぇぇ‼︎」
『フハハハハハハハハ‼︎もう私への恐怖に染まり切っているではありませんか‼︎いいですねぇ‼︎もっともっと私への恐怖に怯え、絶望して頂きましょうか‼︎』
〈BOOT UP!ULTRA SONIC‼︎〉
ヒュドラムは自身に怯えるウインダムを更に恐怖に追い込むべく迫り来る。ウインダムはこちらに向かってくるヒュドラムへの恐怖のあまり変身が解除され、元の白銀レイカの姿に戻ってしまう。震えるレイカにヒュドラムがダガーヒュドラムを構えながら迫るが突然聞こえてきた音声に2人は周りを見渡す。
その時、レイカとヒュドラムの間に超音波光線が飛んできて、ヒュドラムの行手を阻んだ。ヒュドラムがその方向を見るとツバサがGUTSスパークレンスを構えている。ユナから借りたゴルザのハイパーキーでヒュドラムの行手を阻んだのだ。超音波光線でヒュドラムをレイカから引き離したツバサは彼女に駆け寄った。
「レイカ、大丈夫⁉︎」
「ツバサ・・・どうして?」
「君の電話を聞いて急いで来たんだ‼︎怪我はない‼︎」
「怪我はない・・・けど・・・突然電話を切られたから・・・不安になったわ・・・見捨てられたと思ったわよぉ・・・ツバサの馬鹿ぁ・・・。」
「本当に御免ね。ここまで急いで飛んで来たんだ。兎に角ここから逃げよう‼︎」
『全く小賢しい真似を・・・あ、貴方は⁉︎何故ここにいるのですか⁉︎しかも怪獣娘に味方して‼︎』
「何がいいたいのか分からないけど・・・今は話をしている暇じゃないんだ‼︎悪いけど引かせてもらうよ‼︎」
〈BOOT UP! FIRE BALL‼︎〉
ツバサは再びユナから借りたゼットンのハイパーキーを装填し、ヒュドラムの足元に向けて火の玉を放つ。強力な火の玉を足元に受けて爆煙が立ち込める。そしてヒュドラムが煙を振り切った時にはツバサとレイカは姿を消していた。
『逃しましたか・・・それにしても・・・何故怪獣娘の味方を?・・・まさか・・・瓜二つなだけでしょうか?』
ヒュドラムはただ1人呟くとその場から姿を消す。その数分後、ツバサは物陰から姿を見せ、辺りを見渡してヒュドラムが完全にその場から姿を消した事を確認した。実はツバサはレイカと共にゼットンの力で放った火炎弾でヒュドラムが自身を見失っているうちに建物の陰に隠れて身を潜めていたのだ。
「レイカ、ヒュドラムはもう行ったよ。」
「う、うん・・・ツバサ・・・。」
「?」
「来てくれてありがとう・・・それと御免ね・・・裏切られたと疑ったりして・・・。」
「ううん、僕の方こそすぐに行かなきゃって焦って電話を切ったから・・・レイカを不安にさせたんだ・・・僕の方こそ御免。」
「そんなの気にしてないよ・・・ツバサは約束守ってくれたんだから・・・。」
「さっ、アイツが完全に気配も消した今がチャンスだ‼︎ここから離れるよ‼︎」
「うん・・・。」
ツバサはレイカをおんぶしててその場を後にする。レイカは安心した表情でツバサにしがみつきながらツバサと共にその場から去っていった。
ウインちゃんフルボッコ注意報は次回まで続きます。
ウインちゃんがここまで酷い目に遭う怪獣娘の二次創作がこれまであっただろうか・・・。